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離婚で自宅の売却を急いでいる方へ、
こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている住宅ローンアドバイザー兼宅地建物取引士の大和田です。
離婚で家を売った時の贈与税に関する記事の時に説明しましたが、2022年7月に神奈川県南足柄にお住いの男性から相談があり、
住宅ローンが払えないので自宅を売却し、離婚も視野に入れて、動いている。
もし、部屋の荷物もそのまま引き取って欲しいとなった場合、どうすれば良いか?
詳しく、教えてほしい。
と面談時に言われました。
一般的に、決済までに自宅の荷物は処分又は引っ越し先に持って行きます。
ただ、買主との交渉の中で荷物をそのまま置いて、引っ越す、現状渡しをすることも出来ます。
不動産に限らず、車などの中古市場で使われる「現状渡し」という言葉があります。
この現状渡しは家を売却するときにも使います。どんな意味があるのでしょう?
今回は、離婚時の不動産売却の現状渡しとはどのようなものか、そのメリットやデメリットについても過去の事例を参考に解説していきます。
1.離婚で不動産売却をする際の売却方法の1つ「現状渡し」とは?
それでは、現状渡しとは、どのようにおこなうものでしょうか?離婚時の売却に限らず、一般的な家の売却でも現状渡しは行われます。
例えば、住宅ローンの返済が出来ず、家を売却する場合、引っ越しに費用を掛けられない場合が多く、家具や家電、自宅の設備を回収出来ずにそのまま引き渡すことが往々にあります。
1-1.現状渡しとは何を意味するか?
物件の現状渡しとは、『修繕部分を直さずに現状のままで売主に引き渡すこと』で、契約書などでは現状有姿・現況有姿という表現をします。
通常、不動産売却では、目に見える不具合は修繕してから売り出します。
というのも、長く住んでいた中古物件は内外装の傷みや設備の故障などが起きていることが多いからです。
場合によっては、修繕やリフォームをおこなわないと、そのままでは住めない可能性もあります。
しかし、そこをそのまま販売するのが現状渡しです。なお、現状渡しがおこなわれる不具合の例は以下のとおりです。
- 壁紙の剥がれ
- 外壁の色あせ
- エアコンや給湯機の故障
- キッチンや洗面台の傷み
1-2.売主に生じる契約不適合責任
現状渡しとはいうものの、なんでもいいわけではなく、守らなければならない点があります。
というのも、不動産売買の際は、売主の責任範囲を定める「契約不適合責任」ということがらがあるからです。
まず、告知義務と言って、物件について売主が知っている不具合や、過去の修繕履歴については買い主に対して細かく伝えなければなりません。
売主が知っていて買主に告げなかった場合、もしくは虚偽の告知をした場合は民法の規定にしたがって責任を負う可能性があるのです。
この状況を避けるために、告知事項を不動産会社の担当者に「物件状況等報告書」という様式で記入してもらい、売買契約の際に説明をします。
1-3.隠れた瑕疵(かし)の扱いについて
しかし、見えない場所で気づかなかった、知らなかった不具合というのもあり得ますね。
例えば、以下のようなものです
- シロアリの食害
- 雨漏り
- 土中に埋まっていた物
- 建物構造上主要な部位の木部の腐蝕
実は、この4種類の隠れた瑕疵について、買主が引き渡し後3か月以内に請求した場合は売主が修復義務を負うことが基本になっています。
しかし、中古物件であって、売主が宅建業者でない場合は、この責任もふくめて契約不適合(瑕疵担保)を免責とすることができます。
つまり、隠れた瑕疵については、売主でも責任を負わなくても良いことになります。
2.離婚時の不動産売却で現状渡しを選択するメリットとは?
まず、このような現状渡しのメリットについて、説明します。
2-1.早く売却に出せる
まず第一に、物件を早く売りだせることが挙げられます。
特に、離婚による売却は、次の生活のためにも、早く物事を進めたい時があると思います。
例えば、壁紙などを貼り換えようとすれば、引っ越すか片付けをおこなったうえで、業者の人が作業をする時間なども加わり、それなりの日数が必要になります。
現状渡しの場合は、そのような時間を要しませんので、早い売り出しが可能になります。
2-2.補修費用などがかからない
他にも、しばらく使っていなかったエアコンや給湯器が壊れていた場合、修理をすればそれなりの費用が必要となってきます。
それらを修理しても、物件の販売価格に反映させられるとはかぎりません。
そんな場合、問題個所の告知をしたうえで、引き渡し後に買主に直してもらいましょう。
2017年に川越市で行った戸建ての売却では、値段的にもリーズナブルであったため、エアコンの改修を行わず、そのまま買主に引き継ぐことを条件にしました。
内見や購入希望者が多く、細かい条件を言ってくる買主は排除し、売主の希望に沿った売買をしてくれる方に限定し、進めていきました。
2-3.物件に手を入れる手間が不要
どこを直したらいいか、それらの相談や手配は不動産会社に依頼はできます。
しかし、どのようにするかを最終的に決めるのは売主です。
離婚にともなうさまざまな手続きで忙しい中、そのような負担はしないのもひとつの方法です。
また、住んでいる状態で売却をお考えの場合、引き渡しと修繕工期の兼ね合いが難しくなることも考えられます。
住みながらの改修はホコリなどが他の荷物に飛んでしまうため、脱衣所やキッチンなど部屋が区切られている場合を除いて、個人的には避けた方が良いと思います。
2-4.買主にもメリットになる点
近年、コロナ禍の影響で家で過ごす時間が増え、内装へのこだわりやDIYで自分好みの部屋に仕立てることがブームになっています。
現状のままでよいので、あとで自分の趣味に合わせて家を仕立てたいという人には、リフォームや修繕などはあまり意味を持たないことになります。
立地や間取りなどは重視し、内外装は現状渡しがいいというお客様もいらっしゃるということです。
2020年に八戸で行った中古マンションの売却では、築10年で設備の故障はなかったものの、購入者がそのまま購入し、リノベーションを行う予定であったため、現状渡しであっても減額されることがありませんでした。
本来、築古の建物に関して、このようなリノベーションを行うので・・・となるケースが多いのですが、間取りを家族に合わせて住みたい方も中にはいます。
そのため、現状渡しは常に値段が下がるわけではないので、急いでいたり、改修する余裕がない場合この方法を使うのも一考だと思います。
3.離婚時の不動産売却で現状渡しを選択するデメリットとは?
現状渡しには、物件に手を入れないで販売することのデメリットもあります。
3-1.売却額に影響する場合がある
前項で、故障したものを直した価格は販売価格に反映しきれない場合があるとお伝えしましたが、逆のことも言える場合があるのです。
何も直していない物件であれば、相応に安い値段で買いたいと思うのが買主の心理ですね。
ちょっとした水回りの不調などで購入をためらうお客様には、十分な説明が必要な場合もあります。
中古物件市場の中心はやはり、築浅や問題のない物件ですし、現状渡しは相場より安い価格を設定しないと成約しにくいです。
逆にいえば、その分価格を下げれば、立地や間取りに対してお得感が出ることも考えられるわけです。
2021年に福岡市にある戸建ての売買を行った時、売主が引っ越し先に洗濯機やベッド等の家具・家電を持って行かないのでそのまま引き継いでもらいたいと話し、相場を踏まえ、売買価格の中で調整しました。
ただ、コロナの影響で物件がなく、市場が高騰していたため、残置物があっても10万円程度の減額で済みました。
買主や客付けの不動産会社から細かいことを言われましたが、減額分を含めた売買価格を鑑み、他の購入希望者の話をして、減額を抑えることに成功しました。
このように、市況や立地など希少性次第では、あまり減額を考慮しなくても売買は可能です。
3-2.家具や家電の撤去は必要になる
現状販売といっても、家具や家電、生活の雑貨などを残置物としてそのままにして売り出すことは、おすすめできません。
交渉次第なので出来なくはないのですが、住まいを購入する人は、以前の生活の痕跡が残っていることを嫌がられますので、成約するうえで大きなデメリットになってしまいます。
もし、片付けの時間や手間をつくるのが困難な場合、引っ越し業者のオプションの利用や、片付け専門の業者に依頼してみて下さい。
また、もし残置物を残す場合には売買契約の際に、一切の残置物についての所有権を放棄する旨、特約事項に入れるようにして下さい。
というのも、買主の方も、あとから「あれは必要だった」といわれて、トラブルになることを嫌がられますので、もし何か残す場合は、その点注意をしてください。
記述の福岡の中古戸建の売買を行った時、トラブルになるのを避けるため、ベッドや洗濯機、エアコン、本棚などそのまま残しておくものを残置物として、契約書だけでなく、覚書を作成し、売主・買主の双方捺印の上、引き渡しを行いました。
3-3.現状渡しでトラブルを防止する方法
現状渡しのトラブルを防止し、買主の方に安心して購入していただくため、以下の方法や注意点があります。
- 免責事項をしっかり確認する
- 契約不適合(瑕疵担保)免責とする
- ホームインスペクションを受ける
- ハウスクリーニングをおこなう
3-3-1.物件状況等報告書をしっかり作る
まず、知っている不具合については、告知事項として物件状況等報告書にしっかり記載しておくことです。
この不具合の確認は、売り出しの前の早い段階でおこない、不動産会社と共有しておくことをおすすめします。
もし、よく分からない時は担当者に調査してもらい、設備や性能を踏まえた物件状況等報告書を作ってもらう方が良いかもしれません。
3-3-2.契約不適合責任の記載
契約不適合責任は免責とすることで、あとで隠れた不具合が出てきたときでも、売主は安心なのですが、買主にとっては不安が残りますね。
契約書や重要事項説明書にしっかり書かれていることを契約前に確認して下さい。
もし、うっかり捺印してしまうと、引き渡し後の責任を負う事になってしまいます。
3-3-3.ホームインスペクション
その場合、売主側の費用負担で、事前にホームインスペクションを受けておくという方法もあります。
ホームインスペクションは建物構造など、隠れた瑕疵の箇所を建築士が検査するもので、費用は5~6万円、依頼してから2週間程度で完了します。
法律的にもホームインスペクションを受けることが一般的になっており、特に建物が築30年以上の古い物件や5,000万円以上の高額な物件に関しては行った方が後々トラブルはぐっと減ります。
3-3-4.クリーニングで見た目をよくする
また、現状のままの販売でも、物件の印象をよくして売却を早める手段として、ハウスクリーニングを依頼するという方法もあります。
プロの清掃業者に床や壁、水回りなどの長年の汚れを落としてもらうのですが、居住中の状態でも依頼ができます。
ちなみに、ハウスクリーニングの費用の相場は3LDKで住んだまま依頼した場合で、5~6万円ほどです。
4.急ぎの家の売却で検討したい現状渡しまとめ
離婚時の不動産売却の現状渡しとはどのようなものか、メリットやデメリットについて解説をしました。
離婚時の不動産売却は、専門的なサポートのもとで下す状況判断の有無で、満足のいく結果になるかが変わってきます。
私たち、アリネットは住まいのお悩み、無料相談を行っています。
これまでの実感では、お仕事で忙しい男性ほど、離婚の協議や家の売却がおざなりになりがちです。
今後の生活のため、後悔しないため、しっかり話したい方にお勧めです。
そのため、もし、離婚に伴い、自宅の売却などで悩んでいる場合にはお近くの専門家に相談してみて下さい。
もちろん、私たち、アリネットにもご連絡いただければ、税理士や司法書士と協力して、対応させて頂きます。
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- 夫婦の収入合算(連帯債務・連帯保証)等で自宅を購入
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- 頭金なしのフルローンやオーバーローンで自宅を購入
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特に、お仕事などで忙しい男性は言われるがままの方が多く、離婚問題で奥様との条件の書式化やご自宅の売却や買取りで悩んでいる方、簡単無料の『LINE公式の無料相談』や『電話相談』からお気軽にお問い合わせ下さい。
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