空き家を最高価格で売却するための流れと方法

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空き家を最高価格で売却するための流れと方法

作業中の相楽

空き家を放置していると、税金や維持費がかさみ続けてしまい、損失が大きくなる可能性があります。

一方で、空き家を売却して得た資産を有効活用できれば、家計の負担を軽減できるだけでなく、新しい生活資金を手に入れられます。

しかし、高値で買い手を見つけるためには、売却の方法や相場の見極め方、物件の印象を高める工夫など、押さえておくべきポイントが数多くあります。

そこで今回は、空き家を最高価格で売却するための戦略と、その手法について解説します。

1.適切な売却方法の選択とその比較

話し合う男性たち

空き家を売却する際は、大きく分けて仲介売却買取の二つの方法が考えられます。

どちらを選ぶかによって売却価格や売却期間、手間やリスクなどに違いが出るため、まずはそれぞれの特徴を正しく理解することが重要です。

さらに、複数の不動産会社に一度に査定を依頼できる一括査定サイトを活用する方法も、近年では広く知られています。

ここでは、仲介売却と買取の違い、それぞれのメリットとデメリットを整理するとともに、一括査定サイトを有効に使うポイントや注意点について解説します。

1-1.仲介売却とは?

空き家を売りたいと考えたとき、まず最初に検討すべきなのは「仲介売却と買取のどちらを選ぶか」という点です。

仲介売却とは、不動産仲介会社に売却活動を依頼して市場に物件情報を公開し、さまざまな購入希望者とのマッチングを図る売り方です。

1-1-1.仲介売却のメリットとデメリット

複数の買い手から興味を持ってもらえるチャンスがあるためより高い価格で売却できる可能性が期待できます。

しかし、その反面、売り出してから実際に成約するまでに時間がかかりやすいというデメリットがあります。

1-1-2.長期化や手数料もポイント

不動産仲介会社と、専任媒介契約や一般媒介契約を結んだ場合、その会社が広告戦略や内覧対応などの活動を行います。

広告を通じて買主を探し、実際の内覧を実施し、その後買主との交渉を経て契約を結ぶことになります。

交渉の過程では価格面の調整も入るため、高値で売却できる可能性がある一方、条件が合わないと長期化するケースも見受けられます。

さらに、仲介手数料がかかることも認識しておきたいポイントです。

1-2.買取とは?

一方の買取は、不動産会社が直接空き家を買い取ってくれる方法です。

1-2-1.買取のメリットとデメリット

仲介売却に比べると売却価格は低めになりがちですが、スピード性や確実性に優れています。

管理が難しい遠方の空き家を一刻も早く手放したい方や、売却活動に時間をかけたくない方にとってはメリットの大きい選択肢になります。

ただし、買取の場合、どうしても市場価格より安価に設定される可能性が高いです。

これは不動産会社が買い取った後にリフォームやクリーニングなどを行い、再度市場へ売り出して利益を得ることを前提としているためです。

結果として、査定額に差が出やすいといえます。

ただし、築年数が古い物件や需要が限られるエリアの場合、仲介ではなかなか買主が決まらない場合もあり、買取を視野に入れることで早期処分が叶うこともあります。

2.仲介売却と買取のメリットとデメリットを比較

仲介売却
  • メリット:市場に広く売り出すため、高値で売却できる可能性がある。購入希望者との交渉次第で価格を上乗せできる場合がある
  • デメリット:買主が見つかるまで時間がかかることがある。仲介手数料が発生する
買取
  • メリット:売却までのスピードが速い。内覧対応などを大幅に省略できるため、手間が少ない
  • デメリット:仲介売却と比べると価格が低くなる傾向がある。買取業者を慎重に見極めないと条件面で損をすることがある

2-1.どちらを選ぶべき?

もし高額売却を重視するなら仲介売却が向いていますが、売り急ぎの事情があるなら買取を選ぶと安心しやすいです。

ただ、仲介売却か買取かを最終的に判断する際には「どの程度の期間をかけられるか」早期に現金化する必要があるか」などの要素も考慮する必要があります。

中には買取保証付き仲介といった、一定期間仲介で売れなかったら、不動産会社が買い取る仕組みも存在するため、状況に応じて活用する方法も考えられます。

実際にどの売却方法がベストかは、空き家の立地や状態、買主の需要などによっても変わるため、まずは自分が何を最優先したいのかを整理することが第一歩といえます。

仲介売却を選んだ場合には、空き家を魅力的に見せるためのリフォームやクリーニング、さらには宣伝広告の工夫が重要になってきます。

一方、買取の場合にはこれらの作業はほぼ不要になることが多いため、手間と費用の削減につながりやすいです。いずれも一長一短があるため、慎重に比較検討することが大切だといえます。

2-2.仲介売却は媒介の種類にも注意

加えて、仲介売却では媒介契約の種類にも気を配る必要があります。

専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約などが代表的ですが、どの契約を選ぶかによって不動産仲介会社の動き方や宣伝手法が変わってくる場合があります。

例えば、専属専任や専任媒介契約は、依頼主が他の仲介会社に重ねて依頼できないため、不動産会社としては熱心に売却活動を行いやすいという特徴があります。

逆に一般媒介契約を結んだ場合、複数の仲介会社に重ねて依頼できる反面、不動産会社側のモチベーションが分散することもあり得ます。

2-3.現状に基づいて検討を

このような点を押さえながら、空き家の売却方針を立ててみてください。

仲介売却と買取、あるいは買取保証付き仲介も含めて、まずは、空き家の現状や家主の都合、希望価格などを軸に方向性を検討する必要があります。

3.一括査定サイトの効果的な活用方法と注意すべきポイント

案内する女性

近年、インターネットの普及により、不動産売却の『入り口』として一括査定サイトが広く活用されています。

特に空き家を売る際、どれくらいの相場なのかを早期に把握したい方や、できるだけ多くの不動産会社を比較したい方にとって便利なツールです。

入力フォームに、物件の概要や所在地などを入力記入すると、サイトが提携している複数の不動産会社から、概算の査定価格が届く仕組みになっています。

3-1.一括査定サイトを使うメリット

一括査定サイトを使うメリットとしては短時間で複数の査定結果を得られる点が挙げられます。

自分でひとつひとつの会社を探して、連絡を取る手間が省けることは大きな利点と言えます。

さらに、不動産会社間で査定額にばらつきがあるケースも少なくないため、複数の見積もりを比べることで、売り出し価格を検討する材料が増えることにも繋がります。

3-2.一括査定サイトを利用する際の注意点

しかし、ここで注意したいポイントとして、「高値を提示する会社がすべて優良だとは限らない」ということが挙げられます。

時には、媒介契約を取りたいばかりに実際の相場よりかなり高い数字を示し、いざ契約を結んだ後に大幅な値下げを提案するケースもあります。

さらに、最終的に相場とかけ離れた価格では売れ行きが鈍り、長期化するリスクが高まる可能性もあります。

したがって、一括査定サイトで得た査定価格は、あくまでも目安と捉えて、訪問査定などで物件の実情をしっかりと確認してもらうことが肝心です。

4.一括査定サイトを利用する流れ

一括査定サイトを利用する際の一般的な流れを整理すると、下記のようになります。

物件の所在地や間取り、築年数など基本情報をサイトに入力して送信する
提携している複数の不動産会社から概算の査定価格や連絡が届く
各社の査定額や担当者の対応を比較検討する
信頼できそうな会社と訪問査定の打ち合わせを行う

各社とやり取りを続けると、何度も同じ情報を聞かれることがあるため、最初の段階で手元に資料をそろえておくとスムーズです。

具体的には、固定資産税の納税通知書や登記簿謄本(登記事項証明書)、建物図面、リフォーム履歴などが挙げられます。

不動産会社はこれらの情報を基に正確な査定を行うため、整理しておくと査定精度が高まりやすいです。

4-1.利用する際は工夫が必要

ただし、一括査定サイトには連絡が一度に殺到する可能性がある点も念頭に置きたいです。

いっぺんに多数の不動産会社から、電話やメールが来ると混乱してしまう方もいます。

中には、しつこい営業電話に悩まされることがあるとも聞きます。

そのため、必要に応じてサイト利用時に受信設定を調整したり、特定の時間帯に連絡を限定するなどの工夫をすると安心です。

4-2.会社選びは慎重に

また、地域の事情に精通した会社かどうかを見極める視点も大切です。

空き家の売却は地域特性に左右されやすく、エリアごとの需要動向や最近の成約事例を詳しく知っている会社のほうが、適切な売り出し価格や宣伝方法を提案してくれます。

担当者の経験や知識量もチェックポイントです。

担当者とのやり取りを通じて「どんなアドバイスをしてくれるか」「やり取りがスムーズか」などを確認し、信頼できる相手を選ぶと後悔が少ないです。

4-3.高値査定には要注意

さらに、一括査定サイトでの査定結果をベースにに売り出し価格を決める際には、「最も高い査定額を提示した会社」に安易に飛びつかないほうが良い場合があります。

あまりにも相場とかけ離れた高値だと、売り出し中に価格を大幅に下げなければいけなくなる可能性があり、結果的に売却のタイミングを逃しがちです。

適正価格を見極める手段のひとつとして、各社の査定額の平均値や、提示理由を聞くと判断の助けになります。

4-4.総合的に判断することが重要

査定額だけでなく仲介手数料や広告の打ち出し方、担当者のレスポンスの速さなども含めて、総合的に判断することをおすすめします。

実店舗の有無や実績も大事ですが、その地域における成約事例を持っているかどうかや、実際の営業手法が自分のニーズに合っているかどうかを確認することも重要です。

大手の不動産会社であっても地域の需給に詳しくない場合や、担当者の異動によって対応が変わることもありますし、地場の会社でもきめ細かなフォローを期待できることがあります。

4-5.一括査定サイトの活用術まとめ

総じて、一括査定サイトは、空き家売却のための最初の一歩を手軽に踏み出せるツールと言えます。

複数の会社からの査定結果を比較する過程で、仲介売却が良いのか買取が良いのか、あるいは買取保証付き仲介のような方式も含めて、どれが適しているかの見通しが得られやすいです。

もし、査定後に不動産会社からの連絡や営業が煩わしく感じるときは、対応を絞る工夫や丁寧に断る姿勢を持つとスムーズに進めることができます。

仲介売却と買取のそれぞれの特徴を理解したうえで、一括査定サイトを適切に活用すると、空き家の売却で得られる情報が格段に広がり、最終的な選択がしやすくなります。

高額売却を狙いたい方は、仲介売却を基本方針として考えるケースが多いかもしれません。

しかし、売却スピードや手間の軽減を優先するなら、買取を検討することでメリットを得られることもあります。

空き家という資産をどう扱い、いかに売却を成功させるかは人生プランにも大きく影響します。

そのため、後悔の無いように、方法や不動産会社を選ぶ意識を持つことが大切です。

本来、空き家は高い価格で売れる可能性が高まります。なぜなら、購入者は住宅ローンが使え、投資用ローンと比べ、好条件で融資を使えるからです。

5.売却プロセスと価格設定の極意

ステップ

仲介売却や買取の方向性を決めたら、いよいよ売却活動を進める段階になります。

空き家を売り出す際には、適切な相場調査と価格設定が欠かせません。

必要な資料の準備や査定依頼、価格を決定するまでのステップを順を追って確認し、高額売却と市場とのバランスを取るための戦略を意識しておくことが大切です。

5-1.市場調査から価格設定までの具体的な流れ

価格を決定するにあたっての、プロセスの例を紹介します。

過去数年分の周辺エリアの成約事例・売り出し事例を収集(相場観をつかむ)
不動産会社に机上査定または訪問査定を依頼(複数社の結果を比較)
空き家の築年数・リフォームの有無・耐震性などの要素を考慮して調整
最終的な売り出し価格を決定し、仲介会社等と媒介契約を結ぶ

5-1-1.市場調査

空き家の売却を成功させるうえで、、『市場調査』』はとても大切なプロセスです。

市場調査とは、周辺エリアの売り出し状況や成約事例を把握することで、自分の物件をいくらで売り出すのが適正かを検討する作業です。

「同じエリア」「似たような築年数や広さ」「需要の動向」が大きなポイントになるため、参考になる事例を複数ピックアップすると客観的な視野が広がります。

5-1-2.最終価格の絞り込み

市場調査で得た情報を参考にしつつ、不動産会社からの査定結果も織り交ぜながら、最終的な価格設定を行うのが一般的な流れです。

例えば、一括査定サイトを使い複数の不動産会社から査定額を取得する方法や、直接地域の不動産会社数社に相談して見積もりを取る方法が挙げられます。

机上査定の場合は物件の立地やおおまかな情報から推定価格を算出するため、正確な額が算出されないことが多いです。

訪問査定を依頼し、実際の建物状態や周辺環境を確認してもらったうえで、最終価格を絞り込んでいくことがより確実だと言われています。

5-1-3.募集事例も確認必須

ちなみに、市場調査では「近隣の成約事例」だけでなくく「売り出し中の競合物件」も注目すべき点になります。

同じエリアで、似たような物件がいくらで売りに出されているかを知ることで、自分の物件が高めの価格設定なら、売れ行きが鈍る恐れがあるとか、逆に安くしすぎるともったいないなどの判断に役立ちます。

さらに、売り出し中の期間が長い物件があれば、「価格設定が相場とかけ離れているのではないか」などの推測がしやすくなるため、空き家の売り出し価格を決める上で、良い参考材料になります。

5-3.訪問査定時の注意点

実際の流れは物件の条件によって多少変わりますが、基本的には上記のようなステップを踏むことが多いです。

空き家の場合、通電していない物件や設備が古くなっている物件も多いため、訪問査定時に建物内部の状態を確認してもらい、改修をどのくらいする必要があるのかを早めに把握することが望ましいです。

後になってから雨漏りや老朽化が発覚すると、買主とのトラブルに発展する可能性があるため、査定のタイミングで気になる点はきちんと洗い出す必要があります。

5-4.売りづらい価格帯になるリスク

そのうえで、売り出し価格が相場から大きくズレると「売りづらい価格帯」になるリスクがあります。

例えば、築年数が古いにもかかわらず高値を設定すると、購入希望者に敬遠されて、内覧すら入らないケースも考えられます。

空き家としての期間が長い物件は、建物状態や利便性への不安が先立つ方も少なくありません。

その点をカバーするための対策を講じるか、もしくは価格面で魅力を感じてもらえるように設定するかで、成約のスピードと価格が大きく変わります。

5-5.訪問査定時の注意点

つまり、市場調査は単なる数字合わせではなく「空き家を客観視」する重要なプロセスだと言えます。

見落としがちな点として、法令の制限(用途地域や接道義務など)や建物の耐震基準の有無も、価格に影響を及ぼす場合があります。

これらの要素をあらかじめ整理しておけば、査定もスムーズに進めることができます。

これらの過程を経て売り出し価格が決まったら、媒介契約を結ぶという流れになります。そして、売り出し価格が決定し、いよいよ具体的な宣伝や、内覧準備に進んでいきます。

6.高額売却を目指すための価格戦略と市場とのバランス

高い価格で売却することを目指したい場合は、単に強気の価格を設定するだけでなく「市場とのバランス」をいかに取るかが大切です。

あまりにも相場を無視した価格を掲げると、そもそも売りに出していることに気づいてもらえなかったり、内覧予約が入らないまま時間だけが経ってしまったりすることがあります。

空き家の場合は、特に利便性やメンテナンス面が不安視されやすいため、価格設定においては慎重さが必要です。ここでは、価格設定におけるポイントや市場とのバランスについて解説します。

6-1.タイミングを見極める

高額売却を狙ううえで役立つ戦略のひとつが、「タイミングを見極める」という手法です。

例えば、新生活が始まる時期や住宅ローン減税などが注目されるシーズンは、住居を探す方が増えやすいため、需要が高まる傾向があります。

一方で、閑散期に売り出した場合は買い手が少なく、条件交渉が難航することもあり得ます。

地域によっては、観光シーズンや雪解けの時期などが絡む場合もあります。

そのため、不動産会社の担当と相談しながら、最適な売り出し開始時期を見定めることが重要です。

6-2.端数の調整

また、価格を設定する際には「端数を調整」して検索ニーズを取りこぼさない工夫も必要です。

例えば、3000万円以上の検索と3000万円未満の検索など、ポータルサイトでの条件設定によって、物件の露出度が変わることがあります。

大手不動産ポータルサイトの検索条件は、価格帯の区切りが明確になっているケースがあります。

そのため、端数で調整すれば、多くの買主候補の目に留まりやすくなるかもしれません。

ただ、この手法は状況によるところが大きいため、不動産会社と連携して最適な価格を模索することが重要です。

6-3.最低価格と理想価格の設定

さらに、高額売却に向けた方法として、『最低価格』と『理想価格』を分けて考えるアプローチも有効です。

最低価格とは、この金額以上で売れれば納得できるというラインで、理想価格はもっとも期待している金額を指します。

この2つの価格帯を頭に入れておくと、値下げを検討する際にも「どこまで下げられるか」「これ以上下げると損をする可能性が高いか」などの比較がしやすくなります。

相場から大幅に上回る売却価格を掲げる場合は、「なぜその価格に見合う価値があるのか」を買主にアピールする準備が欠かせません。

例えば、耐震補強が万全であるとか、公共交通の利便性が著しく良いとか、リフォームを実施している、他にはないデザインや広大な敷地があるといった付加価値を示すことで、差別化を図る方法があります。

空き家の場合は、築年数やメンテナンス履歴などがどうしてもマイナス要因になりがちなため、その分、他の魅力を強く打ち出せるかが、成約の成否に大きくかかわります。

6-4.値下げのタイミング

市場とのバランスを保つもう一つの鍵は、「値下げのタイミング」です。

売りに出してから内覧がまったく入らない期間が長いようであれば、価格設定が合っていない可能性が考えられます。

一定期間様子を見て、反応がない場合は小刻みに価格調整をすることで検索対象に入る確率が上がります。

また、何度も値下げを繰り返すと、買主に「まだまだ下がるかもしれない」という印象を与えることもあるので、タイミングと下げ幅は計画的に考えたいです。

6-5.売り時を逃さない

また、空き家の売却では、「売り時を逃さない」姿勢が特に重要です。

古い建物は、時間が経つほどメンテナンス費用や税金負担も増す可能性があります。

そのため、あまりにも売り出し期間が長くなると、空き家を維持するコストがかさんでしまいます。

できるだけスピーディーに買主を見つけたい一方で、高値で売りたいという思いとの両立を図るためには価格戦略が必要になります。

6-6.価格の許容範囲を設定する

市場調査で相場を把握したら、少し相場より高いチャレンジ価格を設定するか、相場通りの価格を設定して短期勝負を目指すかを決めます。

チャレンジ価格にする場合は、十分な宣伝や物件の魅力づくりを念入りに行いましょう。

一方で、相場通りの価格帯でも、いざ内覧が始まれば、買主から値引き交渉が入る可能性ももゼロではありません。

そうした交渉にも柔軟に対応できるよう、事前に「価格交渉の許容範囲」を決めておくと混乱しにくくなります。

6-6.リフォームの費用対効果を考慮する

価格交渉では、地盤調査の結果や建物の耐久度、修繕の必要性なども論点になりがちです。

こうした要素を曖昧にしていると、買主に足元を見られて大幅な値引きを要求される可能性があります。

事前に、リフォームやリノベーションを実施するかどうかを決めることが、高額売却を実現するうえでは効果的です。

ただし、リフォームにかける費用が高額すぎると、売却後の実質的な利益を圧迫するリスクも考えられるため、費用対効果を十分に見極めることが必要です。

6-7.価格設定は売却の成否を左右する

総合的に見れば、「市場調査→査定依頼→価格決定→売却活動→内覧や交渉→成約」という流れの中で、価格設定は売却の成否を左右する大きな要因になります。

最初のうちは多少高めに設定しつつ、反応を見て適宜微調整するというやり方も一般的で、僕もそうしています。

結局、重要なのは、買主にとっても魅力的だと感じられるラインと、売り主が納得できるラインとの交点を探ることだと思います。

6-8.こまめなヒアリングが重要

仲介売却を選んでいる場合は、不動産仲介会社からのアドバイスや、最近の成約実績などをこまめにヒアリングし、状況をつかむ姿勢が大切です。

相場は常に変動しており、同じエリア内でも物件の状態や建物構造の違いで、価格が大きく変わることもよくあります。

そのため、売り出し当初に立てた価格設定のまま放置せず、市場の反応を見ながら柔軟に調整することが、高額売却に近づくための道筋といえます。

6-9.適切な相場把握と価格戦略の立案を

これらのポイントを踏まえ、空き家の売却においては適切な相場把握と価格戦略の立案が求められます。

売り手としては「できるだけ高く売りたい」という思いが当然あります。

しかし、買手としては「リスクや手間の少ない物件をできるだけ安く買いたい」という気持ちを持っています。

両者の思いを橋渡しするために、市場とのバランスを取りながら強気の価格帯を維持できるかどうかが鍵になります。

もし売り出し後に一定期間で反響が無い場合は、仲介会社と相談したうえで価格を見直すか、物件の魅力をアップさせる工夫を検討する必要があります。

また、建物内部のクリーニングや部分的なリフォーム、外観のメンテナンスなどは、意外と買主の目を引きやすいポイントになります。

7.効果的な広告戦略と物件の魅力アップの方法

戦略

空き家を売り出す際には、価格設定の巧拙だけでなく、どのように売り出し情報を伝えるかが成約に大きく影響します。

特に、インターネットが普及した現在、検索サイトやポータルサイトで物件を探す人がほとんどです。

効果的な広告戦略の立案や写真撮影の工夫、キャッチフレーズの考え方を押さえると、多くの購入検討者の目に留まりやすくなります。

また、場合によってはリフォームやクリーニングを行うことで物件の魅力が増し、結果的に売却価格を引き上げることも期待できます。

ここでは、インターネット広告の活用や物件の見せ方に関するポイント、リフォームとクリーニングの費用対効果などについて解説します。

7-1.インターネット広告

空き家を売り出すにあたって、まずインターネットへの広告の掲載は欠かせません。

不動産ポータルサイトや仲介会社の自社サイト、SNSなど、さまざまな媒体が存在するため、不動産会社が用意する広告戦略の内容をしっかり確認することが重要です。

最近では、大手ポータルサイトへの掲載が当たり前になっている一方で、物件の写真や説明文が魅力的でないと、閲覧しているユーザーはすぐに別の物件をチェックしてしまう傾向にあります。

そのため、文字情報だけでなく、写真やキャッチフレーズにも力を入れる必要があります。

7-2.写真撮影

インターネット広告において、まず意識したいのが写真撮影です。

購入希望者は物件ページを開いたとき、最初に視覚情報から興味を得ることが多く、第一印象で「見てみたい」「やめておこう」を判断すると言われています。

暗い写真や生活感がむき出しの写真、家具や荷物が雑然と積まれている写真が並んでいると、物件本来の魅力が伝わりにくいです。

そのため、既に空き家であれば室内を整理整頓し、不要な雑品を撤去してから撮影を行うことが望ましいです。

また、天気のいい日にカーテンを開けて自然光を取り入れつつ、広角レンズを使って部屋を広く見せる工夫も効果的です。

もし予算に余裕がある場合は、プロのカメラマンに依頼することで、完成度の高い広告写真を用意できます。

不動産会社によっては、広告用写真の撮影サービスが、標準またはオプションで付帯している場合もあります。

ただし、プロの撮影でも『あくまでありのままの広さや雰囲気』を損なわないように注意する必要があります。

あまりにも加工度が高い写真は、実際に内覧した際にギャップが生じ、買主に不信感を与えるリスクもあるからです。

とはいえ空き家であれば、クリーニングや簡単な片付けを事前に行うだけで、写真の印象は劇的に変わります。

7-3.キャッチフレーズの工夫

次に、キャッチフレーズの工夫も見逃せません。

購入希望者は、短い時間で多数の物件を比較しています。

そのため、「〇〇駅徒歩〇分の好立地」「スーパーまで徒歩〇分」「閑静な住宅街」などの情報だけでは埋没してしまう可能性があります。

他の物件との差別化を図るためには、物件独自の魅力やストロングポイントを端的に表現することがカギになります。

例えば、庭が広いなら「ゆとりのある庭で家庭菜園を楽しみたい方におすすめ」など、具体的な暮らしのイメージを喚起するフレーズを意識すると、興味を引きやすいです。

7-3-1.空き家のキャッチフレーズ

空き家の売却であれば、「古民家の雰囲気が残るレトロ感を楽しめる」「DIYやリノベーション志向の方にうってつけ」「住宅ローン減税対象となる可能性あり」などの特徴を前面に打ち出すフレーズもお勧めです。

また、築年数の古さがネックになる場合は逆に「和モダンにリノベーションしやすい」「壁や天井に天然木を使っている」といった、レアな長所に変えることもできます。

買主がそこに価値を見出せば、その空き家ならではの魅力としてアピールする意味が生まれます。

7-3-2.写真と文字情報のバランス

物件紹介の文章量が、多すぎても読んでもらえないことがありますが、最低限の情報だけではピンとこない人もいます。

写真と文字情報のバランスをうまくとり、相手が理解しやすい言葉で「ここに住んだらどんな暮らしが実現するのか」をイメージしてもらえるようにすることが大切です。

例えば、家の周辺に緑が豊富なら「近隣に公園があり、散歩やジョギングに最適です」と付け加えると、健康志向の買主や小さな子ども連れ世帯の興味を引きやすくなります。

さらに、雑誌や情報サイトの記事のように「〇〇まで徒歩〇分」「周辺環境が充実」だけでなく、「休日にはゆったりとリビングで過ごせる落ち着いた雰囲気」など、具体的なキーワードを織り交ぜるのもポイントです。

7-4.キャッチフレーズの工夫

さらに、最近ではSNSや動画を使った宣伝が話題を集めています。

不動産会社によっては、動画撮影を行いバーチャル内覧のような形で、物件の特徴を細部まで見せる工夫を取り入れていることがあります。

特に、若い世代や遠方からの購入を検討する人には、部屋のレイアウトや外観の様子を、オンライン上で確認できる手段は魅力的に映るかもしれません。

空き家であれば、撮影日の調整も比較的しやすいケースが多いため、これらの宣伝方法も検討してみてください。

7-5.自分の空き家に合った宣伝方法の選択を

インターネット広告は『売り出し初期の露出』が勝負ともい言われます。

新着物件として掲載されるタイミングは、多くの閲覧者がチェックしてくれるチャンスでもあります。

その時点で、写真の質やキャッチフレーズがしっかり作り込まれていると問い合わせに繋がります。

何も準備をせずにとりあえず公開してしまうと、最初の数週間で見逃されてしまい、その後注目をあまり浴びない可能性もあります。

そのため、僕だったら、不動産会社と相談し、事前に写真撮影や宣伝文章の準備を入念に行うことをおすすめします。

広告手段は大手ポータルサイトだけでなく、地域特化型のサイトや紙媒体を併用する場合もあります。

エリアによっては新聞の折り込みチラシやフリーペーパーなど、ローカルならではの反応が期待できる広告経路を活用することで、高齢者層やネットに不慣れな方などにもアプローチできるかもしれません。

いずれにしても、不動産会社の提案力や実際の広告実績をチェックし、自分の空き家に合った宣伝方法を選ぶようにして下さい。

8.リフォームやクリーニングの必要性とその費用対効果

空き家の売却活動を行ううえで、「リフォームやクリーニングを実施するべきか」は多くの方が悩むポイントです。

古い建物や長期間放置されていた空き家の場合、雨漏りや床の傷み、壁紙の汚れやカビなどが目立つケースがあります。

このような状態で売りに出すと、内覧時にマイナスの印象を与え、買主から大幅な値下げ交渉を受けることにも繋がります。

とはいえ、リフォーム費用をかけ過ぎると、売却益が十分に確保できないリスクも懸念されます。

ここでは、リフォームやクリーニングの必要性とその費用対効果について解説します。

8-1.まずは水回りのクリーニングを

まずは最低限のクリーニングから検討してみてください。

ハウスクリーニング業者に依頼して、水回り(キッチン・バス・トイレ)を中心に清掃してもらうだけでも、内覧時の印象は大きく変わります。

特に、水回りが清潔感に欠けていると、購入意欲が急激に下がる方が多いため、状態が悪い部分はあらかじめきれいにしておくことが重要です。

また、室内にカビ臭や長年の生活臭がこびり付いている場合は、換気や消臭剤を活用するなど、できる限りの対策を講じるよう心がけてください。

8-2.部分的なリフォームを検討する

次にリフォームの規模を検討する段階では、「全面的なリフォームを行う」よりも「部分的な改修や修繕」に絞るケースが多いです。

例えば、床が大きく傷んでいる部屋だけ張り替える、壁紙を張り替えて明るい印象にする、古い給湯器を新しいものに交換するなどが例として挙げられます。

こうしたポイントリフォームでも、物件全体のイメージを改善し、内覧時に「メンテナンスをちゃんとしている家」だという印象を与えられる可能性があります。

8-3.全面リフォームを行った場合

一方で、全面リフォームを行った場合は、費用負担が大きくなりますが、仕上がりが見た目にわかりやすいため、内覧者に好印象を持ってもらいやすいというメリットもあります。

ただ、住宅ローンを組む買主が「自分好みにリフォーム・リノベーションしたい」というニーズを持っているケースもあります。

その場合は、売主側が完全リフォームを施してしまうと逆に敬遠されるケースもあるため、地域の需要や物件の特性を理解したうえで、慎重に判断する必要があります。

8-4.費用対効果を見極めるには?

リフォーム・修繕の費用対効果を見極めるために、不動産会社や工務店など複数の業者から見積もりを取ることが望ましいです。

特に、築年数が古い空き家であれば耐震性能や水道管・ガス管の老朽化も気になるため、どこまで補修や交換が必要かをプロに見てもらいましょう。

近年はDIYブームもあり、一部の買主は古い家を丸ごとリノベすることを前提に探している方もいます。

しかし、それが少数派のニーズなのか、ある程度の主流となっているのかは、地域性や時期によって変わるため、一概には言えません。

「『費用対効果」』を判断するときには、リフォーム費用により予想される売却価格アップの幅や、売れ行きのスピード改善を天秤にかけます。

仮に数百万円かけて内外装をリフォームしても、売り値が思うように上乗せできないようであれば、結局は大きな負担を抱えてしまいます。

そもそも、リフォームの仕上がりテイストが買主の好みに合わないリスクもあるため、全面リフォームに踏み切るのは慎重な判断が必要です。

8-5.ホームステージング

その点、『ホームステージング』という考え方が近年注目を集めています。

ホームステージングとは、空き家などの室内に家具や小物をレイアウトし、買主が入居後の生活をイメージしやすい状態に整える手法です。

多額のリフォームを行わなくても、家具の配置やデコレーションで室内に温かみや快適さを演出できるため、費用を抑えつつも内覧時の印象をぐっと高める効果が期待できます。

空き家だと、部屋ががらんとして広さやイメージを把握しにくい方もいるため、適度に家具を置くことで「ここにソファを置ける」「ベッドを置いても余裕がありそう」など、実際の暮らしを想像しやすくなります。

ホームステージングは、業者によってプラン内容や費用が異なります。

一時的にレンタル家具を設置するだけの場合もあれば、インテリアコーディネーターと連携してトータルデザインを手がける場合もあります。

費用はリフォームよりも低めに抑えられることが多いですが、あくまで一時的な演出であるという点は押さえておきましょう。

また、ホームステージング後に魅力的な写真や動画を撮影し、広告に活用することで宣伝効果をさらに高める方法もあります。

8-6.状態や立地に合わせた売却戦略を

もちろん、空き家売却の際にリフォームやホームステージングを実施しなくても、十分に買主が現れる場合はあります。

築浅で状態が良好だったり、立地が抜群に良いなどのメリットがあれば、むしろそのまま売りに出しても、スムーズに成約する可能性が高いです。

逆に、築年数が相当古い物件やメンテナンス状態が悪い物件などは、価格面や広告の打ち出し方だけではカバーしきれない弱みがあるかもしれません。

その場合、必要最小限のリフォームや補修を行い、買主が安心して住める物件だという印象を与える取り組みを検討する必要があります。

8-7.外観のメンテナンスも重要

また、空き家の外回りも見逃せないポイントです。

雑草が伸び放題の庭や汚れが目立つ外壁では、せっかく室内を整備しても外観で敬遠される可能性があります。

草刈りや植木の剪定、玄関周りの掃除など、簡単なに外構のメンテナンスをするだけでも印象が違います。

内覧者は最初に外観や玄関先を見るため、第一印象を良くすることは成約率アップに繋がりやすいです。

特に、空き家は人の出入りが少なくなり、蜘蛛の巣や枯れ葉が溜まりやすいため、内覧前の清掃や点検を怠らないようにしましょう。

8-8.費用対効果を踏まえながら検討を

最終的にリフォームやクリーニングをどこまで行うかは、売り主の予算や物件の状態、売却希望価格、売却スケジュールなどを総合的に考慮して決める必要があります。

高額売却を目指す場合は物件の魅力を高めるために、ある程度の出費を検討する必要があります。

しかし、それがかえって採算割れにならないように注意が必要です。

不動産仲介会社も多くの取引事例をもとにアドバイスをくれるため、リフォームやクリーニングが自身の物件に効果的かどうか相談してみるのも一つの手段です。

これらの工夫や戦略を丁寧に積み重ねていくことで、空き家の売却活動はより成功に近づいていきます。

古い物件にもメリットを見出す買主は必ず存在するため、それを上手に引き出すのが広告戦略やリフォーム、クリーニングなどの施策だと言えます。

費用対効果を踏まえながら、必要に応じてリフォームやホームステージングなどを検討し、空き家の資産価値を最大限にアピールする意識を持って売却に取り組むと、良い結果に繋がりやすい。

9.まとめ

相樂さん

今回は、空き家の売却を検討されている方へ、最高価格での成約を狙うために、査定からリフォーム、広告戦略まで要点を整理してきました。

本記事を参考に、大切な財産を有利に手放すための、要所を押さえたスムーズな売却計画を立てましょう。

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相樂 喜一郎

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相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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