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お部屋を探すとき、物件同士を比較しようにも共益費や礼金、更新料などの費用、条件があったりなかったり、特殊だったりして苦労したことはありませんか?
自分なりに計算しようにも、色々な条件が重なって面倒だったり、よく分からなかったり。こういうときに便利なのが、ここ数年で目にするようになった「めやす賃料」という指標です。
公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会が進めているめやす賃料を使えば、煩わしい計算をすることなく、複数の物件を同じ条件で公平に比較することができます。
もしあなたが少しでも楽に、時間を掛けずに家賃相場を踏まえ、お得な賃貸物件を見つけたいなら、本記事の内容や切り口が役に立つと思います。
1.めやす賃料(みなし賃料)とは?4年間の総費用が一目で分かる!
めやす賃料とは、ある賃貸物件に4年間(定期借家の場合は契約期間)住む時、賃料等条件の改定がないものとしてかかる費用の総額を1ヵ月分に直したものです。総額には、以下の費用も含まれています。
・月額賃料(家賃)
・共益費(管理費)
・敷引金
・礼金
・更新料
次の計算式で求められます。
【めやす賃料=(敷引金+礼金+更新料+48ヵ月分の賃料・共益費・管理費)÷48】
入居後4年間でかかる費用の総額から判断するめやす賃料は、複雑な初期費用等をいちいち計算する手間が省け、いくつかのお部屋を比べる時に、便利な指標です。ちなみに、4年、48ヶ月としているのは一度更新する前提です。
※定期借家とは、賃貸借契約時に住める契約期間が決まっており、満了すると基本的に更新はできない物件のことを言います。一般的に、周辺の同等のお部屋の相場より安くなる傾向があります。
※敷引金とは、敷金のうち返金されないと決まっている部分のことを言います。保証金とほぼ同じと考えて良いです。例えば「保証金2ヵ月、敷引き1ヵ月」というお部屋があったら、「入居時に、家賃の2ヵ月分預け、退去時にどんなにお部屋が綺麗でも最低1ヵ月分は返金されない」ということになります。
ただし、敷引き物件が損かと言うと必ずしもそうでなく、敷引き物件はその代わりにそもそも家賃が安いとか、礼金や更新料が不要といったことがあるので、かかってくる費用を総合的に判断する必要があります。
また、敷引金は主に関西や九州など西日本に残る商習慣ですが、年々減少傾向にあり、現在も敷引きを行なっている物件は10%以下と考えて問題ありません。
2.一発で家賃の相場がわかるオススメサイト
めやす賃料は物件の広告などに記載されるようになってきていますが、できれば家や手元のスマホで手軽に比較したいですよね。そんなときに役に立つサイトを紹介します。
計算不要、数タップでわかるので、ぜひ、お部屋選びの参考にしてください。
2−1.アットホーム
賃貸情報サイトとして有名なアットホームですが、家賃相場の特設ページが用意されています。地図から住みたい地域を選んでいく形式なので、視覚的にもわかりやすく、使いやすいです。
https://www.athome.co.jp/chintai/souba/
「港区」、「中央区」といった地域名のほか、駅や沿線から探すこともできるので、通勤や通学の利便性から、物件同士を比較するといった使い方もできます。
2−2.ホームズ
ホームズの家賃相場ページは、日本地図から選んでいくタイプなので、遠方からの引っ越しでもわかりやすいです。市区町村もしくは路線・駅ごとに調べられるので、比較も簡単にできます。
https://www.homes.co.jp/chintai/price/
特に、東京都の駅・路線の家賃相場は使いやすくて、仕事柄ちょいちょい見ているので、オススメです。
https://www.homes.co.jp/chintai/tokyo/line/price/
2−3.スーモ
少し奥の手なのですが、賃貸経営者向けのスーモのページを使うのも手です。会員登録(無料)が手間ではありますが、家賃や敷金・礼金の相場のほか、「ウォークインクローゼットはあるか?」など設備の比較もできます。
https://www.suumo-onr.jp/checker
こだわりの物件を見つけたいなら、ぜひ使ってみてください。
3.めやす賃料。入居者のメリット
めやす賃料のメリットは、何と言っても煩わしい計算なく、他のお部屋と単純に4年間の費用を比べられることです。
仲介手数料の費用などいくつか除かれた条件はあるものの、比較的入居者目線のわかりやすい指標になっています。引っ越し後、1ヵ月にかかるざっくりとした費用もイメージしやすいので、自分の収入から借りても生活できる物件なのかの判断材料にもなります。
近年は、「ゼロゼロ物件」、「コミコミ物件」、「フリーレント物件」や「礼金不要物件」など、言い回しが違ったり、変わった条件の物件が増えてきて、同じ条件で対等に費用を計算するのが大変になっていました。それが同じ条件で総額費用が明示されているので、借りる側としてはとても便利です。
そもそも、めやす賃料は「わかりやすい、くらべやすい」を合言葉に、2010年10月から表示が進んできた比較的新しい制度です。「公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会」が旗振り役として進められた制度ですが、その背景には、賃貸にまつわるトラブルや訴訟が増えていたことがあります。
特に、敷金や更新料をはじめとして、賃貸のお金に関する問題は年々増加しています。価値観の多様化など理由は様々ですか、以下のことが強く影響していると考えます。
・不動産に関わる商習慣の地域差が大きく、同じ条件・基準で比較しにくい。
・交通網や情報網の発展により人の地域間の移動が活発になり、わかりにくさ・トラブルの原因になっている。
・「フリーレント物件」など新たな条件や表示の誕生により、わかりにくさが助長されている。
こうした理由から、全国同じ条件でめやす賃料を表示し、公正に物件を選んでもらおうと始まったのが、めやす賃料の表示なのです。
4.めやす賃料表示、実は不動産会社にとってもメリット
めやす賃料は、入居者が様々な物件を公平に選択するのに役立つ便利なものですが、実は賃貸物件を仲介する不動産会社側にとってもメリットがあります。
4-1.まずは、トラブルや訴訟等を未然に防げることです。
入居者にとってもわかりやすく、公平なめやす賃料を表示することで、契約内容のわかりにくさから、起こりがちだったお金に関するトラブルが起こりづらくなります。
4-2.また、フェアな会社であることを暗にアピールすることができます。
「めやす賃料」を広告に表示することで、担当者のさじ加減で強引な営業トークなどが出来なくなります。あくまで、費用を前提に、この部屋の立地やスペックを基にコスパが良いのか、悪いのか。入居希望者様に判断してもらうことになります。結果的に、嘘をつくことが出来なくなり、フェアな会社だと訴えることが出来ます。
5.めやす賃料利用者の感想、口コミ、アンケート結果
実際に、めやす賃料の表示がなされている不動産会社で賃貸物件を契約した人の声を「財団法人 日本賃貸住宅管理協会」が「めやす賃料表示 契約者アンケート 報告書」から集めました。
5−1.めやす賃料はわかりやすいと回答した人は約6割。特に、女性に好評
めやす賃料がわかりやすいと回答した人は61.8%で、特に女性は67.4%と高い指示を得ていました。
「初めての一人暮らしなので、何年住んだら合計いくら位の費用が必要なのか知らないので、分かりやすいと思いました。(20代女性)」
「説明を聞くと、賃料とめやす賃料の乖離がほとんど無い●●不動産の物件はお得に感じました。(20代女性)」
「地域によって共益費など異なるので、めやすを示して頂けるとすぐ分かるので便利。(20代女性)」
「ランニングコストのイメージがつかめた。(30代男性)」
など、言った感想が寄せられています。
5−2.4割以上がめやす賃料を参考
めやす賃料を知った44.4%の人、女性に限ると50.7%、半数以上の人がお部屋選びの参考にしました。
5−3.めやす賃料表示への不満
概ね好評のめやす賃料表示ですが、以下のような不満の声もいくつかあるので、お部屋選びの際は気をつけてください。
「駐車場代なども入れてほしい。(20代男性)」
「 4年間のアベレージだけでなく、総額も出してほしい。 (30代男性) 」
毎月の想定費用だけでなく、48カ月で結局いくら掛かるのかも知りたい人が多くいるようです。また、みなし賃料にどこまで含めて、計算するかも大切なことが分かりました。
6.めやす賃料の注意点
めやす賃料はあくまで物件同士を比較するときに役に立つもので、めやす賃料が住む時に必要な“実際の総額ではない”ということに注意が必要です。
例として、以下の費用はめやす賃料に反映されません。
・仲介手数料や更新手数料
・火災保険料や更新時の保険料
・賃貸保証会社への委託料や更新時の委託料
・鍵交換費用
・前家賃
そのため、例えば「めやす家賃15万円」と表示されていても、1ヵ月の平均費用が15万円で済むとは限らず、実際には、仲介手数料や鍵交換費用等の実費が必要になるのです。
また、めやす賃料が正しく表示されているかの確認も重要です。めやす賃料をチラシ、雑誌、Webなどの広告に表示する際には、ルールに基づいていなければなりません。公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会により、表示に関して、以下の内容が義務付けられています。
①めやす賃料の額を表示する。
②めやす賃料の説明を表示する。
③めやす賃料に含まれる項目の金額を把握できる表示をする。
(更新料の例:備考欄に「更新料は新賃料の1ヶ月分です」と表示する)
参照:公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会ホームページ
さらに、めやす賃料について、以下の説明文言を表示しなければなりません。
めやす賃料とは賃料、共益費・管理費、敷引金、礼金、更新料を含み、 賃料等条件の改定がないものと仮定して4年間賃借した場合(定期借家の場合は、契約期間)の1ヶ月当たりの金額です。
※敷引金は、敷金の償却、保証金の償却など、預かった金銭から必ず差し引くものをいいます。
※めやす賃料は、消費者に適切な情報を提供するための表示であり、事業者に一時金を推奨するものではありません。
※めやす賃料は、実際の総支払額と異なる場合があります。詳しくは、不動産会社にご確認ください。
参照:公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会ホームページ
これらのルールを守っていない不動産会社のめやす賃料表示は信用できません。必ず、上記の内容が記載されているか確認してください。
7.「めやす賃料」まとめ
・めやす賃料とは「4年間の月額賃料(家賃)、共益費(管理費)、敷引金、礼金、更新料の総額を1ヵ月分に直したもの」です。
・家賃の相場がわかるサイトを使うと便利です。
・めやす賃料は物件同士を比較しやすいだけでなく、自分の収入を加味して物件を選ぶ判断基準にもなります。
・やす賃料表示は、未然にトラブルを防ぐ、広告を通して公正であることをアピールできるなど、不動産会社にとってもメリットがあります。
・アンケート結果によると、めやす賃料表示は特に女性の間で好評を得ています。
・めやす賃料では賃貸契約の必要諸経費のうち、仲介手数料、火災保険料、賃貸保証会社への委託料、鍵交換費用、前家賃など含まれない費用もあるので、注意が必要です。
みなし賃料を参考に、より良い条件、お得な賃貸物件を見つけてください。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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