多くの実業家や芸能人、文化人が住む街、六本木。キラキラとした都心での暮らしを象徴する場所でありつつも、そこには他の地域と変わらないリアルな暮らしと、六本木ならではの“事情”がありました。
六本木にオフィスを構える賃貸を中心の不動産会社で2014年から営業をしている後藤さん(仮名/20代/女性)に、六本木を中心とした港区に住む人たちのリアルな暮らしについて話を聞きます。
今回も、馬場と相樂の二名で六本木に本当に部屋を借りに来る人の実態を調査しました。
後)後藤さん
相)相楽
馬)馬場
1.【プロフィールとライフスタイル】職業・通勤時間・引越し歴
1-1.出身と住まい、仕事
相)後藤さん、まずは出身や仕事について教えてください。
後)長野県出身で、六本木にある不動産賃貸業の営業職として2年半働いています。
相)住まいはどちらですか?
後)小田急線経堂駅近くにある、祖母が所有しているマンションの2LDKの部屋に一人暮らししています。
相)現在の仕事内容を具体的に教えてください。
後)賃貸不動産の元付(オーナーから物件を預かる)と、客付(物件の借主を’見つける)の両方合わせて、月に10件くらい担当しています。そのほか、契約の更新や原状回復工事の管理なども私の仕事です。
1-2.平日・休日の過ごし方
相)平日と休日、それぞれどのように過ごしていますか?
後)起きて、仕事行って、まっすぐ帰ってバタッという生活です(笑)。
仕事に追われ、癒されたくなったら、マッサージに行っています。休日は、買い物が多いですね。バッグや靴などは気に入ったら、値段を見ずに買っちゃいます。以前、古着屋のバイヤーやスタイリストをしていたのもあり、中目黒で古着を買うことも多いですね。
ただ、最近はゆっくり家にするために、2DKから1LDKにリフォームする予定で、そのことで頭がいっぱいです。
1-3.普段の買い物
相)普段の食べ物などはどこで買っていますか?
後)会社で宅配弁当を利用しています。1食600円で、バランスのよい日替わり弁当やシャケの塩焼きなど食べられるので重宝しています。1日一食で料理もしないので、スーパーなどはあまり行きません。
相)えっと、そんなハードな生活で大丈夫ですか?
1-4.よく読むファッション誌
相)雑誌は読みますか?
後)『ELLE』や『VOGUE』を読みますが、今はインスタがあるので、以前ほど雑誌は読まないですね。あと、インテリアが好きなので『モダンリビング』は読みます。
2.港区でお部屋探しをする人の特徴
相)お客さんの男女比はどのくらいですか?
後)ほぼ半々ですが、少しだけ男性が多いと感じます。
相)女性のお客さんに多い職業はありますか?
後)六本木界隈の飲食店で働いている方が多いですね。閉店まで働くと電車がないので、勤め先の近くに住みたいようです。
相)男性に多い年齢層や職業はありますか?
後)20〜30代でIT系の仕事をしている方が多いです。仕事柄、夜遅いので通勤時間を短くしたい。ラッシュの電車に乗らずに済むようにという理由で六本木周辺のマンションを探すようです。
しかし、実際は色々な人がいます。うまく説明できないのですが、どうやってそんなに稼いでるの?というお金持ちや何の仕事をしているの?みたいな・・・。
相)最近だと、株や仮想通貨、それに関連するコンサル業で一旗揚げた人も多そうですね。
後)はい。身元がハッキリしない方や確定申告をしていなくて収入が証明できない方は、申し込んでいただいても審査に通らないので、私たちとしても見極めなければなりません。
相)見極めるポイントって何ですか?
後)あくまで私の経験則ですが、だいたいそうした方は、職業に関して話したがらない傾向にあります。その場合、「証明できない場合は、当社ではお引き受けできません」とお伝えしています。
反対に、たとえ赤字でも「こういう仕事をしているます」と誠意をもってお話ししていただけ、かつ連帯保証人次第で審査もパスする可能性があるという場合は、お受けしています。
相)お互いの時間をムダにしないためにも、はじめにしっかりとお話しておくことは大切ですね。
3.女性が港区暮らしに求める条件
3-1.立地と治安
相)港区に住むことを希望する女性の立地条件って何ですか?
後)この辺りでいうと、六本木3丁目はイヤ、という方が多いですね。クラブやキャバクラ、外国人の方が多くて、治安に不安を覚えるようです。
3-2.セキュリティ、敷地内ゴミ捨て場、宅配ボックスなどの設備
相)マンションのセキュリティも気にする方が多いですか?
後)もちろんセキュリティが高ければ嬉しいけど、実際は妥協できる範囲で、となりますね。敷地内ゴミ捨て場、宅配ボックスなどの設備も同じです。この辺りは全てあったら嬉しいけれど、収入によるところが大きいのではないでしょうか?
3-3.日当たり、広さ、眺め
相)お部屋そのものに対する条件はありますか?
後)日当たりは気にする人が多い印象ですね。広くて、眺めもよければラッキーという感じです。
相)この辺りだと、東京タワーが見えるマンションもありますよね。
後)タワマンで探している人は、東京タワーが見えることにこだわりをもっている人が多いですね。
3-4.水回り
相)水回りはどうでしょうか?
後)最初は、バス・トイレ別、室内洗濯機を希望されることが多いですが、だんだん妥協していく傾向があります。
相)なぜですか?
後)年収400万前後の方だと、どうしても家賃の予算は10万円くらいまでになります。とはいえ、勤務地である六本木から徒歩圏内、自転車圏内というのが絶対条件。
すると、必然的に1Kか、1DKで、ユニットバスで妥協するしかない、と。洗濯機も初めは室内ですが、コインランドリーに行かずに済むなら、外置きのベランダでもいいとなることが多いです。
3-5.目黒や恵比寿との違い
相)他の人気エリア、たとえば、目黒や恵比寿など六本木周辺の違いってありますか?
後)『目黒や恵比寿は同じ予算でよりよい設備のマンションに住みたい』という人が選んでいるみたいです。六本木に住みたい方はやはり、通勤の便利さ、又はミッドタウンやヒルズのブランド力に魅力を感じて選んでいる方が多いです。
4.六本木エリアでの生活や事件・事故
4-1.六本木エリアの買い物事情
相)六本木周辺に住んでる方は普段の買い物はどこに行っているのですか?
後)そこまで聞いたことはないですが、『リンコス』か・・・、アマゾンでしょうか?『まいばすけっと』も広尾まで行かないとないので、正直なところ、毎日お料理するというような方には不便かもしれません。
その代わり、元麻布の『グランドハイアット東京』のレストランをはじめ、美味しいお店が多いので、食べるところには困らないです。
4-2.六本木物件での事件や事故
相)これまで取り扱った物件で、事件や事故はありませんでしたか?
後)一番大変だったのは、サラリーマンに貸したら、実はヤクザへの又貸しで、警察沙汰になったことがあります・・・。
あとは(事前に借りられる期間が決まっている)定期借家権のお部屋を借りたのに、借主が引越さないと言い始めて、裁判沙汰になったことがあります。最初に契約しているので、当然のように借主が負けて、退去しましたが・・・。
相)色々ありますね。
後)他に、お風呂場に盗聴器が仕掛けられていたこともあります。
相)盗聴系は私たちも気をつけて、お客様の許可を取って、入居直前に調査するようにしています。
5.お部屋探しの手順と内覧
相)どういうきっかけでお店(不動産会社)を訪ねてきますか?
後)私の務めるお店は路面店なので、フラッと入って来る方が多いです。そこで条件を聞いて、こちらから提案する、という人が7割くらいではないでしょうか?
残りの3割が、あらかじめサイトで物件を見つけてから来て、内覧や契約したい、というパターンです。
相)内覧は希望する人が多いですか?
後)多いですね。内覧してここが決め手!というのはないのですが、全体的な雰囲気を確認しているようです。あとは物の配置がしやすい間取りかとか、幅を測っていく人もいます。
6.不動産屋として気をつけていること
相)不動産の仕事の中で、気をつけていることはありますか?
後)広告には気をつけていますね。釣り物件にならないように、決まったらすぐに消すようにしています。以前はそのあたりの管理が甘かったようですが今は本当に厳しいので・・・。
相)これまでお話した方の中にも、釣り物件でイヤな思いをしたという方がいました。業界として、お客さんのためにいい方向に変わっていくのはいいですね。
後)はい、これからもお客さんの理想のライフスタイルが実現できるような、お部屋の提案をしていきたいと思っています。
相)長い時間、本日はありがとうございました。
最後に、港区各所に実際に3年以上住んでみた感想が分かるインタビューはこちらです。
個人的に、港区に住む人はちょっとした割り切り感を感じました。自分を高め、成長させる習慣をつけるために、あえて港区に住む。この環境に慣れることで自分もいつの間にか成長しているような印象を強く受けました。
日本中、どこを探してもいい意味でエネルギー値が高く、常にプッシュアップされている街は中々ありません。