【建築士と考える】「VR内見の特徴(メリット・デメリット)」を「リアル内見(実際に物件を見に行くこと)」との比較とその説明
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2020年2月7日賃貸物件やお部屋の効果的な探し方、遠方引っ越しこそ、VR内見?
令和の時代となって、実用化が期待されている新しい技術が複数存在しています。そんな一要素が「VR技術(バーチャルリアリティー)」です。3Dゲームの世界にて培われてきたVR技術が今後はもっと実生活の中で活用されることが期待されています。
建築・不動産業界にて実用化が進みつつあるのが、不動産物件を選ぶときに活用する「VR内見」です。ここでは、建築士さんによる「VR内見の特徴(メリット・デメリット)」を「リアル内見(実際に物件を見に行くこと)」と比較を説明してもらい、効果的な部屋探しの方法を説明してもらいます。
1.「VR(バーチャルリアリティー)内見」とは?
「VR内見」とはVRシステム(バーチャルリアリティー技術)を使用した仮想空間体験型の物件内見システムです。VR用端末機器(ゴーグル)を装着することで、実際に物件内部にいるかのような立体的な視野を体験することができます。現在、始まったばかりのサービスですので、企業ごと(VRシステムを提供している企業)に技術差・特徴は異なっているのが実状です。
1-1.VR内見のメリット
VR内見の大きなメリットとなるのが、下記2要素です。
・不動産業者を訪れるだけで、数物件もの「内見(体験)」をすることが可能に。
・異なる「季節」、「時間帯」の物件状況を確認することができる
通常は、たまたま同じエリアに存在する物件であれば、同日に内見することが可能だったりしますが、それでも一日で「2~3件」が肉体的、精神的にも限度となります。しかし「VR内見」であれば、まったく異なるエリアの物件であっても、内見(体験)することができるとともに、短時間にて繰り返し検証することができます。
極端に言えば、VR内見なら「10件」、「50件」と同日に内見(体験)することが可能となります。また、賃貸物件選びをする上でとても大切な要素となるのが異なる「時間帯(昼夜)」の物件状況を確認しておくこと。
一方、リアルな内見の場合は、異なる時間帯(昼夜)の物件状況を確認するためには、別日を設定するなど日数を要することとなりますが、VR内見であれば、手軽にその場で昼夜の物件状況を確認することが可能となります。
※ただし、現時点では業者ごとにてソフト面での対応状況(昼夜の物件情報の有無)に差がありますのでご注意を。
1-2.VR内見のデメリット(課題点)
VR内見は「視覚情報」を取り扱ったシステムです。室内空間の雰囲気やデザイン性などを確認することはできますが、「視覚情報」以外の下記情報は確認することができないのが課題となります。
・聴覚情報(騒音の有無、防音性など)
・臭覚情報(室内の臭い、物件周辺の臭いなど)
・触覚情報(室内の空気感、温度、湿度感覚など)
・空間認識(室内の広さ感、高さ感など)
2.VR内見とリアル内見を上手に併用・活用するポイント
心地よく過ごせる住まい(賃貸住宅)を見つけるためには、可能な限り多くの物件情報を知ることが重要です。ただ、個人的な意見ですが、「VR内見のみ」で物件選びをしてしまうのは、とても危険なことだと思います。特に、就職したり、転職して、今後ももっと成長をしていきたいと思っているあなたが下手なお部屋を選び、時間やお金を無駄にしてしまうのはもったいないと思います。
そのため、VR内見とリアル内見を上手く併用することがポイントだと思っています。ここでは、VR内見とリアル内見を上手く併用するための要点を流れに沿ってご紹介したいと思います。
2-1.VR内見にて、賃貸物件のイメージ(好き嫌い)をざっくり確認
効率よく物件情報を得るために、まずは「VR内見」にて各賃貸物件のイメージを確認することをおすすめします。建築の仕事をしている人以外、「間取り図」だけでは、物件イメージはなかなか掴めないもの。VR内見を活用すれば、室内空間のイメージが大雑把に把握できますので、その印象を基に好き嫌いにて物件候補を絞ることができます。
2-2.VR内見にて異なる季節・時間帯の物件状況を確認
VR内見の情報として異なる時間帯(昼夜)・季節の物件テータがあるようなら、併せてチェックしておきましょう。季節が異なると「樹木の葉の有無」が変化。日照状況だけでなく、近隣住宅からの「視線の有無」などが大きく変化する場合があります。また、日中はその存在に気が付かなかったものが夜間になると明らかとなることも。
・ネオンや看板の明かり
・夜間営業の店舗の有無(騒音・光害の有無)
など、日中のお部屋状況と夜間のお部屋状況はかならず、確認しておきたい要素となります。
2-3.リアル内見にて「聴覚」、「触覚」、「臭覚」を活用した環境チェック
VR内見にて、物件候補を絞った後に、実際の物件を必ず内見(リアル内見)するようにしましょう。リアル内見にて、まず確認しておきたいのがVR内見ではチェックすることができなかった「聴覚」、「触覚」、「臭覚」に関連する情報です。聴覚情報(騒音)を気にする方は多く存在していますが、案外忘れてしまいやすいのが触覚情報(湿度感覚・違和感の有無など)と臭覚情報(科学物質の有無など)です。
臭覚要素などは、些細なものであっても、長く住み続ける中で健康に影響(頭痛、不眠など)が生じてくることもあるもの。お部屋に入ってみて、違和感(好き嫌いも含む)を感じないかどうかを基準に、しっかりチェックしていただければと思います。
2-4.リアル内見にて「住宅機能性(不具合の有無など)」を確認
最後に、忘れてはいけないのが「住宅機能(不具合の有無)」の確認です。
・住宅設備機器(電気設備、換気設備、給排水設備)の不具合の有無
・室内(床、壁、天井)の歪や損傷の有無
・建物全体の安全性(耐震性、損傷の有無など)
が住みやすい部屋を選ぶときの大切なチェックポイントとなります。
3.【建築士と考える】VR内見の効果的な使い方まとめ
案外「物件を選んだ時点」と「住み初めて年月が経過した頃」とで住環境に対する印象が異なることがあります。それは主に「内見不足(住宅情報の収集不足)」に起因するもの。
限りある時間の中で、今回ご説明したようなVR技術を有効活用し、「内見」を効率的に行うことで、多くの物件情報を得られ、損しない、後悔しない物件選択が可能となります。
VR内見で出来る事・出来ない事、実際に不動産を見に行く内見について、まとめました。その他、同時に複数の不動産屋に相談する事のメリット・デメリットについてもこちらのページにまとめておきました。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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榑林 宏之 【執筆・監修】一級建築士
中堅ゼネコン設計部を経て独立、一級建築士として約25年の活動歴。「都市環境設計(再開発プロジェクトや市区町村主導の開発事業)」「各種建築設計(展示・観光施設、宿泊施設、集合住宅・戸建て住宅など)」などに携わる。「自然との共生」を大切なテーマとしており、住宅設計においては「自然素材の活用(木材、土壁、古材、左官仕上げなど)」「周辺環境との調和」「土地環境に応じた住宅・外構・植栽計画」などを重視・推進しています。
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