質問です。
もし、あなたの家やマンションの前に見慣れない車が連日のように長時間停まっていたら、あなたはどのように感じますか?
よほど楽天的でない限り、不審に思うのではないでしょうか? 人によっては不安や恐怖を感じるかもしれません。
では、次のケースではどうでしょうか?
近所に『新築マンション』ができました。毎日、入居者が引越してきている状況で、貨物用の大型トラックがよく停まっている…。
途端にトラックへの不審な気持ちが軽減されるのではないでしょうか?実はこうした状況こそ、泥棒などの犯罪者にとって魅力的なことなのです。
新築マンションができれば、知らない人や車が行き交うのは当たり前になります。犯罪者は入居者やその関係者、業者に紛れて、犯罪の下見を行うのです。
この時のターゲットは、新築マンションだけではありません。新築マンションの周辺にある住宅も対象になる可能性があります。犯罪者は新築マンションに用事があるフリをして、周辺の様子を確実に伺います。
「・・・あの家は昼間は誰もいない。」
「・・・女性が一人で住んでいる。」
「・・・週末は遠出して、宿泊している。」
こうした情報を、周囲に溶け込みながら収集し、犯罪のタイミングを狙っているのです。
ではなぜ、近くに新築マンションができると、泥棒にとって魅力的な環境になるのでしょうか?一つ目は今、説明した通り、
1.犯罪者が周辺環境に溶け込める
のが理由です。新しいマンションの周辺に、見慣れない人や車などがあることはごく自然なことなので、泥棒も堂々と下見や犯罪を犯すことができます。
二つ目と三つ目の理由は、『日本防犯学校学長』で『犯罪アナリスト』の梅本正行氏が著書『泥棒はなぜ「公園に近い家」を狙うのか?』の中で述べている言葉をお借りして説明したいと思います。
2.周辺の人の防犯意識が鈍っている
冒頭の例に挙げたように、新築マンションができると見慣れない人や車があることが当たり前の状況になるので、元々住んでいた人々の防犯意識が鈍ってしまうのです。犯罪者はこうした人々の『心のスキ』を狙っています。
3.地域コミュニティができていない
新しい人たちが急激に多数引越すと、その地域のコミュニティが再形成されるまでに時間がかかります。その間、不審者情報や地域内で起きた困りごとなどの情報も共有されにくくなるため、犯罪防止効果が弱くなってしまうのです。
そこで、近くに新築マンションができたら、絶対に気をつけたいこと
近くに新築マンションができたら、普段以上に周囲の状況を観察するようにしてください。たとえ業者やその関係車両でも、それは犯罪者のカモフラージュかもしれません。
人を疑うようでいい気持ちはしないかもしれません。しかし、自分の身を守るためには非常に大切なことです。必要に応じて、自分の住まいの自治会やマンション管理人などと情報を共有しましょう。
クレームとして報告するのではなく、「新しいマンションができて、知らない方の出入りが多いので、お互い気をつけましょうね!」と前向きな声がけをするだけで、防犯意識や地域コミュニティの力が高まります。
参考文献)梅本正行「泥棒はなぜ『公園に近い家』を狙うのか?」現代書林、2009年
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。