執行官は『裁判の執行などを行う人』のこと

1.執行官とは?住宅ローンとの関係

相楽 面談

1-1.執行官とは

執行官とは、裁判の執行などを行う人のことを言います。特別職の国家公務員であり、各地方裁判所に所属している裁判所職員です。

一般職国家公務員4等級以上の職歴があるなど、一定の資格者から試験によって選ばれます。

執行官は主に、民事訴訟で訴訟書類を当事者や関係者に知らせたり、民事執行手続きで強制執行や競売等を行ったりします。

俸給制ではなく、事件の当事者が納めた手数料を収入とする手数料制であることが、一般的な公務員との違いです。

執行の際には債務者などから抵抗に遭うこともあります。

そのため、執行官は威力を使い、警察に援助を求めることができるなど強い権限を持っています。

1-2.住宅が競売にかけられると執行官に関わることになる

普通の生活で執行官と関わることはあまりありません。

しかし、住宅が競売にかけられると執行官と関わることになります。

競売に関して、執行官は主に3つの職務があります。

・競売を申し立てられた不動産の状況調査
・競売執行後、住宅を明け渡さない占有者(元所有者)の強制退去
・競売時の入札、開札手続きの主宰

強制退去では、該当の住宅から家財等を全て運び出し、債務者も強制的に退去させます。そして、債権者に引き渡すのです。

差し押さえた家財、貴金属、宝石などは売却し、債権者への返済資金とします。

2.自宅に執行官が来たらどうなるのか? 競売を避け任意売却できる期限とは?

住まいのトラブルで悩む男性

結論から言うと、自宅に執行官が調査に来た場合、3〜6ヶ月後には自宅が競売にかけられてしまうと思ってください。

もし、競売を避け、自宅に残りたい、将来的には買い戻しもしたいのならば、任意売却を狙うことになります。あまり時間が残されていないので、今すぐに相談に動く必要があります。

2-1.競売開始まで3ヶ月:執行官が来る前に「競売開始決定通知」が届く

主な流れとしては、

まず、執行官が来る前に裁判所から「競売開始決定通知」が届くはずです。これが執行官が自宅に調査に来る合図。

次に「現況調査に関する通知」が届きます。この時点で競売物件として公示されるまで、3ヶ月ほどしか時間が残されていません。

一般的には、一度公示されてしまうと、もう任意売却はできなくなります。

ですので、どんなに遅くても「競売開始決定通知」が届いた時点ですぐに、任意売却の実績豊富な不動産会社に相談してください。

自分の場合にはどうすれば良いのか等分からない時には無料診断や個別相談をご利用ください。

2-2.競売開始まで2ヶ月:指定日に執行官が状況調査に来る

「現況調査に関する通知」が届いた後は、指定日に執行官が自宅の調査に来ます。

自宅内の写真撮影をしたり、不動産鑑定士と一緒に物件を評価するために必要な情報を調べあげます。

これは拒否できません。鍵も開けられてしまいます。

なお、この時撮影された室内の写真も競売物件の情報として公開されます。

インターネットにも掲載されるのでご注意ください(個人の特定につながるような部分は黒塗りでマスキングされます)。

非常に厳しい状況ではありますが、このタイミングであれば、ギリギリ競売を取り下げてもらい、任意売却に持ち込める可能性は残されています。

ただし、本当にギリギリですので1分1秒でも早く、不動産会社に相談してください。

2-3.競売開始まで1ヶ月:公示日(入札日)が決定する

執行官の状況調査をもとに、競売の公示日が決まります。

公示日とは公的に一般に知らされる日のことで、この日から物件への入札が可能です。

入札日の3週間前くらいから、インターネットに物件情報が掲載されるため、近所や関係者に知られる可能性があると思います。

そして一度公示されると、競売を取り下げることはできません。

スケジュール的に相当厳しいものの、任意売却に持ち込める可能性はわずかながら残されています。

競売を避ける最後のタイミングなので、すぐに動いてください。

自分の場合にはどうすれば良いのか等分からない時には、時間を無駄にする前に無料診断や個別相談をご利用ください。

2-4.競売開始後:基本的には2ヶ月以内に退去するしかない

競売が公示され始まると、入札→落札→強制退去という流れを辿ります。

競売開始後、強制退去までの目安は約2ヶ月です。

執行官が鍵屋や引越し業者と共に来て強制退去となります。

拒否、抵抗すれば警察が来るほどの強制力を持っているので、大人しく従うしかありません。

2-5.執行(自宅の明け渡し)後:請求が来るかもしれない

辛いことに、競売で自宅を明け渡しても全てが終わりではありません。

債権者(住宅ローンの場合は金融機関)から、競売費用(執行官への手数料等)が請求される可能性があります。

執行官への手数料の平均額は約100万円。自宅を失い、競売後の残債の返済に加え、執行官の費用100万円は重くのしかかります。

執行官が来ているという時点で、もう金融機関への相談はできません。

何もしなければそのまま自宅は競売にかけられ、住むところを失い、住宅ローンの残債と請求された費用だけが残ります。

これらを避ける最後の手段は競売前の任意売却しかありません。

時間がなく、自分の場合にはどうすれば良いのか等分からない時には、先ずは無料診断や個別相談をご利用ください。

担当 相樂

▶関連用語:公示債権者債務

私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計6,700人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

同様に、住まいのトラブルに関する最新の裁判判例を弁護士や司法書士と共に理解し、データ化しています。今後もこのようなデータを生かし、トラブルを予防し、より失敗や損失の少ない部屋探しを私たちは提供していきます。

有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、同代表の相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。

2019年は茨城県の戸建てや板橋区の共同住宅などを仲介。同時に、東京渋谷区の民泊や麻布十番のシェアオフィス向けリノベーションやコンバージョン工事を行う。最近は、台風15号や19号に伴う火災保険の申請サポートやその後の改修工事を積極的に行う。

保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー

馬場 紘司
株式会社リビングイン 共同代表

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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