B.豆知識(相場、法律)

むかつくおとり物件、SUUMOを使った見分け方や内見前の注意点3選

六本木にある住まいのお悩み無料相談窓口、アリネットを運営している不動産屋、㈱リビングインで賃貸マンションのご紹介を担当している宅地建物取引士兼防犯設備士の相樂です。

1月、2月の無料相談で5件もおとり物件について、相談があったので、今回は急遽、むかつくおとり物件について、調べ方や注意点など説明する事にしました。ポイントは以下の通りです。

・電話連絡のみの業者

・来店強要する業者

一先ず、この2つに当てはまる業者はよっぽどのことが無い限り、依頼を止めておいた方が良いと思います。

もちろん、おとり物件の全てが不動産業者の故意によって掲載をされているわけではないため、今回はおとり広告になる種類や「おとり広告を見つけたときにはどうしたらいいの?」という質問に具体的な対策などをご紹介させていただきます。

ちなみに、弊社はトラブルを避けるため、来店不要・直接現地待ち合わせの為、むかつくおとり物件は扱いません。

1.そもそも「おとり物件」ってなに?

1-1.おとり物件とは、実際にはない又は契約できない架空の物件

おとり物件はアパートやマンションの賃貸物件に住んでいる人であれば、一度は聞いたことがあるフレーズではないでしょうか?他にも、「釣り物件」というふうにも言わることもあります。

現在、賃貸物件をお探しになるお客様はインターネットからの問い合わせが80%以上というデータも出ており、不動産業者同士でアピール合戦をして顧客の取り合いという状況になっています。

多数の競合の中から少しでもお客様からの問い合わせをもらう確率を上げるためには、“物件の豊富さ”と“魅力的な物件があるかどうか”がカギになっています。

この「おとり広告」とは、存在していない物件や取引する意思がない物件にも関わらず、「賃料が安い」、「設備グレードが高い」、「好立地」、「築年数が新しい」というお客様が飛びつくような情報を“エサ”にして問い合わせしても、違う物件を提案するという手法のことを言います。

1-2.なぜ、スーモに「おとり物件」はあるの?スーモにはおとり物件が多く掲載されている?

実務上、お客様と面談をしていると、「スーモっておとり広告多くないですか?問い合わせしても埋まっていることが多いです」というご相談をよく受けます。

スーモを擁護するわけではありませんが、もちろんスーモの会社自体が「おとり物件」を推奨しているわけではありません。

賃貸物件をたくさん掲載しているポータルサイト、スーモの他にもホームズ、アットホーム、CHINTAIなど多岐に渡りますが、おとり物件をあえてたくさん載せて反響を獲得していたとしても、競合するポータルサイトと比較した時の評判が悪くなり、お客様からスーモ自体の利用を敬遠されることも考えられます。

おとり広告が多く掲載されていると感じてしまうのは、そもそものスーモの物件掲載数が「多い」という点も挙げられると思います。

1-3.おとり物件は違法?おとり物件は法律によって禁止され、厳しく取り締まるのはスーモにとってデメリット?

もちろん、「おとり物件」は違法です。

これは公正取引委員会の「景品表示法第5条第3号」の規定に基づく『不動産のおとり広告に関する表示』では、以下に該当する不動産の表示を禁止しています。

① 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例:実在しない住所・地番を掲載した物件)

② 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例:売却済みの物件)

③ 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例:希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)

引用元:消費者庁

先ほどもお伝えした通り、スーモの立場で「おとり広告」を推奨するはずはありません。

しかし、スーモなどの「ポータルサイトは1件の広告枠を単価いくらで購入してネット掲載をする」という営業スタイルで展開されているため、スーモに限らず物件数はたくさん載せてもらったほうが儲かる仕組みになっているので、厳密に取り締まれていないのも理由の一つだと思います。

この件に関し、最近、面白いニュースがありました。

(公社)首都圏不動産公正取引協議会が2022年1月26日に第10回「インターネット賃貸広告の一斉調査報告」を発表しています。

この調査目的としては、近年の「おとり広告」件数が上昇しているため、排除していこうということから始まっています。

2012年には大手4社が結成した“ポータルサイト広告適正化部会”というものがあり、これは皆さんご存知のポータルサイトで、アットホーム(アットホーム株式会社)、CHINTAI(株式会社CHINTAI)、LIFULL HOME‘S(株式会社LIFULL)、SUUMO(株式会社リクルート)が運営している、監査役のような組織が結成されています。

今回の調査はこのポータルサイト広告適正化部会がデータを提供してもらって行なっています。また、調査期間は2021年11月〜2021年12月の2ヶ月間、上記4サイトに掲載されていた賃貸物件の中から一定のロジックで契約済みの「おとり広告」の可能性が極めて高いとされる401物件を抽出して47店舗に調査を絞っています。

調査の結果、401物件のうち47物件(11.7%)がおとり広告と判明しており、事業者別での調査では47店舗のうち17店舗(36.2%)がおとり広告と認められています。

このポータルサイト広告適正化部会が指摘しているのにも関わらず、幾度も更新を怠った不動産屋は悪質な業者として見なされて、スーモやホームズ、アットホームなど大手賃貸物件ポータルサイトに1ヶ月間、広告掲載できなくなるという罰則があります。ビジネス的な制裁で結構優しいですが・・・。

しかし、こうした動きがある中でも「おとり広告」がなくならないのが現状です。

あくまで対策は講じているものの「おとり広告」をゼロにすることはできていません。まだまだ“パフォーマンス的”な意味合いでの部会結成のような感じがするので、今後の動きに期待したいところです。

1-4.スーモのおとり物件撲滅の対策

スーモでは「おとり広告」に対して、以下の3つのルールを徹底することで撲滅しようと考えています。それぞれ順にご紹介していきます。

1-4-1.1週間ごとに物件情報の更新

スーモは利用する事業者に1週間ごとの更新を推奨しています。賃貸物件の場合はお申し込みから物件の引き渡しまでが1週間で終わるケースもあり、1週間放置されている物件は既に埋まっている可能性が高くなると考えられるためです。

さらに、2週間の間に何も更新がされないままだと、勝手にネットの掲載から落とされる仕組みを導入しています。「管理会社に空室状況を問い合わせしない限り更新ができない」という状況を作り出しています。

この仕組みは不動産会社にとってみると、大変面倒な作業ではありますが、「おとり広告」を排除するという目的においては理にかなっていると思います。

また、スーモの更新・反映時間というものも設けられているため、ネット掲載している業者が「即入居」で募集していたとして、「入居中」だと気付いたタイミングで変更したとしても、以下のタイムスケジュール通りで更新がされるため、注意が必要です。

〜〜スーモの更新時間〜〜

①24時〆 →  翌9時反映
②11時〆 →  15時反映
③15時〆 →  18時反映
④19時〆 →  22時反映
*スマホサイトやアプリをご覧になられる場合は、さらに2時間ほど遅れます。

このように1日4回の締め切りと反映時間が組まれているため、ネットの情報であっても全てがリアルタイムの情報ではないため、注意してご覧ください。
*スーモはおとり物件の割合が高いと言うわけでは無く、参考に数字を使っています。

1-4-2.広告ミスをした業者には罰則ポイントが付く

これは「おとり広告」に限った話ではありませんが、広告の内容に誤りがあった場合は、罰則ポイントというものが蓄積される仕組みになっています。

一定ポイント数については公開されていませんが、この基準ポイントを超えた場合においては「掲載停止」という重い措置が下されます。

実際に、私も掲載停止になった業者を見たことがあり、そのシステムが裏できちんと稼働していることに驚きました。違反のポイントが貯まっていくという仕組みはなかなか珍しくて怖いですね。

1-4-3.スーモに載っているおとり物件を通報する方法

もし問い合わせをした物件が「成約済み」や「存在しない」ことが分かったら、スーモの通報機能を利用してみてください。

通報用のページがありますので、下記にリンクを貼っておりますので発見された際にはご活用ください。

スーモ通報ページ

通報する時間も1~2分もあれば簡単にできますので、せっかく問い合わせしたのに騙された!と思ったら通報してみてください。

元々はエンドユーザー向け(お客様)の通報システムなのですが、最近は競合他社が直接通報をしている場合もあります。

不動産業者同士で潰し合う必要があるほどにこの業界はレッドオーシャンになっているということが分かりますね。不動産業者がなりすまして通報ができるレベルなので、個人情報は必ず守られます。

契約まで進めてしまった!担当者さんには良くしてもらったから、通報したのがバレたらどうしよう!と思う必要はありません。「通報」という言葉だけ見ると、ちょっと引いてしまうと思いますが、単なる「報告」だと言い換えればいくらか気は楽になると思います。

2.おとり物件は2パターンに分かれる

2-1.悪意でおとり物件を広告しているパターン

これは本当に悪質なケースです。実際に存在しない、架空の物件を作り上げて問い合わせをもらうことは可能です。

しかし、土地勘がある人から見ると、“そんな物件は存在しない”ことがすぐにバレてしまいます。

「おとり広告」のよくある事例としては、実際に建っている物件で比較的築年数が新しい物件の値段設定を少し下げて募集するという手法です。

例えば、賃貸マンションの1LDK、築3年の物件で、賃料相場が9万円なのに7万円で募集しているというケースを想像してみてください。あなたがスーモで検索する場合、「間取り」「賃料」「エリア」などで絞って検索をします。

・・・が、検索結果を一覧で出したときに一番目立つのは手を加えた「おとり物件」です。

他は築年数が古いのに写真からして新しくて安い。比較をすると誰しも食いついてしまう物件を掲載して、問い合わせがあったときに、

「ちょうど今申し込みが入っておりまして・・・」

「鍵を他の業者に貸し出しをしていて、すぐに内覧ができません・・・」

「売主様から金額変更の依頼を受けておりまして・・・」

と何かしらの理由をつけ、紹介することを拒んできます。そして、ここから常套句が始まります。

「お問い合わせいただいたような〇〇物件のようなマンションは他にも取り扱っております。一度、ご来店いただきお話しさせていただけませんか?」

これは、後述する不注意でそうなってしまっているパターンもあるため、一概にこうだと断定はできません。しかし、悪意を持って「おとり広告」をする業者さんはこのパターンが多いので、頭に入れておくだけでも予防できるかもしれません。

弊社は信用を落としたくないのでおとり物件を使った営業はしません。来店強要もなく、現地集合・現地解散が基本です。他にも、誠実保証付きで虚偽内容を基に契約したら、仲介手数料は一切頂きません。

2-2.不注意でおとり物件になってしまうパターン

不注意でおとり広告になってしまう多くの原因が“契約してから2週間以内”という事例です。

故意に契約済物件を載せているというよりも、大半は削除忘れや先ほどお伝えしたネット掲載にいたるまでのタイムラグによる掲載が原因だと考えられます。2週間以内とは?この内容を説明します。

賃貸住宅は、管理会社やオーナーから物件斡旋の依頼を受けた複数の不動産業者が広告活動をすることが多く、この広告活動はネット広告の他に紙媒体のチラシやフリーペーパーなども含みます。

管理会社は1社ですが、5社の仲介業者に募集活動をお願いすると、1〜2週間に1度は電話やメール、FAXなどの手段で「まだ空いているか?」、「賃料など募集条件に変更はないか?」ということをヒアリングされるようになります。

例えば、5社のうち、1社が管理会社と定休日や案内の都合で確認ができなかったとすると、その1社のみが1週間の確認が遅れてしまいます。

賃貸物件を取り扱う不動産業者は特に業務量が多いため、一度ヒアリングができないままズルズルと放置されるケースも多くあります。そして実際の問い合わせをする必要があったその物件は契約済みになってしまっていたために、「おとり広告」と認められるということもあります。

スーモとしても、一定数のポイントが蓄積されてしまった業者を掲載停止処分にして、物件を一切公開できなくするという手段は至って簡単ですが、お客様が選べたはずの物件がネット公開できない、選択肢を狭めてしまうマイナスの効果が働いてしまうというデメリットもあります。

3.おとり物件を載せる不動産屋の特徴

おとり物件を悪意で掲載している業者の場合、以下のようなケースが当てはまります。

「おとり」というエサに食いついたお客様ですから、業者もできるだけアポイントを取ってお申し込みに繋げたいはずです。今回ご紹介するようなケースがいくつか該当したら、「おとり広告」の特徴に当てはまるかもしれません。

3-1.電話でしか連絡できず、来店を急かしてくる

これは「おとり広告」の典型例です。絶対に避けた方がよい不動産会社です。釣り上げた魚は早く捌いて食べてしまうのが一番美味しいですよね。

メールではなく電話という点は証拠を残さないためにも利用されるケースが多いです。

わざわざ電話を録音して保存する人は珍しいですが、メールだといくつか証拠が集まってしまうとすぐにバレてしまいます。あえて電話と手段を利用して「まずは来店」してもらってから営業を始めるというスタンスが多くみられます。

3-2.内見時に現地待ち合わせをさせてくれない

もちろん物件は「おとり」なだけであって、実際の募集条件を異なっているわけですから、現地で待ち合わせをして物件を見せるということは絶対にしません。

賃貸物件を案内する営業手法として、現地待ち合わせの案内だと、お客様の好みの物件を選定できないまま案内に行くことになり、余計に時間を要するということを考えて、先に来店を促すというケースもありますが、今回のようなおとり広告をする業者にも当てはまります。

来店強要する不動産会社もよっぽどのことが無い限り、やめた方が良いと思います。

3-3.店頭の貼り紙が色褪せていて古い

色褪せている、古いというキーワードから容易に想定できると思いますが、更新ができていない証拠です。賃貸物件は短期間の賃貸借であっても、複数人から借りてもらうことでオーナーには収益が入ってきます。そのため、物件が1年や2年も空き続けているというケースはあまりありませんし、特にいい物件なのであれば空き予定が出たタイミングで埋まってしまうこともあります。

色褪せていたり、古い物件が掲示されていたりする場合には、こんな物件もあったのだと一つの物件知識として押さえる程度にしておいてください。

3-4.違法な路上看板を出している

これは言語道断ですが、道路交通法で「何人も交通の妨害となるような方法でみだりに道路に置いてはならない」と定められています。

それこそ道路工事や役所の調査などの公共事業を行う場合にも事前に申請を出して許可を得てから路上看板を設置するという流れになります。そもそも明らかに違法だと思うような看板を出していても、この業者は大丈夫かな?と反射的に感じ取ることができれば問い合わせをするに至らないかもしれません。

不動産業者も、実際にお客様と相対するのは一人の営業マンです。このようなことを許す会社であれば、きっと契約中にも何かしらの問題が出てくる可能性もあります。不動産を選ぶときには担当者もしっかりと見極めることが、失敗しない家探しの肝になってきます。

4.スーモに掲載中のおとり物件の見分け方

4-1.家賃が相場よりも安すぎる

まずは釣り糸に付けるエサをより豪華で魅力のあるものにするために一番手っ取り早い方法が、相場よりも家賃を下げてみることです。

相場よりも下がっているのには何かしらの原因があります。近隣とのトラブルがあった、室内で事故や事件があったなどと理由は様々です。

しかし、条件が良くて安いは一度俯瞰的に見て、安全かどうかを確かめる余裕は持ったほうがいいと思います。

4-2.現地集合の内見を拒否される。内見は現地待ち合わせ可能か聞いてみる。

存在しない、もしくは募集条件の違う物件を案内に行ったところで、契約には至りませんから現地案内は断固拒否されます。

店舗に行ってから内見をしなければならないというルールはないため、現地待ち合わせを断られても少し粘ってみましょう。

「仕事が忙しくて店舗に伺えません。現地待ち合わせできますか?」や「日程的に難しいようだったら他社さんに相談してみます。」と言ってみると効果的だと思います。

4-3.登録日(更新日)が古い物件

ネットの登録日が1ヶ月以上前であれば、まだその物件は募集しているのかを疑ってみてください。

特異な物件が好きという理由がない限りは、自分がいい物件だと思う物件は必ず他の人から見てもいい物件であることに間違いありません。

そんな物件が1ヶ月以上放置されていることはおかしいのかな?と疑問を持つと分かるかもしれません。

4-4.初期費用の明細が書いていない

賃貸物件を借りるときには、「鍵交換代金」「火災保険料」「保証会社費用」「安心サポート」「消毒施工」「入町費」「水道代」などと「家賃」「管理・共益費」「敷金・礼金」以外にも発生する費用がたくさんあります。

ここの情報があやふやで、「詳細はスタッフにお尋ねください」とだけ書いてある場合もおとり広告であると言えます。他社と同じ物件が並んだときに、一方には初期費用がみっちりと書いてあるのに対して、もう一方には何も書いていない。

・・・ということは費用がこっちの業者は不要なのだと、誤解をさせてしまいます。この手法を悪意でやっている業者もいますので、注意して見てみてください。

4-5.募集広告に「物件名」が表記されていない

これはなぜ物件名を載せていないのか?ということに疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

この対策としてはインターネットで検索したお客様が勝手に現地に行ってウロウロするのを防ぐためであったり、不動産屋に物件の特定をさせないという理由があったりします。

物件名の他にも住所を町名までで留めておき、番地は伏せておくというケースもあります。

4-6.物件情報に「仲介先物」と表記されている

「先物(さきもの)」という言葉はご存知でしょうか?不動産の業界用語で、“売主から直接依頼された業者から紹介を受けた物件ですよ”ということを意味しています。

ですので、間に複数人絡んでいると報連相のタイムラグで若干遅れていても不思議ではありませんよね。

「業者さんからご紹介をいただいている物件ですので、確認して折り返しさせていただきます。」

ここからの営業トークとして、「〇〇エリア、〇〇円ぐらいでお探しなんですか?」という切り返しかたで営業をされるケースも少なくありません。

4-7.物件の画像がない又は、使いまわしで画質が汚い(不動産に愛情がない)

賃貸物件の数は市場によっては非常に多く、1件撮影するだけでもかなりの時間と労力を要します。

簡単に流れをお伝えすると、

① 空室状況を尋ねて、鍵の手配をする。

② 移動して物件に向かう

③ 外観や内観を撮影する
*ブレーカーを上げたり、物がある場合はどかしたりする手間もあります。

④ 戸締まりと消灯の確認を行い、鍵を直す

⑤ 会社に戻る

ざっと羅列して書きましたが、こんな感じで簡単ではありません。場所によっては1物件1時間ということもザラにあります。このような時間をかけて撮影を行うと、自然と愛着が湧くものです。

本題に戻りますが、物件の画像がないこと、使い回しになっていることに関しては単純に人の手が足りていない場合もあります。悪質なのは、リビングの画像を入れる場所なのにも関わらず、関係のない周辺施設の写真を掲載している場合です。

スーモの場合は画像をどれだけ多く入れられたか、間取り図は入っているか、外観画像はあるか、キャッチコピーがあるかなどの基準をクリアして初めて、ネット掲載で上位表示される権利を取得するといった仕組みがあります。その土台に乗るためにわざとそのように掲載をしている業者もあるようです。

4-8.賃貸サイトで1社しか、掲載していない

人気物件をポータルサイトから反響獲得をするのがごく普通のスタイルなのですが、1社しか載せていないということは2パターン考えられます。まず一つは、クローズ物件と言って他の業者には仲介させませんよ!という閉鎖的(クローズ)な環境で募集を行うということです。

管理会社によっては、仲介はここだけに任せているから他の仲介業者からの紹介はNGということもあり得ます。そのため、ネット掲載が1件しかない状況になるというものです。もう一つのケースは、「ザ・おとり広告」です。この場合は、「ジ・おとり広告」というべきなのでしょうか?(笑)

脱線しましたが、他の業者は定期的に空室状況の確認を行なっているため、徐々に掲載している業者が無くなっていったのにも関わらず、更新をしていないために一つの業者だけが掲載しているといった状況です。

4-9.定期借家契約になっている

賃貸物件の契約は2種類あります。1つは期間の定めがない「普通借家契約」と、もう一つが期間の定めが決まっている「定期借家契約」というものがあります。

定期借家契約の場合は、定めた期間をもって当然に契約が終了するという契約になるため、例えば、1年間家賃は相場より2万円低い家賃で募集するけど1年後には出てくださいね。と、こんな具合になります。

不動産に勤めている人であれば、知っていて当然の不動産用語ですが、不動産を初めて契約する、2〜3回目の引越しでそこまで慣れているわけではないという方はあまり違いを知らないことが一般的です。

何も知らないお客様は「こんな安い物件があるのだ」と嬉々として問い合わせをされるので、喜んで店舗に足を運びますが、来店と同時に定期借家契約は大変ですよというデメリットを吹き込まれて、別の物件を紹介されるというケースです。

これは営業手法にもなるかもしれないため、悪質とは言えませんが気をつけたいポイントの一つですのでご紹介させていただきました。

5.おとり物件に騙されない方法・おとり物件を見つけたときの対処法

ここまで、これまでの経験を基におとり物件について、色々と書いてきましたが、最後にダマされない、見つけた時の対処について説明していきます。

5-1.賃貸物件の検索サイトでおとりっぽい物件を見つけた

ネット検索をしているとお客様自身で目が肥えてきて、これはおとり物件じゃないのか?と分かるようになってきます。

これは怪しいなと感じた場合には、前述した通報のページに遷移してから必須項目を入力して見てください。案外簡単に通報が完了するので、気軽に処理できるのは魅力です。

5-2.不動産屋の店舗でおとり物件を見つけた場合

その場では指摘しないようにしてください。と言うのも、慣れないうちに下手に指摘をすることで担当者の対応がガラッと変わり、不機嫌な態度になることがあるようです。

私のお客様から聞いたお話ですが、急に態度が変わって怖かったという相談を受けたことがあります。このケースの場合も、一度家に帰ってから通報をすることをオススメします。

5-3.おとり物件は内見時の現地集合で回避可能

これもおとり物件に合わないための手段として非常に有効です。

「この物件見れますか?」という質問に対して、何かしらの理由を付けて断られる場合は、日程の変更を促してみたり、仕事の事情で店舗に伺うことが難しいという理由を付けたりして、無理やりでも現地待ち合わせをしてみるようにしてみてください。

6.おとり物件の見つけ方や対処方法まとめ

不動産業者は1〜4月にかけて入学や入社、異動などのシーズンと重なるため繁忙期を呼ばれるシーズンに入ります。この時期は、5〜12月の閑散期と比較して物件の入れ替わりのタイミングが非常に早くなるため、更新が追いつかないケースが非常に多くなると考えられます。

繁忙期に引越しをされる場合、早めの不動産会社にお問い合わせをされることをオススメします。特に、繁忙期でのお引越しをされる場合には、事前に接客を予約することをオススメします。

あらかじめ、鍵の手配ができたり、条件を絞ることができたりするのでスムーズな案内が可能になります。少しでもいい立地でお得な物件に住みたい!と考える気持ちはお探しされる方皆さん共通しています。

その為、その心理を逆手に取るようなおとり広告に引っかからないよう、今回の内容が少しでも次のお部屋探しのお役に立つことができれば幸いです。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

年末に引っ越し前後のお手続きも含め、オンライン内見でも担当者に確認してほしいポイントを共有できるチェックシートをリニューアルしました。

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今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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