重説で周辺環境の告知を故意的にしなかった場合、費用請求は可能なのでしょうか?

繁忙期の終わった4月と10月はトラブルの相談件数が一気に増えます。先日、契約時の隣人のゴミ問題に関し、以下のような相談を受けました。

仕事があり、忙しく、難しいと思いますが、引っ越し後に後悔しないため、部屋探しの経験が少ない方ほど担当者に条件等の確認をきちんとして、契約・引っ越しを進めてください。

1.マンションの周辺環境の告知を故意でしなかった場合、費用請求は可能でしょうか?

契約前に管理会社より「隣の入居者が以前ゴミをベランダに放置していたことが1回のみあり、特にその後トラブル等ではないが一応伝えておく」といった内容を聞かされておりました。

しかし、実際はベランダ以前に共有廊下まではみ出すほどのゴミの量であり、(ドアが閉まっておらず隙間から中に敷き詰められたゴミが見える)誰が見ても明らかにゴミ屋敷であることが判明しました。

更に、管理人さんに確認したところ1年前に該当の部屋でゴミによる火災報知器の誤作動があり、消防、警察が駆けつけるという事件があったようです。それ以降、1年以上管理会社は隣人へゴミの対応を申し出ていたようですが進展はなかったようです。その間、私が契約した部屋はずっと借り手は付かない状態でした・・・。

以上のことから、管理会社が実状(明らかにゴミ屋敷であること、ベランダに1回ゴミを放置しただけというレベルではないこと)を把握していたはずです。契約前に、私に伝えてきた内容は大きく相違がある内容かと思われます。

このような状態は、賃貸契約をする際告知義務などはないのでしょうか?また、なかったとしても、相違のある内容、嘘の事実を伝えてきて契約に至らせたということは何らかの違反にはならないのでしょうか?

管理会社側からは初期費用は全て返金するとのことですが、引越し代は渋られています。自分としては引越し代含め、この物件に対してかかった費用すべてを返してもらわないと納得がいかない次第です。引越し代まで請求することは出来るのでしょうか?

2.今回のケースですと、業法違反に当たり、損害賠償として請求できる可能性が高いと思います。

2-1.告知義務違反になるか?

まず、前提としてごみの問題というのは賃貸契約をする際の告知対象になるかどうかが明確に線引きがされていません。このことは行政でも問題になっています。

ごみ袋が1、2袋玄関前においてある程度だと告知対象にするのは難しいですが、今回のように、周辺環境が生活に悪影響を及ぼすことが目に見えて確認できるような状況であれば、十分に告知対象になるのではないかと思います。

しかし、どこまでの範囲を告知すべきかが必ずしも明確ではないため、それを理由に支払いに応じない可能性もあります。もし、そうなった場合は、弁護士に相談してみてください。

2-2.引っ越し代の費用請求できるのか。

まずは、下記の宅建業法をご確認ください。

・宅建業法35条

宅建業者は、売買・賃貸の契約が成立するまでの間に、書面を交付し、買主・借主に対し、取引主任者をして一定の重要な事項の説明をさせなければならない。

・宅建業法47条1項

宅建業者は、その業務に関して、宅建業者の相手方等に対し、重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。

今回のケースですと、過去にごみトラブルがあった部屋の現状(再度廊下にまでごみがあふれているような状況)を管理会社が把握していなかった(過失)とは考えにくく、故意的に虚偽の説明をしていた可能性が高いのではないかと感じます。

そのため、伝えなければいけない周辺環境の告知を故意的にしなかった(虚偽の説明をした)ことによる業法違反に当たる可能性があり、引っ越し代金は損害賠償として請求するのが良いと思います。

つきましては、業法違反による引っ越し代金の損害賠償請求として、書面やメールなど証拠に残る形で送付してみてください。

3.このようなトラブルに遭わないために

上記にも記載したとおり、今回のケースは費用請求ができる可能性が高いご相談です。

しかし、管理会社へお願いはできても強制はできません。そのため、もし揉めた時の為に、ゴミの状況の写真や隣人と接する機会があればその内容等、客観的証拠を揃えることが最も重要です。

また、今回の場合は、目に見えてわかるゴミの量であるため、内見時にも発見できた可能性があります。

特に、遠方への引っ越しの方や部屋探しの経験が少ない方は後悔・失敗が統計的に多いので、オンライン内見だけにとどめず、慣れるまでは部屋の決定は信用できる担当者に依頼するか、もしくは、自分の目で・耳で・鼻で調べてからの方が圧倒的に後悔が少ないと思います。

その際に、ご自身で室内の確認だけではなく、隣人や周辺状況の確認をすることで同じトラブルを未然に防ぐことができると思います。

念のため、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。

ーーー

あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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