私たちは、2013年から“麻布十番のマンションを誰よりも詳しく、分かりやすく”をモットーに、麻布十番の治安や防犯などについても、単にデータ等を紹介するだけでなく、自らの足を運び実地レベルで日々の独自の調査を行なってきました。
一般的には、麻布十番周辺は大使館が多くあり、警備レベルが厳重なこと、高所得者層の割合が高いことなどから、犯罪件数が少ない地域として知られています。
とはいえ、残念ながら100%犯罪が起こらない地域などありません。そこで防犯設備士として、敢えて麻布十番付近に潜む危険を探りたいと思います。
今回は南北線『麻布十番駅』から西に徒歩2分ほどのところにある『網代公園』にスポットを当ててみます。
グーグルマップで見るとこの辺りです。(https://goo.gl/maps/rS4eYYiCRjywmj2d6)
網代公園は数点の子ども用遊具とちょっとした広場、それらを取り囲むようにベンチが配置された、よくある住宅地内の公園です。昼間は親子連れや休憩中のサラリーマン、散歩中の近所の高齢者など、ごくありふれた光景が広がります。
1.まず、防犯面から網代公園を評価できる点として周囲がフェンスや石の塀、植栽などで取り囲まれており、公園と外の世界との“境界”が敷かれていることです。
これは街の防犯等に詳しい小宮 信夫氏の『犯罪防止の三要素』のうち、『領域性』がしっかりと保たれていることを意味します。犯罪者は自分が犯罪者であることを隠すために、背景や周囲の人々に溶け込もうとします。
ところが、網代公園のように『領域性』が確保されると自身の存在が目立ちやすくなるため、その領域に入って犯罪を犯すことを避けるのです。ただし、網代公園に『領域性』があるとはいえ、老若男女が行き交う公園であり、犯罪者が紛れ込みやすい素地はあります。
特に、公園内のトイレは犯罪者がごく自然に自らを周囲に溶け込ませることができる場所です。
その為、トイレを利用の際は後ろからつけている人がいないか、長時間ドアが使用中の個室がないか、隠しカメラなどがないかなどを確認してから利用しましょう。
2.また、網代公園はフェンスや塀の高さが高すぎず、植栽もきちんと剪定されているので、周囲の目が届くようになっています。
これは『犯罪防止の三要素』の『監視性』を担保する上で重要です。
3.一方、気になるのが公園の北側にある『港区防災資材置場』周辺です。
資材置場のためにその辺りは壁が高くなり、『監視性』が低くなる上に、道路を挟んだ向かいも小売店が並んでいるため、夜間は一層、人の目が行き届きにくくなると推測されます。
4.さらに、公園の周辺は路上駐車も見受けられ、例えば資材置場の前に駐車車両があった場合、公園と車道の間の歩道を通る間、周囲からの監視をほぼ受けられません。
ほんの数十秒程度の時間かもしれませんが、こうしたところでも犯罪の手は伸びます。人通りの少ない時間や夜間に『港区防災資材置場』周辺を通行する際は、本当に気をつけてください。
犯罪者は、住人の憩いの場である公園すらも恐怖の場所に変えてしまいます。一度、事件に遭えば、たとえ解決しても、心の被害やトラウマが解決することはありません。
私は網代公園は比較的安全性が高く、癒しの空間だと思っています。そして、今後も、永遠にそうした場所であるようにしたいものです。
参考文献)小宮信夫「なぜ『あの場所』は犯罪を引き寄せるのか」青春出版社、2015年
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今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。