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こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで住まいのトラブル相談・提案を担当している不動産鑑定士補兼宅地建物取引士の相樂です。
今年の5月、お子様が増える事になり、神奈川県にある自宅のマンションを売り、住み替えを検討している40代の男性から相談を受けました。
「自分の住んでいる地域なら、どこに頼むのが一番か?」
個人的には、グーグルマップで「地名+マンション」、「地名+不動産」で口コミを見ながら、いくつか相談して、決めれば問題はないのではと思っています。
ただ、仲介手数料無料をウリにする業者をどう使うかは自身で決めた方がいいと思います。
と言うのも、湾岸タワーマンションで有名なのらえもんさんも、仲介手数料無料でマンションを購入するのはデメリットが多いと書籍で説明していました。
「私は売却仲介手数料無料業者への依頼はオススメしません。」 と書籍にハッキリ、書いてありました。
賃貸の仲介手数料無料をウリにする業者はオーナーからもらう為、オーナー目線でお客様を誘導していくので全く報酬を得ないと言う事は売主のために働いてくれるのか?と自分も単純に疑問に思います。
人気のブロガーさんが書いても、手数料無料でマンションの売却を検討している方がいるので、ここで自分なりに整理しておきます。
1.まず、どこの不動産会社に頼んでも、情報は共有されます
既に多くの方が気づいていると思いますが、自宅の売却を頼んだ場合、媒介契約書と締結することになります。
その内、一般媒介であれば、レインズに登録する事はありませんが、専任や専属専任契約であれば、レインズに登録が必要になります。
どこの業者に頼んでも大体情報は共有されます。
ただ、情報共有は待ちの営業なので、購入希望者のリストを持っている業者は強いのが一般的です。
結果的に、手数料無料の業者は情報を共有することなく、自身が持っている買い手に直接紹介し、手数料をもらうように動くと思います。
となると、広く買主を募る事が出来ないので、価格などの条件は一般的な業者に頼むより低くなりがちです。
2.次に、一般的に無料のサービスは経済合理性が合わない?
無料で手伝ってくれるのに、優良サービスが本当にあるのか?
個人的に、「何か、裏があるのでは?」と考えた方がいいと思います。
後述しますが、自宅売却時の仲介手数料無料を唄う業者は買主からしか報酬を貰わないので買主の為に必死に働きます。
手数料無料で売主を集めますが、売買価格や決済までのスケジュールなどは基本的に買主の希望を優先しがちです。
この辺り、落ち着いて考えてみれば、分かると思います。
つまり、売主の為には働かない=売買価格の引き下げがあるって思った方が良いと思います。
>>念のため、離婚でご自宅の売却を考えた時、どのような会社にお願いするべきか?やっぱり、先ずは弁護士なのか?をまとめています。
3.買主目線で安く、早く売りたい不動産業者とは?
買主からしか報酬を貰えない不動産業者である仲介手数料無料の業者は買主を早く見つけ、売却する事がミッションになります。
3-1.まず、買い手について
既述の通り、売主から報酬を貰わない為、買主を直接見つける必要があります。
一般論として、広く買主を募った方が高い価格で売買が決まる傾向があります。
3-2.次に、売買価格について
手数料無料の業者は依頼した売主から報酬を貰えない為、買主が購入したい価格まで売主を説得しないといけません。
そのため、一般的に売主の希望より、買主の希望を優先しがちです。
3-3.また、売却期間について
このような業者は値段を下げて、早く決着させたいので、結果的に相談から契約や決済まで3ヶ月のスピード決着が実現します。
初期段階で価格を下げ、買主のリストに紹介を続けていくため、一般的な販売活動と比べ、スピード決着になりがちです。
すなわち、少しでも高い値段で売りたい売主と、買主が満足する安い価格ですぐに売りたい手数料無料の業者のゴールは基本的には相反する事になります。
結果的に、3%の手数料を越えた失敗をすることが往々にあります。
例えば、3,000万円でマンションを売りたい場合(1)は約100万円の仲介手数料が掛かり、手残りは2,900万円になります。
しかし、買主が2,800万円でしか買わない場合(2)は手残りは2,800万円になります。
結果的に、(2)の手数料無料で早期売却をウリにしている業者の場合、(1)と比べ、100万円も低く、売主の手残りは相対的に減ります・・・。
4.例外、どうしても仲介手数料無料の業者を選びたい方へ
一般的に、経済的な不利益が大きい、仲介手数料無料の業者ですが、それでも利用する価値がある方がいます。
それは、既に物件を長期間持っていて、住宅ローンの返済が進み、安い値段でもいいから早く売りたい場合です。
経済的な面から見ると、ありえないですが、不動産をすぐに売りたい方は一定程度いらっしゃいます。
例えば、相続や離婚、ローンに伴う自宅の売却です。
どれもローンが残高を意識して、売却価格を決めないと、債権者が承認してくれず、売れない事があるのでその辺りは担当者とよく相談し、気を付けて下さい。
>>念のため、私たちの口コミはこちらのページにまとめています。
5.自宅売却で手残りを最大化するには?
マンションに限らず、中古車など何でもかんでも一括査定が流行っていますが、対応する時間がある方や相場を知るには良いと思います。
ただ、ご自宅の売却後のトラブルを防ぐため、自宅に住みながら、自宅を高く売るには?仕組みが必要だと思います。
5-1.査定価格はそんなに大切なのか?
この写真の通り、有名な東急リバブルが出している資料でも、3カ月未満の売り急ぎは売却価格が低くなりがちです。
そのため、まず、査定価格を意識する方がいますが、車と異なり、個別性の強い不動産では大切なのは相場より、一人の購入者です。
マンションですら、方位や階数で価格が変わってきます。 査定価格は仕事を取るための引っ掛けに過ぎないので、あまり信じない方が良いと思います。
5-2.マンションより、戸建の場合、査定価格以上に大切なのは売出価格
*首都圏不動産流通市場の動向(公益財団法人東日本不動産流通機構)参照
多くの人が、査定価格から売り始め、売れないから値段を下げていく事を普通に受け入れています。
大切なのは、査定価格より高い値段で売り出し、半年程度時間をかけ、丁寧に情報を開示することです。
特に、マンションより、個別性の強い戸建の場合は顕著です。
こうすることで、売却後にトラブルに巻き込まれ、思わぬ損失を被ることが圧倒的に少なくなります。
例えば、離婚のため、急いで売りたいために一括査定で出された価格で売り出した事例があります。
いきなり、不動産会社の担当から電話が掛かってきて、「物件をよく調査せず、机上査定の価格をそのままに売り出して、売れないからもっと価格を下げましょう」と言われ、夫婦間でトラブルに巻き込まれた事例です。
5-3.なぜ、住宅診断士による調査が自宅の売却に有効なのか?
2018年より、中古住宅の売買において、住宅検査を紹介・あっせんできるか告知する事が義務化されています。
と言うのも、ホームインスペクションを行うことで、仲介業者が通常の注意を尽くせば、自宅の外観から認識することが出来る範囲での瑕疵の有無を調査することが出来、買主への情報提供もし易くなります。
実際に、裁判判例があり、東京地裁平成16年4月23日判決で「仲介業者には、通常の注意を尽くせば、物件の外観から認識することが出来る範囲での瑕疵の有無を調査し、その情報を買主に提供すべき契約上の義務がある」として、確認義務違反を認定した裁判例があります。
自宅の売却は一生に一度あるか無いかです。
焦って、バタバタと進め、後悔しない様、慎重に進めて下さい。
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