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こんばんわ、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインでライフプランを中心に提案しているファイナンシャルプランナー兼宅地建物取引士の馬場です。
先日、神奈川県茅ケ崎市にお住まいの40代の方と面談した際、私たちに相談する前にサイトから一括査定の申し込みをしたところ、「夜10時過ぎでも『今すぐ面談したい、家に行きます!』と申し込み後すぐに電話があり、自宅にも売却しませんかとチラシに届くようになり、気軽に相談するものじゃないと怖くなった」と話していました。
非常識すぎますね・・・。
この方だけでなく、相続や住み替え、住宅ローンの支払い負担を軽減する目的で、不動産の一括査定を利用し、しつこい電話営業やトラブルに遭って、弊社に連絡を頂いた方の後悔や対策相談が去年、今年と合わせ20件近くありました。
相談者の生活や立場を考えず、早朝から深夜まで電話してくる、勝手に不動産の周りをウロついたり査定したりして、近所の人とトラブルを起こすなどの事例もニュースになっています。
そこで、実際に相談のあった失敗事例から、一括査定にまつわるしつこい電話営業の原因やその対策、注意点をまとめました。
1.家、土地など不動産の一括査定を正しく理解し、損をしないための基礎知識
まず初めに、家や土地など不動産の一括査定を正しく理解し、損をしないため、不動産取引や媒介契約に係る基礎知識について解説します。
1-1.家、土地など不動産の一括査定とは
家や土地など『不動産の一括査定』とは、売りたい不動産について、一度に複数の不動産会社から見積もりをもらうことを言います。
不動産を売買するには、法律上、免許を持った不動産会社に仲介に入ってもらう必要があります。
また、買い手を探すにも、不動産会社の力は欠かせません。
ですので、不動産を売りたい場合には、まず仲介をしてくれる不動産会社を探さなければなりませんが、これを一括で複数社に依頼する仕組みが不動産の一括査定です。
一括査定自体は無料で行うことができ、インターネットサイトで不動産に関するいくつかの情報を入力すると、不動産会社から連絡が来る仕組みになっています。一戸建て、マンション、土地など不動産の形態は問いません。
>>査定価格と成約価格の乖離について、こちらのページにまとめています。
20年近いデータを見ると、個別性がほとんどないマンション以外、査定価格は役に立たないと言えます。
まあまあ、取引件数が多い戸建は成約価格と20%近い乖離があり、ほとんど参考にならないと言えそうです。
土地や特殊な用途の不動産など個別性の強いものは取引件数が充分ではなく、相場を判断しづらいのがその要因です。
>>念のため、大手仲介不動産会社の決算情報から、仲介手数料率を計算し、囲い込みの割合を分析しました。
1-2.不動産の一括査定をやってみたら、どんな流れで契約、お金のやり取りが進むのか
不動産の一括査定を申し込むと、概ね以下のような流れで契約が進みます。
- 一括査定の申し込み
- 一括査定を受けた不動産会社から連絡が来る
- 見積もりや契約条件を確認する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 不動産会社が営業活動を行う(一般媒介契約、専任媒介契約の場合は売り手が買い手を見つけてもOK)
- 売買契約を行う
- 不動産会社に仲介手数料を支払う
もし、不動産仲介会社が買い手を見つけて契約にまでこぎつけた場合、買い手からも仲介手数料をもらうことができます。
売り手、買い手双方から仲介手数料を得られるため、これを「両手」と呼んでいます。そして、顧客リストや取り扱い物件を豊富に持っている大手不動産会社ほど、両手比率が高いです。
住友不動産販売の「両手比率」が2016年から2020年までの過去5年間の平均は72.6%と、3件に2件以上が両手と言う結果でした。
ちなみに、両手自体は違法ではありません。ただし、両手にしてより多くの仲介手数料を得たいがために、売り手に不利益な“囲い込み”をする不動産仲介会社もあり、その分、売り主が損をしているので、注意して契約をして欲しいと思います。
>>大手不動産会社の両手比率など、実際のデータから分析したものはこちらのページにまとめておきました。
1-3.売り手に不利益な“囲い込み”とは
売り手に不利益な”囲い込み”とは、不動産仲介会社が自社に有利な買い手を見つけて両手取引にするために、不動産情報を意図的に隠蔽するなどの行為を言います。
不動産仲介会社と専任媒介・専属専任媒介契約を結んだ場合、不動産仲介会社は「レインズ(REINS)」と言うデータベースに、当該不動産の情報を登録しなければなりません。
「レインズ(REINS)」に登録することで、他の不動産会社も物件情報を閲覧することができるようになり、買い手が見つかるというわけです。
ところが、悪質な不動産仲介会社は「レインズ(REINS)」に登録せず、自社で有利な買い手を探そうとします。
そして、契約が成立に至った場合、売り手と買い手の双方から仲介手数料を受け取る“両手”に持ち込もうとするのです。
専任媒介契約で「レインズ(REINS)」への登録を怠り、状況報告がないのは契約違反で媒介契約を解除することができます。
1-4.わかりづらく、厄介な“囲い込み”にも注意
1-4-1.仲介手数料を2倍にする囲い込みとは?
*住友不動産販売公表の決算資料より作成
もっと悪質なケースとして、「レインズ(REINS)」には登録するものの、実際に買い手側の不動産仲介会社から問い合わせが入ると、「すでに契約交渉中」などと言って、断ってしまうことがあります。
明らかな契約違反ですが、問い合わせがあったかの情報は表に出づらいため、売り手側が指摘するのも難しくなります。
こうした”囲い込み”を含む違反行為は、多くの不動産会社で禁止されていますが、今も暗黙の了解として内々で行われていることも少なくありません。
このようなグレー(実質ほぼクロ)な手口を使ってまで、不動産仲介会社が囲い込みをするのは、当然両手により仲介手数料を2倍得たいためです。
1-4-2.囲い込みの結果、売主が損をします
ここまで書いてきた通り、囲い込みは買主に合わせた売買価格となるため、売り手にとって、大きな不利益を生む可能性があります。
まず、問い合わせに対して勝手に断られるために機会損失があること。そして、不動産仲介会社が自社に有利な買い手に売るために、値下げをする可能性があるからです。
値下げをしても、不動産仲介会社は両手で仲介手数料を得られます。
一方、売主は売却価格が下がるため、手に入れられる売却益が減るのです。したがって、このような不動産仲介会社を選ばないようにするほかありません。
見極めるのは難しいかもしれませんが、インターネット上での口コミや評判を確認するほか、問い合わせをしてみてやたらと「すでに契約交渉中」、「図面を作成中」などと言ってくる不動産仲介会社は注意した方がいいと思います。
>>大手不動産会社の両手比率など、実際のデータから分析したものはこちらのページにまとめておきました。
1-5.一括買取査定の対象とサービスの比較
不動産のほとんどが、一括買取査定の対象です。
土地、住宅(一戸建て、マンション)の買取はもちろん、住宅ローンの返済が厳しくなった場合に自宅をリースバックしてもらうことを条件に、売却の一括査定をしてもらうケースもあります。
また、一括査定のサービスとしては、suumo(スーモ)、ホームズ、ズバット、イエウール、HOME4U、リビンマッチが有名です。
どのエリアにある不動産なのか、人気物件かによってそれぞれ得手不得手があるため、単純比較は難しいですが、口コミを確認の上、いくつか一括査定してみるのがおすすめです。
2.家、土地など不動産の一括査定の実態としつこい電話営業のカラクリ
家、土地など不動産の一括査定の実態と、しつこい電話営業のカラクリについて解説します。
2-1.家、土地など不動産の一括査定の実態
2-1-1.不動産の一括査定の実態についてカラクリ
まず、家、土地など不動産の一括査定の実態についてカラクリを説明します。
売却を考えているユーザーが一括査定を依頼すると、不動産仲介会社から連絡が入ります。
人気エリア、売れやすい物件であるほど、多くの不動産仲介会社からアポイントがあると考えてください。
連絡方法は、電話、メールなど選べるケースが多いですが、お客様の状況も考えずバンバン電話連絡してくる、迷惑な不動産仲介会社もあります。
>>査定価格と成約価格の乖離について、こちらにまとめています。
2-1-2.自宅の査定価格から媒介契約を締結
次に、不動産仲介会社は査定価格や見積もりを提示し、媒介契約を結ぶよう求めてきます。
ここで注意して欲しいのが、見積額はあくまで目安であることです。
真面目な不動産仲介会社は、きちんと地域の相場や実績から物件をキチンと査定して現実的な見積額を提示してきます。
2-1-3.自宅の査定価格で注意してほしい事
一方で、媒介契約をしてもらうために相場からかけ離れた高い見積もりを安易に提示してくるところもあります。
高い見積もりを提示して媒介契約を結び、しばらくして売れないと「売れないので売却額を下げましょう」というケースは日常茶飯事です。
見積額だけで判断せず、見積もりの根拠を聞いた時の回答、会社や担当者の対応などを見極めて、媒介契約を結ぶか判断して欲しいと思います。
そして、媒介契約後、売却が正式に決まれば売却、仲介手数料を支払うという流れになります。
2-2.一括査定が無料の秘密としつこい電話営業のカラクリ
一括査定を無料で行えるのは、不動産仲介会社がサイト運営者に対して手数料を支払っているからです。
不動産会社は一括査定サイトからの反響や問い合わせがあると、一件あたり3~5万円をサイト運営者に支払っています。
競争の激しい東京では、自宅の売却を検討している売り主の情報が一件10万円と言われたこともあります。
一括査定の依頼者の情報は、1社だけでなく、5社、10社に送られることも少なくありません。
同じ売主の情報が一斉に送信されるため、面談を取り付けるため、担当者間で熾烈な営業競争になります。
結果的に、この情報屋に支払った手数料を取り返すため、なんとか媒介契約にこぎつけようと、しつこい電話営業が始まるというわけです。
相談者の生活を考えず、見知らぬ番号から仕事中だけでなく、22時以降や朝6時に携帯や自宅に何度も電話を掛けてくるなど苦情の原因を作っています。
他にも、ただ売却の相談をしたかっただけなのに、面談時に現金を持ってくる担当者や媒介契約や売る約束をしないと帰らない担当なども出てきています。
2-3.無料の一括査定でよくあるトラブルやクレーム
無料の一括査定の利用によるトラブルについて、下記の相談を受けることがよくあります。
- 依頼していない業者も併せて、数十件から連絡が来て、仕事が手につかなかった。
- 一括査定に入力した個人情報が流用された。
- 勝手に不動産の査定をしていたため、近所の人に売却がバレた。
- 家の前で営業マンが待ち伏せしたり、周辺をウロウロされて迷惑な上に、近所からも苦情が来てトラブルになった。
- 査定書をもらって帰ろうとしたら、脅しに近い勢いで媒介契約を強要され恐怖を感じた。
3.家、土地など不動産の一括査定についてよくある質問とその回答
家、土地など不動産の一括査定ついて、よくある質問とその回答をまとめました。
3-1.一括査定の見積りは相場より高めですか?
これは不動産仲介会社の姿勢によるので、一概には言えないとお答えしています。
ただ、傾向として自社と媒介契約を結んで欲しいため、高めに出す不動産会社も多くあるのが実情です。
相場が3,000万円程度の物件でも、見積額は数百万から1,000万円程度差が出ることも少なくありません。
見積もりが出たらその根拠を聞き、キチンと答えられるか、担当者の対応は誠実かなどを見て欲しいと思います。
>>査定価格と成約価格の乖離について、こちらにまとめています。
3-2.離婚による物件売却を考えているため相手にバレないように一括査定に出せるでしょうか?
担当者によって、キチンと対応してくれる人とそうでない人がいます。
一括査定では依頼時に、アポイントの方法を電話、メール、書類等から選ぶことができますが、自分が契約を取ることばかりを考えて、ルールを守らない担当者も残念ながらいます。
四六時中、電話をかけてくるような担当者もいるので、絶対に査定することがバレたくないのであれば、安易に一括査定を利用しない方が良いとアドバイスしています。
3-3.一括査定後、媒介契約するなら、大手不動産会社がいいですか?
大手がいいとは一概には言えない、とお答えしています。もちろん、大手は買い手のリストも豊富に持っているというメリットはあります。
しかし、「1-2.不動産の一括査定をやってみたら、どんな流れで契約、お金のやり取りが進むのか」で解説したように、大手の両手取引率は約60%にも上っています。
両手が必ずしも悪いわけではありませんが、トラブルの温床であり、売り手が損をするリスクも高まるので、積極的にはお勧めしていません。
まずは大手だろうとそうでなかろうと、担当者が真面目に誠実に対応してくれるかを見極めることが大切だと思います。
その結果、大手でなく小さくても、エリアでの実績が豊富な不動産仲介会社に依頼した方が良いケースも多いです。
なお、大手は売却の場合は囲い込みの可能性がありますが、購入の場合には必死に値下げを行ってくれる可能性があるので、要は使いようだと思います。
不動産会社の買取に卸している場合も多々あります。それなら、直接買取を依頼した方が手残りが多くなるケースもあります。
3-4.一括査定後は、専任媒介契約と一般媒介契約どちらがいいですか?
物件が人気エリアにあるかや物件の状態によります。
概ね、以下の判断基準をアドバイスしています。
3-4-1.専任媒介契約に向いているケース
- 少しでも早く不動産物件を売りたい
- 任意売却したい
- 不動産の立地が悪い
- 物件の築年数が長い
- 特殊な事情による売却
なお、専任媒介契約の中でも「自分でも買い手を探し、債権者と交渉したい」場合は、専属専任媒介契約には向きません。
3-4-2.一般媒介契約に向いているケース
- 多くの不動産会社に依頼したい
- 複数の業者が動くことによるプライバシー等の拡散を気にしない
- 不動産の立地が良い(人気エリアにある)
- 物件の築年数が浅い
- 人気のブランドマンションである
- 分かりやすい物件
全般的に、立地が良く、建物も新しく、しっかりしている誰でも欲しがる人気物件は、一般媒介契約で、売却後の手残りを最大化するのがおすすめです。
念のため、自宅の売却時の媒介契約の選び方について詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
参照:【無料診断付き】住宅ローン整理や任意売却を依頼する時、専任媒介契約と一般媒介契約の違いやメリット、デメリット5つ
3-5.複数の一括査定サイトを利用しても良いでしょうか? 不動産仲介会社に複数の一括査定サイト利用がバレないでしょうか?
まず、複数の一括査定サイトを利用しても問題ありません。
ただその分、営業電話や連絡が増える可能性があるので、注意が必要です。
また、複数の一括査定サイトを利用したことは、システム上不動産仲介会社にバレるケースとバレないケースがあるかと思います。
しかし、不動産業界ではそもそも一括査定サイトの存在と、競合他社との競争があるのは理解していることなので、気にする必要がありません。
複数の一括査定サイトを使っているからといって、査定額に影響することはないと考えて大丈夫です。
4.一括査定によるしつこい電話営業のカラクリとその対策や注意点まとめ
最後にまとめとして、一括査定によるしつこい電話営業の原因は、『不動産仲介会社が一括査定サイトに支払った手数料を取り戻そうとする』からです。
相談者と媒介契約を結び、売却をしなければ手数料分が損失となってしまうため、相談者の生活を考えず、四六時中、何度も電話を掛けてくるなど苦情の原因を作っています。
一括査定を利用する場合、こうしたリスクを100%回避するのは難しいです。
一括査定利用時には、電話連絡以外をお願いする、机上査定を選ぶなどの方法がありますが、結局担当者の人間性に左右されます。
絶対にしつこい電話営業を避けたいのであれば、一括査定ではなく、不動産があるエリアでの売却実績が豊富な不動産仲介会社を探すのが良いと思います。
その際は、インターネット検索やホームページを閲覧するなどして、以下の口コミがあるか確認してください。
- 自社で実務をキチンと行なっていて、売却の実績を掲載している。
- 口が堅い、守秘義務契約を結んでくれる。
- 近所や学校にバレないよう、対応してくれる。
- しっかりした顧客リストを持っている。
- 連絡方法を確認した上で、密にコミュニケーションを取ってくれる。
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