失敗から学ぶ、戸建てを購入する時にどうしても注意してほしい事

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の設備やそれらの改修を担当している、防犯設備士兼宅地建物取引士の相樂です。

今回、アリネットに相談にいらした方は、ご夫婦で自宅の隣にある古い空き家に悩まされているとのことでした。

「いっそ売って、引っ越そうかと思って売却の相談に・・・」

と切り出されたのですが、とにもかくにも事情を伺うことになりました。

話を聞いてみると、夢のマイホームを購入したものの、お隣さんに挨拶に行っても不在続きで「もしかして空き家・・・?」と思ったそうです。このページでは、室内だけでなく、特に戸建てを購入される際に注意してほしいポイントを3つ説明します。

購入した物件でトラブルが発生すると、是正に付加が掛かるので、安いからと飛びつかず、じっくり確認して、決めるようにして下さい。

1.自宅の隣が古い空き家で様々な被害に悩まされている

よく見ると、かなり古い家で、虫が飛んでおり、草はボーボーで手入れがされておらず、人が住んでいる気配が感じられなかったといいます。

「ご近所さんから話を聞いたら、どうやら家主さんは亡くなられたそうで、空き家状態とのことでした。時々、息子さんらしき中年ぐらいの男性がやって来るのを見かけるのですが・・・。

荷物なんかは家にあるみたいで、何か物を運び出したり、時には運び入れたりしているんですよね。」

ご主人はそうおっしゃいました。悪臭などの被害が無かったので、それほど気にしていなかったご夫婦でしたが、しばらく経つと様々なトラブルに見舞われるようになりました。

1-1.トラブル1:屋根の一部が飛んできた

ある風の強い日に、ご夫婦はものすごい音を耳にして驚きました。ガターン!!という大きな音で、家に何かがぶつかったのが分かりました。

確認してみると、それは隣家の屋根の一部でした。老朽化して、台風並みに強い風で飛ばされてしまったらしく、それがご夫婦の家に飛んで来たのです。

1-2.ハチが巣を作ってしまった

夏のある日、奥さんが買い物帰りに大きなハチに遭遇しました。

「アシナガバチか、スズメバチか、なんだかよく分かりませんが、とにかく大きくて、ミツバチなんていう可愛いもんじゃありませんでした」

と奥さんは身震いして当時のことについて語ってくれました。奥さんが家のすぐ近くでハチに遭遇してから、かなりの頻度でハチを見かけるようになったそうです。

「絶対近くに巣があると思いましたね」

そこで、奥さんはご主人に話してハチの巣を探したそうです。すると、隣家の軒下に立派なハチの巣を見つけました。

「ハチは本当に怖いし厄介ですよ。それこそ便利屋さんか何かにお願いして撤去してもらおうかとも思いましたが、他人様の家なので勝手に依頼するわけにもいかないし・・・」

ご夫婦は困り果ててしまいました。

2.家を売り引っ越そうかと考え、アリネットに相談

屋根の一部が飛んで来たり、ハチが巣を作ったり、草が伸び放題でハチ以外にも色々な虫が発生したりして、とにかく迷惑だと思ったご夫婦。

しかし、息子らしき人物はいつやって来るか分からないし、面識も無く何も言えず、区役所に相談しようにもどうしたら良いか分からない・・・、面倒ごとに巻き込まれるのも嫌だ・・・。

そう考えたご夫婦は、いっそマイホームを手放して引っ越そうかと考え、アリネットに相談にいらっしゃいました。

3.トラブルの原因は住宅購入時の周辺環境リサーチ不足

今回のトラブルの原因をアリネットとして分析、考察してみました。根本的な原因は「住宅購入前にきちんと周辺環境をリサーチしなかったこと」です。

引っ越した当時はそれほど気にならなかったとおっしゃっていましたが、近所の家が古いのか新しいのか、手入れされているか否か、人が住んでいるのか否か、といったことは注意深く見ればすぐに分かります。

他にも、学区を気にされる方は周辺の住宅と車などの生活ぶりを意識した方が良いと思います。

稀に、隣の家が空き家でも気にしない、というスタンスの方もいるかもしれません。しかし、これまでの経験では空き家には様々なトラブルがつきものです。上述した老朽化による建物の破損や、ハチなどの虫の発生の他にも、植栽の越境を含め、空き家ならではのリスクがあるのです。(判例とともに後述します)

だから、引っ越しをする際には周辺環境は注意深くチェックすべきでした。特に、購入する方はこの辺り、気を付けて下さい。マイホームを購入後に、隣家が空き家だったという事実は動かせません。今回のケースは、「原因を取り除く」という対策が簡単には取れないため、今の状況でどう動くかという点でアドバイスをしました。

4.相談先は市区町村の役場だが動いてくれないケースが多い

こういった「空き家」問題は一体どこに相談すべきなのか?一般的には、市区町村の役場に相談するのが良いとされています。住宅は行政で管理されているため、家の場所(住所)を伝え「この家が空き家で、〇〇な被害に悩んでいる。どうにかしてほしい。」と相談すれば、行政が動いてくれます。

空き家だけでなく、ゴミ屋敷、騒音、異臭など、あらゆる住宅トラブルは市区町村の相談窓口に連絡すると、担当職員が対応してくれます。以前、ハチが酷い、植栽が酷いと連絡したところ、区役所がその後対応してくれました。

また、市区町村だけでなく、実は都道府県でも空き家対策をおこなっています。東京都では「東京空き家ガイドブック」というものを発行していて、このガイドブックを読めば空き家の悩みを解決できるようになっています。

ただし、都道府県庁に直接相談して手を打ってもらうということは期待できません。

市区町村の職員でも、家の持ち主に断られてしまった場合は手出しができないため、相談してもすぐに解決してもらえるとは思わない方が無難です。
空き家対策を強行するケースは、人命に関わるような一大事になったり、あるいは周辺の住民の生活が著しく脅かされるような状況になったり、といったものです。

強風で屋根の一部が飛んで来たぐらいでは、すぐには動いてくれません。今回のケースで言うと、ハチの巣に関しては行政が動いてくれる可能性が高いですし、屋根や雑草についても家主(の息子)に督促状を出すぐらいのことはしてくれそうでした。

ご夫婦には行政に相談するという選択肢があることを説明しましたが、「あまり難しいことに巻き込まれたくないんだよなぁ。息子さんか誰か分かんないけど、出入りしてる人と揉めるようなことになったら嫌だし・・・」と積極的にはなれないご様子でした。

一点、町内会や区役所に連絡する際は一人で言うよりも二人、三人と大勢で言った方が良いです。過去の相談の際に、このように同じ建物の入居者が同じ問題で困っている旨を伝えた所、管理会社や区役所が動いてくれたことが多くあります。うまく、知り合いを使ってください。

5.裁判判例に学ぶ、空き家の隣に住むことのリスクと怖さ

「区役所に連絡するのはなんとなく腰が重いけれど、ハチのことは困るから、どうにかしてもらうよう息子さんらしき人に直接相談してみる」という話になったものの、「どっちみちずっと住み続けるのはどうしようかと悩んでいる」とのことでした。

そこで、弊社からは過去にあった空き家トラブルの判例をご紹介することで参考にしてもらうことにしました。ごく最近の事件だったのですが、2018年に起きた事件で、2020年に判決が出たものです。

端的には「出動手当を得ようとした消防隊員が空き家に放火した」という事件で、これにより犯人には懲役12年が言い渡されました。(いつの事件なのか?裁判番号は?など、数字を入れ、リアル感を出して下さい。)

事件の概要は下記の通りです。

2018年7月17日午前0時25分頃に、鹿児島県大島郡にある空き家に犯人が侵入し、丸めた新聞紙やベニヤ板にライターで火をつけて火事を起こしました。しかも、事前に下調べをおこなっていたものと見られ、隣家に燃え移る可能性があることを承知した上での放火だったため、極めて悪質なものとして実刑判決が下されました。

結局、犯人が放火した空き家は全焼し、隣家にも燃え広がり、甚大な被害が出ました。犯人の供述によれば、「放火した空き家は壁に火が移って燃え広がるのに20分はかかるだろうと予想し、自分が通報して出動すれば鎮火できると思った」ということでしたが、その見立てに根拠は無く、結果的に犯人が想定したよりも早く火が広がってしまい被害が出たという結果となりました。

なお、この事件については、2020年7月17日に鹿児島地方裁判所から判決が出て、その判例番号は「L07550609」として記録されています。

犯人は他にも余罪として窃盗などを犯しており、懲役12年というかなり長い刑期になりましたが、近隣住宅にも燃え広がるリスクを承知の上で空き家に放火したというのは質が悪すぎます。空き家には、このような犯罪に利用されるリスクがあります。

他にも、凶悪な強盗犯の立てこもり場所として、死体遺棄の場所として、殺人現場として、など、あらゆる犯罪の舞台となり得る恐れがあるのです。

犯人たちは、事前に空き家であることを確認して、空き家を利用します。だから、空き家の隣に住むのは非常にリスキーなのです。参考までにこの判例についてお知らせしましたが、ご夫婦は「そんなことがあるんですね・・・」と衝撃を受けておられました。

6.他人の家や土地には口を出せない。最適な対策は「引っ越す」こと

原則としては、他人様の家や土地には口を出せません。行政に被害や迷惑を訴えても、その行政でも手を出せないことが多く、対処に時間がかかることが予想されました。

そのため、今回のケースも、やはり最適な対処法は「引っ越し」だとお伝えしました。トラブル回避とストレスから逃げるためには、その場から離れてしまうのが最も手っ取り早いのです。

引っ越す事で人間関係のトラブルにも巻き込まれません。

仮に行政に訴えたとして、その息子さんらしき人から逆恨みを買ってしまったら元も子もありません。自ら引っ越してしまえば、余計な手間も時間もかかりません。

ご近所さんに知られても、近くに空き家があって色々と迷惑を受けていたらしいという理解があれば変な噂が立つ心配もありません。

何もネガティブなことにはならず、気持ち良く新しい生活を始められるのが「引っ越し」という選択肢でした。

7.自宅を売却して新たなマイホーム購入

結局、ご夫婦はアリネット経由でご自宅を売却して、新たなマイホームを購入するに至りました。隣が空き家だということを理解した上で購入したいと言ってくれる買い主が見つかり、住宅そのものはまだ新しくとても綺麗な状態だったため、希望の金額で売却できました。

ご夫婦は住宅ローンを組んでいらっしゃいましたが、売却したお金と貯金を合わせて全額返済して、新しい家をすぐに購入されました。

正直、決断力のあるご夫婦だな、という印象でしたが、今回のことで周辺環境には相当気を付けられたそうで、納得いく環境の戸建てを購入されたそうです。

「これで安心して住めます。売却した住宅もとても良かったのですが、実際住んでみて気になるところなんかも出てきていたので、今回はそういった部分を全て解決できるような家を見つけられました」

と嬉しそうに話してくださいました。

8.アリネットからのアドバイス

今回の事例に関連するアドバイスをまとめます。周辺に空き家があってトラブルに困っている、あるいは家主が不在になったり亡くなったりして空き家になってしまったというトラブルに関して、気を付けたいことを3点に絞りました。

8-1.住居を決める前に必ず周辺環境をチェックすること

賃貸にしても、購入にしても、住居を決める際には必ず周辺環境をチェックしてください。建物や設備を気にするのは当たり前のことですが、敷地内にだけ目を向けるのでは足りません。周辺環境がとても重要です。

周辺環境と聞くと、近い場所にコンビニやスーパーがあるか、駅までの道のりには何があるのか、ということをイメージします。
これらの情報も大切ですが、近所の住宅にも着目しないと失敗するリスクが上がります。

近隣の住宅で空き家になっている家は無いか、異臭や騒音騒ぎの噂は聞かないか、どのような人が暮らしているか、といったことを気にすることで快適な暮らしを手に入れられます。

8-2.近隣住宅の空き家問題は行政に相談してみる

万一近隣住宅に空き家があり、そのせいでトラブルに巻き込まれて困ったら、相談する場所は行政になります。市区町村の役場や都庁や県庁へ行くか、電話をかけて、どの家のどのようなことで困っているか伝えてください。

その際には、ただ伝えるだけでなく、「対処してくれるかどうか・いつ対応してくれるか・問題を解決できそうか否か」という点を必ず確認するのが鉄則です。ただ、伝えただけだと、そのまま時間だけが過ぎていつまでも対応してもらえない、ということになりかねません。

行政からの回答が「確認してみないことには分からない」というものであれば、「いついつまでに必ず状況を知らせてほしい」と伝えるようにすることで進捗状態を確認できます。

8-3.ストレスを溜め込む前にさっさとその場から離れるため、引っ越すのが得策

近隣の空き家問題に悩んでいる場合、行政に相談してもすぐに解決してもらえることは少なく、ストレスだけが積もっていく可能性が非常に高いです。そのため、ストレスを溜め込む前にさっさと引っ越して、その環境から離れることを推奨します。

8-3-1.ストレスを溜めない賃貸の場合

契約を解除して引っ越し、購入物件の場合は売却して引っ越してしまうのが最も手っ取り早く、最もストレスフリーな対策です。居住期間によっては短期解約のペナルティを請求されることがあります。

しかし、その際には大家さんか、仲介不動産に「空き家トラブル」について伝えて「こんな話は聞いていなかった。これは瑕疵には当たらないのか?」と交渉してみてください。もしかしたら解約料を免除してくれるかもしれません。

8-3-2.ストレスを溜めない購入物件の場合

空き家トラブルのせいでなかなか買い手が見つからない恐れがありますので、売却の手配だけでなく、やはりトラブルについて行政に報告と対処依頼をしておいた方が良さそうです。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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