自己破産するとカードや家はどうなる?自己破産のメリット・デメリットとは?

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す、六本木の不動産屋、株式会社リビングインの住宅ローンアドバイザー兼任意売却取扱主任者の相樂です。

先日、印刷業界で働く、40代の男性が住宅ローンの返済相談に来店されました。

「両親へ仕送りをしながら、住宅ローン等の借入を返済していました。しかし、2019年以降、長引く不況で会社の業績が落ち込み、残業代がもらえず、住宅ローンの滞納が3ヶ月あり、銀行の担当者からの連絡もあり、どう対応したら良いか、このまま、無視していいものか?」と一人でずっと悩み続けていたようです。

コロナウイルスの影響でこのような相談が増え、これまで全国各地から相談を受けてきました。

特に、住宅ローンの返済が難しくなってしまったら、最終的に、「自己破産」や立ち退きという手段を取るのが一般的です。この自己破産のデメリットに対して、名前から恐怖心を抱いている方がたくさんいます。

そこで、司法書士の西門と住宅ローン関連の自己破産の概要やバレるのかどうか?そして、自宅はどうなのか?そのメリット・デメリット等を分かりやすくお伝えします。ピンチのときに最善の選択ができるよう、ぜひ最後までご覧ください。

1.借金問題の最終手段「自己破産」

自己破産とは債務整理手段のひとつで、裁判所に申し立てを行い免責が許可されれば、借金をすべて帳消しにできる方法です。

どんなに多額な借金だったとしても、裁判所に認められば借金がゼロになります。

債務整理には自己破産の他、任意整理や個人再生という手段があります。しかし、借金がすべてなくなる可能性があるのは自己破産だけです。その為、住宅ローン等で金額的に大きな借金の問題をすべて解決したい方にはおすすめできる方法と言えます。

なお、任意整理や個人再生についてはこちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。

2.自己破産のメリット

自己破産のメリットは何でしょうか?主に3つありますので、それぞれ解説します。

2−1.借金問題が根本から解決できる

1つ目のメリットは、借金問題が根本的に解決できる点です。

債務整理のうち任意整理や自己再生を行ったとしても、少額のローンを対象にしており、一部分のローンは残り、継続して支払っていく必要があります。

しかし、自己破産なら裁判所に認められれば、借金の元本・利息ともすべてなくなるので、借金から解放されます。これが自己破産の最大のメリットです。

2−2.債権者からの督促や利息計算がストップする

2つ目のメリットは、債権者である金融機関からの督促や利息計算が止まることです。

借金の返済が遅れると、先日の相談者の方のように、定期的に金融機関から書類や電話が来るようになり、精神的に追い詰められてしまいます。こうした督促が止むことで精神的にも落ち着けると思います。奥様や同僚、友人にも言えず、ずっと悩んでいる方の場合、この督促や連絡が無くなるだけでかなり楽になったと言われます。

また、自己破産の開始を宣言すると、各債権者での利息計算が止まります。これ以上借金が増えるのを防げます。よって、債務整理を行うなら、金利の事を考え、ともかく早めに相談するのがおすすめです。

2−3.人生の再スタートが切れる

3つ目のメリットは、マイナスが無い人生の再スタートが切れることです。借金問題は人間関係が悪くなったり、環境の悪い職場でも離職しにくくなったりと、日頃の生活に多大なる悪影響を及ぼします。

しかし、自己破産をすれば借金問題から解放されるため、周囲や仕事との関係性を含めて、再スタートを切ることが可能です。もし、借り入れで人生に行き詰まりを感じたら、債務整理や自己破産を真剣に検討していただきたいです。

3.自己破産のデメリット

一方で、自己破産にもデメリットが存在します。主なデメリットは3つ。それぞれの内容を踏まえて、自己破産をするか判断するといいと思います。

3−1.5年〜10年は「ブラック扱い」になる

1つ目のデメリットは「ブラック扱い」になることです。クレジットカードの申し込みやローンの延滞等を行うと、あなたの個人信用情報に情報が記載されます。

このうち、長期延滞や債務整理等、重大な事故情報が記載されることを「ブラック扱い」や「ブラックリストに載る」と表現するのです。

CICやJICC等、個人信用情報を扱う機関は複数ありますが、重大な事故情報はもれなくすべての機関で登録されます。その中でも自己破産をすると最短でも5年は記載が残るので、この間は新たな借入を起こしたり、クレジットカードを作成したりすることができません。

信用情報に関する影響はかなり大きいので、自己破産は慎重に検討するのがおすすめです。

3−2.自己破産手続きにお金がかかる

2つ目のデメリットは、自己破産手続きにお金がかかることです。自己破産手続きは大きく3種類に分かれ、それぞれ費用がかかります。

・同時廃止事件:約30万円
・少額管財事件:約50万円
・管財事件:約80万円

同時廃止事件とは、破産者にほとんど資産がない等、比較的簡単な手続きで済む自己破産手続きです。家や車、預金がない状態は、同時廃止事件に該当します。

少額管財事件とは、ある程度の資産を保有している場合や、個人事業に伴う借金を清算する自己破産手続きです。住宅ローンが残ったまま自己破産するなら、少額管財事件に当てはまり、総額で50万円程度の費用がかかります。

管財事件は、破産者の所有資産が多く、債権者にある程度分配できるような自己破産手続きです。最も手続きの規模が大きく複雑性を伴うため、約80万円程度の費用がかかります。

借金に苦しんでいる場合、こうした手続き費用を支払うのは難しいため、数ヶ月〜1年ほどかけて弁護士事務所に費用を分納します。よってお金がない場合は、自己破産まで時間がかかってしまうのです。

3−3.高価な財産や預金が没収される

3つ目のデメリットは、財産や預金が没収されることです。自己破産をする際は、所有する財産をすべて一覧表にまとめなくてはいけません。そして、債権者へ分配するため、手元現金以外はほぼ没収されます。

家や車を持っている方は自己破産によって多くのものを失わざるを得ません。自己破産ではマイナスの部分を全て帳消しにするため、プラスの部分も全て、失わないと行けません。

4.住宅ローンが残っている場合は「任意売却+自己破産」

住宅ローンが支払えずに自己破産をする場合、ちょっとしたコツがあります。それは、いきなり自己破産をして、何も無くなるより、任意売却をしてから、自己破産することです。その理由は3つあります。

4-1.1つ目は、任意売却なら不動産を市場価格で売買できること。

通常住宅ローンを滞納し続けて一年過ぎると、債権者である金融機関から訴えられ、家が競売にかけられることが多いです。競売では、内見が出来ない、交渉が出来ないため、市場価格よりも低い金額で強制的に売却されます。

その為、これまでの経験から返済は難しいものの仕事を含め、普通に生活できている方は、一度任意売却を試してみる方が賢い選択だと思います。

ちなみに、先ず自己破産を行った場合、自宅は強制的に競売に掛けられます。その為、市場価格以下で売却され、特に居住用の自宅の場合は強制的に退去させられるのが一般的です。

4-2.2つ目は、自己破産にかかる費用が減らせること。

家が残ったまま自己破産しようとすると、少額管財事件に該当します。約50万円程度の費用がかかってしまいます。しかし、家を売却しておけば同時廃止事件に該当し、費用が約30万円程度と20万円安くなります。

手元にお金がない場合、破産費用が少ないほど早期に自己破産できるようになります。この費用感の違いは重要視すべきです。

4-3.3つ目は、リースバックを使えばそのまま自宅に住めること。

リースバックとは、他者に自宅を一度売却し、購入者に家賃を支払いながら自宅に住み続ける方法です。

もし住宅ローンの支払いが厳しく、家を手放さなければいけなかったとしても、購入者がリースバックに応じてくれれば、そのまま自宅に住み続けられます。借金問題が近隣の方に知られたり、引っ越しや子どもの転校等をする必要がなくなるのが大きなメリットです。

リースバックで住む家を確保した状態で自己破産したいなら、まずは任意売却やリースバックの実績がある不動産屋に相談します。そして、不動産屋のパイプを使って、弁護士を紹介してもらうと、スムーズに手続きが進むのでおすすめです。

5.自己破産した後はどうなるか?

実際に自己破産したら、生活や勤務先にどのような影響が出るのでしょうか。相談者の方からよく寄せられる疑問について、分かりやすく回答していきます。

5−1.自己破産するとクレジットカードやスマホが利用できなくなる?

自己破産をすると個人信用情報に事故情報が掲載されるので、新たにクレジットカードを作成するのが難しくなります。ただ、滞納していないクレジットカードは有効期限を迎えるまで利用可能です。

スマホも引き続き利用できます。ただし、スマホ本体を購入する際の分割払い契約ができなくなるので、以降はスマホを一括購入する必要があります。

5−2.自己破産しても残る財産はある?

自己破産した場合でも、以下の財産は手元に残すことができます。

・99万円以下の現金

・評価額20万円以下の財産

現金は自己破産後の生活費として、手元に残すことが出来ます。一方、20万円以下の財産については、少しわかりにくいと思います。例えば、所有する車が非常に古く、確定申告や市場価格で評価額20万円を下回っていた場合、その車は手元に残すことができます。

マイナスもプラスも無くなる自己破産ですが、すべての財産がなくなる、というわけではないので、その点は賢く対応し、安心できる生活を手に入れて下さい。

5−3.自己破産すると銀行口座内の預金や生命保険も没収される?

5-3-1.銀行口座について

まず、銀行口座内の預金は20万円を超える部分は債権者への分配のために没収されます。ただし、銀行口座を解約されたり凍結されたりはしないので口座自体は引き続き利用可能です。

5-3-2.生命保険について

次に、生命保険に関して、解約によってお金が返ってくるような養老保険や終身保険に加入していて、その解約返戻金が20万円を超えるなら、残念ながら解約させられてしまいます。

しかし、掛け捨てタイプの生命保険や解約返戻金が20万円に満たない場合、解約する必要はありません。

5−4.自己破産すると退職金も没収される?

これから退職金を受け取る方の場合、勤務先に「退職金支給規定」がある場合、一定額を没収されます。退職金見込額の8分の1が20万円を超える場合は、その金額を裁判所や破産管財人に納めないといけません。

つまり、自己破産時点での退職金見込額が160万円を超えない場合、没収されません。この線引きは裁判所にもよって若干異なりますので、依頼する弁護士にキチンと確認し、進めて下さい。

5−5.自己破産すると家族や近隣の方にバレる?

5-5-1.自己破産手続きは基本的には家族や近隣の方にバレずに行えます。

ただ、あなた名義の郵送物がすべて破産管財人に届くようになったり、弁護士事務所と書類のやりとりが発生したりするので、家族にばれる可能性はゼロではありません。

個人的には、早い段階で家族の方には話した方が良いと思います。自己破産するとこれまでの生活を続けることは難しくなります。例えば、自己破産前の段階でも金銭的に苦しいため、生活を切り詰めないといけないと思います。

ただし、その郵送物は弁護士事務所名を伏せた状態で郵送してくれるなどの配慮はあるので、近隣の方にばれる可能性はかなり低いです。

5-5-2.自己破産をすると、政府が発行する官報に載ります。

他にも、自己破産をすると、政府が発行する官報に住所や氏名、決定内容等が掲載されます。官報に掲載されるのは開始決定後と免責決定後の2回です。この官報によって知られる可能性もありますが、かなり稀(まれ)だと考えています。

例えば、勤務先が官報を定期的に調べる業界、保険を含めた広い金融関係や警備、税務関係です。これ以外の業界の方は一般的に官報掲載を恐れる必要はないと思います。

なお、官報に載ると、消費者金融関連のダイレクトメールがご自宅に頻繁に届くようになります。その為、事前に家族と話しておくことで無用な心配を防ぐことが出来ます。

6.メリットが多い自己破産後どうなるかまとめ

ここまで住宅ローンの支払いが滞った際の自己破産について解説しました。ポイントを以下にまとめます。

  • 借金問題を解決する最終手段として、自己破産がある
  • 自己破産には、借金問題が根本から解決する、債権者からの督促が止む等のメリットがある
  • 一方で、5〜10年はブラック扱いになる、自己破産費用がかかる等のデメリットもある
  • 住宅ローンがあるなら、任意売却後に自己破産をするのが賢い選択
  • 自己破産をしてもクレジットカードはそのまま使え、99万円以下の現金等は没収されずに済む

住宅ローンの延滞や自己破産は非常にデリケートかつ専門的な内容です。時間が経てば経つほど、利息も増えていきます。

個人的には、滞納がスタートする前に、お近くの任意売却やリースバックの実績があり、知識と信用がある不動産屋から正確な情報を仕入れ、事態が悪化する前に行動を取るのがおすすめです。

他にも、今後、収入の回復見込みがある場合には、住宅ローンの返済期間を延長し、対策を取ることもできます。その辺りはこちらのページにまとめて起きました。また、10年以上前に住宅ローンを組んでいる方は借り換えで金利を下げ、毎月の返済を減らすこともできます。その辺りは手順や条件等こちらのページにまとめておきました。

現在、アリネットでは随時オンラインでの無料相談も行っております。無料相談実施時に住まいの問題解決事例と相談先をまとめたチャートを差し上げています。問題が大きくなる前、早期に解決するため、一人で悩んでいる方はお気軽に相談いただけたら嬉しいです。

他にも、ここに記載出来ない内容で困っている方もいると思います。もし、あなたが現在トラブルに悩まされているのであれば、トラブルが大きくなる前にお近くの専門家に相談することをお勧めいたします。信頼できる相談先がすぐに見つからない場合、無料相談を含め、お気軽にご連絡ください。

特に、アリネットでは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計4,600人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

私たちは、2012年より地域に根付いた不動産屋として、住まいのトラブルに特化し、住宅ローンの返済問題だけでなく、マンションの騒音や隣人、契約条件のトラブル等、300件近く、相談を受けてきました。これまで多くの住まいの問題を解決した経験や知識を活かし、あなたの力になれると思います。

最後に、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法をレクチャーしてもらいました。最近流行っているカスタマイズ賃貸についても、こちらにまとめました。不動産トラブル専門の弁護士による、契約直後の事故物件発覚時の告知義務違反等の対応についてはこちらのページにまとめました。

>>賃貸マンションの騒音問題を避けたい方向け、内見前の構造や間取り確認と引っ越し後の対策まとめ

>>マンションの内見後に入居申込をしたが、罰金無しでキャンセルはできますか?

>>管理会社が動いてくれない場合のマンショントラブルの対処方法や注意点

>>警察が動いてくれないマンション内の駐車場トラブルの対処方法や注意点

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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