『荻窪』と『阿佐ヶ谷』のマンション選びに大切なポイントを比較してみた

『荻窪』と『阿佐ヶ谷』のマンション選びに大切なポイントを比較してみた

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す白金の不動産屋、(株)リビングインで住まいのトラブル相談・提案を担当している不動産鑑定士補兼住宅診断士の相樂です。

私たちは過去3年間、都内を中心に再開発地域のマンション価格や人口、乗降客数の推移を見てきました。

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過去数年にわたり、東京都内の再開発地区におけるマンションの価格、地域の人口動向、公共交通機関の利用者数の変化に注目してきました。

2024年現在、東京23区内のマンション市場は依然として活況で、再開発エリアでは価格の上昇が続いています。

平均価格は再び1億円を超え、特に都心部やその周辺で需要が高まっています。

一方で、少子高齢化の影響もあり、郊外では一部で人口減少が見られ、マンション価格にも影響を与えています。

また、公共交通機関の利用者数は回復基調にあり、交通の便が良いエリアでのマンション需要は引き続き高いです。

こうした変化を踏まえ、マンション購入の際は、物件の魅力や注意点を他の地域と比較し、慎重に検討することが重要です。

1.各駅の特徴や周辺環境

そこで今回は、まちづくりプロジェクトが進行中の荻窪駅と、南口の再開発が終了し、次は北東地区の再開発が進行していく阿佐ヶ谷駅のデータを整理し、その将来性を見ていこうと思います。

1-1.荻窪駅の特徴

JR荻窪駅*JR荻窪駅

荻窪駅は、東京都杉並区に位置する駅でJR中央線と東京メトロ丸ノ内線が乗り入れています。

そんな荻窪駅について、いくつかポイントを挙げていきます。

1-1-1.交通アクセス

荻窪駅構内の様子*荻窪駅構内の様子

前述の通り、荻窪駅はJR中央線と東京メトロ丸ノ内線が乗り入れており、多方面へのアクセスが可能です。

特筆すべきは、新宿駅まで約10ー13分、東京駅まで約24-29分と、主要駅への直接アクセスが可能な点です。

杉並区内のJR中央・総武線4駅の中で最多の乗降者数を誇る荻窪駅は、区内最大の交通結節点としての役割を果たしています。

駅周辺には幹線道路が東西・南北に通っており、広域的な交通アクセス性も高いエリアとなっています。

さらに、バス路線も充実しており、鉄道と合わせてより広範囲のエリアへのアクセスを可能にしています。

平日には快速電車も停車するため、隣接する西荻窪駅や阿佐ヶ谷駅と比べて、より速く都心にアクセスできる利点があります。

1-1-2.生活環境

ルミネ荻窪*ルミネ荻窪

駅周辺の生活環境も充実しており、駅直結の『ルミネ荻窪』をはじめとするショッピングセンターや24時間営業のスーパーマーケットが揃い、日常生活の利便性が高いエリアとなっています。

この充実した環境は、ファミリー層から単身者まで幅広い層から支持を集めています。

また、多彩な飲食店も点在しており、居酒屋からカフェ、レストランまで様々な選択肢があります。

1-2.阿佐ヶ谷駅の特徴

JR阿佐ヶ谷駅*JR阿佐ヶ谷駅

阿佐ヶ谷駅も東京都杉並区に位置する駅で、JR中央線と総武線が乗り入れています。

そんな阿佐ヶ谷駅についても、いくつかポイントを挙げていきます。

1-2-1.商業施設と文化的な魅力

阿佐谷パールセンター商店街*阿佐谷パールセンター商店街

阿佐ヶ谷駅周辺には、イトーヨーカドーや西友などの大型スーパーがあり、日常の買い物に便利です。

また、阿佐ヶ谷には多くの商店街が存在し、阿佐谷パールセンター商店街や阿佐ヶ谷北口スターロードなど、様々な店舗が立ち並んでいます。

さらに、阿佐ヶ谷は文化的なイベントも豊富で、阿佐ヶ谷神明宮では毎年『阿佐ヶ谷バリ舞踊祭』が開催され、インドネシア・バリ島の舞踊や音楽を楽しむことができます

1-2-1.快適な駅前空間

再開発が完了した阿佐ヶ谷駅南口駅前の様子*再開発が完了した阿佐ヶ谷駅南口駅前の様子

2011年に阿佐ヶ谷駅南口の再開発が完了したことで、駅前の利用が格段に便利になりました。

南口の駅前広場は整備され、ベンチが設置されるなど、リラックスできる空間が広がっています。

これにより、通勤や通学の合間にコーヒーを楽しむ人々や、ゆったりとした時間を過ごす人々が増え、駅前の雰囲気が一層落ち着いたものになっています。

1-3.各駅の特徴まとめ

以上のことから、荻窪と阿佐ヶ谷はそれぞれ独自の魅力を持つ東京の重要な居住地であり、多くの人々に愛されていることがわかります。

ただし、どちらの駅もマンションを購入する場合には、具体的な条件や予算、希望する設備などに合った物件を選ぶことが大切だと思います。

一人でいくつものマンションを買うわけにはいかないと思うので・・・。

次に、このような都市の魅力を形作る要素の一つとして、各駅周辺で進行している、あるいは近年竣工した再開発事業に目を向けて考察していきます。

2.各駅の再開発事業の状況

まずは、各駅の再開発事業の状況を確認していきます。

2-1.荻窪駅周辺の再開発計画

再開発計画図

*引用:杉並区

現在、荻窪駅周辺では『荻窪駅周辺まちづくり方針』に基づいた再開発が進行中です。

再開発の計画内容について、詳しく見ていきます。

2-1-1.都市機能の強化と回遊性の向上

整備予定の北口教会通り*整備予定の北口教会通り

再開発計画では、荻窪駅周辺の都市機能を強化し、地域の利便性を高めることを目指しています。

そのため、駅南北の分断を解消し、回遊性を向上させるための歩行者空間の整備が進められています。

これにより、駅利用者が快適に移動できる環境が整い、商業施設や公共施設へのアクセスが向上する予定です。

2-1-2.商業・業務機能の集積と地域活性化

荻窪駅前商店街*荻窪駅前商店街

また、商業・業務機能の集積を強化する計画も進行中です。

特に商店街の活性化が重要視されており、新しい商業施設の誘致や既存の商業スペースの改修が検討されています。

これにより、地域経済の活性化が期待され、荻窪がより魅力的な商業エリアとして発展することが目指されています。

2-1-3.緑と歴史を活かした街づくりの推進

復元工事中の荻外荘

*復元工事中の荻外荘

緑豊かな住環境の保全と育成に重点を置き、大田黒公園周辺の整備も進めています。

これにより、水と緑を活かした景観づくりを推進し、良好な都市景観の形成を目指しています。

また、荻外荘の復元を通じ、歴史的・文化的資源を活かした観光まちづくりも推進されています。

2-2.阿佐ヶ谷駅周辺の再開発計画

阿佐ヶ谷駅の再開発計画図*参考:杉並区

続いて、阿佐ヶ谷駅周辺では大規模再開発計画『阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりプロジェクト』が進行中です。

こちらも、再開発の計画内容について詳しく見ていきます。

2-2-1. 防災力の強化とインフラ整備

道路の拡幅工事が行われる予定の新進会商店街通り*道路の拡幅工事が行われる予定の新進会商店街通り

計画では、阿佐ヶ谷駅周辺の防災性を高めるためのインフラ整備が重要視されています。

具体的には、消防活動の円滑化や避難経路の確保が課題とされており、道路の拡幅や耐震化を進めることで災害リスクの軽減を図ります。

また、中杉通りの延伸が計画されており、この道路整備によって防災中枢拠点としての機能が強化される予定です。

2-2-2.河北総合病院の建て替えと地域医療の強化

河北病院*河北病院

また、河北総合病院の建て替えも、重要なプロジェクトとして進行中です。

この計画では、最新の耐震技術や医療設備を導入し、病院機能を強化するとともに、防災拠点としての役割も果たすことが目指されています。

新しい病院は、地域の医療ニーズに対応するだけでなく、災害時の救護活動や地域住民の安全確保においても重要な役割を担う予定です。

2-2-3.地域の魅力向上と住環境の整備

整備予定予定の中杉通り沿道*整備予定予定の中杉通り沿道

さらに、阿佐ヶ谷駅周辺の商業エリアや中杉通り沿道の景観を保全・強化し、歩行者や自転車に優しい空間を整備することも計画されています。

ケヤキ並木を活かした街並みの形成や、商業施設の誘致・改善を通じて、地域のブランド価値を向上させる取り組みが進められています。

また、公共空間の整備を通じて、住民にとって住みやすく魅力的な環境の実現を目指しています。

3.人口や世帯数の比較

続いて、杉並区が発表した人口に関する統計データを基に、各駅徒歩15分圏内の世帯数と人口の推移を考察していきます。

3-1.荻窪駅の人口と世帯数の推移

荻窪駅の人口と世帯数の推移*参照:杉並区

荻窪駅周辺の人口と世帯数の推移を見ると、2020年から2024年の5年間でいずれも増加傾向にあります。

人口は2020年には38,656人でしたが、2024年には39,294人に増加しています。

この期間には、2021年から2023年にかけて若干の増減は見られるものの、全体としては緩やかな増加傾向が続いていることがわかります。

また、世帯数も2020年の21,962世帯から2024年には22,442世帯に増加しています。

2022年には一時的に世帯数がやや減少したものの、2023年と2024年には再び増加傾向に転じています。

このように、荻窪駅周辺では人口と世帯数の両方が増加しており、地域の安定した成長が示唆されています。

再開発や子育て支援といった要因が、地域の魅力を維持し、持続的な発展を支えている可能性があります。

3-2.阿佐ヶ谷駅の人口と世帯数の推移

阿佐ヶ谷駅の人口と世帯数の推移*参照:杉並区

一方、阿佐ヶ谷駅周辺の人口と世帯数の推移を見ると、こちらも2020年から2024年の5年間で増加傾向にあるものの、荻窪駅周辺と比べるとその変動の幅はやや小さいことが特徴です。

人口は、2020年の28,331人から2024年の28,191人にわずかに減少しており、2022年には28,426人とピークに達した後、2023年には28,012人に減少、2024年には再び28,191人に増加しています。

一方、世帯数は2020年の18,296世帯から2024年には18,367世帯へと増加しており、こちらも2021年と2022年には減少したものの、2023年から再び増加に転じています。

このように、阿佐ヶ谷駅周辺では人口が横ばいか若干の減少傾向にある一方で、世帯数は増加傾向を示しています。

これは、単身世帯や小規模世帯の増加が要因となっている可能性があります。

4.駅徒歩圏の人口予測の比較

駅徒歩圏の人口予測の比較

次に、各駅徒歩15分圏内の人口推計のデータを見てみます。

上記のグラフは『国土数値情報(H30国政局推計)/国土交通省』のデータを国際航業(株)が編集・加工した情報を元に作成されたグラフです。

4-1.荻窪駅周辺の人口予測

まず、荻窪駅周辺の人口予測を見ると、2025年には103,507人から始まり、2035年には105,470人まで増加すると予測されています。

しかし、それ以降は減少傾向にあり、2050年には103,630人になると予想されています。

この予測から、荻窪駅周辺の人口は一時的に増加するものの、2040年以降は減少に転じる可能性があることが示唆されています。

また、この減少傾向は、地域の高齢化や住宅供給の停滞が要因となっている可能性があります。

4-2.阿佐ヶ谷駅周辺の人口予測

一方、阿佐ヶ谷駅周辺の人口予測では、2025年に114,006人と荻窪駅周辺よりも多くの人口が予測されています。

その後、2030年には114,536人、2035年には114,574人と微増し、2040年には114,212人でピークを迎えると予想されています。

しかし、それ以降は減少し、2050年には111,761人になると予想されています。

阿佐ヶ谷駅周辺も同様に、2040年を境に人口が減少傾向に転じると考えられます。

5.駅徒歩圏の年収の比較

乗降客数の推移とその比較

次に、荻窪駅と阿佐ヶ谷駅の年収別世帯数の割合を比較していきます。

5-1.荻窪駅周辺の年収分布

荻窪駅周辺の年収分布を見ると、最も多いのは「300~400万円未満」の層で、全体の17.5%を占めています。

次に多いのは「200~300万円未満」の層で13.5%、その次は「400~500万円未満」の層で13.9%となっています。

これらの結果から、荻窪駅周辺では年収200~500万円未満の中間層が多くを占めていることがわかります。

また、年収が「700万円以上」の層は全体として少なく、特に「1,500万円以上」の層はわずか3.4%にとどまっています。

このことから、荻窪駅周辺は比較的中間層の住民が多い地域であり、高所得者層は少ないと言えます。

5-2.阿佐ヶ谷駅周辺の年収分布

一方、阿佐ヶ谷駅周辺の年収分布を見ると、最も多いのは「200~300万円未満」の層で、全体の17.8%を占めています。

次に多いのは「300~400万円未満」の層で16.4%、その次は「400~500万円未満」の層で14.2%となっています。

これらの結果から、阿佐ヶ谷駅周辺でも年収200~500万円未満の中間層が多くを占めていることがわかります。

ただし、荻窪駅周辺と比較すると、各収入層の割合がやや均等に分布しており、特定の層に偏ることなく幅広い所得層が存在していることが特徴です。

また、年収が「700万円以上」の層は全体として少ないものの、特に「1,500万円以上」の層は3.7%と、荻窪駅周辺とほぼ同程度の割合です。

このことから、阿佐ヶ谷駅周辺も比較的中間層の住民が多い地域である一方で、広範な所得層が共存していることが示唆されます。

6.人数別世帯数の比較

人数別世帯数の比較

上記のグラフは、荻窪駅と阿佐ヶ谷駅の世帯数を比較したグラフです。

6-1.荻窪駅周辺の世帯数

荻窪駅周辺の世帯構成を見ると、最も多いのは単身世帯で57.0%を占めています。

次に多いのは2人世帯で、21.5%、続いて3人世帯が12.1%となっています。

4人世帯は7.7%にとどまり、5人世帯以上は非常に少なく、5人世帯は1.5%、6人世帯は0.2%、7人以上世帯は0.1%という結果でした。

このデータから、荻窪駅周辺は単身者や少人数世帯が大多数を占めていることがわかります。

これは、賃貸アパートやコンパクトなマンションが多い地域特性を反映していると考えられます。

6-2.阿佐ヶ谷駅周辺の世帯数

阿佐ヶ谷駅周辺の世帯数分布を見ると、最も多いのは「単身世帯」で、全体の61.9%を占めています。

荻窪駅周辺よりもさらに高い割合で、阿佐ヶ谷駅周辺には一人暮らしの住民が非常に多いことがわかります。

次に多いのは「2人世帯」で19.6%、その次は「3人世帯」で10.5%です。

荻窪駅周辺と比較すると、阿佐ヶ谷駅周辺では少人数の家族世帯がやや少ない傾向にあります。

「4人世帯」は6.5%で、さらに「5人世帯」は1.3%、「6人世帯」と「7人以上世帯」はそれぞれ0.2%および0.1%にとどまっています。

このことから、阿佐ヶ谷駅周辺も荻窪駅周辺と同様に単身者が多数を占める地域であることがわかりますが、特に単身世帯の割合が高いことが特徴です。

7.乗降客数の推移とその比較

乗降客数の推移とその比較

*参考:「国土数値情報(駅別乗降客数データ)」(国土交通省国土政策局)の数値を参考に作成

次に、上記の東京都交通局が発表している『各駅の乗車人員』のデータを基に、『荻窪駅』と『阿佐ヶ谷駅』を利用する乗降客数の推移を比較していきます。

7-1.荻窪駅の乗降客数の推移

まず、JR荻窪駅の乗降客数を見ると、2006年から2023年にかけて全体的に増減を繰り返しているものの、長期的には増加傾向が見られます。

特に、2019年には90,715人とピークに達していますが、その後の2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に減少し、2021年には67,231人まで落ち込んでいます。

その後、2023年には76,230人まで回復していますが、依然として2019年のピークには及んでいません。

このことから、荻窪駅の利用者数はコロナ禍による影響を大きく受けた後、徐々に回復しているものの、まだ完全には回復していないことがわかります。

7-2.阿佐ヶ谷駅の乗降客数の推移

一方、JR阿佐ヶ谷駅の乗降客数は、2006年から2023年まで全体的に減少傾向が見られます。

2006年の44,566人から始まり、2019年には46,089人と一時的に増加するも、その後は2021年には34,264人と大幅に減少しています。

2023年には38,256人に回復していますが、荻窪駅と同様に過去の水準には戻ってい無いことがわかります。

今後、どのような変化をしていくか、注視する必要がありそうです。

8.各駅の治安は?

阿佐ヶ谷駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度*参照:警視庁

上記のグラフは、各エリアを管轄する杉並署が発表した、過去5年間における刑法犯と粗暴犯の推移です。

このデータから、杉並区の治安について考察していきます。

8-1.刑法犯の推移

刑法犯の件数の推移を見ると、2019年から2023年にかけて全体的に減少傾向が見られます。

2019年には1,188件と最も多く、2020年には1,110件、2021年には831件と大幅に減少しています。

しかし、2022年には981件と一時的に増加した後、2023年には1,098件に達しており、再び増加傾向が見られます。

この変動は、地域の治安対策や社会的な状況の変化による影響が考えられます。

特に、2021年から2022年にかけての増加は、コロナ禍からの回復に伴い、人々の活動が再開したことが関連している可能性があります。

8-2.粗暴犯の推移

一方、粗暴犯の件数は、全体的に非常に低い水準で推移しており、年間の変動も少ないです。

2019年には66件で、2020年には47件と減少しましたが、2021年には62件に増加、その後2022年には58件に減少し、2023年には再び65件に増加しています。

粗暴犯の件数は比較的安定しているものの、わずかな増減が見られることから、特定の事件や状況に依存している可能性があります。

9.地盤の安心比較

ここからは不動産を購入するうえで欠かせない、地盤、災害の影響について、それぞれのデータを比較していきます。

9-1.荻窪駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度

荻窪駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度*参照:東京都(地震情報サイトJIS

上記のグラフは、災害時に倒壊や火災が起きる危険度に関して、その順位を各エリアごとに比較したデータです。

グラフの数値は発生件数ではなく、安全性の順位を示しており、数字が高いほど安全であることを意味します。

まず、荻窪駅周辺の安全性を見ると、丁目ごとに建物倒壊危険度と火災危険度の安全性に大きな違いがあることがわかります。

荻窪5丁目は、火災危険度、建物倒壊危険度共に順位が低く、安全性が高い地域であると言えます。

そのため、この地域では現状の防災対策を維持し、住民の防災意識を引き続き高めることが重要です。

荻窪3丁目の航空写真*荻窪3丁目の航空写真

一方、荻窪3丁目は火災危険度が低いものの、建物倒壊危険度が186位と、特に倒壊リスクが高いことがわかります。

このため、荻窪3丁目では特に建物の耐震が重要になります。

9-2.阿佐ヶ谷駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度

阿佐ヶ谷駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度

一方の阿佐ヶ谷駅周辺は、建物が密集しているエリアが多いこともあり、荻窪駅と比べると倒壊、火災危険度共に高い傾向にあります。

その中で、阿佐ヶ谷南3丁目は倒壊が1,483位、火災が480位と、比較的危険度が低いエリアであることがわかります。

阿佐ヶ谷南1丁目の航空写真*阿佐ヶ谷南1丁目の航空写真

一方の阿佐ヶ谷南1丁目は、建物倒壊危険度が1,470位で、火災危険度が174位と非常に高い順位にあります。

これは火災リスクが特に高いことを示しており、この地域では火災防止のための対策強化が求められます。

購入に当たって、この辺りは十分に検討が必要です。

10.賃料の推移とその比較

ライフルホームズが発表している賃貸マンションに関するデータを基に、直近5年間の『荻窪駅』と『阿佐ヶ谷駅』に関する賃料の推移を比較していきます。

10-1.荻窪駅周辺の賃料推移

荻窪駅周辺の賃料推移*参照:ライフルホームズ

荻窪駅周辺の賃貸マンションの賃料は、2011年から2024年にかけて上昇傾向を示しています。

2011年1月には約20.5万円でしたが、2024年7月には24.0万円近くまで上昇しています。

この期間における賃料の上昇は、東京都全体の賃料推移(グレーの線)と比較しても急速であり、荻窪駅周辺の賃貸需要が増加していることを示しています。

2016年頃から2020年初頭にかけては、賃料が約21.5万円から22.5万円の範囲で安定して推移していますが、2020年以降は再び上昇傾向が顕著です。

特に、2021年後半から2022年にかけての上昇が急であり、コロナ禍による都市部の需要変化やリモートワークの普及などが影響していると考えられます。

10-2.阿佐ヶ谷駅周辺の賃料推移

阿佐ヶ谷駅周辺の賃料推移

*参照:ライフルホームズ

阿佐ヶ谷駅周辺の賃貸マンションの賃料も、荻窪駅周辺と同様に上昇傾向を示しています。

2011年1月には約20.5万円でスタートし、2024年7月には23.5万円程度まで上昇しています。

ただし、荻窪駅と比較すると、阿佐ヶ谷駅周辺の賃料の上昇ペースはやや緩やかです。

2016年から2020年初頭にかけての賃料は約21.0万円から22.0万円の範囲で推移しており、荻窪駅周辺と比べてやや低い水準で安定しています。

しかし、2021年以降は荻窪駅周辺と同様に上昇し始めており、2023年から2024年にかけての上昇が顕著です。

11.マンション価格の推移と比較

マンション価格の推移と比較*参考:東京カンテイ

上記のグラフは、東京カンテイが発表している、駅別中古マンション価格に関するデータを基に、直近5年間の『荻窪駅』と『阿佐ヶ谷駅』に関するマンション価格の推移をまとめたグラフです。

データから、各駅の価格推移について考察していきます。

11-1.荻窪駅周辺の中古マンション価格推移

荻窪の中古マンションの価格は、2019年から2023年にかけて上昇傾向を示しています。

2019年には235万円/坪であった価格が、2023年には277万円/坪にまで上昇しています。

特に2021年から2022年にかけての価格上昇が顕著で、2021年には272万円/坪から2022年には305万円/坪に達しています。

この急激な上昇は、荻窪エリアのマンション需要が非常に高いことを示しており、地域の発展や利便性の向上が影響していると考えられます。

11-2.阿佐ヶ谷駅周辺の中古マンション価格推移

阿佐ヶ谷の中古マンション価格も同様に上昇傾向にありますが、その上昇幅は荻窪ほど急激ではありません。

2019年には244万円/坪、2020年には230万円/坪と一時的に減少していますが、その後2021年には271万円/坪、2023年には282万円/坪まで回復しています。

このように、阿佐ヶ谷エリアでは価格の変動があるものの、全体的な上昇傾向が確認できます。

これは、阿佐ヶ谷が住宅地としての魅力を維持しつつ、安定した需要があることを示しています。

12.マンション専業各社のファミリー物件の単価比較

各サイトの荻窪駅周辺のマンション価格

各サイトの阿佐ヶ谷駅周辺のマンション価格

このように堅調に推移している荻窪駅と阿佐ヶ谷駅の住宅価格ですが、更にいくつかのマンションサイトを参考に、一般的なファミリー向けマンションの価格を調べてみました。

一旦、ざっくり知るために築年数や最寄り駅までの距離は考慮外としています。

まず、大手仲介サイトであるホームズでは、直近3カ月間に募集を開始された物件を基に平均価格を出しており、70㎡前後の中古マンションの平均価格は、荻窪駅が5,446万円(257万円/坪)、阿佐ヶ谷駅が6,302万円(298万円/坪)でした。

次に、新築マンションの相場に強い住まいサーフィンでは、荻窪駅が平均価格10、160万円(621万円/坪)、阿佐ヶ谷駅が平均価格9,740万円(460
万円/坪)でした。

他にも、国土交通省の売買データを基に価格や相場を教えてくれるウチノカチでは、荻窪駅が平均価格7,636万円(391万円/坪)、阿佐ヶ谷駅が平均価格8,268万円(390万円/坪)でした。

最後に、AIを使った評価で業界を引っ張っているソニー不動産では、荻窪駅が平均価格6,192万円(292万円/坪)、阿佐ヶ谷駅が平均価格6,554万円(310万円/坪)でした。

ちなみに、どの相場も2024年8月時点の数字です。

上記を参考に、住まいサーフィンの新築価格とその他3つのサイトの平均価格(荻窪駅6,424万円、阿佐ヶ谷駅7,041万円)を単純に比較すると、中古マンションと新築では荻窪駅が約58%、阿佐ヶ谷駅が約38%もの乖離がありました。

将来の家族構成や職場の変化など、万が一のマンション再販を踏まえ、個人的にねらい目だと思う、築10年程度の中古マンションを賢く購入する方が、万が一のことを考えて安心だと思います。

13.住宅街や商業地の地価の推移とその比較

次に、各駅周辺の地価を確認していきます。

以下のグラフは、商業地域に区分されている『杉並区5-3(荻窪駅)』と『杉並区5-18(阿佐ヶ谷駅)』住宅地に区分されている『杉並区-31(荻窪駅)』と『杉並区-39(阿佐ヶ谷駅)』のデータを基に、2013年から2024年までの価格を表したものです。

13-1.商業地の地価推移

商業地の地価推移*参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査

上記のグラフは、商業地域に区分されている『杉並区5-3(荻窪駅)』と『杉並区5-18(阿佐ヶ谷駅)』のデータを基に、2013年から2024年までの価格を表したものです。

13-1-1.荻窪駅周辺の商業地

荻窪駅周辺(杉並区5-3)の商業地の地価は、2013年から2024年にかけて一貫して上昇しています。

2013年の地価は111万円/㎡であったのに対し、2024年には207万円/㎡まで上昇しています。

この間、特に2018年以降の上昇が顕著で、2018年には144万円/㎡、2020年には179万円/㎡、そして2024年には207万円/㎡と大幅な上昇が見られます。

これは、荻窪駅周辺の商業地としての価値がさらに高まっていることを示しており、再開発や新しい商業施設の建設、交通の利便性の向上などが影響していると考えられます。

13-1-2.阿佐ヶ谷駅周辺の商業地

一方、阿佐ヶ谷駅周辺(杉並区5-18)の商業地の地価も上昇傾向にありますが、その上昇幅は荻窪駅周辺ほど大きくありません。

2013年の地価は54万円/㎡で、2024年には93万円/㎡まで上昇しています。

特に2020年以降、地価は77万円/㎡から93万円/㎡まで徐々に上昇しており、商業地としての安定した需要があることがわかります。

しかし、荻窪駅と比較するとやや低めの地価水準であり、商業エリアとしての魅力が荻窪駅に比べてやや低い可能性があります。

13-2.住宅地の地価推移

住宅地の地価推移

続いて、住宅地に区分されている『杉並区-31(荻窪駅)』と『杉並区-39(阿佐ヶ谷駅)』のデータを見ていきます。

13-2-1.荻窪駅周辺の住宅地

荻窪駅周辺(杉並区-31)の住宅地の地価は、2013年の55万円/㎡から2024年の82万円/㎡まで年々上昇しています。

特に2019年から2020年にかけての上昇(66万円/㎡から72万円/㎡)が顕著であり、その後も継続的に上昇し、2024年には82万円/㎡に達しています。

これは、交通の利便性や生活環境の向上が背景にあると考えられ、住宅地としての人気が高まっていることを示しています。

13-2-2.阿佐ヶ谷駅周辺の住宅地

阿佐ヶ谷駅周辺(杉並区-39)の住宅地の地価も上昇傾向にありますが、上昇幅はやや緩やかです。

2013年の地価は44万円/㎡で、2024年には62万円/㎡まで上昇しています。

特に2020年以降、地価は55万円/㎡から62万円/㎡まで徐々に上昇しており、安定した需要があることが示されています。

阿佐ヶ谷駅周辺の住宅地の地価は安定して上昇していますが、荻窪駅周辺ほどの急激な上昇は見られません。

14.荻窪と阿佐ヶ谷の再開発と将来性の総括

今回は共に再開発が行われ、さらに注目度が増していくと予想される、荻窪駅と阿佐ヶ谷駅を比較してみました。

14-1.荻窪駅の再開発と地域の成長

大田黒公園*大田黒公園

荻窪駅周辺では、再開発計画により都市機能が強化され、商業・業務機能の集積が進んでいます。

また、緑豊かな住環境の保全や歴史的資源を活かした街づくりも推進されており、地域全体の魅力が向上して行く予定です。

さらに、マンション市場においては安定した需要と価格上昇が続いており、今後も地域の成長が見込まれます。

交通利便性の高さも相まって、荻窪はファミリー層や単身者にとって非常に魅力的な居住地としての地位を確立しています。

14-2.阿佐ヶ谷駅の再開発と今後の展望

阿佐ヶ谷駅北口ロータリーの様子*阿佐ヶ谷駅北口ロータリーの様子

阿佐ヶ谷駅周辺では、防災力の強化とインフラ整備を中心とした再開発が進行中です。

河北総合病院の建て替えにより、地域医療の拠点としての役割が強化され、さらに安全で住みやすい地域へと変貌を遂げています。

また、商業エリアや沿道の景観整備を通じて、阿佐ヶ谷のブランド価値が高まり、住環境の魅力も向上しています。

マンション市場においても、堅調な需要と価格の安定が続いており、将来にわたって地域の発展が期待されます。

14-3. 結論としての両駅の比較と未来展望

阿佐ヶ谷駅前の高層マンション*阿佐ヶ谷駅前の高層マンション

今回見てきたように、荻窪と阿佐ヶ谷、両駅周辺の再開発は、それぞれの地域特性とニーズに応じた形で進められており、どちらも今後の発展が期待されるエリアです。

荻窪駅周辺は交通利便性と商業機能の集積による成長が続いており、安定した居住地としての地位を確立しています。

一方、阿佐ヶ谷駅周辺は防災力の強化や地域医療の拠点化を図り、安心・安全な住環境を提供することで、引き続き魅力的な居住地としての地位を維持しています。

今後、マンションの購入や投資を検討する際には、これらの再開発の進展状況や地域の将来性を考慮し、ライフスタイルやニーズに合ったエリアを選択することが求められます。

それぞれの地域が持つ独自の魅力を理解し、最適な選択をすることが、満足度の高い居住環境を手に入れるために重要です。

是非、今回の内容を参考にしてみてください。

先日、荻窪の旧耐震マンションの売却を担当しました。売却までの流れや節税のポイントを事例を基にまとめています。

荻窪駅近くの旧耐震マンションを子供の学費のため、売却した事例

ライフプランや住宅ローンの完済年齢を踏まえ、不動産を探したい方へ

私たち、アリネットは2012年のスタート以降、オンラインを含めた面談を行い、お客様の状況や希望にあった不動産を一つ一つ丁寧に紹介するオーダーメイドなスタイルを取ってきました。

特に、2018年以降4年間は誰でもなんとかなったアベノミクスが終わり、次の五年、十年は『購入にあたって、街のストーリーが大切になる』と信じ、活動しています。

ご自宅をただ紹介するだけでなく、あなたのライフプランにあったストーリーに沿った物件をご紹介しています。

単にタワマンブームに乗ったやり方だけでなく、東京の再開発や新駅・延伸、道路拡張の好影響を利用し、成果が出るまで10年、15年と時間が掛かります。

しかし、私たちに関わった方には、再現性の高い物件選択の方法をいち早く取り入れて頂き、着実な成長と返済の確実性が高い住宅を購入して頂きたいと思っています。

>>無料面談の予約やご質問はこちらのページより、ご連絡下さい。

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相樂 喜一郎(株式会社リビングイン代表)

国立東京工業大学卒業後、JPモルガン証券、オリックスを経て、2012年より、不動産を持った個人のお客様をサポートする為、不動産会社、(株)リビングインを設立。居住用物件の賃貸・売買仲介やその管理を行い、現在に至る。8年間で300室以上のお引っ越しをサポートし、180件近い住まいのトラブルにも対応。1978年生まれ、趣味は読書と素潜り、フリーダイブ。

保有資格:不動産鑑定士補、宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、住宅診断士、ファイナンシャルプランナー2級、住宅ローンアドバイザー、防犯設備士、相続アドバイザー他

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馬場 紘司(株式会社リビングイン共同代表)

有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。ファイナンシャルプランナーとして、お客様の現状と将来の目標を基に毎月の収支をエクセルで整理し、具体的な提案しています。

保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー他

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相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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