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こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の管理や住まいのトラブル解消を担当している管理業務主任者兼不動産鑑定士補の相樂です。今回は司法書士の西門と共にマンションの駐車場で起こるトラブルや相談先、対策時の注意点について、これまでの経験と判例を基に対策を考えました。
マンションの駐車場は外部貸しの場合も含め、多くの方が利用しているため、トラブルが本当に沢山あります。
例えば、駐車場内での事故や友人が無断駐車で他人契約しているスペースを利用する等です。実際、2020年3月に住宅ローンの専門金融機関である「ARUHI」が発表した「マンションのご近所トラブル体験談」によると、駐車場でのトラブルを経験した人が270人中139人もいることが分かりました。
迷惑行為を行う方の中には「このくらいなら問題ないだろう」と甘い認識を持っている方も多く、このようなトラブルが後を断ちません。そのため、後々嫌がらせや関係性が壊れるのを懸念して、我慢を続け、最終的に相談をしてくる方本当に多いです。
ただ、個人的にはその我慢、本当にもったいないと思います。
このような迷惑行為に悩まされている方の大半は生活に支障が出たり、ストレスを長く抱えてしまう方もいます。その為、トラブルが起きたと思ったら、すぐに警察や管理会社、専門家に相談した方が悪化を防ぎ、ストレスも抱えることがありません。
そこで、この記事ではこれまでの相談案件を踏まえ、マンションの駐車場で「発生しやすい主なトラブル」や「トラブルに遭遇した際の注意点」をケース別の対策を含めて詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読み、今後の参考にしてみてください。
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1.マンションの駐車場で起こりやすいトラブルと対処方法
実際にあった無断駐車の写真です。このように、ちょっとしたスペースに停めてくるケースも多々あります。その他マンションの駐車場で起こりやすい主なトラブルは、以下の6点です。
- 無断駐車や違法駐車
- ドアパンチなどにより車を傷つけられる
- 隣区画の車両が白線をからはみ出し、幅寄せしている
- 新しく購入した車が機械式駐車場に収まらない
- 敷地内で車上荒らしに遭う
- 駐車場を物置やトランクルームとして使用
これらの他に、猫や鳥にエサをあげる等もありました。それぞれに適した対処方法を含めて詳しく解説します。
1-1.無断駐車や違法駐車が多い
来客の車や自身の車を近い場所に停車させるため、「区画前の通路」や「他人の区画」を使用する方は少なくありません。一般的に、区画前の道路や空きスペースに停車する方は確信犯の方が多いです。
停車してはいけないことを理解しているにもかかわらず「少しなら大丈夫だろう」と言う考えで使用しているため、なかなか改善に至りません。
一方で、他人の区画に停車する方は誤って停車してしまったケースが多いです。例えば、「契約している区画の隣に停車する」といったことは良く起こります。自身の区画だと見間違えてしまったために起きたことなので、連絡が付けばすぐに正しい場所に入れ直してくれるケースが多いです。
1-1-1.警察に通報し、現場を見てもらう
万が一、駐車してはいけないスペースや空きスペースに停車している車に困っている場合は、警察に通報してください。駐車場の形によっては「住居侵入罪」に該当するため、刑法に則って相応の処置を施してくれます。
ただし、警察によって判断が異なるため、民事不介入で断られるケースもあり得ます。仮に、警察が対応できない場合、管理会社に連絡して対応してもらうようにして下さい。
1-2.ドアパンチなどにより車を傷つけられる
マンション内の駐車場で車を傷つけられるケースがあります。中でも「ドアパンチ」と呼ばれる『車のドアを開けた際に隣に停車している車に傷をつけてしまう行為』が多発しています。
私たちの経験上、ドアパンチにより傷をつけた方は逃げられてしまう事が多いです。監視カメラが設置されていない場所や死角になっている場所の場合、犯人を特定することが難しく、自身で修理費を負担するケースも少なくありません。
1-2-1.警察に通報した後、加入している車両保険に連絡する
車を傷つけられた場合、すぐに警察に連絡をしてください。車両保険を使用して修理費や賠償金を支払う際に警察が発行する「被害届」が必要となるためです。
ただし、車両保険に加入していなかったり、加入していても契約内容によっては保険が適応されないケースもあります。したがって、自身が加入している保険の契約書で確認するかコールセンターに問い合わせをして確認してみて下さい。
車両保険は保険を申請すると次回の更新時に保険料が上がってしまうため、傷の度合いを見て、保険の申請をした方が良いのかどうか判断して下さい。
ちなみに、傷をつけてしまった場合、逃げてしまうと「当て逃げ」と呼ばれる違法行為に該当します。罰金や減点など刑法により罪に問われるため、絶対に逃げず、真摯に対応することが重要です。
1-3.隣区画の車両が白線からはみ出しや幅寄せをしている
運転者の中には駐車が苦手な方がいます。例えば、白線からはみ出して駐車したり、左右どちらかに寄りすぎて停車してしまうケースです。何度も同じような行為を繰り返す方は、自身の運転技術の問題なのでなかなか解決に至りません。
しかし、区画から大幅にはみ出て駐車されてしまうと、あなたが停車する際に傷をつけてしまったり、停車できない状況陥る可能性があります。とはいえ、悪気のあることではないので冷静な対応で解決するようにしてください。
1―3-1.管理会社や大家さんに連絡する
このような場合、管理会社や大家さんに連絡することで車の保有車に連絡を取り、車の入れ直しを依頼してくれる可能性があります。前述した通り、運転手の中には技術面が未熟な方もいます。
その為、あなた自身で伝えると後々トラブルに発展する恐れがあります。直接、伝えず、管理会社や大家さんに依頼するのが無難です。
1-4.新しく購入した車が機械式駐車場に収まらない
近年、都心部や高層マンションを中心に機械式の駐車場が増加しています。しかし、機械式駐車場には車幅や車高に制限があるため、所有する車によっては注意が必要です。
仮に、車幅制限ギリギリの車を無理に駐車してしまうと、区画からはみ出し落下する危険性が高まるため、無理に駐車するのは絶対にやめて下さい。
1-4-1.月極駐車場を契約する
マンションの駐車場に収まらない場合、近くの月極駐車場を契約する必要があります。地域によって相場は異なりますが、月々1〜5万円代で借りることが可能です。
マンションによっては、入居者限定で3万円前後で貸し出している物件もあります。その為、場所によって、月極駐車場の方が安く借りられる可能性もあります。
1-5.敷地内で車上荒らしに遭う
マンションの敷地内だからと言って車上荒らしに合わないとは限りません。特に、平面の駐車場は誰でも侵入しやすいため、車上荒らしに遭うリスクがあります。
車上荒らしは金目になるものを盗むためには手段を選ばないため、かなり乱暴な方法で車を破損させます。そのため、あなたが借りている駐車場が侵入されやすい構造ならば、「特約に車上荒らしによる破損が含まれている車両保険」に加入しておくと安心です。
1-5-1.警察に通報する
車上荒らしのような行為は「窃盗罪」や「器物破損罪」が適応されます。このため、警察に通報することで監視カメラを確認して犯人を特定したり、犯人逮捕に向けて捜査を開始してくれるはずです。
前述した車両保険に入っていれば、保険金も下りるので忘れずに請求するようにしてください。請求する際は警察に発行してもらえる「被害届」が必要になります。
1-6.駐車場を物置やトランクルームとして使用する
住民によっては、駐車場を物置やトランクルームとして使用する方がいます。例えば、タイヤ置き場にしたり、物置を設置したりなどです。
管理会社や大家さんから許可を得ていれば問題ありません。しかし、一般的には隣人に迷惑がかかったり、放火される危険性もあり、禁止されている物件がほとんどです。このため、基本的にこのような行為は規約違反に該当します。
1-6-1.管理会社や大家さんに連絡する
前述した通り、一般的にマンションの駐車場を物置やトランクルーム として使用することを禁止している物件がほとんどです。置いたものによっては、事故に繋がる恐れがあります。
そのため、見つけた際はすぐに管理会社や大家さんに連絡をして下さい。マンションによってはすぐに持ち主に撤去を依頼してくれるはずです。
2.実際に起こったマンション駐車場でのトラブルとその判例
ここでは、実際に起こったマンション駐車場でのトラブルによる判例を2つ紹介します。中には、損害賠償を請求されたケースもあるため、ここまで解説したトラブルの危険性を理解していただけると思います。
実際にあった裁判事例を基にマンションのトラブル対策や相談先、注意点についてはこちらのページにまとめておきました。
2-1.機械式駐車場に駐車した車が落下したことで、損害賠償を請求された判例
ここでは、機械式駐車場で起こったトラブルによる判例を紹介します。この裁判は、マンションの機械式駐車場に友人が車を駐車した際に車が落下したことで、駐車装置が壊れたとして管理組合から損害賠償を請求された事例です。(東京高等裁判所判決/平成29年(ネ)第2889号)
結果的に、友人の過失を認めるには証拠が不十分とし、管理組合の請求は却下されました。
しかし、安易に駐車したことで車が破損し裁判に繋がるとは思いもしなかったはずです。このように、予期せぬトラブルにより裁判に発展するケースもあるため、駐車する際は慎重に行う必要があります。
2-2.駐車場内で駐車時に後退させた際、別の車に衝突したことで物損請求された判例
次は、駐車時に別の車に衝突したことで起きた判例を紹介します。この裁判は、マンションの駐車場内で車を駐車するために後退させた際、別の車に衝突して傷をつけた判例です。
傷をつけられた車は、美観などを重要視したクラシックカーであることから「事故による修復歴」が車の価値に影響すると判断されました。それにより、車の修理費と評価損額を併せて約730万円の支払いを命じられたのです。(東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)第9729号)
車によっては実用性より美観やブランドを重視している車もあります。この判例のように、ぶつけたことで車の価値に影響すると判断されるケースもあるため、注意が必要です。その為、任意保険には必ず加入しておくことをおすすめします。
3.駐車場でのトラブルに関する注意点
マンションの駐車場で大きなトラブルに発展させないために、以下の3点に注意して下さい。
- トラブルを放っておくと後々大きなトラブルに発展する
- 来客が来た際はコインパーキングを利用してもらう
- 直接自分で苦情を言うと、隣人トラブルには発展する可能性がある
それぞれ重要な内容となりますので、詳しく解説していきます。
3-1.トラブルを放っておくと後々大きなトラブルに発展する
マンションの駐車場内でトラブルに遭った際に、すぐに対策を講じず放っておくと後々に大きなトラブルに発展する可能性があります。
実際に弊社のお客様の中でも、駐車場内の不法駐車の陰から人が飛び出てきたことで事故を引き起こしてしまったという方がいます。駐車場の駐車区域は安全を考慮して決められています。そのため、その他の場所に駐車してしまうと非常に危険です。このお客様も事前に対処しておけばと悔いておられました。
このように、すぐに対処しなかったことで大きなトラブルになるケースは少なくありません。些細なことでもその度に対処することをおすすめします。
3-2.来客が来た際はコインパーキングを利用する
自宅へ来客が来た際、必ず近くのコインパーキングを利用して下さい。先ほども述べたように、駐車場の空きスペースに停車される方もいます。しかし、隣人にとっては非常に迷惑になります。
また、一般的に無断駐車に該当するため、マンションによっては罰金を請求される可能性もあり得ます。したがって、高いお金を請求させることを考えると、数百円〜数千円で済むコインパーキングを利用した方が賢明です。
3-3.直接自分で苦情を言うと、隣人トラブルに発展する可能性がある
自身で直接苦情を言ってしまうと、相手が腹をたてて嫌がらせなどの隣人トラブルに発展する恐れがあります。
例えば、白線をオーバーして停車している場合、上手く伝えないと怒りを買ってしまい、関係がこじれてしまうケースも少なくありません。そのため、できるだけ管理会社から直接伝えてもらう方が安心です。
4.マンションの駐車場による相談先
駐車場でのトラブルに悩まされている場合は、以下の2つの機関に相談してみて下さい。
・管理会社や管理組合、大家さんに相談する
・警察に相談する
それぞれメリットとデメリットを含めて解説していきます。
4-1.管理会社や管理組合、大家さんに相談する
マンションの駐車場内で何らかのトラブルに遭った際は、管理会社や管理組合、大家さんに相談するのがおすすめです。例えば、白線をオーバーして駐車していたり、あなたが契約した区画を使用された場合などです。
相談することで、何らかの対策や対処方法を講じてくれることを期待できます。
4-1-1.管理会社や管理組合、大家さんに相談するメリット
管理会社や管理組合、大家さんに相談して、直接相手方に注意喚起を行ってもらうのは有効です。具体的には、車や置いてある物の撤去をするよう指示して貰ってください。
ただし、中には相手方に「あなたが迷惑している」と伝えるケースもあります。仮に、自身が告発者であることを知られたくない場合は、あらかじめその旨を伝えて置いた方が安心です。
4-1-2.管理会社や管理組合、大家さんに相談するデメリット
それぞれに相談をしても、迷惑行為が改善されないケースも少なくありません。マンションによっては、貼り紙のみ実施するケースもあり、相手方が無視する可能性があるためです。
仮に、「罰金〇〇円請求します」といった貼り紙を貼ったとしても、その場限りしか対応しない方もいます。いくら貼り紙を貼ったとしても、相手に改善する気持ちがなければ解決に導くことはできません。
4-2.警察に相談する
盗難や破損などのトラブルに遭った際は、すぐに警察に通報することをおすすめします。トラブルの中には「器物破損罪」や「住居侵入罪」に該当するものもあるため、事件や事故として相応の処置を施してくれるためです。
ただし、中には民事不介入を持ち出し対応してくれないケースもあるので、事件性が高い時に利用するのが賢明です。
4-2-1.警察に相談するメリット
前述した通り、車に傷をつけられたり、車上荒らしや盗難に遭った場合は、警察に通報することで刑法に則って相応の処置を施されます。
また、ドアパンチなどによる当て逃げの被害にあった際に、保険会社に提出する被害届を発行してもらう際に警察の介入が必要となります。
4-2-2.警察に相談するデメリット
違法駐車や無断駐車の場合は、警察に通報しても対応できる範囲が限られます。例えば、不法駐車で「住居侵入罪」が適応できない場合は、民事不介入により警察が動いてくれません。
マンションの駐車場は一般的には「私有地」となるため、道路交通法が適応されないためです。
そのため、住居侵入罪が適用できるかどうかが重要になります。住居侵入罪の適用がされるケースは、駐車場がマンションに隣接しており囲繞地と認められる場合のみです。
4-3.隣人トラブルにまで発展している場合は、引越しを検討する
私たちの経験上、駐車場内でのトラブルは解決に導くことは難しいです。なぜなら、法や規約に触れる行為でなければ、警察や管理会社は動いてくれないからです。
例えば、無断駐車や白線をはみ出して停車している場合などは注意だけで終わるケースがあります。
このような駐車場のトラブルだけの場合、駐車場を移すだけで解決が可能です。
しかし、駐車場トラブルが原因で隣人トラブルに発展してしまっている場合は、引越しを検討することをおすすめします。隣人トラブルが原因の事件も多数起きているため、早めの決断が重要です。
ちょっと前に、相談があったトラブルに対して、内容証明と簡易書留の使い方や注意点3つ、こちらのページにまとめておきました。
5.マンションの駐車場でのトラブルについてのまとめ
この記事では、マンションの駐車場でのトラブルについて具体的な対処方法や判例を交えて解説しました。以下、今回のおさらいです。
- マンションの駐車場では、白線のオーバーや無断駐車、車を傷付けられるなどのトラブルが多い
- トラブルを放っておくとレッカーされたり、損害賠償を請求されたりと大きなトラブルに発展する恐れがある。
- マンションの駐車場内でトラブルに遭った際はすぐに管理会社や大家さんに相談する
- 駐車場内で傷をつけられたり、当て逃げなどが起こった場合は、警察にすぐ通報する
- 隣人トラブルに発展している場合は、引っ越しを検討する
マンションの駐車場でのトラブルは、あなた自身が気をつけていてもいつ被害に遭うか分かりません。駐車場に対する利用方法を明確に定められていても、モラルに欠ける行為をする方も少なくないからです。そのような場合、この記事で紹介した対処法を試してみてください。それでも解決しない場合、駐車場を移すことをおすすめします。
ただし、すでに隣人トラブルに発展してしまっている場合、早急に引越しを検討するべきだと思います。もし、隣人トラブルによる引っ越しも検討している方は弊社の無料相談までご相談ください。私たちが過去にトラブルを解決した知識や経験を基に作成した冊子を無料でお渡ししています。
ちょっと前に、相談があったマンションの隣人からの仕返しや嫌がらせに対する対処法を3つこちらのページにまとめておきました。
また、無料相談ではその場で把握できる限りの一旦の最善策をご提案することが可能です。ぜひ、気軽にご相談ください。一般的な不動産屋と異なり、最新の判例を用い、その場で把握できる要望を精査して、一旦のご提案を行うことが可能です。ぜひ気軽にご連絡ください。
今後もあなたの大切な人生と平穏が守られますよう、4,600件を超える引っ越しの失敗談を基に住まいの問題解決のトップランナーとして、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法を建築士さんにレクチャーしてもらいました。
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あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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