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こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで住まいのトラブル相談・提案を担当している不動産鑑定士補兼住宅診断士の相樂です。
単に安い住宅を追求し、探すのもいいですが、アベノミクスを踏まえ、都心の物件は高騰し、ちょうどいい物件を購入するのが非常に難しくなっています。
私たちは2013年の設立以降、契約条件の改定や再開発等のネタがある物件をお客様のラインプランに併せ、オーダーメイドで物件をご紹介し、購入して頂きました。
ここでは、購入後もローン返済が比較的安心でき、万が一の場合も売却し、住宅ローンを完済できうる東京の再開発について、統計データを用い、実際に現地に行き、レポートにまとめています。
最近、再開発の記事を読んでいると、ネットで調べた情報をまとめているだけでは?と思えるものもたまに見かけようになりました。私たちは、街を実際に歩いて、気分が乗らない駅は記事にまとめず、今後の展望がイメージできる駅を中心にまとめています。
今回は、再開発が動いている虎ノ門駅について、その人口やマンション単価、犯罪発生件数等の定量的なデータを基に情報をまとめました。
*虎ノ門ヒルズビジネスタワー(左)と虎ノ門ヒルズ森タワー(右)
1.虎ノ門駅、はじめに
東京メトロ銀座線虎ノ門駅は、港区の北に位置する都内有数のオフィス街で、森ビルが開発した虎ノ門ヒルズは2014年6月に開業し、虎ノ門を代表するランドマークとなりました。
また、森ビルが建設費の半分を負担する「請願駅」の形で、2020年6月に虎ノ門ヒルズ直結の「東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅」が暫定開業しました。
さらに、「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」1階には、豊洲や東京ビッグサイト、羽田空港へのバスが発着するバスターミナルが設置されています。現在プレ運行中で、2022年本格運行開始を予定しています。
ビル、新駅、バスターミナルの開業と、虎ノ門エリアは昔ながらのビジネス街から大型開発計画が目白押しの進化した街に生まれ変わりました。
1-1.虎ノ門駅で女性会社員が切り付けられる事件も
ただ、このように東京の中でも一等地として知られ、大手企業や国家機関なども集中する虎ノ門駅周辺ですが、2019年に東京メトロ銀座線の虎ノ門駅構内で、30代の女性会社員が何者かに刃物で足を切りつけられるという事件も起きています・・・。
1-2.「住みたい街ランキング2021」はランク外
続いて、リクルートSUUMOが毎年発表する「住みたい街ランキング2021」を確認してみると、170位の中に虎ノ門はランクインしていませんでした。そもそも、住宅地のイメージがないのかもしれません。
1-3.「2020年変貌する街BEST20」の第3位に!
*The Okura TOKYO
2020年1月に放送された地域密着系都市型エンターテイメント番組『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)()では、「2020年変貌する街BEST20」の特集で3位に選出され、新駅「虎ノ門ヒルズ駅」の誕生や、進行中の再開発「虎ノ門・麻布台プロジェクト」、2019年9月に建て直された名門ホテル「The Okura TOKYO」が紹介されました。
この記事では、大型再開発が進行中の進化を続ける虎ノ門駅周辺を実際に歩いて、周辺の利便性や将来性、街の特徴について可能な限り詳しく解説していきます。マンション等、虎ノ門駅周辺の不動産購入を検討している方は最後まで読み、参考にしてみて下さい。
>>買って10年、再開発で有名な豊洲のマンションの売却事例を基に、「住宅ローンが残っていても自宅を売却できるのか?」についてまとめました。
2.東京、虎ノ門はそもそもどのような都市か?
*虎ノ門駅
2-1.虎ノ門他3駅との年収の比較について
まず、虎ノ門駅と神谷町駅、六本木一丁目駅の年収別世帯数の割合を比較してみました。虎ノ門駅は、他の駅に比べ、年収1,000万~1,500万の世帯が最も多く、13.7%程度を占めることがわかりました。
また、年収500万円~600万円未満の世帯数が全体の9.1%を占め、他の駅より高いことから、非常にゆとりのある世帯と中間層の世帯から人気があることがわかります。ちなみに、年収200万円未満の世帯数は他の2駅と比べて低くなっています。
2-2.虎ノ門他3駅との世帯数比較について
上記は、虎ノ門駅と徒歩15分圏内の神谷町駅・六本木一丁目駅の世帯数を比較したグラフです。
2-2.で比較した年収のグラフと、上記のグラフから、虎ノ門駅は他の駅と比べ、高収入の単身世帯が多いことがわかります。虎ノ門にある大企業や国家機関で勤務するビジネスマンが、オフィスへのアクセスを重視していると考えられます。
しかし、再開発計画による大型マンション建設の影響で今後は単身者より2人、又は家族世帯の増加が予想されます。
3.虎ノ門は治安が良いイメージがあるが実際は?
*参考:愛宕警察署
上記のグラフは、エリアを管轄する愛宕警察署が発表した、過去5年間における刑法犯の推移です。既述の通り、治安が良いイメージの虎ノ門ですが、刑法犯・粗暴犯ともに犯罪件数は年々減少傾向にあり、2020年には大幅に件数が減少しています。
港区では、全国初の取り組みである「minatoフラッグ制度」を実施しており、客引きや路上看板の対策などを推進し、安全・安心な街を目指しています。
4.虎ノ門の再開発はいつから?今後、どこに向かうのか?
*虎ノ門ヒルズビジネスタワー エントランスの様子
総事業費は六本木の2倍といわれる虎ノ門駅周辺の再開発ですが、2014年「虎ノ門ヒルズ森タワー」の竣工によって、羽田空港への直行バスが運行開始され、新駅「虎ノ門ヒルズ駅」と併せて交通の要所として存在感も増しました。
また、2019年12月に竣工した「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」はすぐに満床になっています。
このように、順調に進む大型再開発ですが、プロジェクト自体はまだまだ進行中です。
実際歩いて見た中で、注目したい再開発地域をピックアップして説明します。
4-1.虎ノ門・麻布台プロジェクトについて
*虎ノ門・麻布台プロジェクト 開発現場の様子
開発を進める森ビルのHPを確認すると、「圧倒的なスケールとインパクトを誇る“ヒルズの未来形”」記載があります。
虎ノ門・麻布台プロジェクトのコンセプトは、“緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街 Modern Urban Village”です。進化した技術に裏打ちされた最先端の施設と、緑あふれる憩いの場が出現するのは2023年3月です。
また、入り組んだ地形の為、小さな建物が多く、老朽化が進んでいる道路や公園等インフラを整備し、防犯防災面においても都市機能の刷新を図っています。
4-2.(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワーについて
2023年7月竣工予定なのが、「虎ノ門ヒルズ駅」と一体開発する「(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー」です。
*虎ノ門ヒルズステーションタワー 開発現場の様子
この開発が完成すると、虎ノ門ヒルズエリアは、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」として、一気に国際複合都市へ進化します。
将来的には、グローバルに活躍する人材がこのエリアに住み、文化やイノベーションが発信される場所になると期待されています。
5.賃貸物件の募集件数と価格動向の考察
続いて、虎ノ門ヒルズ駅(虎ノ門駅は未集計)周辺の過去の賃貸物件の募集件数や、価格推移を分析していきます。
5-1.募集件数の推移
虎ノ門ヒルズ駅周辺の賃貸物件の募集件数は、2021年から2024年にかけて一貫して減少傾向にあります。
特に、2021年の初頭には約2,000件を超えていた募集件数が、2024年には500件を下回る水準にまで減少しています。
これは、単身者を対象とした物件で顕著であり、カップルや家族向け物件においては、募集件数はさらに少なくなっています。
*参考:SUUMO賃貸経営サポート
5-2.募集平均単価の推移
*参考:SUUMO賃貸経営サポート
虎ノ門ヒルズ駅周辺の賃貸物件の募集単価は、単身者、カップル、家族で異なる動きを見せています。
2021年から2024年にかけて、単身者向けの募集単価は安定している一方で、カップルや家族向けの物件は変動が大きく見られます。
特に、家族向け物件の単価は2023年に一時的に急上昇し、その後も高い水準を維持しています。
カップル向け物件も同様に2023年に急激な変動が見られますが、2024年にかけては再び安定傾向にあります。
5-3.初期費用月数の推移
*参考:SUUMO賃貸経営サポート
初期費用月数に関しても、虎ノ門ヒルズ駅周辺では単身者向け物件が最も安定しています。
一方、家族向け物件は2023年にかけて初期費用が上昇し、その後も高い水準を保っています。
カップル向け物件は2023年に一時的に急落した後、再び上昇傾向にあります。
これらの動きから、家族向け物件においては初期費用の増減が激しいことがわかります。
5-4.募集件数と価格動向のまとめ
虎ノ門ヒルズ駅周辺の賃貸物件市場は、募集件数が全体的に減少している一方で、募集単価や初期費用月数は特にカップルや家族向け物件で大きな変動が見られました。
コロナ禍の影響や再開発の進行により、物件の供給と価格のバランスが変化していることが要因と考えられます。
特に、家族向け物件においては、今後も初期費用や賃料の変動が予想され、賃貸市場の動向を注視する必要があります。
6.虎ノ門はこれからも発展していくのか?
*虎ノ門ヒルズ駅
6-1.これまでの人口推移と人口予測
次に、各駅徒歩15分圏内の人口推計のデータを確認します。
上記のグラフは「国土数値情報(H30国政局推計)/国土交通省」のデータを、国際航業(株)が編集・加工した情報に基づき作成したグラフです。
データによると、どの駅も大きな変化は予測されず、近隣駅含め人口の減少が予測されない手堅いエリアであることがわかります。
*参考:港区役所
こちらは港区全体の人口推移を表したグラフです。2020年までは年々上昇傾向にあり、3000人近く増えています。
しかし、2021年は、コロナ禍による郊外需要や外国人の帰国が影響し、減少傾向にあることが推察されます。
6-2.各駅の乗降客数の推移は?
*参考:「国土数値情報(駅別乗降客数データ)」(国土交通省国土政策局・平成30年度)の数値を参考に作成
東京都交通局が発表している『各駅の乗車人員』のデータを基に、「虎ノ門駅」を利用する乗降客数の推移を考察していきます。
データによると、虎ノ門駅の乗降客数は2015年をピークに減少傾向にありました。しかし、2023年に駅周辺の再開発が完了したら、乗降者数は増加すると想定されます。
7.虎ノ門駅周辺はどのくらい値上がりしたのか?
7-1.虎ノ門駅周辺の地価公示を見てみると?
次に、虎ノ門駅の地価を確認していきます。以下のグラフは、商業地域に区分されている『千代田5-12(虎ノ門駅)』と近隣2地点のデータに基づき、2012年から2021年までの価格をグラフにしたものです。
虎ノ門駅周辺には住宅地の地価公示が無いため、商業地のみ記載いたします。
商業地の地価は、アベノミクスの影響もあり、2012年から2021年にかけて511万円/㎡(約53.8%)増加しています。
また、2014年に限ると、この年に完成した虎ノ門ヒルズの影響で66万/㎡も地価が上昇しています。
*商業地 『千代田5-12』の様子
7-2.虎ノ門駅周辺のマンション価格の推移は?
*虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー
ライフルホームズが発表している『住まいのインデックス』のデータを基に、実際の虎ノ門駅周辺の中古マンションや土地に関する価格推移を確認します。
まずは、下記のグラフをご覧ください。こちらは、2010年からの虎ノ門駅周辺の中古マンションに関する価格をまとめたものです。
*引用:ライフルホームズ
土地や戸建ての推移は分かりませんが、虎ノ門駅周辺の中古マンションの価格は2012年以降、今まで上昇傾向が続いています。グラフを確認すると、その上昇が一目で分かります。
直近の3年間に限れば10.67%上昇しています。今後も再開発の影響を受け、上昇基調になる可能性が高く注視が必要です。
7-3.ファミリー向けマンションの価格比較
このように堅調に推移している虎ノ門駅の住宅価格ですが、更にいくつかのマンションサイトを参考に、一般的なファミリー向けマンションの価格を調べてみました。一旦、ざっくり知るために築年数や最寄り駅までの距離は考慮外としています。
まず、大手仲介サイトであるホームズでは、直近3カ月間に募集を開始された物件を基に平均価格を出しており、70㎡前後の中古マンションの平均価格を8,830万円(417万円/坪)でした。
次に、新築マンションの相場に強い、マンションエンジンでは、平均価格13,405万円(739万円/坪)でした。
他にも、国土交通省の売買データを基に価格や相場を教えてくれるウチノカチでは、平均価格11,778万円(556万円/坪)でした。
最後に、AIを使った評価で業界を引っ張っているソニー不動産は平均価格10,258万円(484万円/坪)でした。ちなみに、どの相場も2021年11月時点の数字です。
上記を参考に、マンションエンジンの新築価格と、その他3サイトの平均価格(10,289万円)を単純に比較すると、中古マンションと新築では約30%もの乖離がありました。
他の地域も同様ですが、将来の家族構成や職場の変化などマンションの再販を踏まえ、個人的にねらい目だと思う、築10年程度の中古マンションを賢く購入する方が、万が一のことを考えると安心だと思います。
8.虎ノ門駅のある港区の地盤や災害時の影響は?
ここからは不動産を購入するうえで欠かせない、地盤や災害の影響について解説していきます。虎ノ門駅周辺はどのエリアが影響を受けやすいのか?そもそも災害の危険度が高いエリアなのかを確認していきます。
8-1. 地震情報サイト『JIS』が発表した『東京都港区・地域別危険度』
*参照:東京都【地域別危険度】|地震情報サイトJISを基に作成
虎ノ門1丁目~5丁目までを確認すると、虎ノ門5丁目が一番危険度の低い地域であることがわかりました。建物倒壊危険度、火災危険度共に以前より順位が下がっています。
ちなみに、倒壊・火災共に危険度が一番高い地域は虎ノ門4丁目でした。5丁目と比較すると、建物倒壊危険度は1.83棟/ha、火災危険度は0.07棟/ha高まります。
写真で確認する限り、しっかりしたマンションや高層ビルが建っています。
他のエリアに比べれば危険度は低く、そこまで神経質になる必要はないと思います。
8-2.港区作成の「水害ハザードマップ」
*参照:港区
虎ノ門1丁目~5丁目は、河川の氾濫による浸水に関して、区域外、内水による浸水は0.1m~1.0m程度の被害が想定される箇所があります。しかし、周辺含めて比較的水害に強いエリアであると言えます。
9.六本木ヒルズを超える再開発が2023年に完成!目が離せない「虎ノ門」
*虎ノ門・麻布台プロジェクト メインタワー(A街区)の様子
森ビルが「ヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだヒルズの未来形」と謳う虎ノ門・麻布台プロジェクトがいよいよ2023年に竣工し、更にステータスのあるエリアとなります。
メインタワー(A街区)の最上階11層(54階~64階)には、91戸の最高級住宅「アマンレジデンス東京」が誕生し、富裕層が集まることは間違いありません。
今までは仕事に燃えるビジネスマンの街といった側面が大きかった虎ノ門ですが、環境が整い、洗練されたグローバルなエリアとして生まれ変わる虎ノ門は、ハイスペックなファミリー層の取り込みも見込めるエリアです。
そのため、地価の上昇に関しても再開発完了後の展望が期待できると思います。
ライフプランや住宅ローンの完済年齢を踏まえ、不動産を探したい方へ
私たち、アリネットは2012年のスタート以降、オンラインを含めた面談を行い、お客様の状況や希望にあった不動産を一つ一つ丁寧に紹介するオーダーメイドなスタイルを取ってきました。
特に、2018年以降4年間は誰でもなんとかなったアベノミクスが終わり、次の五年、十年は『購入にあたって、街のストーリーが大切になる』と信じ、活動しています。
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相樂 喜一郎(株式会社リビングイン代表)
国立東京工業大学卒業後、JPモルガン証券、オリックスを経て、2012年より、不動産を持った個人のお客様をサポートする為、不動産会社、(株)リビングインを設立。居住用物件の賃貸・売買仲介やその管理を行い、現在に至る。8年間で300室以上のお引っ越しをサポートし、180件近い住まいのトラブルにも対応。1978年生まれ、趣味は読書と素潜り、フリーダイブ。
保有資格:不動産鑑定士補、宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、住宅診断士、ファイナンシャルプランナー2級、住宅ローンアドバイザー、防犯設備士、相続アドバイザー他
馬場 紘司(株式会社リビングイン共同代表)
有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。ファイナンシャルプランナーとして、お客様の現状と将来の目標を基に毎月の収支をエクセルで整理し、具体的な提案しています。
保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー他
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