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以前公開した記事、「『FP2級と考える』自宅と事務所の賃貸、フリーランスはどうする?」にも書いたように、フリーランスや個人事業主(以下フリーランス)にとって、「何処に事務所を構えるか」は事業戦略上、とても重要です。
ここで間違った選択をしてしまうと、後々事業自体にも影響を与えかねません。経済的にフリーランスの事務所は「何処に構えるのが1番いい」のでしょうか?
「何処に事務所に構えるのが1番いいのか」の答えは、あなたの状況によっても変わってきます。もし、あなたがフリーランスになりたての状況や、まだ事業が波に乗っていない状況なら、自宅を事務所にするのがキャッシュフロー上、最もいいと思います。ただし、自宅を事務所にする場合は「なぜキャッシュフロー上、最もいいのか?」を知っておくべきです。
この記事ではFP2級保有者の弊社の馬場と共に、以前に公開した記事「『FP2級と考える』自宅と事務所の賃貸、フリーランスはどうする?」の「自宅を事務所にする場合のメリットやデメリット」について深掘りして考えていきます。
特に、税金面にフォーカスしていきます。そのため、「自宅を事務所にする場合のメリットやデメリット」を熟知した上で、経済的なメリットが出るよう、事務所を何処に構えるのか?をキチンと判断できるようになってください。
1.「フリーランスが自宅を事務所にする」メリット
「フリーランスが自宅を事務所にする」メリットの中で1番に挙げられるのはサラリーマン時代と異なり、節税です。ですから、ここでは税金面にフォーカスして「フリーランスが自宅を事務所にする」メリットを説明していきます。
1−1.家賃と光熱費の一部を経費に計上できる
税金の仕組みや経費について正確に知っているという人は多くないと思います。しかし、あなたが家賃や光熱費の1部を経費に計上したいのなら知っておくべきです。税金の仕組みや経費について詳しく説明していくのでチェックしておきましょう。
1-1-1.税金の仕組みとは?
税金とは、所得税や住民税のことです。所得税や住民税は前年の所得から、所得税は累進課税(所得が上がるほど税率が高くなる)で住民税は所得の10%で計算されています。
1-1-2.経費とは?
経費とは、事業で必要になった費用のことです。経費は所得から差し引くことができるので、計上するほど節税することができます。「フリーランスが自宅を事務所にする」と家賃や光熱費の1部をこの経費にすることが可能です。
その為、あなたの所得税の税率が10%なら住民税と合わせて、経費の金額の約20%が節税になると覚えておいてほしいです。
1-1-3.家事按分とは?
「フリーランスが自宅を事務所」にしても、家賃や光熱費は全部を経費に計上することができません。なぜなら、プライベートで使用している部分もあるとみなされるからです。この仕事分とプライベート分を分けることを『家事按分』と言います。
家事按分の割合は、あなたの業種にもよりますが30%〜40%にするのが一般的です。
1−2.移動時間が必要ない
レンタルオフィスを借りている場合だと、移動時間や出掛ける前の準備で余分な時間が必要になります。「自宅を事務所にする」ことで、移動などの余分な時間を削ることができるのです。結果、仕事をする時間を増やせて、生産性が上がるでしょう。
1−3.子育てや家事と両立しやすい
あなたに小さなお子さんがいるのなら、「自宅を事務所にする」ことにはとても大きなメリットがあります。大きなメリットとは、時間が自由になることです。
小さなお子さんがいると病気などで保育園から連絡があることは少なくありません。そんな時に、自宅が事務所だと身軽に迎えにいくことができます。また、仕事に疲れたら家事をして、気分転換をすることも可能です。
2.「フリーランスが自宅を事務所にする」デメリット
「自宅を事務所にする」ことは決してメリットだけではありません。あなたが自宅を事務所にしようと思っているのなら、「自宅を事務所にする」ことのデメリットと対処法を知る必要があります。
ここでは、「自宅を事務所にする」ことのデメリットと対処法をご紹介していきましょう。
2−1.プライベートと仕事のメリハリをつけにくい
自宅と仕事場が一緒になってしまうため、どうしてもメリハリはつきにくくなってしまいます。
対処法としては、自宅に仕事部屋を作ることです。もちろん、仕事部屋を作ると家賃は、その分高くなってしまいます。しかし、家賃が高くなった分も経費で計上できるので、節税にもなっておすすめですよ。
2−2.クライアントとの打ち合わせの場所に困る
クライアントとの打ち合わせの必要が出てきた際、自宅が事務所だと、打ち合わせ場所に困ってしまいます。自宅で打ち合わせをすることもできますが、お互いに気を使うので辞めた方がいいでしょう。
対処法としては、会議室を時間貸しで貸してくれるレンタルオフィスを探しておくことです。あらかじめ探しておけば、いざという時に困ることはありません。
2−3.登記場所が自宅だと社会的な信用度が低い
最近では、自宅を事務所にするフリーランスの方が一般化してきたことで減ってきましたが、クライアントによっては登記場所が自宅だと信用をされないことがあります。対処法としては、みんなが知っている住所にあるバーチャルオフィスを契約するといいでしょう。
バーチャルオフィスは、そこでオフィスを借りてなくとも、登記をする権利を貸してくれます。利用料金も安いうえ、電話対応などもしてくれるのでおすすめです。
3.「フリーランスが自宅を事務所にする」際の注意点
「フリーランスが自宅を事務所にする」メリットとデメリットがわかったところで、これから部屋を借りるというあなたはその注意点も確認しておいてください。注意点を知らずに部屋を借りて事務所にしてしまうとトラブルの可能性もあります。
3―1.事務所として使用可能な物件を選ぶ
事務所やSOHOとしての利用が禁止されている物件は意外と多いです。多くの場合は、不特定多数の人が出入りすることを嫌って作られた規則ですが、中には来客が全くない業種でも許可が下りない場合があります。
トラブルにならないためにも、あらかじめ事務所やSOHOとしての利用が認められている物件を探しましょう。物件を探す時はフリーランスの賃貸に経験豊富な不動産屋に相談して下さい。
3−2.バーチャルオフィスの利用を検討する
そこで、デメリットの対処はあらかじめ考えておいた方がいいです。当初は社会的な信用度が低いことと打ち合わせ場所に困る場合、バーチャルオフィスを借りることでたいがいは解決できます。
この方がレンタルオフィスを借りるよりずっと安いですし、最近では、会議室を無料で使えるバーチャルオフィスも増えてきています。バーチャルオフィスを借りる際は登記が出来るかどうかだけでなく、会議室を無料で使えるかを確認しておきましょう。
4.まとめ:フリーランスなりたてなら、自宅を事務所にするのがおすすめ
あなたが、フリーランスになりたての場合や収入がまだ安定していない場合は、自宅を事務所にするのがおすすめです。なぜなら、「自宅を事務所にする」ことは経済的に大きなメリットがあるからです。もし、どうしてもあなたがオフィスを構えたいのなら、事業が波に乗ってからレンタルオフィスを借りることを検討してみて下さい。
ちなみに、これまで連帯保証人を使っていた方向けに念のため。
>>【元弁護士と考える】今春の民法改正で、連帯保証人をお願いできなくなる?(その1)
>>【元弁護士と考える】今春の民法改正で、連帯保証人をお願いできなくなる?(その2)
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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