あなたは、
エントランスが通りに面した1ヶ所しかないマンションと、表と裏の便利な2ヶ所あるマンションだと、防犯面でどちらが優れていると思いますか?
答えは、
エントランスが通りに面した1ヶ所しかないマンションの方が防犯面で優れています。
警察庁『持続可能な安全・安心まちづくりの推進方策に係る調査研究会』座長を務める小宮 信夫氏によると、『犯罪防止の三要素』があると言います。
少し、小難しい話になるかもしれませんが、あなたの身の安全を守り、悲しい事件に巻き込まれないための大切なことなので、是非読んでみて下さい。
『犯罪防止の三要素』とは『抵抗性』、『領域性』、『監視性』の3つを言います。
そのうち、『抵抗性』は個人個人が意識し、身につけるものとされているので、ここでは賃貸マンションの周辺環境に係る『領域性』と『監視性』について、くわしく考えてみます。
1.まず『領域性』とは、犯罪者の力が及ばない領域をしっかりと確保することを指します。
具体的にはマンションにフェンス、エントランスとパーティションがあることで、犯罪者の力がマンション住人に及ぶ可能性がグッと下がります。
その他、オートロックや管理人の配置、防犯意識を高めるポスターなども、犯罪者の領域でないことを知らしめ、力を抑えるには効果があると言えます。
2.次に『監視性』とは、犯罪者を監視する力がある、ということです。
賃貸マンションにおいては、監視カメラ、モニター付きインターフォン、エレベーター内の鏡などが分かりやすいと思います。
3.加えて『領域性』と『監視性』のバランスも重要です。
フェンスなどで『領域』をしっかりと線引きしながら、人通りの多い道路に面している、住宅街である、植栽がきちんと手入れされているなど、周囲の人の目が犯罪者に注がれる『監視』状態であることも忘れてはなりません。
さて、冒頭の質問、
『エントランスが通りに面した1ヶ所しかないマンションと、表と裏の便利な2ヶ所あるマンション。防犯面でどちらが優れていると思いますか?』
について、今学んだことを元に考えてみます。
答えは、
『エントランスが通りに面した1ヶ所しかないマンションの方が防犯面で優れている』事がお分かりいただけるのではないでしょうか?
裏にも入口があるマンションは確かに便利ですし、一見、犯罪者から身を隠してマンションに入れるような気がします。しかし、これから犯罪を犯そうとしている人にとって、一般人である私たちがこっそり裏口からマンションに入るのを見透かすことなど、とてもたやすいことなのです。
それどころか、人目が届きにくい(『犯罪防止の三要素』の『監視性』が欠けた状態)を利用して、犯罪に遭う可能性を高めるリスクさえあります。
緊急時の避難路確保や利便性向上のために、マンションに裏口を設置することは悪いことではありません。しかし、緊急時以外は施錠されている、裏口も『監視性』が確保された通りに面している、オートロックや監視カメラが設置されている、などの対策が必要です。
もし貴女が事件に巻き込まれたとしても、軽微な怪我なら1~2週間で治るでしょう。そして、犯罪者は司法によって裁かれるでしょう。しかし、あなたが負った心の傷、本当の意味での被害は簡単に解決するものではありません。
お引越しを期に、あなたの大切な生活、さらには人生を守るためにも、住まいの安全性について今一度、考えてみてください。
参考文献)小宮信夫「なぜ『あの場所』は犯罪を引き寄せるのか」青春出版社、2015年
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。