B.豆知識(相場、法律)

住んでいるマンションで、いくら注意しても止まない隣人の騒音に悩んでいます。

繁忙期の終わった4月と10月はトラブルの相談件数が一気に増えます。仕事があり、忙しく、難しいと思いますが、引っ越し後に後悔しないため、部屋探しの経験が少ない方ほど担当者に条件等の確認をきちんとして、契約・引っ越しを進めてください。

先日、隣人の騒音問題に関して以下のような相談を受けました。

1.収まらない隣人の騒音。どうすればよいですか?

一年半以上もずっと騒音に悩まされていて、どうしたら良いか分からず毎日非常に悩んでいます。

賃貸マンションに住んでいますが、昨年の春に私の住む部屋の下階に住人が引っ越してきました。それ以降、騒音(天井や壁をたたくような音)が頻発するようになりました。

管理会社に何度も相談し、その都度チラシを配布してもらったり、電話で本人にヒアリングしてもらったりしました。

しかし、数日状況は良くても、また数日経てば騒音が再発するという状況の繰り返しです(ヒアリングしてもらった結果は、「何も心当たりがない」「故意に音は出していない」等)。

警察にも何度か相談して本人にヒアリングしてもらいましたが、上記と同様な回答でした(警察が帰った後、逆ギレしたかのようにそれまで以上の大きな音が聞こえてきたのを今でも鮮明に覚えています)。

私自身も、本人に何度か直接ヒアリングしましたが、上記同様の回答でした。
管理会社と相手、私の三者で話し合いをしたことがありましたが、相手は「知らない」「(私が)おかしいんじゃないか」とまで言ってきました。

スマホで音を録音しようと試みましたが、音の性質からかほとんど録音できませんでした。
最近も、深夜の3時半位にドンドンドンと壁をたたくような音が十数秒に渡り聞こえてきて、非常に嫌な思いでした。

管理会社に相談しても、「相手が故意に音は出していないと言っているので対処できない」と積極的に動こうとしてくれません。
私の隣の部屋の方に同様なことがないか聞いたところ、「たまに下から音が聞こえてくる」とのことでした。

私は今後どう対処したら良いでしょうか。アドバイスを頂けたら幸いです。

2.受忍限度を超える騒音は不法行為です。

「受忍限度」を超える騒音は、他人の権利を侵害したとして違法行為となります。
「受忍限度」の一つの目安としては、環境省が発表している「騒音に係る環境基準について」内に記載されてる数値が参考になります。

2-1.騒音トラブルは証拠が重要です。

騒音は目に見えるものではないため、証拠を残すのが難しいです。
録音が取れないのであれば、騒音計測器を使ってデシベル数を測ってみるのも一つの手段です。

計測したデシベル数が、前述した環境省の基準を上回っていれば十分な証拠材料になります
その他の手段としましては、例えば管理会社の方に自室へ来ていただき、直接騒音を確認してもらうなどの方法があります。

過去には、騒音のデシベル数を証拠とし損害賠償請求が認められた判例もあるため、
まずは証拠を残してみてください。

2-2.考えられる対応は2つです。

不法行為になるような証拠が揃ったら、以下2つの対応を検討してください。

・契約違反として隣人に任意退去してもらう。
→不法行為による任意退去を管理会社や貸主から促してもらう。

・退去を検討する。
→それにあたって、今まで受けた騒音被害(不法行為)による損害に対する賠償請求、
要するに退去費用の請求を貸主に行う。

3.このようなトラブルに巻き込まれたら。


今回のケースですと、騒音を起こす当事者が相談者様の後に引っ越してきていることから
防ぎようがなかった事案です。

まずは、証拠を押さえたうえで管理会社や貸主にご相談ください。
貸主も、被害者と加害者だと、加害者を退去させたいはずです(次に入居した人からも同様のクレームがきてしまうから)。

そのため、任意退去を促してもらうように相談してみましょう。
任意退去の相談も受け付けない、退去費用も払わないとなったら最終手段として弁護士に相談してみてください。

念のため、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。

ーーー

あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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