私は都内の会社に勤めている30代の女性で、今年中に通勤の便利な都心のマンションへの引越しを考えています。学生時代に住んでいたマンションを退去する時、敷金は全く返金されなかったのですが、当時は私も無知であり、そういうものだと思っていました。
しかし、社会人になって友人に聞いたり、ネットの情報などを見て、敷金は本来返ってくるものだと知りました。
今住んでいるマンションを退去する際には、正当な金額はきちんと返してもらいたいのですが、どのようにすれば良いでしょうか?
A.敷金の返還について、賃貸物件におけるトラブルでも非常に多く起こっています。
まず敷金は『入居から退去までの期間に生ずる可能性のある、家賃の未払いや物件を傷つけるなどの損害に対する補償料のようなもの』です。
その為、形としては『預かり金』であるため、消費税もかかりませんし、入居中、補償すべきことが起こらなければ一般的には退去時に返還されるのが原則となります。
ただし、入居者様には退去時に『原状回復』の義務があります。
入居中、故意・過失に関わらず、例えばイスを引きずって床に傷がついた、タバコを吸って壁紙に匂いや変色がある、などの場合は、借りた時の状態に戻さなければなりません。
つまり、本来正しい手続きとしては、
1)大家さん側が入居者様に敷金の返還
2)入居者様が原状回復費用を大家さん側(または修繕業者)に支払い
という順になるのですが、引越し前後はお互いに忙しいため、敷金と原状回復費用を相殺し、敷金の残額を返還という形を取っていることが多いのです。
しかし、近年では賃貸契約時の書類に「敷金は返還しません」との文言が書かれているケースも多々見受けられ、それで契約してしまった場合には、返還されるのは難しいと思います。その為、契約時には敷金の取扱いについても十分に確認してください。
また、敷金全額返還や敷金ゼロの物件もありますが、ほとんどのケースで全く人気がない部屋か、その分の費用が家賃に上乗せされていることもあるので、必ずしも良いとは限りません。これに関しては、仲介手数料ゼロ物件など他のコラムでいずれ説明します。
何れにしても、敷金に関してはトラブルが多いです。
トラブルを避けるためには、
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の内容を確認しておく
- 入居時に、全ての部屋の状態(床や壁紙なども含め)写真に収めておく
ということも有効です。
東京都の場合は、東京都都市整備局「賃貸住宅紛争防止条例」があるのでこちらを参考にしても良いでしょう。それでもトラブルになってしまった時は、以下の所に相談することもできます。
1)当該物件エリアを所轄している国土交通省の各地方整備局、各都道府県庁の宅建業法(不動産)相談窓口
2)独立行政法人 国民生活センター
3)全国借地借家人組合連合会
4)全国宅地建物取引業協会連合会
なお、当社取扱い物件に関しては、退去時の敷金請求や原状回復工事内容の確認・相談なども承っておりますので、疑問点、不安な点などありましたら、お気軽にご相談ください。
あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。