フリーランスや個人事業主(以下フリーランス)を始めて、一年目の人にとって『どこをメインオフィスにするか?』という問題はとても大きいと思います。
最近は、WIFIと働き方改革のおかげで、どこででも仕事が出来るようになり、これまでシェアオフィスやコワーキングスペースをメインに使っていた方は上手にお金を残すため、経済的な視点でその違いを説明していきたいと思います。
一言に、働く場所やオフィスと言っても、シェアオフィスやコワーキングスペースなど色々な選択肢が出来ています。これから個人事業主として、働く人はどこをメインオフィスにするのが一番経済的に良いのでしょうか?
結論から話すと、我々のおすすめのメインオフィスは『事業がまだ小さく、来客が少ない内は賃貸している自宅』です。
自宅をメインオフィスにするのは、賛否両論あると思います。しかし、経済的な視点から見るとメリットが最もあるのは賃貸している自宅をメインオフィスにする事です。
では、なぜ賃貸している自宅をメインオフィスにするのが、一番おすすめなのでしょうか?
賃貸している自宅をメインオフィスにするのが、毎月支払う家賃の一部を経費扱いにでき、節税することが出来るからです。オフィスを借りる、カフェやタイムシェアで場所を借りるなどメインオフィスの選択次第では毎月の家賃を経費として計上することが出来ず、経費にできない費用をたくさん支払う事になりかねません。
ここでは、FPの馬場を中心に、過去の失敗事例を活かし、メインオフィスを選択する際にフリーランスの皆さんが損をしないように、税金を考慮したメリットとデメリットを徹底的に解説していきます。税金は大きな問題のため、様々な選択肢のメリットとデメリットをしっかり把握してから、どこをメインオフィスにするか選んでください。
先に述べた様に、自宅をメインオフィスにすると、税金面での大きなメリットがあります。では、自宅をオフィスにするのが本当にベストな選択なのでしょうか?自宅をオフィスにする事はメリットとデメリットがあるので、先ずは、「シェアオフィスやコワーキングスペース」と比較しながら確認してみましょう。
1.自宅をメインオフィスにするメリット
1-1.シェアオフィスやコワーキングスペースより税金上お得
フリーランスの方が売り上げが上がってきて、利益が出だすと必ず直面する問題があります。
それは税金です。
サラリーマンと違い、フリーランスの方は確定申告を義務付けられています。「良く分からないけれど、義務だから毎年確定申告している。」という方も多いのではないでしょうか?
確定申告をする際、売り上げだけ申告してしまうと、実際の利益に対する税金よりも多くの税金を支払わなければいけません。そこで、適正な税金を納める為に、フリーランスの方は事業に掛かった経費分を課税所得から控除できる様になっているのです。
その中で、今回のテーマであるメインオフィスの使用料も経費として計上する事ができます。もちろん、シェアオフィスやコワーキングスペースの使用料も計上できるのですが、少し違いがあります。
シェアオフィスやコワーキングスペースを借りている方は、通常、自宅を別に借りているはずです。その場合、自宅の家賃は経費として計上できません。
しかし、自宅をメインオフィスにしていると、事業で使用している分は家賃の一部を事業に必要な経費として、計上する事ができます。結果的に、家賃分を経費にできるため、自宅をメインオフィスにする方が税金面でとてもお得です。
1-2.移動時間が無くなり、売り上げが伸びる
シェアオフィスやコワーキングスペースを借りている場合、身支度をしてからオフィスまで移動しなければなりません。
しかし、自宅がオフィスの場合は人に会う場合を除くと身支度も移動も必要なくなります。その時間を作業に費やす事が出来るので、売り上げが上がりやすいというメリットがあります。
1-3.水道光熱費を経費に計上できる
実は家賃のみではなく、事業で使用した水道光熱費も経費に計上できます。自宅をオフィスにしている場合は自宅の水道光熱費の一部を事業に必要な経費として、計上する事ができます。
もちろん、シェアオフィスやコワーキングスペースで使った水道光熱費も使用料と同じく計上する事はできます。
しかし、自宅として、使っている場合には水道光熱費は事業に必要な経費に計上することができません。結果、家賃と水道光熱費、インターネットの通信代金は自宅をオフィスにする事で経費にすることが出来、税金上お得になります。
1-4.休憩時にシェアオフィスより寛げる
当然ですが、自宅をオフィスにした場合、休憩スペースは自宅になります。多くの人はシェアオフィスやコワーキングスペースで休憩する時よりも自宅で休憩する方が寛ぐことができますよね。寛ぎすぎて、仕事に支障が出ない様にだけ気を付ける必要があります。
2.一方、自宅をオフィスにするデメリット
2-1.公私のけじめがつけにくい
仕事場と自宅が一緒になってしまう為、公私のけじめはつけにくいです。その点、シェアオフィスやコワーキングスペースだとプライベートと仕事は分けやすいですよね。
解決法としては、自宅に仕事専用の部屋を作る事がおすすめです。自宅を広くすると家賃は上がってしまいますが、その分節税額も多くなります。事業が波に乗ってきたら、検討してみてはいかがでしょうか。
2-2.自宅によってはオフィスに出来ない場合もある
賃貸の場合だと、住居兼事務所での使用が禁止されている事が多いです。これを無視して開業届を出してしまったり、法人の登記をしてしまうとトラブルになりかねないので注意しましょう。
その為、家を借りる際に、SOHO可能物件なども扱っているフリーランス向けの賃貸仲介を数多くやっている不動産屋に行くと無駄がありません。フリーランスだからと無下にされず、親身に相談に乗ってくれます。
2-3.対外的な信用が得にくい
自宅をオフィスにする場合、シェアハウスやコワーキングスペースに比べて、対外的な信用は得にくいです。
対策としては、自宅を東京の渋谷、新宿、中央、千代田、港区(都心5区)のようなオフィス街があり、しっかりしたイメージのアドレスにする事で、信用を上げる事が可能です。
もちろん、家賃は上がると思います。しかし、節税額も大きくなる上、信用が増え、仕事が増える可能性が多分にあります。これからフリーランスになろうと思っている方は引っ越し先として、都心5区を検討してみて下さい。
2-4.個人情報の露出
業種によりますが、名刺やHP上でオフィスの住所を載せる場合があります。その場合、住所が自宅の住所になってしまうので、個人情報が露出してしまいます。
対策としては、住所や電話番号の基本情報を貸し出してくれるヴァーチャルオフィスを利用する事で解決が可能です。必要に応じて、利用してみてはどうでしょうか?
3.持ち家ではなく、賃貸の方がいい理由
自宅をオフィスにする場合でも、賃貸と持ち家という選択肢があります。節税を考える上では賃貸の方がおすすめです。理由は2つあります。
1つ目は、「減価償却期間があるということ」
2つ目は、「新築を購入すると、住宅ローン控除が10年間(一部13年間)あるということ」
では、それぞれ解説していきます。
1つ目の「減価償却期間があるということ」から説明します。減価償却期間とは高額な商品を経費に計上するのにかかる期間の事で数年に渡って計上することになります。
例えば、3,000万(土地が800万)の木造の家を新築で購入した場合を例にあげると。木造の減価償却期間は22年なので、建物部分の2,200万を22年かけて100万ずつ計上することになります。このように、一度に経費として、計上することはできない上、期間も決まっています。一方、賃貸の場合には、1年間に掛かった家賃分をずっと計上し続ける事が可能です。
次に、2つ目の住宅ローン控除です。何千万円もする自宅を一括で買える人には当てはまりませんが、多くの方は住宅ローンを使って家を購入すると思います。その際に、住宅ローンの借入金額の1%を税額から控除してくれる制度です。
とてもいい制度なのですが、厄介な事に自宅をオフィスにすると、この制度が受けられなくなる可能性が多分にあるのです。その為、大概はオフィス分を経費計上すると逆に税額が高くなってしまいます。オフィス分を経費計上出来なくなるので、大損してしまいますよね。
以上の事から、持ち家を事務所として使うより、賃貸の方が税金という面ではおすすめ出来きます。もちろん、税金という面だけでは測れない気持ちもあると思います。もし、金額以上の価値を持ち家に見出せるなら、持ち家という選択も悪くありません。
4.メインオフィスにするなら、賃貸している自宅がおすすめ
いかがでしたでしょうか?賃貸している自宅をメインオフィスにするには多くのメリットがありました。そのため、私は賃貸している自宅をメインオフィスにする事をおすすめしています。
なぜなら、税金面では賃貸している自宅をメインオフィスにする方が圧倒的にお得だからです。また、これまで挙げてきたデメリットは、その気になれば克服できる物ばかりだと思います。
サラリーマンのように保障がないフリーランスだからこそ、無駄な税金を支払うことなく、賢く納税してほしいのです。もし、フリーランスや個人事業主の方で、今住んでいる自宅がオフィスに出来ない物件ならば、引っ越しを検討した方がいいと思います。最後に、引っ越しを検討する際は、フリーランス向けの賃貸仲介の経験が豊富な不動産屋に行かれる事をおすすめします。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
この記事へのコメントはありません。