B.豆知識(相場、法律)

内見後に急かされ入居申込。後から罰金無しでキャンセル出来ますか?

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の管理や住まいのトラブル解消を担当している不動産鑑定士補兼賃貸不動産経営管理士の相樂です。

先日、目黒区のお部屋を内見され、入居申込を入れたいと言う女性の方から、「後でキャンセルって、出来ますか?」と聞かれました。

そこで、今回は同じく、宅地建物取引士兼防犯設備士の馬場と一緒に引っ越し経験が2回以下の方向けに、お部屋の内見後、入居の申し込みを入れたけど、キャンセルしないといけない場合、ペナルティは発生しないのか、そして、いつまでなら、キャンセル出来るのかについて、説明しました。

私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、部屋探しを経験された方、累計6,700人超にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

そこで、今回はアンケートの結果も踏まえ、いくつか部屋の内見を行い、お部屋の申し込みをしたものの、仕事や家族の関係でキャンセルせざるを得なくなってしまった場合、後々、トラブルにならないため、法的・人情的にはどう対処すればスムーズにいくかについて、説明します。

1.入居申込後のキャンセルはそもそも可能か?

実は、不動産取引に伴うクーリングオフに関して、消費者契約法の中にクーリングオフは入っていいません。色々な法律に細かく解約の規定が入っています。なお、クーリングオフ自体は特定商取引の際に該当し、その適用可否は相手や場所、時期がポイントになっています。

通常、気になるお部屋の内見をさせてもらった後、特に問題がなければ、入居申込に進みます。具体的には以下の通りです。

・氏名や住所、勤務先、年収などを記した入居申込書の記載

・必要に応じて、身分証明書や収入証明書など各種証明書の提出

家賃保証会社や貸主さん、管理会社に、”入居者としてふさわしいかどうか”の審査をしてもらいます。その後、審査に通ったら、重要事項説明や契約という段階に進みます。

ここで、入居申込はいつまでなら、キャンセルは可能なのでしょうか?

よく聞かれる内容なので、先の女性のように、気になっている方は少なくないと思います。結論を先に言えば、契約や入金前であれば、負担なく、入居申込のキャンセルは可能です。

つまり、契約前で申し込みだけなら、キャンセルが出来ます。

2.入居申込をキャンセルすることになってしまう事情

賃貸マンションで入居申込をキャンセルすることになってしまう事情としては、どのようなものがあるのでしょうか?実際に実務でお部屋を案内していると、下記にようなケースを見聞きすることがあります。

2-1.もっといい部屋が見つかった

あるお部屋に入居申込をしていたが、後からより条件のよいお部屋が見つかった。できれば、そちらに切り替えたい。

2-2.希望の部屋が空いた

あるお部屋に入居申込をしていたが、別の不動産会社さんから「希望されていたお部屋でキャンセルが出ました」と連絡が入った。できれば、そちらに切り替えたい。

2-3.後から考えるとダメだった

とっても理想的なお部屋だったので、ほとんど勢いで入居申込をした。しかし、「家賃が高い」という理由で家族に猛反対された。

2-4.引っ越しする必要がなくなった

あるお部屋に入居申込をしていたが、突然、引越し自体がなくなってしまった。

例えば、以下のようなイメージです。

・転勤の話がなくなった

・大きな病気が発覚して引越しどころでなくなった

3.原則、契約前であれば申し込みはキャンセル可能

繰り返しになりますが、入居申込のキャンセルは可能です。なぜなら、賃貸のお部屋の契約は契約書にサインをしてはじめて成立するからです。もちろん、頑張ってお部屋を案内してくれた担当者さんの為にも、キャンセルがないに越したことはないのですが、契約書にサインする前の段階であれば、法律上、負担なく、キャンセルをすることができます。

既述の通り、賃貸マンションの場合、クーリング・オフが無いため、契約後には損失なく、キャンセルができません。その為、もし、契約してしまった場合には、そのお部屋に住んだ前提で「解約」という扱いになります。

消費者契約法が適用されても、特定商取引に伴うクーリングオフは適用できません。もし、借主が一方的に不利な内容であれば、内容が無かった事に出来る(10条)がありますが、契約自体を無効にするクーリングオフは適用されません。

すなわち、キャンセルを申し出ても、仲介手数料や短期解約の違約金が発生したり、礼金や仲介手数料など一部の初期費用が返金されなかったりします。その為、契約や支払いは特に注意して、行ってください。

ただ、民法では契約が無くても、口答で承諾すれば、契約した事になってしまいます。その場合、不動産会社やオーナー側がキャンセルされたことによる、損失を明確にしない限り、請求されることはありません。

4.具体的にどうキャンセルすれば、揉めないのか?

入居申込後にキャンセルをしなければならない状況になってしまった場合、どのような対応をすればよいか?後でしつこく営業されないため、重要なポイントを2点ご紹介します。

4-1.早めに担当にその旨を連絡をする

入居申込のキャンセルをすることになった場合、早めに連絡をして下さい。入居申込をすると、貸主さん側は、

・広告や募集の差し止め

・契約関係書類の作成や発送

などを行うことがあります。その為、連絡が遅くなればなるほど、無駄になってしまうことが増えます。申し込み後のキャンセル連絡はどうしても気負いしてしまうものですが、「相手の負担を減らすため」と考えて、早めに連絡をしてあげて下さい。

4-2.感謝と謝罪の気持ちを表す

キャンセル連絡の際、感謝と謝罪の気持ちを表すようにしましょう。

・お忙しい中、対応してくれた

・家賃の値下げ交渉に応じてくれた

などといったことがある場合、その点についても言及した上で、感謝と謝罪の気持ちを表すようにしましょう。電話の方がベターですが、メールでも大丈夫です。ポイントはなるべく早く、気持ちを込めて、連絡してあげる事です。

5.入居申込後、トラブルにならないキャンセルの方法まとめ

今回は過去の実際に聞かれた、賃貸マンションへの入居申し込み後のキャンセルについて、整理しました。トラブル相談でも稀に、申し込み後にキャンセルしたい。でも、出来るのか?について聞かれます。アンケートではその件で担当者とトラブルになっているケースもありました。

安易な契約などで損することが無いよう、契約までキチンと準備し、支払いや捺印をするようにして下さい。以下、今回のまとめになります。

5-1.入居申込をキャンセルすることになってしまうケース

―他に条件のよいお部屋が見つかった

―他に希望していたお部屋でキャンセルが出た

―家族に反対された

―引越し自体がなくなった

5-2.入居申込のキャンセルは可能(契約後はキャンセルができず、解約扱いになるため、要注意)

5-3.キャンセル連絡は早めに行う、感謝と謝罪の気持ちを表す

6.内見時の確認・チェックリスト

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。ご紹介した内容が将来の失敗やトラブルを防ぐ一助となったら、嬉しいです。『内見時にどこを確認すれば良いか』もよく聞かれます。

これまでの失敗談を参考に無料で使えるものを作りました。ぜひ、内見時に使ってみて下さい。6,700件の失敗談を基に作った内見時のチェックリストはこちらのページです。人気のある他社の内見チェックリストも同様にまとめています。また、今回同様、最近、お客様に聞かれた「内見の申し込み後のキャンセルって、罰金ありますか?」についてはこちらのページにまとめました。

私たちは、2012年より地域に根付いた不動産屋として、住まいのトラブルに特化し、住宅ローンの返済だけでなく、騒音や隣人、契約トラブル等のトラブルを解決してきました。

現在、無料相談を実施しており、相談者の方には住まいの問題解決事例をまとめた冊子も無料で差し上げております。問題を早期に解決し、一秒でも早く、明るい毎日を取り戻して下さい。ともかく、ぜひ一人で悩まず、時間を無駄にしない様、早めにご相談ください。

これまで、8年間400件超の住まいのトラブルの相談を受けた中でもさまざまなケースがありました。ここに記載出来ない内容で困っている方もいると思います。

もし、あなたが現在トラブルに悩まされているのであれば、トラブルが大きくなる前にお近くの専門家に相談することをお勧めいたします。信頼できる先がすぐに見つからない場合、弊社の無料相談にご連絡ください。

これまで多くの住まいの問題を解決した経験や知識を活かし、あなたの力になれると思います。ぜひ気軽に無料相談までご連絡ください。

私たちは今後もあなたの大切な人生と平穏が守られますよう、6,700件を超える引っ越しの失敗談を基に住まいの問題解決のトップランナーとして、専門家と協力し、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法をレクチャーしてもらいました。最近流行っているカスタマイズ賃貸についても、こちらにまとめました。不動産トラブル専門の弁護士による、契約直後の事故物件発覚時の告知義務違反等の対応についてはこちらのページにまとめました。

遠方からの引っ越しをスムーズに行うため、内見から契約までの手順と必要な物をリスト化し、こちらのページにまとめました。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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