オーバーローンでも財産分与は必要か?

自宅のローンが残ってても財産分与は必要?判例を基にした注意点は?

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで住まい、無料相談を担当している不動産鑑定士補兼宅地建物取引士の相樂です。

相楽、お客さまとの面談

今、担当している福島県にお住いの40代男性の事例を参考に、自宅の価値<住宅ローン残のオーバーローン状態でも財産分与は必要か?そして、裁判判例を基に、財産分与を行う時の注意点について説明します。

2013年以降の不動産価格の上昇で、オーバーローン状態にある自宅の住宅ローン返済中に、婚姻関係を解消する方の中には、コロナウイルスの影響か、離婚に伴うご自宅の相談も増えています。

その中で、「自宅がオーバーローンの場合、財産分与を行う必要がないって本当ですか?」と、聞かれることがあります。

話しが進んでくると、この質問を3人に2人ぐらいの方がしています。

本当に自宅がオーバーローン状態だと、財産分与を行う必要はないのでしょうか?

結論から言うと、残念ながら、財産状況によっては『離婚時に自宅がオーバーローン状態でも、財産分与を行う必要があります』

ただし、自宅がオーバーローンの場合、自宅に係る財産は財産分与の対象外だと考えられているため、他の財産を所有していなければ、財産分与を行う必要はありません。

自宅がオーバーローン状態で無理に財産分与を行なってしまうと、後々住宅ローンの返済や新生活に支障をきたす危険性がある上、夫婦間で揉めてしまう可能性もあるため注意が必要です。

このため、『どのようなケースなら自宅がオーバーローン状態でも財産分与を行えるのか?』や『自宅がオーバーローンの場合に財産分与する際の注意点』を事前に把握しておくことが重要になります。

今回は、『自宅がオーバーローン状態でも財産分与を行えるケース』について、『自宅がオーバーローンの場合に財産分与する際の注意点』や『離婚時に自宅がオーバーローンの場合に起こり得る夫婦間のトラブル事例と解決方法』を含めて詳しく解説していきます。

これから離婚を考えている方も含め、ご自宅を持っている方は最後まで読み、参考にしてみてください。

1.原則、オーバーローンの自宅は財産分与の対象外

自宅の財産分与

冒頭でも述べた通り、自宅がオーバーローン状態の場合、原則として自宅に関わる財産は財産分与の対象外になります。

と言うのも、法律上、資産(自宅や土地)よりも負債(住宅ローンの残債)が多い場合は、財産分与を行う必要がないと考えられているためです。

ただし、自宅がオーバーローン状態だからと言って、全てのケースで財産分与が不要な訳ではありません。

例えば、貯蓄や株式の売却金などで住宅ローンの残債を完済しても、財産が残るケースでは、財産分与が必要になります。

オーバーローンの場合、確かに資産より負債が上回るため、自宅に関わる財産分与は必要ありませんが、それ以外の財産では別です。

このため、離婚する際は、まず『自宅も含めてどのくらいの資産を保有しているのか』を明確に把握しておくようにしてください。

事前に資産状況を明確化しておくことで、住宅ローンの残債分を補えるだけの貯蓄があるのかを把握することができ、妻に自宅に関わる財産分与を行う必要があるのかを見極めることができます。

1-1.財産分与の定義

財産分与とは、『離婚時に、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を双方に分与する』ことです。

財産分与の対象となる「結婚中に購入した不動産(自宅)・自動車・有価証券・生命保険の返戻金」などの「共有財産」と呼ばれる資産を、夫婦で分け合う必要があります。

なお、財産分与を行う際は、夫婦それぞれに2分の1ずつ分け合うのが一般的です。

ただし、結婚中に財産を形成した経緯や状況などを考慮して財産分与の割合を修正されるケースも存在します。

このため、財産分与を行う際は、事前に夫婦で良く話し合いを行なったうえで、双方が納得できない場合は、弁護士などに相談して助言を求めてみてください。

1-1-1.住宅ローンの負債を財産分与として、妻に分与できるの?

夫が単独名義で契約している住宅ローンの負債を、財産分与として妻に負担させることはできません。

なぜなら、法律上、借り入れした負債(住宅ローン)は、名義人(夫)に返済義務があるため、債務者(借金の名義人のこと)ではない妻に返済義務を負わせることができないためです。

このため、あなたの単独名義の住宅ローンがオーバーローン状態で、夫婦の収入で返済をしている場合、婚姻関係を解消後も自身の収入だけで返済を継続できるのかをしっかりと見極める必要があります。

1-1-2.妻にローンの返済を請求することもできない?

婚姻関係を解消する際に単独名義の住宅ローンを組んでいる場合、「離婚成立後の住宅ローンの返済を妻にも協力して欲しい」と考える男性は少なくありません。

しかし、上記でも述べた通り、法律上「借り入れした負債は債務者に返済義務が生じるため」、強制的に妻にローンの返済を支払わせることができません。

もちろん、これまで支払ったローンの返済額を請求することも基本的には不可能です。

このため、離婚成立後にあなたの単独名義の住宅ローンの返済を妻も担うことを拒否した場合は、あなただけで支払いを行う必要があることを覚えておいてください。

1-2.オーバーローンとは?

オーバーローンとは、『自宅や土地の不動産価値よりも住宅ローンの残債が多い状態』のことです。

自宅や土地の不動産の価値が住宅ローンの残債よりも状態であり、原則自宅の売却を行うことができません。

このため、基本的に自宅がオーバーローン状態の場合は、離婚後も住宅ローンの契約者が返済を継続する必要があります。

1-2-1.自宅がオーバーローンなのかを調べる方法

自宅がオーバーローンなのかを知るためには、以下の2つの情報を明確にしておく必要があります。

・住宅ローンの残債:借入先となる金融機関に確認を行うことで正確な残債を把握できる

・自宅の不動産評価額:不動産会社に査定を依頼することで不動産価値を把握できる

上記の2つの情報を正確に把握しておくことで、離婚時に自宅がオーバーローン状態なのかを見極めることが可能です。

なお、自宅の不動産評価額を把握するために不動産会社に査定を依頼する場合は、『複数の不動産会社に依頼をする』ようにしてください。

不動産会社によって、自宅の評価額(査定額)は大きく異なるので、1社に任せるのは危険です。

最高値を付けた業者の査定額次第では、オーバーローンでは無くなる可能性があるため、面倒かもしれません。

しかし、相場を分かるためにも、『3社ぐらい、複数の不動産会社に依頼をする』ことを面談ではおすすめしています。

1-2-2.アンダーローンだと財産分与の対象になるの?

婚姻関係を解消する際に自宅がアンダーローンの場合、財産分与の対象になります。

『アンダーローン』とは、『自宅や土地の不動産評価額が住宅ローンの残債よりも高い状態』のことで、売却金で住宅ローンの残債を完済できるため、売却金から残債を差し引いた金額の半分の分与が必要です。

なお、離婚時に自宅を売却しない場合、査定額から住宅ローンの残債を差し引いた金額を調べて、その半分を分与します。

このため、離婚時に自宅(土地)がアンダーローンで、自宅に関わる財産の財産分与を行いたいと考えている方は、不動産会社などに依頼をして自宅の査定を行うようにしてください。

もちろん、このような取り組みを分かっている会社にお願いするのが、一番の近道だと思います。

2.自宅がオーバーローンでも財産分与を行う必要があるケース

離婚に伴う財産分与

上記であなたが所有する自宅がオーバーローン状態の場合、財産分与を行う必要がないと解説しました。

しかし、例外もあります。

具体的には、以下の2つのケースに該当する場合は、財産を妻に分与しなければなりません。

・住宅ローンの残債を貯蓄などで完済しても資産が残るケース

・結婚期間中に返済したローンの部分を財産分与の対象とみなされるケース

それぞれについて、詳しく解説していきます。

2-1.住宅ローンの残債を貯蓄などで完済しても資産が残るケース

上記でも述べましたが、離婚時にオーバーローンの住宅ローンの残債を完済することができる場合、残った資産を財産分与しなければなりません。

オーバーローンの場合は自宅に関わる財産分与は必要ではありませんが、その他の財産に関しては必要であるためです。

このため、住宅ローンの残債額を把握したうえで、残る資産がどれほどあるかを明確にしておくようにしてください。

2-2.結婚期間中に返済したローンの部分を財産分与の対象とみなされるケース

こちらも前述した通り、自宅がオーバーローン状態の場合、原則として財産分与の対象になりません。

しかし、結婚期間中に返済した住宅ローンの部分は、『実質的共有財産』と見なされる場合があり、財産分与の対象になるケースがあるので注意が必要です。

自宅がオーバーローン状態なのにも関わらず、妻に返済した分のお金を分与するように要求された場合は、まずは『結婚中に返済した住宅ローンの部分が実質的共有財産に該当するのか』について、『離婚時の住宅ローン問題に精通している方』に相談を行ってみてください。

こういった方に相談をすることで、結婚中に返済した住宅ローンの部分が実質的共有財産に該当するのかを見極めてくれます。

なお、『実質的に共有財産』とは、『名義人が単独名義であっても、結婚中に夫婦が協力して築いた財産』のことです。

2-2-1.結婚期間中に返済したローンの部分が財産分与の対象であると認められた判例

ここでは、実際に婚姻に至る前に購入した自宅の住宅ローンが財産分与の対象になると認められた判例を紹介します。

この裁判では、元夫が元妻に対して、離婚に伴う財産分与の訴訟を行った際に、元夫が婚姻に至る前に購入した自宅の評価額が282万円、ローンの残債が327万円のオーバーローンの状態であるため、財産分与の対象ではないと主張していました。

しかし、婚姻に至る前に購入した自宅の相当する分は、実質的共有財産で、「その評価額に取得資金のうちの共同返済割合を乗じた額」が財産分与の対象財産にあたるとの判決が下されたのです。(東京高等裁判所決定/平成29年(ラ)第1077号)

上記のように、自宅がオーバーローン状態でも、結婚期間中に返済した住宅ローンの部分が財産分与の対象になると認められるケースがあります。

離婚成立後に元妻と住宅ローンの返済済みのお金を巡ってトラブルにならないためにも、事前に夫婦でよく話し合いを行なったうえで、双方同意のもとで財産分与を行うようにしてください。

3.自宅がオーバーローンの場合の財産分与法

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離婚時にオーバーローンの場合、基本的に以下の2つのどちらかで財産分与を行います。

・財産分与の対象になる財産の合計額から債務の金額を引いた額を分与する

・自宅の財産分与は行わず、他の対象になる財産を分与する

それぞれについて、解説していきます。

3-1.財産分与の対象になる財産の合計額から債務の金額を引いた額を分与する

住宅ローンがオーバーローンで財産分与を行う場合、『財産分与の対象になる財産の合計額から債務(住宅ローン)の金額を引いた額を分与する』方法があります。

例えば、夫名義の住宅ローンの残債が1,000万円のオーバーローンで、夫婦の貯金が1,500円あった場合です。

上記のようなケースは、住宅ローンの残債を貯蓄で補い、ローンを引いた500万円の部分を財産分与として公平に分与します。

ちなみに、私たちは面談で、住宅ローンの残債を抱えたまま離婚に至ってしまうと、後々返済不能になったり、元夫婦間でトラブルに発展するリスクが生じる可能性があるため、ローンの残債を貯蓄などで補える方は、できるだけ結婚中に完済を済ませておくことをお勧めしています。

3-2.自宅の財産分与は行わず、他の対象になる財産を分与する

住宅ローンがオーバーローンで財産分与を行う場合、『自宅に係る財産分与は行わず他の対象になる財産を分与する』方法があります。

例えば、財産分与の対象になる貯蓄や株券などが総額2,000万円あった場合、住宅ローン分は換算せずに双方が1,000万円ずつ受け取ることで財産分与を完了することが可能です。

ただし、住宅ローンの残債は婚姻関係解消後も残り続けるため、返済義務が無くなる訳ではありません。

どちらか一方が継続して返済する必要があるため、多すぎる額の分与を行ってしまうと、後々返済が困難な状況に陥ってしまう危険性があります。

そのため、離婚後も問題なく支払いをできるのかをよく見極めてから財産分与を行うようにしてください。

3-3.名義人ではない妻が自宅を取得する場合は?

住宅ローンの名義人ではない妻が自宅を取得する場合、不動産と住宅ローンの名義人を妻に変更することで財産分与を完了することができます。

ただし、債権者(住宅ローンの借り入れ先)に相談をしたからと言って、必ずしも名義変更に応じてもらえるとは限りません。

むしろ、債権者は名義人を変更することに対して消極的な考えを持っているため、基本的には受け入れてもらえないケースが大半です。

このため、離婚を機に住宅ローンの名義人を妻に変えたいと考えている方は、債権者が同意するような提案・交渉を行う必要があります。

3-3-1.妻が自宅を取得しても住宅ローンの返済問題がある

妻(と子供)がオーバーローンのマイホームを引き取ったからといって、住宅ローン問題が解決する訳ではありません。

財産分与により自宅の所有者が妻になっても、債務者は夫のままであり、簡単に債務者を変更することはできないため、どちらが残りの残債を支払っていくのかで揉める可能性があります。

こういったケースは、分与を受けた妻が支払うことで同意に至る場合が大半です。

しかし、債務者は夫のままになっているため、万が一、妻が不能になってしまうと自身に悪影響を及ぼす危険性が高いです。

このため、自身が単独名義人になっている自宅を妻に財産分与として分与する際は、住宅ローンを妻名義のものに乗り換えるなどの対策を講じることを事前に検討してみてください。

妻名義の住宅ローンに乗り換えることで、離婚成立後にあなたに悪影響を及ぼすリスクを無くすことができます。

連帯保証人や連帯債務も含め、どのような取り組みで金融機関と相談するか等、分からない場合にはご連絡ください。

過去上手く行った事例や現在の状況を踏まえ、適切な相談方法をご提案いたします。

4.離婚時に自宅がオーバーローンの場合に起こり得る夫婦間のトラブル事例と解決方法

売却後のローン問題

ここでは、離婚時に自宅がオーバーローンの場合に起こり得る2つの夫婦間のトラブルの事例について、解決方法を交えてご紹介していきます。

トラブル事例と解決方法をしっかりと確認しておくようにしてください。

4-1.オーバーローン状態の収入合算の住宅ローンを離婚成立後も夫婦で支払うのかで揉めた事例

【事例内容】

夫婦は夫が名義人、妻が連帯保証人の『収入合算』で契約した住宅ローンの返済中に、妻が「離婚したい」と切り出したことで離婚に至ることになりました。

しかし、住宅ローンがオーバーローン状態で、離婚後も返済を継続する必要があり、妻から離婚を言い出したことを理由に、夫側が「妻が残りの住宅ローンの残債を多く払うべき」と主張したため揉めてしまった事例です。

【解決方法】

夫が単独名義で契約しているのであれば、妻は離婚成立後もローンの返済義務は負いません。

原則、住宅ローンの支払い義務は名義人にあるためです。

また、法律上、負債(住宅ローン)は財産分与の対象外であり、妻に残った残債の返済分を強制することもできないため、妻に拒否される可能性もあります。

ただし、上記のケースのように、妻が住宅ローンの連帯保証人となっている場合は、夫が返済不能になってしまうと代わりに返済を負わなければならなくなってしまうため、交渉は可能です。

夫婦でよく話し合いを行い、折り合いをつけるようにしてください。

4-2.離婚時に妻が自宅と住宅ローンの名義人を自身の名義に変更することを希望したことで揉めた事例

【事例内容】

夫の単独名義の住宅ローンがオーバーローン状態の夫婦の事例です。

離婚後に妻が自宅に継続して住み続けたいと考え、自宅と住宅ローンの名義人を妻名義に変更することを希望していました。

しかし、夫側は妻の要求に同意はしているものの自宅の売却も検討していたため、夫婦間で揉めてしまいました。

【解決方法】

上記のようなケースは、まず金融機関に相談・交渉を行ってみてください。

基本的に金融機関は名義変更を行うことに対して消極的な考えを持っていますが、妻が夫よりも十分な収入を得ていれば、名義変更に応じてもらえる可能性があります。

ただし、金融機関に名義人変更の交渉を行う際は、銀行側が納得できるような提案を行うことが重要です。

このため、離婚時に名義変更を行いたいと考えている方は、まず『住宅ローン問題に精通している方』に相談することを検討してみてください。

『住宅ローン問題に精通している方』に相談を行うことで、『どのような提案を行えばスムーズに名義変更に応じてもらえるのか』などの助言をもらうことができます。

5.自宅がオーバーローンの場合に財産分与する際の注意点

住宅ローンの返済に関する対策提案-705x397

自宅がオーバーローン状態で妻に財産分与を行う場合、以下の5点に注意する必要があります。

  • 財産分与しすぎないようにする
  • オーバーローンでも財産分与が認められるケースも稀にある
  • 元妻とよく話し合って公正証書を作成する
  • 自宅の購入資金として両親から援助を受けた額は財産分与の対象外
  • オーバーローンを解消した際に自宅を売却する際は、夫婦でしっかりと取り決めをおこなっておく

重要な内容になるため、それぞれ詳しく解説していきます。

5-1.財産分与しすぎないようにする

離婚時に元妻に財産分与を行う際は、分与する金額に注意する必要があります。

福島で進めている案件も同じケースでした。夫婦のみで協議を行い、奥様の言いなりで金額を決めた為、自身の収入を踏まえ、養育費として、払える金額を超えて支払う事になっていました。

市役所やお近くの司法書士に直接話してもらい、条件が甘い事を核にしてもらい、再度協議を行って頂きました。

他にも、結婚期間中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮しても「元妻に渡した額が多過ぎる」と判断されてしまうと、『贈与税』が課せられる可能性があるためです。

ただし、法律上どのくらいの金額が多すぎるのか明確な基準は示されていません。

いくら分与すると『贈与税』が課せられるのかは税務署から通知が来るまで分からないのが実情です。

このため、高額な財産を妻に分与する予定の方は、事前に税理士に相談を行っておくのが安心です。

これまでの経験だと、ざっくり、何百万円ぐらいの分与の場合は税務署が動くことは少ないようです。

ただ、何千万円の単位の分与になってくると、指摘される可能性が高まりますので、準備しておいて下さい。

特に、男性は仕事で忙しく、奥様の言われるがまま承諾してしまう事が多々あります。

生活をすぐに以前の水準に戻し、人生を楽しむためにキチンと対策し、進めて下さい。

離婚問題を専門に扱っている所に確認すれば、どのような条件が普通なのか、教えてくれます。私たちも協議から自宅の任意売却までセットで行っている為、その辺りの情報を整理しています。

個別性が強いため、LINEやメールからご一報いただけると助かります。

5-2.オーバーローンでも財産分与が認められるケースも稀にある

前述した通り、離婚時に自宅がオーバーローンの場合、通常財産分与の対象外です。

しかし、自宅がオーバーローンでも、財産分与が認められるケースが稀にあります。

例えば、婚姻期間中に支払った住宅ローンの返済が、共有財産であると認められた場合です。

非常に稀ではありますが、状況によっては実際に認められた判例もあります。

このように、オーバーローン状態でも妻に財産を分与する必要があるケースも存在するため、事前に弁護士に相談することがおすすめです。

5-3.元妻とよく話し合って公正証書を作成する

離婚後も住宅ローンの返済を夫婦それぞれで継続する場合、元妻とよく話合ったうえで、取り決めた内容を公正証書に残すことをおすすめします。

ちなみに、『公正証書』とは、『公証人が作成する法的効力の強い書類』になっており、取り決めを行った際にこの書類を作成しておくことで、万が一、元妻が離婚後に返済を拒否しても、給与や財産を差し押さえるなどの対処を施すことが可能です。

婚姻中に夫婦同意のもとで取り決めを行っても、収入減少や再婚などの理由により支払いを拒否するケースは少なくありません。

このため、離婚後にこういったトラブルに陥らないためにも、取り決めを行なった際の内容を公正証書に残すようにしてください。

条件や希望に合ったひな形などはアリネットでも作ってお出ししています。

詳細を聞きたい方は、LINE公式などからご連絡頂けるとスムーズです。

念のため、私たち、アリネットの口コミはこちらのページにまとめてあります。

5-4.自宅の購入資金として両親から援助を受けた額は財産分与の対象外

自宅を購入する際に、自身の両親から頭金として援助を受けた場合、受けとった分のお金は財産分与の対象外になります。

法律上、財産分与には、『特有財産』という『夫婦の協力とは何の関係もなく形成された財産』という制度があり、夫婦どちらか一方に帰属している財産であると考えられているためです。

このため、住宅ローンの残債を貯蓄などで完済して財産分与を行う際は、自身や妻の両親などから受け取ったお金を引いた額を明確にしたうえで、残ったお金を分与するようにしてください。

5-5.オーバーローンを解消した際に自宅を売却する際は、夫婦でしっかりと取り決めをおこなっておく

オーバーローン状態を解消した際に自宅を売却する予定の方は、婚姻期間中に夫婦で取り決めを行っておくことをおすすめします。

例えば、ペアローンを組んでいる場合で、離婚成立前に夫婦で協議を行い、離婚後に資金が準備できた時や住宅ローンの返済が進んでオーバーローン状態が解消された時に売却することを決めておくと、婚姻関係後も問題なく売却手続きに進めることが可能です。

離婚後に自宅を売却する場合、住宅ローンの契約形態によっては、売却自体がままならなくなってしまうケースが少なくありません。

そのため、事前に取り決めを行っておくと、スムーズに自宅を手放すことができます。

連絡が取れなくなってしまうケースもあるため、離婚成立前にこの辺り、決めておくのがポイントです。

6.判例を基に自宅がオーバーローンでも財産分与できるかまとめ

自宅の売却

今回は、『自宅がオーバーローンでも財産分与できるのかについて』、『自宅がオーバーローン状態で財産分与する際の注意点』や『離婚時自宅がオーバーローンの場合に起こり得る夫婦間のトラブル事例と解決方法』を含めて詳しく解説してきました。

以下、『自宅がオーバーローンでも財産分与できるのかについて』のまとめです。

  • 原則自宅がオーバーローンの場合は、財産分与の対象外
  • 自宅がオーバーローンでも、貯蓄で残債を完済することで財産分与を行える
  • 場合によっては、住宅ローンの返済済の部分のみ財産分与の対象と認められるケースがある
  • 離婚時にオーバーローンの場合は、貯蓄などから負債を引いた額を元妻に分与するか、住宅ローンを考慮せずに対象となる財産を分与する
  • 離婚時に住宅ローンがオーバーローンの場合、結婚中に根本的な解決をすることが重要

離婚時に自宅がオーバーローン状態でも、残った残債を貯蓄などで補った後に財産が残れば、財産分与が必要になります。

しかし、離婚時に自宅の残債を貯蓄などで完済できるケースは稀です。

特に、自宅を購入してからあまり年数が経ってないうちに離婚に至る場合、高額な住宅ローンの残債が残っている方が多いため、基本的には自宅に関わる財産を分与せず、離婚後も返済を継続する必要があります。

とはいえ、自宅がオーバーローン状態でも夫婦どちらかが納得できず、「自宅に関わる財産を分与するように」と要求されてしまい、揉めるケースは少なくありません。

お互い自宅を売却しないことで同意していても、どちらが返済を継続するのかで揉めてしまう夫婦も多いです。

仮に、上記のように自宅がオーバーローン状態になっていることで、夫婦間で揉めている方や「離婚後に住宅ローンを巡るトラブルに陥りたくない」などと考えている方は、アリネットまでご相談ください。

アリネットでは、これまで数多くの離婚時の住宅ローン問題に関するトラブルを解決に導いてきた豊富な知識と実績があるため、あなたの満足のいく解決に導くためサポートを行うことができます。

また、アリネットでは、個別相談だけでなく、鑑定士や住宅診断士による不動産の無料査定をおこなっているため、『本当にあなたが所有している自宅がオーバーローン状態なのか」を見極めることが可能です。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

>>離婚で悩む方向け、離婚時の不動産対応のチェックリストはこちらのページにまとめておきました。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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