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不動産売却時、買主に足元を見られ、物件を安く売りたくない方へ
物件竣工時、検査後に発行される検査済証について、詳しく説明し、なるべく高い価格で自宅を売る方法を説明していきます。
こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている住宅ローンアドバイザー兼宅地建物取引士の大和田です。
2000年以降、不動産は工事完了時に検査済証を取得している物件が増えています。
このことは売却価格にも大きく関係してきます。
なぜなら、銀行が違法物件の判別のため、検査済証の有無を強く意識しているからです。
では、不動産売却の際に検査済証が無い場合、どのようにすれば良いのでしょうか?
11月に質問のあった内容を基に今回は、不動産売却の際に検査済証がないとどうなるのか、重要な理由と無い場合の対応方法を解説します。
1.不動産売却の際にないと困る検査済証とは?
まず、検査済証とは、どのようなものなのでしょうか?
1-1.検査済証とは?
検査済証とは、『建築物が建築基準関係の規定に適合していることを証明する書面』です。
一般的に、建築物が中間検査、完了検査を経て、後述する建築確認の通りに施工されているかを確認した結果として発行され、新築時にしか検査済証を取得することができません。
そのため、とても大切な書類ですが、2000年以前はあまり意識されていませんでした。
それでも、住宅の施工時に検査済証まで取得するようになったのは、比較的近年になってからのことで、2000年頃には5割ほどという普及率でした。
この20年で、国土交通省の主導で検査体制が整ったことから普及が進み、存在も知られるようになったのです。
検査済証は、『建築基準について法令違反が無いことを証明するもの』です。
建物が違法建築か、どうかを判別するための資料です。
そのため、買主や銀行にとって、中古住宅の流通時の安心材料になり、融資や購入価格が高まります。
逆に、検査証の発行されていない物件は、増改築などの制限を受けるようになってしまいました。
1-2.検査済証の取得の流れ
建築物の完成までの流れで、検査済証の取得のタイミングは以下です。
- 建築計画
- 建築確認(確認済証発行)
- 着工~中間検査~竣工
- 完了検査(検査済証発行)
- 引き渡し
まず、設計の段階で図面のチェックを受けます。
その後、建築確認からの確認済証の発行を経て建物が着工されます。
竣工すると、施主への引渡し前に完了検査を受け、ここで検査済証が発行されるという順序になります。
1-3.確認済証との違い(確認済証なしでは取引不能?)
つまり、確認済証は図面ベースの建築確認に対して発行され、検査済証はできあがった建築物の完了検査に対して発行されるという違いになります。
完了検査の結果、是正が必要な点が見つかった場合、その修正施工を待って再検査となり、OKとなって初めて検査済証が発行されます。
検査済証がなかった場合の対応についてはこのあと説明します。
しかし、もしも建築確認が行われていなかった場合は取り返しがつきません。
売却以前に、施主は建物を利用することができず、取り壊す以外にない建物となってしまいます。
また、施工者は建築確認をおこたったことで罰則を受ける場合もあります。
2.なぜ不動産売却で検査済証がないと困る(重要な理由は?)
では、検査済証がない場合、現在どのようなことになるか、検査済証の重要な理由をご説明します。
2-1.新築時の場合
現在では、新築時に検査済証が無い場合、ほとんどの金融機関で住宅ローンが通らなくなっています。
これは2003年に国土交通省より金融機関に対して、検査済証の無い新築住宅への融資を控えるよう要請があり、コンプライアンスに厳しい金融機関が一斉に従ったためです。
不動産投資の場合でも同様で、賃貸アパートなどの投資物件の新築の際は、検査済証が無いと融資が降りません。
また、新築の場合に限ってですが、検査済証が出るまで建物の利用ができません。
そのため、検査済証が出るまでは住み始めること、貸し始めることができません。
2-2.自宅売却の場合
これまで説明した通り、検査済証があった方が売却面では有利です。
ただ、それは主にローンが通りづらい場合がある点などが関係します。
2-2-1.検査済証の有無が審査基準に
検査済証が違法建築ではないという明らかな証明になるので、金融機関としてはその有無を担保価値の審査基準にするのです。
また、築年数の新しい建物の場合は購入希望の方の意向として、建築基準に適合していることの安心感を求められることがあるかもしれません。
2-2-2.検査済証は絶対無ければダメ?
もちろん、検査済証が無いだけで違法ではない建物であることの方が多いので、無ければ絶対ダメというものではありません。
金融機関も、一定以上に築年数が古い物件に関しては検査済証の有無を問題にすることはないでしょう。
一方、別の問題として、売却後の新しい所有者は、以下の点で困る場合があります。
2-3.売却後の物件に検査済証が必要な場合とは?
検査済証の無い建物は、新しい所有者も以下の制限を受けます。
- 増築(防火地域、準防火地域、防火指定外地域での10㎡以上の増築)
- 改築
- 200㎡以上の用途変更
これらを意識して物件探しをしている購入希望者の方には向かない物件となる可能性はあります。
3.不動産売却で検査済証が無い場合の対処方法は?
検査済証が無い場合の対処方法はどのようなものでしょうか?
3-1.検査済証紛失の場合
検査済証の発行を受けていたのに紛失してしまった、あるいは発行を受けていたか分からないという場合は、「台帳記載事項証明書」を取得しましょう。
台帳記載事項証明書は、『市区町村の役所の建築指導課や土木課で、建築確認台帳に記載されている事項の証明として発行される書類』です。
この証明書には建築主や所在地、工事種別、建築物の用途、構造、面積のほか、建築確認済証と検査済証の交付年月日、番号、交付者などが記載され、費用は300円ほどです。
この証明書の取得で、検査済証の発行された建物であることを証明できます。
3-2.中古物件では検査済証なしの物件は多数ある
前述のように、現在流通している中古物件には検査済証無しのものが多数あり、1998年時点で38%にのぼります。
しかし、有利な条件で売却するために、新築当時の検査済証の発行がなくとも、代わりになる調査レポートを取得する方法があります。
3-2-1.遵法性・現況調査レポートの取得
これは「遵法性・現況調査レポート」というもので、一級建築士による建物調査を行って作成し、費用は建物の規模によって20万円から60万円ほどです。
このレポートのために現況調査も行いますので、経年による問題点の有無も一部確認が可能です。
3-2-2.築年数の古い物件はご相談ください
築年数の古い物件は、契約不適合責任、耐震性、完了検査の有無、このあと説明する既存不適格建築物に該当するなど、買主にとって不安要素となる点がいくつかあります。
これらに対処する方法はご相談が可能です。
というのも、これまで200件を超える不動産取引を行ってきた経験を踏まえ、必要な手続きを提案することが出来るからです。
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建築士と情報を共有し、対応をご提案いたします。
3-3.既存不適格建築物の場合は?
既存不適格建築物の場合について解説します。
3-3-1.既存不適格建築物とは
既存不適格建築物とは、『現在の基準に適合していないが、法律の施行や都市計画制限指定の以前から存在していて、当時の法律に適法している建物』のことです。
例えば、建ぺい率や容積率の数値が現在と異なっていると、それだけでは違法建築です。
ただ、都市計画制限指定以前の建物なら合法となる事もあります。
そのような建物は検査済証がなくとも、法的には違反建築物とは扱われず、問題のない建物となります。
3-3-2.適法性を証明するためには?
しかし、数値上は違法なので、適法性を証明するために、所在地の役所に対して「12条5項報告」を行います。
建築基準法第12条5項に沿った報告や現況調査書、確認申請図書など必要な添付書類を都道府県か建築主事のいる役所に提出し、受領印の押された副本が返却されます。
あまり知られていませんが、この副本は検査済証と同等の効力を持っています。
例えば、増築や用途変更の確認申請の際にこれを添付すれば受付されるというように利用できます。
4.不動産売却で検査済証がないと困る?重要な理由とない場合の対応まとめ
相続の相談で収益不動産の売却も依頼されるようになったため、築年数の経っている不動産売却の際に検査済証が無いとどうなるのか、重要な理由と、ない場合の対応方法を解説しました。
4-1.高く売るためには検査済証が大切
現行の融資制度では、検査済証があった方が融資額や融資期間などの条件が良くなります。
そのため、売却を考えた場合、資料の有無を確認した方が良いと思います。
もし、見つからない場合でも市役所で台帳記載事項証明書を探すとか、今回ご説明した建築基準法第12条5項の報告を行うことで違法性の有無を主張でき、より高い価格での売却が可能です。
ただ、個人的にはこのような細かい情報はスムーズで理想に近い不動産売却のためには専門知識に基づいた検討の上、さまざまな手段の中から方針を決めて進めるのが良いと思います。
4-2.相続に伴うご自宅の売却でこれでいいのか?と悩んでいる方へ
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