空き家特別措置法で、固定資産税が6倍になる前にできる対策3選

空き家特別措置法で、固定資産税が6倍になる前にできる対策3選

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の管理と改修を担当している宅地建物取引士兼住宅ローンアドバイザーの馬場です。今回は不動産鑑定士補兼宅地建物取引士の相樂と共に、忙しく、離れていることからほったらかしになりがちな空き家対策について、過去の相談を参考に考えていきます。

元々、2019年6月に西東京市にある空き家の対応に関して、ご相談を受けました。1月にご両親がお亡くなりになり、兄弟で空き家を引き継いだがそれぞれ既に自宅を持っており、改めてこの家に住む気はなく、今後どうするべきか相談したいとのことでした。

0.はじめに

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、この20年で空き家の数は576万戸から849万戸と、およそ1.5倍も増えました。日本は人口減少という根本的問題に加え、金融緩和で日本銀行がお金をジャブジャブ刷ってたところにサラリーマン大家による副業ブーム等、様々な要因が重なって東京だけでなく、各地で住宅供給が過剰に起こりました。

人口の多い都市部や建物の状態が良いならまだしも、とりあえず実家を相続した、賃貸需要のない地域にある、売りたいけれど売れない(まさに「負動産」状態)など問題のある空き家が増えているのが実体です。実際、空き家は社会問題になっており、ここ数年で法律が変わったり、行政によって強制的に取り壊されたりということも増えてきました。

ここまで大きな問題にならなくても、空き家を放っておくと火事や倒壊のリスク、不審者が勝手に住み込むなど防犯性の低下、税金が上がるなど自分だけでなく、周囲も迷惑をかける可能性があります。単刀直入に言うと価格、税金、管理費、物置・ゴミ溜めになりやすいことを考慮して、今後日の目を見ることが無い空き家は使わないなら売却してしまった方が良いです。

とはいえ、踏ん切りがつかない場合もあると思います。そこで、この記事では空き家を持っている、譲り受けた、相続したなどして、処分や管理に困っている人のための起りうる問題や対策についてまとめました。売るのか、貸すのか、家族の思い出として管理費を払ってでも残すのか、迷っている人はぜひ読んでみてください。

先日、空き家トラブルに困っているオーナーさんや賃借人の方を踏まえ、現状や対策についてインタビューを行いました。空き家に困っている方向けですが、困りそうな方も是非見てみて下さい。

1.空き家の固定資産税が6倍になるとは?(特定、ルール、期間、手続き、回避、対策)

「空き家の固定資産税が6倍になる」と聞いて、慌てて調べたというケースをよく聞きます。防災性・防犯性や衛生、景観の悪化やゴミの不法投棄の原因にもなる空き家の放置は、国として大きな問題になっており、新たに法律ができました。それが固定資産税が6倍になる、「空き家対策特別措置法」です。

相続で引き継いだ後、倉庫として、使っていたため、隣地を含め、植栽の越境等あり、整理に時間が掛かった実例はこちらです。

1-1.固定資産税が6倍になる「空き家対策特別措置法」とは?

「空き家対策特別措置法」は2015年に施行された法律で、空き家の放置を防いだり、活用や処分を促すことを目的としています。そもそも土地や建物の所有者には固定資産税がかかります。

しかし、土地の上に住宅が建っている場合は「住宅用地」に区分され、正規の固定資産税が6分の1に軽減される特例が適用されます。だから、土地の所有者は住む人がいなくたって空き家になってもそのままにしているケースが多かったのです。

しかし、この特例が空き家放置の問題の根源にもなっているため、特例を外してしまおう、というのが「空き家対策特別措置法」のざっくりとした内容です。つまり、「空き家の固定資産税が6倍になる」というよりは「固定資産税が6分の1に軽減される特例から空き家を外し、正規の固定資産税が適用される」というのが本質と言えます。

1-2.空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?

空き家の固定資産税が6倍になると言っても、ギリギリまで6分の1の軽減を受けたいのが、空き家所有者の本音だと思います。

まず、住宅部分を解体した場合、固定資産税が6倍になるのは解体した翌年1月1日からです。解体せずとも、「空き家対策特別措置法」により「特定空き家」に指定された場合もやはり、固定資産税は6倍に上がってしまいます。指定されるタイミングは自治体の調査によります。自治体が空き家の情報を掴むと調査を始め、下記の点をチェックします。

・1年を通じて誰も住んでいない

・電気、水道、ガスなどが使用されていない

上記の点が確認されると自治体は「特定空き家」に指定して、所有者に管理をするよう、助言や指導を行います。しかし、所有者が助言や指導に従わないと「勧告」という処分が下り、6分の1の軽減特例から外されてしましまうのです。つまり、固定資産税が6倍に跳ね上がります。

ちなみに、建物を解体した場合、1ヶ月以内に滅失登記を行わないと、10万円以内の過料になる事があります。

1-3.自治体の指導を無視するとどうなるのか?

自治体からの指導を無視し続けていると固定資産税が6倍になるだけでなく、重い処分が下される可能性があります。「助言・指導」、「勧告」を受けてなお、空き家を放置し続けると「命令」を受け、違反すると最大50万円以下の科料が課せられます。

これでも従わないと、次に「行政代執行」という、行政が所有者に代わって管理(空き家の場合は解体処分)に乗り出します。解体にかかった費用は所有者に請求されるので、空き家を放置して良いことは何もありません。

ちなみに、国土交通省「空き家対策(令和元年5月)」によると、日本全国で空き家の指導を受けた件数や1,984件。そのうち「勧告」まで受けたのが142件、「命令」が16件です。最悪の「行政代執行」まで進んだケースが6件あり、国も本気で動いていることがわかります。くれぐれも空き家の放置と行政指導の無視はしないようにしてください。

1-4.特定空き家に指定されないための対策

「特定空き家」に指定されないために基本的には空き家を売るか、貸すか、廃墟にならないように適切に管理するかの3点です。管理の場合、家を修繕したり綺麗に掃除したり、庭の草を取る、ポストに投函されたものを片付けるなどの作業が定期的に必要になります。

とは言え、遠方に住んでいて管理できない、売ったり貸したりしたくても需要がない、住宅の状態を良くするために初期投資がかかり過ぎるといった問題もあると思います。

そんな時は補助金、「空き家の発生を抑制するための特例措置」、「住宅セーフティネット制度」など公的な仕組みを使う、民間の管理会社に任せる、「リースバック」というサービスを活用するといった方法もあります。

ちなみに「リースバック」とは一旦、持ち家(マンション含む)を売却しお金にした上で、売却先に賃貸料を払って住み続けるサービスです。まとまったお金が必要、老後資金を作りつつ柔軟に住み替えができるようにしておきたい、などのニーズに応えてくれます。したがって、人も住めないような状態や賃貸需要がない物件の場合、売却ができないため、リースバックは使えません。

1-5.空き家対策の補助金

補助金の有無や内容は自治体によって異なるので、まずは空き家を所有している『自治体のホームページを確認する、問い合わせる』などしてみてください。

倒壊の危険性がある、老朽化・傷みが激しいので解体する、耐震工事をするケースで補助金が出る場合が多いようです。また、解体後も一定期間、固定資産税6分の1に軽減を維持というパターンもあります。

このように、自治体によって制度は異なってきますので、自分が所有する空き家所在地の自治体にはどのような制度があるか一度確認してみてください。

1-6.空き家対策の公的制度

1-6ー1.空き家の発生を抑制するための特例措置、最高3,000万円控除

「空き家の発生を抑制するための特例措置」とは、相続で得た空き家を耐震リフォームもしくは解体した後に、住宅や土地を譲渡した場合、その譲渡所得から最高3,000万円控除されるというものです。

イメージしやすくするために、ざっくりと具体的な数字を入れてみました。まず、住宅の譲渡に関しては下記の式により税額が決まります。

【譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)= 課税譲渡所得金額】

相続した空き家を取り壊して売った土地の金額が4,000万円、解体費用が200万円、測量や仲介手数料等が150万円だったとすると、下記の式になります。

【4,000万円-{0円+(200万円+150万円)}- 3,000万円(特例措置分)= 650万円】

この650万円に対して、所有期間が5年未満の場合、短期譲渡所得として所得税が30%、住民税が9%かかることになります。結果的に253.5万円に税金が掛かってきます。一方、控除が受けられない場合、1,423.5万円の税金が掛かってきます。1,000万円以上も変わってきます。

こうしてみると、特例措置の3,000万円がいかに大きいか、分かると思います。ちなみに、この特例を受けるには、措置令和5年12月31日までに空き家を売る必要があります。他細かな条件等もあるので、早めに動かれることをお勧めします。

1-6ー2.住宅セーフティネット制度

「住宅セーフティネット制度」とは、都道府県等に登録された空き家の情報を住宅を必要としている人に提供する仕組みです。正確には異なりますが、民間の空き家を公営住宅として借り上げるイメージを持ってもらうと良いかと思います。

生活困窮者への住まいの提供と空き家問題をダブルで解決できる制度として2017年10月から始まりました。制度を利用すると空き家の所有者は1戸あたり最大で100万円の補助金が受けられる他、格安の家賃に対する補助も受けられる可能性があります。

一般的な賃貸に出すより家賃が低くなりがち、貸し出す人を選べない(行政側が決定する)等ありますが、自力で賃貸を望めない地域などでは非常に有効な空き家対策だと思います。

1-7.貸す?売る?管理する?最もリーズナブルな方法は?

公的制度や補助金に頼らずに空き家を所有しておきたい場合、貸す、売る、管理する、どうすればリーズナブルに済むのでしょうか?地域性や賃貸需要、空き家の状態など色々条件はありますが、お金を生み出す方法としては、以下のような4つの方法が考えられます。

  • リフォームもしくは解体して、再建築し、賃貸経営をする。
  • リフォームもしくは解体して、再建築し、デイサービスや保育所等を経営(賃貸経営)する。
  • リフォームしてシェアオフィスやシェアハウスとして、経営する。
  • 取り壊して、駐車場経営する。

いずれにしても経営や管理の知識、初期費用等が必要なので、誰でも簡単にできるものではありません。一方で、うまくいけば手堅い副収入として、固定資産税や管理費以上の収入が見込めます。

これらの活用が難しい場合、空き家はできるだけ早く売ってしまった方が結果的にリーズナブルに済むケースが多いです。管理の必要な実物資産として、次の代に引き継ぐ際も管理されていない空き家はお荷物になりがちです。

念のため、ご相続などで譲り受けたマンションが空き部屋になっている場合、その費用や判例・トラブルとその対策をまとめました。

2.空き家問題解決に向け、補助金の有無やその内容

空き家問題解決のため、国だけでなく各都道府県も補助金等があります。ただ、同じ都道府県内でも区市町村によって取り組みや内容に差があるので、最終的には空き家を所有している区市町村に直接問い合わせて確認するようにしてください。またこの辺りの補助金や支援はどんどん変わるので、最新の情報を入れることも重要です。

2-1.東京の空き家対策・補助金について

東京都では、相続などで発生した空き家の売却や賃貸、管理について相談できる「ワンストップ相談窓口」を設置しています。また弁護士会や司法書士会、東京都宅地建物取引業協会、全日本不動産協会東京都本部など各専門家と協定を締結し、空き家の所有者が相談できるようにしています。費用が気になるという方は、まずはこうした公的支援を使ってみるのが良いと思います。

その他、各区市町村独自で行なっている補助金制度の一部を紹介します(現在募集していないものもあるかもしれないのでご注意ください)。

2-1-1.文京区

文京区が危険と認定した空き家の解体に対し、最大200万円の補助金が交付されます。その代わり、解体後の土地は区が10年間無償で借り受けます。

2-1-2.墨田区

墨田区も文京区と同じく、空き家の解体費用を最大200万円の補助する代わりに、解体後の土地を10年間区に無償で貸します。解体だけの場合は補助金額が最大50万円(上限2分の1)の補助金となります。

2-1-3.台東区

台東区が危険と判断した空き家の解体費用を最大50万円(上限3分の1)まで補助してくれます。

2-1-4.江東区

昭和45年以前に着工された木造、もしくは木造と鉄骨造混構造の空き家の解体費用に対して、最大50万円(上限2分の1)が補助されます。

2-1-5.杉並区

「特定空き家等」に指定された空き家の解体費用に対し最大150万円(上限80%)が補助されます。

2-1-6.福生市

昭和56年以前に建築された旧耐震基準で1年以上空き家になっている住宅の解体費用に対し、最大30万円(上限2分の1)が補助されます。

2-2.千葉の空き家対策・補助金について

2-2-1.木更津市

空家バンクに登録した空家を売却または賃貸す、もしくは空家バンクに登録された空家を購入または賃借し、自分で住む場合ために行う工事費用に対して補助金がもらえます。

住居とする場合、最大50万円(上限2分の1)、高齢者サロン、子ども食堂、自立支援施設等にリフォームする場合は、最大150万円(上限3分の2)となります。

2-2-2.野田市

「空家バンク」に登録された空き家を購入または賃貸する際、改修費用が最大25万円(上限2分の1)助成されます。

2-2-3.佐倉市

「空き家バンク」に登録されている空き家をリフォーム、また家財道具を処分する際にかかる費用について最大30万円(上限2分の1)補助されます。ちなみにこちらは空き家の所有者だけでなく、賃借した人も使えます。

2-3.埼玉の空き家対策・補助金について

2-3-1.川口市

1年以上空き家になっていて、かつ現在の耐震基準を満たしている戸建住宅をまちづくり活動拠点や地域コミュニティの活性化を目的として改修、増改築する場合にもらえる補助金です。

10年以上継続すると、工事費用のうち最大100万円(上限3分の2)、3年以上の場合は最大50万円(上限3分の1)となります。

2-3-2.行田市

行田市が危険と認定した空き家の解体に対して、解体費用の最大50万円(上限2分の1)が補助されます。

2-3-3.坂戸市

昭和56年5月31日以前に着工された戸建ての空き家の解体費用が最大30万円(上限2分の1)補助されます。ただし、家財道具や浄化槽の処分等の経費は対象外です。

2-4.神奈川の空き家対策・補助金について

2-4ー1.神奈川県厚木市

「解体工事補助金」として1年以上空き家になっている戸建て住宅の取り壊しに対し、最大50万円(解体工事日の2分の1)が補助されます。

2-4ー2.神奈川県海老名市

「空き家活用促進リフォーム補助金」として、6ヶ月以上空き家になっている住宅をリフォームし、居住するもしくは居住用として賃貸・売却する場合、最大50万円(解体工事日の2分の1)が補助されます。

2-4ー3.神奈川県横須賀市

「空き家解体費用補助金」として、横須賀市が認定した空き家の解体費用のうち最大35万円(上限2分の1)が補助されます。また旧耐震基準である昭和56年5月31日以前に建築され、5年以上空き家となっている住宅の解体に対して、最大15万円(上限2分の1)が補助されます。

3.民間の空き家管理サービス(東京、千葉、埼玉、神奈川)とメリット・デメリット

行政の補助金や制度は区市町村やタイミングによってバラバラのため、使いたい時に使えない、十分でない、ということがあるかと思います。そのような時のため、民間の空き家管理サービスについてまとめました。

3-1.日本空き家サポート

空き家管理について全国にネットワークがあるため、東京、千葉、埼玉、神奈川だけでなく地方の住宅を相続したといった場合でも使えます。プランは3種類あり、以下の通りです。

・ライトプラン(月1回巡回管理、月税別5,000円)
作業時間屋外約30分

・スタンダードプラン(月1回巡回管理、月税別1万円)
作業時間屋外・室内約60分

・スタンダードプラスプラン(月2回巡回管理、月税別1万3,000円)
作業時間室内約60分+屋外約30分

3-1-1.日本空き家サポートのメリット・デメリットは?

・メリットは、全国で使えるので地方に縁がある、複数物件管理の必要がある場合などに便利です。また、全プラン震度5弱以上の地震発生時などに「災害等緊急時無料点検」を行なってくれます。

・デメリットは、日本空き家サポートはあくまで各区地域の加盟店の仲介なので、サービスが均一化されていない可能性があるということです。

3-2.NPO法人空き家・空き地管理センター

破格の月額100円から空き家の管理を行ってくれるNPO法人空き家・空き地管理センターのサービスです。

・100円管理(月1回巡回管理、月税別100円)

外観を中心に目視で建物点検。

・しっかり管理(月1回4,000円/月2回7,500円/月4回1万5,000円)

目視による建物点検に加え、敷地内ごみ処理、敷地内庭木確認、通気・換気、雨漏り点検、通水、ポスト清掃など。

3-2-2.NPO法人空き家・空き地管理センターのメリット・デメリットは?

・メリットは、何と言っても月額100円からという安さです。建物の状態が良い場合や比較的近隣にあって時々自分でも確認に行ける場合などに便利なサービスです。

・デメリットは、受けられるサービスの制限が大きく、必要なサービスはオプションで付け足していくことになるため、色々管理が必要な場合はかえって費用が高額になる可能性があります。他にも、関東圏でも東京23区外はサービスが提供されていないエリアがあります。

3-3.リブネス(ダイワハウス)

大手ハウスメーカー、大和ハウスグループの大和ライフネクストが提供する空き家管理サービスです。警備会社ALSOKとの業務提携により、24時間機械監視と異常時の駆けつけ対応、月に1度の人による巡回と通水、換気、ポスト整理などをしてくれます。

サービスは全国一律、金額の違いは対象物件が戸建か、マンションかになります。

・戸建プラン(月税別1万円、巡回は月1回60分)

・マンションプラン(月税別9,000円、巡回は月1回40分)

3-3-1.リブネスのメリット・デメリットは?

・メリットは、大手による全国一律の料金とサービスの品質です。また機械とは言え、24時間監視できるのは安心材料と言えます。

・デメリットは、プランが一つしかないため、空き家の状況によっては割高になる可能性があります。

4.空き家管理選択時の注意点

4-1.自分で管理する場合の注意点

空き家管理を自分でする場合の注意点は主に、「継続性」と「問題発生時の対応・責任の所在」の2点です。空き家が居住地から通いやすい場所にあれば良いものの、遠方だと年齢と共に継続して管理するのが難しくなるのが一般的です。

また、自身の家庭や仕事の状況、健康状態、高齢化などによっては難しくなるケースもあります。「月に1回くらいならなんとかなる」と安易に考えると結構大変です。春〜夏だとたった1ヶ月でも草が生い茂りますし、秋の落ち葉や台風、冬の凍結や降雪への対応も大きな負担になります。

他にも、何か問題が起こってしまった時すぐに駆けつけできない、責任を取るべき問題なのか、責任の程度(わかりやすく言うと賠償額)はどのくらいなのか判断がつきにくい、といったリスクも生じます。もし、空き家を自分で管理する場合、こうしたことが起こりうることを、よく考えておいてください。

4-2.管理業者や専門家に頼む時の注意点

専門か等管理業者に頼む時、サービスの内容を細かく確認することと、適正価格かをしっかり確認してください。例えば、料金が安いと思って契約したら、ポストの整理はオプションだった、草木の管理は別料金、といったことがあります。

また、代理店方式の場合、サービスの質にバラツキが生じるケースもあるので、事前にサービスの仕組みを確認しておくことが重要です。

その他、パッと見の金額が安くても、欲しいサービスが含まれていなければ意味がありません。所有物件を適切に管理するために必要なサービスが含まれているか、そして、その価格が適正か、別業者と比較するなどしてください。

>>使わなくなった自宅を改修し、賃貸後、長期譲渡のタイミングで売却した案件

5.空き家関連の判例

空き家が原因の判例は近年発生していないため、空き家でありうる判例を紹介します(広島地方裁判所/平成10年2月19日)。

雨により地盤が緩み石垣が崩壊したことで隣接の家屋が全壊したことに対し、合計364万円の損害賠償の支払いが命じられました。石垣の設置に瑕疵があったとまでは認められていないものの、崩壊前2日間の降水量は265mmと数十年に一度はあり得るレベルだったことから、通常行っておくべき管理をしていなかった、と判断されたようです。

建物や動産への損害費用、家賃、引っ越し代のほか、慰謝料や弁護士費用まで賠償することとなりました。空き家でも石垣や塀をもつ物件は多いと思いますし、住宅そのものが倒壊して隣家へ被害をもたらせば、同じような損害賠償をしなければならない可能性があります。

6.条例改正で3,000万円控除も使える空き家対策まとめ

空き家対策には国や行政も本格的に乗り出しています。しかし、補助金など使ったとしても金銭的負担は絶対にかかります。そのため、早め早めに動くことが結果的に、無駄なく、労力も少なく済みます。空き家をどうした良いか判断つかない場合は、以下の2点から先ずは決め、動いてみてください。

6-1.将来的に使う

コストを支払ってでも、管理サービスを利用するのが継続性の観点からおすすめです。空き家認定されて固定資産税が6倍になる、管理不良で問題を起こし、火事や不法侵入等治安悪化に伴う損害賠償を求められるリスクを考えたら、十分に価値があると思います。

6-2.使わない

早く売却してください。以前、売却まで8ヶ月、大手不動産会社に相談するもお父さんや物件の影響で相手にされなかった空き家の売却を担当しました。境界や隣人との問題もあり、時間が掛かりましたが、私たちが窓口となって動いたケースもあります。

残念ながら、今の日本では空き家になってしまった実家は持っているほど固定資産税や管理費がかかる上、一部の地域を除き、資産価値が落ちる可能性の方が大きいです。もちろん、例外もあります。自治体によっては売却に係る譲渡税の控除や補助金などがあるので、まずは探してみてください。

もし、空き家の件で長く悩んでいる方は一度ご連絡下さい。どのような選択肢があるか一緒に検討し、引き継ぐ人にも迷惑にならない方法を考えましょう。4,600件の引っ越し事例を基にこれまでの相談や対策の結果を踏まえ、再現性の高い提案をしています。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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