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先日、困ったオーナーや漏水の対応に関し、以下のような相談を受けました。
1.マンションの雨漏り、オーナーを説得し、賠償請求できないか?
7月より転勤に伴い東京に引っ越してきました。このご時世だったため、WEB内見で部屋決め、入居日まで部屋を見ずに引っ越しを決めました。
入居日、部屋のブレーカーを上げた際に電灯より大きな音がして、確認してみたところ、雨漏りが原因で部屋の上部の電灯がショートしておりました。そのほかにも部屋を確認してみると、キッチンの換気扇からも雨漏りしておりました。
管理会社に相談してみると急遽、空いている別の部屋(1階)に仮住まいを提案されました。
引っ越しの荷物が届くのが入居日の翌日だったため、やむを得ず承諾しました。しかし、その後、こちらから連絡しない限り連絡が来ない、対応が遅い、直接の謝罪無し、等の管理会社の不備が目立ちはじめます。
下記に問題発生から現在に至るまでを時系列で説明します。
7月1日 入居日 雨漏り発見 夜遅かったため24時間の業者?による簡易的な補修
7月2日 別の部屋(1階)を提供される
7月10日 雨漏り調査、部屋が最上階ではないため(5階建ての4階)、上の階の人にも調査
7月25日 上の階、同階別の部屋にも何も影響無し、自分の部屋だけが雨漏りをしており、雨漏りの要因は、横壁の不備、壁から入り込んだとのこと。
補修の施工日未確定。
8月~10月 何度も工事促進の催促したが、全く対応してくれず、退去を申し出たところ、10月に補修工事を行うと連絡あり
10月12日 補修工事
10月25日 散水調査
11月26日 内装工事
12月より戻れるとの事で損害賠償について今協議中です。私の要望は7月から現在までの家賃返還+損害賠償ですが、管理会社は7月から現在までの家賃50%(約19万円)です。
長期の対応の遅れについて、直接話し合いをしたいと申し出てるのに何度も断られています。
2.日本賃貸管理協会の「貸室・設備の不具合による賃料減額ガイドライン」による賃料減額
2-1.日本賃貸管理協会が定めている「貸室・設備の不具合による賃料減額ガイドライン」について
日本賃貸管理協会が定めている「貸室・設備の不具合による賃料減額ガイドライン」では漏水被害による賃料減額割合は5~50%とされています。
また、上記の減額割合に関しては、漏水が起きている部屋に住み続けなければいけない場合に該当するものです。
以上のことから、本件は漏水が起きている部屋と別の部屋で生活ができていたため、仮住まいの部屋が契約した部屋より極めて不便でない限りは本来賃料の減額請求も難しいケースです。
2-2.協議中の損害賠償は成立するのか?
管理会社が賃料50%の返金(限度いっぱい)を提案しているということは非常に稀で良心的な対応です。そのため、後になってやっぱり返金ができない等言われる前に証拠として、賃料50%の返金を確約する旨が記載された書面を頂いたほうがよろしいかと存じます。
また、損害賠償に関しまして、管理会社の不備や謝罪がない等のいわゆる「誠実さ」をお金に変えることは難しく、たとえ法的に争ったとしても請求が認められることは厳しいかと存じます。
3.このようなトラブルに遭わないために
3-1.新しく引っ越した物件は設備の不備は少ないはず
基本的に、入れ替えがある度に修繕やクリーニングが行われるので、設備の不備は少ないはずです。しかし、それでも入居後に見かけられる不備はあります。
電気・水道・ガスといったライフライン設備のチェックは内見時には止めている場合が多く、設備不良を見つけることは困難かと思いますが、今回のような雨漏り、キズ、汚れなどの状況は実際に足を運んで自分の眼で確認することが大切です。
WEB内見等はお忙しい方にはとても便利ですが、やはり不動産業者も仕事として行っているので、営業に不利なことは知っていても話さないこともあります。
3-2.契約後、入居前の再内見も効果的
また、内見だけではなく、入居前に再度内覧依頼をすることもいいと思います。その際に設備不良等が見つかった場合、不動産会社に相談をすれば入居までに直してくれる場合もあります。
払ってしまった契約時の一時金は戻ってきませんが、将来発生する改修費を未然に防ぐことが出来ます。遠方から引っ越される方などは事前に確認し、引っ越しを行った方がトラブルを防ぐことが出来ると思います。
今回のケースのように、引っ越し後に発覚すると損害賠償請求するのことは極めて困難です。このような回答になり大変心苦しいのですが、今回は返金に関しては通常からすると良心的な対応であるため、頂ける分は頂いて、そのほかの損害賠償等は無理に争っても、相談者様が疲れてしまうだけで終わる可能性が高いので、あまり無理の無い範囲で対応してみてください。
4.住まいのトラブルを減らす、もう1アクションまとめ
スマート内見等、便利なツールが増え、平日は仕事があり、忙しく、難しいと思います。しかし、今回のように引っ越し後に後悔しないため、部屋探しの経験が少ない方ほど担当者に条件等の確認をきちんとして、契約・引っ越しを進めてください。
念のため、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。
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あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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