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サラリーマンから独立して、個人事業主になったあなたは賃貸契約の更新に対する下記のような不安を持っているのではないでしょうか?
「契約時はサラリーマンだったけど、独立して個人事業主になった。管理会社や大家さんに伝えるべき?」
「職業が、個人事業主に変わっていると、賃貸契約の更新をしてもらえないのではないか?」
そこで、今回はあなたが賃貸契約の更新に対して抱いている不安や疑問をFP2級を所持している弊社の馬場と一緒に考えていきます。この記事を読む事で、あなたは賃貸契約の更新に対する法的根拠や注意事項を詳しく知る事ができます。
賃貸契約の更新に対する法的根拠や注意事項を知って、あなたの不安解消に役立てて下さい。
1.契約時から個人事業主に職業が変わっていても、賃貸契約の更新はできる?
サラリーマンが独立して個人事業主になっても、法律的には賃貸契約の更新をすることは可能です。しかし、過去、大家さんに理不尽に追い出されたことがあるという話を聞いたことがあります。普通の賃貸借なら、法的にもそのようなことにはならないはずです。その辺り、深堀していきます。
万が一、大家さんに理不尽に追い出されそうになった時のために、賃貸契約を更新できる法的根拠を把握して反論できるようにしておく事が重要です。
2.契約時から職業が変わって個人事業主になっていても、賃貸契約の更新ができる理由
賃貸契約の更新が可能な理由は以下の3つです。
通常、借主には居住権がある
貸主と合意しなくても法定更新される
貸主が更新を拒むには相応の理由が必要
それぞれ詳しく解説していきましょう。
2−1.借主には居住権がある
厳密に言うと、居住権という規定は民法や借地借家法を探してもどこにもありません。しかし、借地借家法では賃借人の保護を目的とする法令が多くあり、簡単に借主を追い出すことは不可能です。この賃借人の保護を目的とした法令の総称を居住権とよんでいます。
2−2.貸主と合意しなくても法定更新される
更新には、合意更新と法定更新があります。合意更新とは、その名前の通り賃借人と賃貸人の双方が同意のうえで更新するものです。契約期間が終了するまでに合意更新か、合意解約が行われなかった場合は、法定更新されます。そのことは、借地借家法26条・27条にキチンと記載されています。
2−3.貸主が更新を拒むには正当な理由が必要
借地借家法28条には、賃貸人が正当な理由がない限り更新拒絶ができないことが記載されています。正当な理由とは、老朽化などで建て直しが必要な場合など急を要する理由だけを指し、余程のことがないと認められることがありません。仮に、認められた場合でも、立退料は必要になることが多いです。万が一更新することができない場合は、立退料を請求するのを忘れないようにしましょう。
3.契約時から職業が変わって個人事業主になった時に賃貸契約の更新をする注意点
あなたの職業が、個人事業主に変わっていても、賃貸契約の更新ができることは、ここまで書いてきた通りです。しかし、大家さんと揉めてしまうと、更新後も住みにくくなってしまいます。
そこで、賃貸契約の更新時に、大家さんと揉めない平和な更新のため、注意点をまとめましたので、1つ1つ確認していきましょう。
3−1.個人事業主になったことを貸主に伝える
賃貸契約書には職業の変化があった際は、大家さんか管理会社に連絡するように記載のある場合が多いです。ですから、更新時まで職業の変化を伝えないことはトラブルの元になりかねません。実際はほとんどの人が連絡していないと思いますが・・・。
そこで、余計なトラブルを避けるためには、個人事業主になった時に申告することが重要になります。
また、「職業が変わったことを伝えて追い出されたらどうしよう?」という不安も必要ありません。仮にトラブルになっても、先ほど書いたように、居住権があり追い出すことはできないので安心して申告するようにしましょう。
3−2.自宅を事務所にしている場合は賃貸契約書を確認する
個人事業主になった際に、自宅を事務所にすることはみんなが一度は考えることです。しかし、自宅を事務所にする場合は注意しないといけないことがあります。それは、居住用として賃貸契約を結んでいるので、事務所としての使用は禁止されていることがほとんどという点です。
賃貸契約書を確認して、事務所としての使用が禁止されている場合は、勝手に事務所として利用してはいけません。どうしても、自宅を事務所にしたい場合は、経緯を正直に伝えて大家さんに交渉するようにしましょう。
3−3.特約に更新料の記載があれば更新料を払う必要がある
更新料の記載が契約書にある場合は、更新料を支払う必要があります。そのことは、平成23年の最高裁の判決でも明らかになっており、疑いの余地がありません。もし、契約書に更新料の記載がある場合は、大人しく支払うことをおすすめします。
4.まとめ:契約時から職業が変わって個人事業主になっていても賃貸契約の更新はできる
これまで書いてきた通り、契約時から職業が変わっていて個人事業主になっていたからといって、賃貸契約の更新ができないことはありえません。しかし、更新ができないことはないからと大家さんと揉めるのは気持ち的にもよくありませんし、更新した後に住みにくくなってしまいます。
その為、あなたも大家さんも気持ちよく同意更新ができるように、先ほどあげた注意点をしっかり押さえるようにして、契約を進めて下さい。ちなみに、これまで連帯保証人を使っていた方向けに弁護士さんと話、念のため。
>>【元弁護士と考える】今春の民法改正で、連帯保証人をお願いできなくなる?(その1)
>>【元弁護士と考える】今春の民法改正で、連帯保証人をお願いできなくなる?(その2)
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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