財産分与後も自宅に住む!

【司法書士作成】離婚時の財産分与後も自宅に住み続けたい方へ、その方法と注意点

こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている不動産鑑定士補の相樂です。

2022年、松本市にお住いの50代の男性の方から、ホームページ経由でご連絡を受けました。

相樂個別面談
協議離婚を進めている男性で、財産分与後の生活で悩んでいるようでした。

「財産分与をしても、自宅に住み続ける事は出来ますか?」

離婚したら、一人暮しが当たり前だし、自宅は要らなくなるのでは?と思う方が多いかもしれませんが、ご自宅に住み続けたいと言う方が結構います。
例えば、この方の様に高齢の方からの相談では、自宅に住み続ける方法を相談されるケースがあります。

また、離婚時に奥様と財産分与を予定している方の中には、「財産分与後も自宅に住み続けられるのだろうか?」などの疑問を抱いている方は少なくありません。

と言うのも、財産分与時は「自宅を売却したお金を妻に分与する必要がある」というイメージを持っている方が多いためです。

では、本当に自宅に係る財産分与を行う場合、自宅を売却しなければ分与できないのでしょうか?

結論から言うと、売却以外の方法で財産分与後も自宅に住み続けることができます。

ただし、売却以外の方法で自宅に関わる財産分与を行う際は、事前に『そもそも自宅が財産分与の対象なのか?』や『離婚後も自宅に住み続けても問題ないの?』を見極めたうえで、あなたの状況に合った方法を利用することが重要です。

そのため、この記事では『離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける方法』について、『離婚時の財産分与後も自宅に住み続けるべきか見極める方法』や『そもそも財産分与とはどのようなものなのか』を含めて詳しく解説していきます。

妻に財産分与を行なった後も自宅に住みたいと考えている50代、60代の男性は、ぜひ参考にしてみてください。

1.離婚時の財産分与後も自宅に住み続けることができる?

離婚後も自宅に住み続ける

離婚時の財産分与後も継続して自宅に住み続けることは可能です。

例えば、自宅の『不動産評価額(不動産としての価値のこと)』から妻に分配すべきお金を現金などで分与することで財産分与を完了できるため、離婚時もあなたが継続して自宅に住み続けることができます。

ただ、必ずしも自宅に関わる財産を妻に分与しなければならない訳ではありません。

住宅ローンの債務状況によっては、自宅に関わる財産を妻に分与する必要がないケースも存在します。

このため、現在住宅ローンの残債が残っており、財産分与後も継続して住み続けたいと考えているのであれば、私たちはまず『財産分与の概要』を理解したうえで、『あなたが所有する自宅が財産分与の対象なのか』などを判断する事をお勧めしています。

1-1.財産分与とは?

財産分与とは、『結婚中に夫婦が協力して取得・所有しつづけた資産を婚姻関係解消時に精算する制度』のことです。

法律上、結婚中に取得した『不動産(自宅や土地)』や『株式・仮想通貨』、『生命保険の積立金』などの財産は、夫婦それぞれの共有の資産だとされており、一般的に婚姻関係解消時に2人で折半する必要があると考えられています。

ただし、必ずしも折半する必要はありません。

例えば、夫婦でしっかりと話し合い、双方同意の元であれば、分与する割合を妻が資産の55%、夫が45%などに変更することができます。

そのため、妻に財産を分ける際は、『入籍から離婚時までに取得して保有し続けた財産』を全て妻に公開したうえで、夫婦でどの割合に分けるのかをしっかりと話し合うようにしてください。

この辺り、離婚で焦っているからか、誤解されている人が多いので、よく理解しておいて下さい。

1-1-1.離婚時の財産分与を行う際の考え方

離婚時に財産分与を行う際は、まず『どのような考え方で妻に財産を分与するのか』を把握しておくことが必要です。

と言うのも、一口に『財産分与』と言っても、3つの種類に区分されており、婚姻関係を解消する際の夫婦の状況などによって、分与する時の目的や考え方が異なるためです。

具体的に、妻にこれまで2人で築いた財産を分与する際の考え方は、以下の3種類です。

・清算的財産分与:

一般的な財産分与を行う際の考え方になっており、結婚中に夫婦が取得・維持した財産を、それぞれの貢献の度合いに応じて分配する方法

・扶養的財産分与:

離婚後に妻(夫)の生活が貧困することが予想される場合に相手の生活を支えるために行う方法

・慰謝料的財産分与:

不倫やDVなどの婚姻関係解消に至る原因を作った側が、慰謝料の意味合いも含めて行う財産分与の方法

上記のように、財産分与には婚姻解消時の夫婦の状況や目的によって、どのような考え方・方法で分与を行うのかが異なります。

例えば、離婚後に妻が子供の親権を持つが、収入が安定しておらず、生活がままならない状況に陥ることが予測され、あなたが妻と子供の生活を支えたいと考えている場合は、『扶養的財産分与』という『一定の金額を定期的に支払うことが可能な方法』を行うことで、元妻と子供の新生活を手助けすることが可能です。

このように、離婚時に財産分与を行う際は、単純にこれまで妻と築いた資産を生産するだけでなく、それぞれの考え方や目的によって、財産を分与する際の捉え方が異なります。

したがって、あなたがどのような目的・考えで妻に分与するのかを決めたうえで、財産を分けるようにしてください。

1-1-2.財産分与の対象となるもの

婚姻中に購入・維持した財産は、あなたの名義のものであっても『共有財産』と見なされ、基本的に全ての資産を妻に分与する必要があります。

具体的に、妻に分与する必要のある資産は、下記の通りです。

  • 貯金(現金)
  • 株式証券や仮想通貨
  • 自動車
  • 不動産(自宅や不動産投資用のマンションなど)
  • 年金や退職金 など

上記以外にも、基本的に結婚中に取得し所有し続けた資産は、財産分与の対象になります。

このため、財産分与を行う際は、まず『入籍時から離婚に至るまでに築いた財産』を全て洗い出したうえで、どのように資産を分けるか妻と話し合いを行って決めてみてください。

1-1-3.財産分与の対象とはならない財産

婚姻中に購入・保有し続けた財産であっても、妻に分与する必要のない財産が存在します。

『特有財産』と呼ばれる『夫婦の協力とは無関係に取得した財産』や『結婚前から夫婦のどちらかが所有していた財産』です。

具体的に、『特有財産』と見なされる財産は、下記の通りです。

  • 結婚前に貯めていた定期預金などの貯金
  • 別居後に夫婦のどちらか一方が築いた財産
  • 両親や親族などから贈与された財産や相続した遺産 など

なお、妻と分け合う必要のある財産は、原則『入籍時から別居時・離婚時までに取得・維持した財産』が対象になります。

法律上、財産分与は原則『婚姻開始日から別居時まで』の資産が対象になっているため、婚姻関係を解消していなくても、妻と別々に住んだ後に購入した財産は分け合う必要がありません。

そのため、現在妻と別々に住んでいる方は、『別居した日以前の財産』を算出するようにしてください。

この辺り、ややこしいので、もし分からない方は個別にご連絡ください。状況を踏まえ、財産の整理について、ご説明いたします。

1-1-4.財産分与にかかる税金は?

婚姻解消時に財産分与を行う場合、基本的に税金はかかりません。

法律上、財産分与は元パートナーから贈与を受けたものではなく、結婚中の夫婦の財産を清算し、離婚後の生活を保証するものだと考えられているためです。

ただし、例外もあります。

例えば、分与された額が『結婚中の夫婦の協力によって得た財産の額が全ての事業を考慮しても多すぎる金額だ』と税務署が判断した場合、妻側に『贈与税』がかかる場合があります。

このため、分与する必要のある資産が多額の場合は、事前に税理士に相談して『妻や自身に税金がかかるのか』について相談しておくと安心です。

2.離婚時の財産分与後も自宅に住み続けるべきか見極める方法

リースバックをどう使うか?

離婚時の財産分与後も継続して住むのかを決める際、まず『婚姻関係解消後に自宅に住み続ける方か売却した方が良いのか』を夫婦で見極める必要があります。

婚姻解消後も自宅に住む場合、住宅ローンの債務状況によっては、お互いの新生活に悪影響を及ぼす危険性があるためです。

例えば、現在夫婦がそれぞれ名義人となる住宅ローンが『オーバーローン(自宅の不動産としての価値が住宅ローンの残債よりも低い状態のこと)』の場合、基本的に自宅を売却することは不可能なので、どちらかが自宅に住み続けなくてはいけません。

しかし、婚姻解消が成立した後もお互いに返済を継続しなくてはならない住宅ローンの契約もあるため、事前に適切な対処をしておかないと非常に危険です。

万が一、元妻が返済を継続することができなくなった場合、債権者(住宅ローンの借入先)にローンを分割で支払う権利を剥奪され、一括で残債を支払うように要求されてしまう可能性があります。

このため、離婚時に財産分与後も自宅に住み続けたいと考えているのであれば、事前に『どういったケースが新生活でも自宅に住むのが適しているのか?』を把握したうえで、夫婦でしっかりと話し合って決めるようにしてください。

ちなみに、自宅に住み続けるべきなのか、売却するべきなのかを見極める際は、以下の2つの正確な情報を把握しておくことで判断することが可能です。

・不動産評価額:不動産会社などに自宅を査定してもらう
・住宅ローンの残債:借り入れ先の金融機関に確認を行う

上記の2点は、『そもそも自宅が財産分与の対象なのか?』を判断するうえでも必要な情報になっているため、必ず確認しておいてください。

不動産の評価額が分からない場合には、不動産鑑定をやっていた私にご連絡ください。

>>LINE公式で情報を基に回答させて頂きます。

2-1.自宅の売却が向いているケース

離婚時に自宅の売却が適しているケースは、現在住宅ローンの債務状況が『アンダーローン(自宅の不動産としての価値が住宅ローンの残債よりも高い状態のこと)』の場合です。

自宅を売却することで、住宅ローンを完済でき返済義務を無くせるうえに、手元に残った売却金を妻と分け合うことができるため、自宅に関わる財産分与をスムーズに完了することができます。

また、自宅を売却した場合、『後々起こり得るトラブルを無くせる』という点もメリットです。

結婚中に住宅ローンを無くすことができるため、「相手方が返済不能になったらどうしよう」などの不安を無くした状態で、気持ち良く新生活を開始することができます。

もし、現在、ご自宅がアンダーローン状態の場合には、スムーズに財産分与を行えるだけでなく、婚姻解消後に起こり得るリスクも無くすことができるため、後腐れなく新生活を始めたい方は、結婚中に自宅を売却するのがおすすめです。

>>念のため、離婚時の自宅の売却に関して、どのように進めるべきか、こちらのページにまとめておきました。

2-1-1.離婚時に自宅を売却するメリット

離婚時に自宅を売却するメリットは、『夫婦が平等に自宅にかかる財産分与を行える』という点です。

離婚をする際に自宅を売却しておくことで、家を現金化することができるため、不動産評価額分のお金を別で用意したり、後々元妻が分与額に対して疑問を抱き「今回の分与を無効にして再度財産分与をやり直して欲しい」などと言い出すリスクを無くすことが出来ます。

実際、離婚時に夫婦のどちらか一方が継続して住む場合は、片一方が「実際は元パートーナーの方が自宅に関わる財産を多くもらっているのではないか?」と不信感を抱くケースが珍しくありません。

このため、夫婦が納得した状態で財産分与を行う、ご自宅の売却は非常に大きなメリットがあると言えます。

2-1-2.離婚時に自宅を売却するデメリット

離婚時に自宅を売却するデメリットは、『新生活を開始するための家を探すための手間や費用がかかる』という点です。

自宅を売却した場合、当然ですが新しくあなたが生活を送る住居を探す必要があるため、内見や契約などの手間が掛かります。

また、契約時の諸費用や引越し代金など、まとまったお金を捻出する必要があります。

場合によっては、元妻と分けあったお金のほとんどが新居の準備金として消えてしまい、入居後しばらくは好きな事を控えたり、節約に講じなければならないといった状況に陥ることで、窮屈な思いをするかもしれません。

とはいえ、ライフスタイルや収入を考慮して住む地域や物件を決めることで、婚姻解消後の生活環境の変化を抑えることができるため、あまり気にする必要は無いとも言えます。

以前、松本市の方でやった事例では、自宅を売却し、引っ越す事になったのですが、その際に買主から引っ越し資金を別途貰う事が出来ました。
私たちの方で条件に合ったご自宅を提案し、自宅の売却だけでなく、お引っ越しの調整をセットで行いました。

2-2.自宅に住み続けるのが向いているケース

離婚時に自宅に住み続けるのが向いているケースは、住宅ローンが『オーバーローン』状態になっている場合です。

このケースは、先ほども解説した通り、売却自体を行うことができないため、基本的には自宅に住み続ける以外の選択肢がありません。

しかし、例外もあります。

『住宅ローンの残債を自己資金などで一括返済する』ことができれば、売却を行うことが可能なため、離婚時に自宅を処分することができます。

とはいえ、現在残っている住宅ローンの残債額によっては、無理に完済してしまうと、後々の生活に悪影響を及ぼす危険性が高いため、今後も継続して住み続けた方が安全です。

したがって、財産分与後も自宅に住み続けたいと考えている方に加えて、自宅がオーバーローン状態の方は、ローンの残債額などを考慮したうえで、継続して住み続けることを検討してみてください。

2-2-1.離婚時に自宅に住み続けるメリット

離婚時に自宅に住み続けるメリットは、『生活環境を変えず、新しい生活をスタートできる』という点です。

住まいを変えずに離婚後の生活をスタートすることができるため、離婚をしても、お子さんの学区が変わったり、新居を探す際に発生する費用をかけるなどの負担を負わずに普段の日常を開始することができます。

生活環境が変わってしまうと生活基盤を立て直すまでに時間がかかりやすいため、住み慣れた場所で新しい生活を始められるのは大きなメリットです。

2-2-2.離婚時に自宅に住み続けるデメリット

離婚時に自宅を売却するデメリットは、『契約違反に該当する可能性がある』という点です。

例えば、『ペアローン(夫婦どちらも名義人となる住宅ローンのこと)』や『妻が単独名義』の住宅ローンを契約中に、妻が自宅から引越しをする場合、債権者と交わした契約内容によっては、契約違反に該当してしまうかもしれません。

仮に、契約違反だと判断されてしまうと、ローンを分割で支払う権利を剥奪されてしまい、残りの残債を一括で支払うように要求されてしまう可能性があります。

このため、上記の2つに該当する住宅ローンを契約中に名義人が引越しをする場合は、事前に『あなたの単独名義となる住宅ローンに乗り換える』などの対策を講じておくようにしてください。

3.離婚後も継続してあなたが住み続ける自宅を財産分与する際の2つの方法

税務上の特例は?

離婚後も継続してあなたが住み続ける自宅を財産分与する際は、以下の2つの方法を活用してみてください。

・妻の持分を買い取る方法
・現物を分割する方法

それぞれについて、詳しく解説していきます。

3-1.妻の持分を買い取る方法

離婚後も継続してあなたが住み続ける自宅を財産分与する際は、『妻の持分を買い取る』という方法があります。

例えば、自宅の不動産評価額が2,800万円で住宅ローンの残債が1,800万円だった場合、財産分与の対象となる1,000万円のうち半分にあたる500万円を妻に分与することで、離婚後も自宅に住み続けることが可能です。

とはいえ、500万円もの大金を現金一括で渡せる方はそう多くはありません。

もし、「上記の方法を活用したいが高額な現金を一括で妻に支払えない」と言う方は、お近くの『離婚時の住宅ローン問題に精通している専門家』に相談してみて下さい。

もちろん、『妻の持分を現金一括で購入する以外にどのような方法があるか?』など、個別の事情がある場合、私たち、アリネットもあなたの希望や状況に合わせ、LINE公式で個別に適切な助言を行っています。

3-1-1.住宅ローンの返済義務を無くした状態で住み続けたいなら「リースバック」を利用する

離婚後に住宅ローンの支払い義務を無くした状態で、継続して自宅に住みたいと考えている方は、『リースバック』という方法の検討をおすすめします。

リースバック』とは、住宅を売却した後も賃貸契約を締結することで自宅に住み続けられる方法』で、買主と賃貸契約を締結することで、夫婦それぞれの住宅ローンの返済義務を無くした状態で住み続けることが可能です。

ただし、『リースバック』を利用したからと言って、永久に自宅に住み続けられるとは限りません。
なぜなら、買主が賃貸更新を行うことを拒否する場合があるためです。

このため、この方法を活用してあなたが引っ越しを検討するまで住み続けたいのであれば、両親や兄弟、親戚などに買い取ってもらうか、賃貸更新を約束してくれる業者を見付ける必要があります。

>>念のため、任意売却を含め、自宅の売却後も自宅に住み続ける方法をこちらのページにまとめておきました。

3-1-2.住宅ローンと自宅の所有権が妻の名義になっている場合は?

住宅ローンの名義人ではないあなたが自宅を取得する場合、『不動産(自宅)と住宅ローンの名義人を夫に変更する』ことで財産分与を完了することができます。

ただし、住宅ローンの残債が残っている状態で名義変更をするのは容易ではありません。

ほとんどの債権者(住宅ローンの借り入れ先)は、ローンの残債が残っている状態で、名義人を変更することに対して消極的な考えを持っているため、要求を拒否される可能性が高いためです。

このため、離婚時に住宅ローンの名義変更を行う際は、債権者に同意してもらえるよう、提案・交渉を行うことが必要になることを覚えておいてください。

3-2.現物を分割する方法

離婚時の財産分与後も自宅に住み続けたい方は、妻の持分を買い取る他に『現物分割』という方法を利用することができます。

『現物分割』とは、『あなたが不動産を受け取り、自宅とは別の財産を妻に分与する方法』のことで、妻の持分を買い取るためのお金を用意しなくても公平に財産分与を行うことが可能です。

ただし、この方法を活用できるのは、自宅の不動産価値と同等の財産を所有している場合に限ります。

あきらかに自宅よりも資産価値が低い財産を分与してしまうと、当然ですが妻が不満を抱き、『公平な財産分与をできるように自宅を売却して欲しい』と要求されてしまう可能性が高いです。

このため、『現物分割』の方法を行いたいと考えている方は、まず『自宅の評価額』を把握したうえで、『それに見合った財産があるのか』を確認してから活用を検討するようにしてください。

3-3.自宅を売却して財産分与する方法は?

離婚時に自宅を売却して財産分与を行いたい方は、『不動産会社に売却の手続きを行う』ようにしてください。

不動産会社に売却の依頼をすることで、不動産会社が買い手を見つけてくれ、自宅を売却することができます。

さらに、売却したお金から住宅ローンの残債などを引いた額を、お二人で半分ずつ分け合えば、財産分与が完了です

3-3-1.できるだけ高い金額で売却したいなら「仲介」がおすすめ

離婚を機にできるだけ高い金額で自宅を売却したいと考えている方は、買取よりも『仲介』を利用するようにしてください。

まず、『仲介』とは、『不動産会社に売却活動を行ってもらい、自宅を購入したい個人や不動産投資家などとマッチングしてもらう方法』のことで、あなたの自宅が属する地域の相場価格に近い金額で売却活動を行うことができるため、買主が見つかれば納得のいく金額で自宅を売却することができます。

夫婦それぞれが納得できる金額で売却することができれば、妻と揉めるリスクも減らせるため、よほど急ぎではない限りは『仲介』を利用することを検討してみてください。

3-3-2.早く売却して現金化したいなら「買取」がおすすめ

「早く自宅を現金化して、妻に分与したい」と考えている方は、『買取』を利用することをおすすめします。

離婚を機に、夫婦仲が悪い・連絡が取りにくい場合など、時間をかけるより、買取を利用した方が良いかもしれません。

『買取』とは、『不動産業者に直接あなたの自宅を買い取ってもらう方法』になっているため、買取金額の折り合いがつけば、すぐに自宅を現金化することができ、妻と自宅に関わる財産を分け合うことが可能です。

ただし、買取を利用する際は、注意しなければならない点があります。

それは、『一般的な相場よりも安い金額で買い取られる』という点です。

あなたの自宅を買い取ることを検討している不動産会社は、「買い取った後にリノベーションやリフォームを施して高く転売したい」と考えている業者が多いため、これらの費用が発生することを踏まえ、相場の約7割程度の価格を提示します。

このため、早急に自宅を現金化しなければならない等の事情がない限り、仲介を利用した方が賢明だと言えます。

ちなみに・・・、私たち、アリネットは売主様のために動くことが多いため、現在、手残りが減る自社での買取は行っていません。

そのため、ご説明の通り、近所にはバレたくない、早く売り、現金を手に入れたい方もいる為、簡単なオークションを取り纏め、高価格での買取を行っています。

具体的には、買取業者を競わせるという意味で、3~5社に内見してもらい、買取希望価格を出してもらい、最も良い条件を出した先に売却しています。

実際、このやり方で茨城県日立市や群馬県前橋市、埼玉県和光市でこのやり方でご自宅の売却を行っています。

>>自宅の買い取りを利用する際の注意点などはこちらのページにまとめておきました。

3-3-3.離婚時に自宅を売却して財産分与する際の流れ

離婚時に自宅を売却して財産分与を行う場合、以下の手順で妻に分与を行います。

  • 夫婦で今後についてよく話し合いを行う
  • 現在の自宅の不動産評価額を査定する
  • 現在の住宅ローンの残債や債務形態を確認する
  • 財産分与にあたるお金を算出する

中でも、『現在の自宅の不動産評価額』や『住宅ローンの残債や債務形態』を確認することは、自宅に関わる財産分与の要否を判断する際の欠かせない情報になっているため、必ず夫婦で確認を行うようにしてください。

なお、下記の記事では、離婚時に自宅を売却して財産分与を行う際の手順について具体的に解説をしています。
こちらの記事も併せて参考にしてみてください。

>>「離婚時の財産分与で家を売らなくて良いの?売却しない場合の注意点は?」の記事のリンク

4.離婚時の財産分与後も夫婦のどちらかが住み続けることでトラブルに発展した事例と解決方法

財産分与で揉めた事例

私たちに相談のあったケースで、離婚時の財産分与後に夫婦どちらかが継続して住む場合、揉めてしまう事があります。

このため、事前にどのようなトラブルが起こり得るのかを把握しておくことが重要だと思います。

ここでは、離婚時の財産分与後に夫婦どちらかが継続して住むことで揉めたトラブルの事例や解決方法を紹介していくので、参考にしてみてください。

4-1.夫が自宅に関する財産分与を拒否したことで揉めた事例

【事例内容】

この夫婦は、妻が単独名義人になっている住宅ローンの返済中に離婚に至り、妻が継続して自宅に住み続けることになりました。

しかし、妻は「住宅ローンと不動産(自宅)の名義人は自分であり、夫には1円も渡したくない」と主張し、自宅に関わる財産分与を行うことを拒否したため揉めってしまった事例です。

【解決方法】

自宅の名義人が単独名義であっても、財産分与の対象です。

上記のケースのように、妻が拒否していても、分与するように要求することができ、裁判になれば支払い命令がでます。

ただし、例外もあるため、注意が必要です。

上記のケースで該当しているのかは不明ですが、不動産が妻の両親などから相続・贈与されたものの場合は、『特有財産』に該当する可能性があり、妻側の主張が採択される場合もあります。

とはいえ、『特有財産』であっても、『保有しつづけるために夫婦それぞれが貢献した』場合は、貢献度に応じて分与の対象になる場合があります。

そのため、先ずは『不動産が妻の両親などから相続・贈与されたものなのか』や『保有し続けるためにあなたがどれだけ貢献したのか』を明確にしたうえで、弁護士に相談するようにしてください。

4-2.夫が離婚後の住宅ローンの支払いを折半したいと希望したことで揉めた事例

【事例内容】

この夫婦は、夫の単独名義の住宅ローンを返済中に離婚に至ることになりました。

しかし、自宅がオーバーローン状態であったために、夫が自宅に継続して住み続けることになり、妻に残りの残債を半分負担して欲しいと要求したのです。

ですが、妻は「名義人は夫であり、自身は出て行くから関係ない」と主張したことで揉めてしまいました。

【解決方法】

基本的に、住宅ローンの残債は、名義人に返済義務があります。

したがって、名義人ではない妻に残りの残債を強制的に支払うように要求することはできません。

同様のケースでは、今後もあなた自身でローンの返済を行っていく必要があります。

仮に、あなたの収入だけでは支払うのが困難な場合は、『住宅ローン問題に精通している方』に相談を行ってみてください。

こういった方であれば、返済が難しい場合の適切な対策方法を把握しているため、あなたの希望にあった解決方法へと導いてくれるはずです。

5.離婚時の財産分与後も継続して住み続ける場合の注意点

終わらない離婚協議

離婚時の財産分与後も継続して住み続ける場合は、以下の5点に注意する必要があります。

  • 財産分与には2年間の請求期限がある
  • 住宅ローンや自宅の名義人が妻になっている場合は変更する必要がある
  • 夫婦で取り決めた内容を公正証書に残す
  • 税金の納税を開始するために離婚したと判断されてしまうと税金が発生する可能性がある
  • 離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける場合は事前に起こり得るリスクを把握しておく必要がある

それぞれについて、実際に起こった判例も交えて詳しく解説していきます。

5-1.財産分与には2年間の請求期限がある

妻に財産分与を行う際は、夫婦同意のもとで分与する割合を決めることが重要になります。

財産分与には、『離婚成立後から2年間の請求期限』が設けられているため、元妻が分与額に納得ができなかった場合、離婚後に再度分与するように要求される危険性があるためです。

仮に、あなたが資産を隠したり、本来渡すべき額をごまかすなどの行動を行ってしまうと、後々元妻に訴えられてしまう可能性があります。

このため、妻に財産分与を行う際、現在所有している資産を全て公開したうえで、不正などせずに妻が受け取るべき額をきちんと渡すようにしてください。

ちなみに、あなたがお小遣いなどで購入したことで得た財産も財産分与の対象になるケースがあります。

そのため、変なトラブルにならない為、あなたが貯めたお小遣いで購入した物がもしあれば、必ず妻に公開するようにしてください。

5-1-1.実際に夫がお小遣いで購入した宝くじの当選金が財産分与の対象になると認められた判例

ここでは、実際に夫がお小遣いで購入した宝くじの当選金が財産分与の対象になると認められた判例を紹介します。

この裁判は、夫が自身のお小遣いで購入した宝くじの当選金2億円は財産分与の対象にならないと主張したことで揉めた判例です。

結果的に、当選金を原資とする財産は、夫婦の協力によって得られた収入の一部から捻出されたものだとされ、財産分与として妻に当選金の4割を渡す分与する必要があると判決が下されました。(東京高等裁判所決定/平成28年(ラ)第1832号)

上記のように、あなたがお小遣いで購入したことで得られた財産であっても、夫婦の共有財産だと認められるケースがあります。

仮に、上記の判例のような、あなたがお小遣いで購入したことで得られた財産がある場合、妻に隠さずに公開し、あなた側が少し多くもらえるようにその資産の割合を変更してもらうなどの提案を行ってみてください。

5-2.住宅ローンや自宅の名義人が妻になっている場合は変更する必要がある

離婚時に夫婦それぞれが住宅ローンの共同名義になっていたり、妻の単独名義になっている場合、婚姻関係を解消する前に対策を講じる必要があります。

上記に該当する住宅ローンの契約中に妻が自宅から引越しをする場合、債権者と交わした契約内容によっては、契約違反にあたる危険性があるためです。

通常、住宅ローンは『名義人が対象となる不動産に住んでいる』ことが条件になっているケースが多いため、名義人である妻が自宅を出てしまうと、債権者にローンの分割払いの権利を剥奪され、一括で返済するように要求されてしまうかもしれません。

そのため、名義人となる妻が自宅から引っ越す場合、事前に『あなたのみが名義となる住宅ローンに乗り換える』などの対策を講じるようにしてください。

この辺り、一般的な不動産会社では経験が少なく、ご自宅や住宅ローンの名義変更に関して、やり方が分かっていない事があります。

専門的に離婚に伴う不動産の調整を行っている会社に相談するようにしてください。

5-3.夫婦で取り決めた内容を公正証書に残す

離婚後も住宅ローンの返済を、夫婦それぞれで継続する場合、妻と話し合いを行ったうえで、『取り決めた内容を公正証書』に残すことをおすすめします。

公正証書とは、『公証人が作成する裁判所を通さずに強制執行を行える機能を兼ね備えている書類』になっており、離婚後の住宅ローンの支払いに関する取り決めをこの書面に残しておくことで、万が一、元妻の返済が滞り支払いを拒否した際に、給与や株式証券などの財産を差し押さえることが可能になります。

双方同意のもとで返済を継続すると約束をしても、離婚後の事情により、返済を拒否するケースは珍しくないため、必ず『公正証書』に記録を残しておくようにしてください。

なお、公正証書自体は司法書士を入れずに、夫婦で協議の上、作成する事は出来ます。ただ、公証人役場で書類を作成するときにお二人で行き、内容を承認した上で契約する必要があります。

代理人も使えますが、代理人となる弁護士等お金がかかるため、極力お二人で役場に行くよう調整した方が良いと思います。

5-4.税金の納税を開始するために離婚したと判断されてしまうと税金が発生する可能性がある

上記で財産分与を行う際は、『贈与税が発生しない』と解説しましたが、例外もあります。

具体的には、『偽装離婚』という『贈与税や相続税を支払いたくないという理由で離婚した』と税務署に判断された場合、元妻に贈与税を納税するように要求されてしまうかもしれません。

このため、離婚成立後に妻と再婚する可能性があるのであれば、財産分与を行わない方が賢明だと言えます。

5-5.離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける場合は事前に起こり得るリスクを把握しておく必要がある

離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける場合、さまざまなトラブルに巻き込まれる危険性があります。

例えば、ペアローンの契約中に離婚に至った場合、元妻が返済を拒否したことで、債権者に自宅を競売にかけられてしまうなどです。

仮に、自宅を競売にかけられてしまうと、住むところを失ううえに、多額の借金をかかえて自己破産を余儀なくされてしまう可能性があります。

このため、離婚時の財産分与後も自宅に住み続けたいと考えているのであれば、事前に『どのようなリスクが生じるのか?』を把握したうえで判断するようにしてください。

なお、こちらの記事で、『離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける場合に生じるリスク』について、詳しく解説しています。
ぜひ、参考にしてみてください。

>>「離婚時の財産分与で家を売らなくて良いの?売却しない場合の注意点は?」の記事のリンク

6.離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける方法についてのまとめ

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今回は、松本市の男性から質問のあった『離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける方法』について、『離婚時の財産分与後も自宅に住み続けるべきか見極める方法』や『そもそも財産分与とはどのようなものなのか』を含めて詳しく解説してきました。

以下、『離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける方法について』のまとめです。

  • 離婚時の財産分与後も自宅に住み続けることができる
  • 自宅に関わる財産分与を行う場合、対象になるケースと対象にならないケースがある
  • 離婚後も住宅ローンが残っている自宅に住み続ける際の財産分与は、オーバーローンかアンダーローンなのかで異なる
  • 離婚後も自宅に住み続ける場合、2つの方法のどちらか一方を行うことで財産分与を行うことができる
  • 離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける場合は、5つの注意点を把握しておく必要がある

離婚時の財産分与後も自宅に住む場合、『妻の持分を買い取ったり』、『現物分割』を行うことで、自宅に住み続けることができます。

しかし、離婚時の財産分与後も自宅に住み続ける際は、事前に『離婚時の財産分与後も自宅に住み続けても問題ないのか』を把握しておくことが重要です。

しっかりと見極めずに財産分与後も自宅に住み続けてしまうと、後々、さまざまなトラブルに巻き込まれてしまうリスクがあります。

「財産分与後も自宅に住み続けたい」と考えている方は、ぜひこの記事を参考に状況を把握したうえで、自宅に住み続けても問題ないのかを見極めるようにしてください。

なお、アリネットでは、『離婚時の住宅ローンや自宅に関する無料相談』を行なっています。

これまで90件以上の離婚問題や住宅ローン問題を解決に導いてきた経験や専門的な知識を保有しているため、『財産分与後もあなたが安心して、ご自宅に住み続けるにはどのような対策を講じれば良いか?』などの助言を行うことができます。

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相樂 喜一郎

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相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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