離婚の協議が進まず、競売開始決定

離婚に伴う協議や奥様の居座りで売却が進まず、競売開始の通知が届いた事例

こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている不動産鑑定士補兼宅地建物取引士の相樂です。

2015年に離婚に伴う自宅の売却で相談のあった事例で、離婚となるも協議が進まず、奥様が出ていってくれなかったS(30代)さん。

相樂個別面談

ズルズルと時間が過ぎ、ついに競売に向けて開始決定通知が届き、慌てて大手不動産会社に売却の相談に行ったものの、オーバーローンでの任意売却は対応してくれなかったようです。

特に、大手不動産会社は地域の銀行との関係が大切なので当たり前だと思います。銀行に損をさせる残債以下での売却は一切やらないと思います。

サービス業に従事するSさんは2007年、結婚を機に神奈川県中郡大磯町に区分マンションを購入しました。

頭金300万円、3,300万円で住宅ローンを組み、ごくごく一般的な住宅計画でした。

しかし、その後子育てや生活サイクルの違いから、奥様との関係が悪化し、離婚することに・・・。

ただ、離婚が決まっても、条件面で協議が進まず、奥様が出ていってくれず、時間だけが過ぎて行きました。

今回は、中学時代の友人の紹介でご自宅の売却をご相談いただきましたが、すでに競売開始決定通知が届いていたので、競売回避のため、とにかく早く売ることだけに奔走しました。

結果、売れたものの『時間があれば、もっと良い条件で売れたなぁ』というのが本音です。

今回、Sさんに許可を頂き、事の顛末を記事にまとめましたので、ぜひ参考にしていただき、後悔のないように活かしていただければと思います。

1.原因:離婚するも奥様が出ていってくれず、協議も進まず時間だけが過ぎ、競売開始決定通知が届く

競売や督促状_2020

記述の通り、Sさんは2007年、神奈川県中郡大磯町に3,300万円の住宅ローンを組んで区分マンションを購入しました。

頭金は300万円、金利は2.95%。

実は2007年〜2008年のリーマンショック直前は、景気の過熱感もあり、それまでの過去10年と比べるとわずかながら、住宅ローン金利が上昇した年です。

とはいえ、近年のゼロ金利と言われる状況が異常ですので、決して金利が高かったという訳でもありません。

実際に調べてみたところ、借入額3,000万円、30年返済という条件で各銀行の住宅ローン金利は下記のようになっていました。

・三井住友銀行:3.23%
・三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行):3.23%
・住友信託銀行:2.94%
・新生銀行:3.10%
・ソニー銀行:2.912%
・住信SBIネット銀行:2.82%

参照:オールアバウト

上記を見てもわかる通り、Sさんが借り入れた住宅ローン金利2.95%はごく平均的か、金利だけならやや条件が良いと言えます。

しかし、結婚9年目、色々あり、離婚することになってしまいました。

それでも、奥様は出て行ってもくれず、かといってキチンと協議をしてくれる訳でもなく、時間だけがいたずらに過ぎていってしまいました。

毎月の住宅ローン返済額は12.6万円。
固定資産税や管理費、修繕積立金など諸費用込みだと14.9万円。

次第に、精神的な苦痛から、仕事がうまく行かず、ローンの返済継続が困難となり、最終的には自宅が競売にかけられることになったのです。

ついに、競売開始決定通知が届いてようやく、動かざるを得なくなったSさん。

本当にどこに相談したら良いか分からず、先ずは最寄駅にある不動産会社に相談したようです。ただ、オーバーローン状態で大手不動産会社は全く取り合ってくれなかったようです。

その後、友人に相談し、僕たち、アリネットに連絡して来られました。

2015年のことです。

2.希望:競売を回避したい。話し合いや資料の作成等も任せたい

子どもがいる方の離婚協議書

競売開始決定通知が届いているという切羽詰まった状況でしたので、すぐに私がSさんの元に話を聞きに行きました。

時間がない状況で、Sさんの希望は下記の通りでした。

・なんとか競売を回避したい。
・奥様が出ていってくれない、協議が進まないので、話し合いや資料の作成等も任せたい。

競売を回避するためには、債権者にマンションを任意売却する許可をもらって、任意売却しなければなりません。

そして、任意売却の許可をもらうためには、離婚協議をキチンとして住宅ローンの責任の所在や所有権等をはっきりさせなければなりません。

競売開始決定通知が届いている状況で依然として奥様との協議が進んでいないため、時間的にかなり危機的状況でした。

また、奥様との話し合いや資料の作成等も一括してお願いしたいとのことで、私たちに任せてもらうことになりました。

念のため、離婚成立前に別居する場合、男性の方は特に婚姻費用を注意して下さい。

3.不安や心配:競売開始決定通知が届いている状況で競売を回避できるのか? 売却後も返済はしていかないといけないのか?

この時、Sさんが抱えていた不安や心配をまとめると以下の通りです。

・競売開始決定通知が届いている状況で競売を回避できるのか?
・売却後も返済はしていかないといけないのか?
・養育費や慰謝料など相場が分からない中でどう決めるか?

結論から述べると、競売も売却後の返済回避もかなり厳しい状況でした。
とはいえ、最低限、競売だけは避けたいと思いました。

なぜなら、競売となれば多くの場合、市場価格の7割程度でしか売却できないからです。

7割での売却になれば当然、売却の返済額も大きくなり、離婚後生活を立て直していかなければならないSさんの負担も大きくなります。

そのためまずは、奥様との話し合いをまとめ、競売を回避するために任意売却を進めるのが最優先事項と判断しました。

4.解決法:司法書士の助言を得ながら離婚協議を開始

離婚時の協議が進まない夫婦

まず、離婚問題に詳しい司法書士と密に連携を取りながら、奥様との離婚協議の話し合いを取り持ちました。

それと同時に、債権者に任意売却の交渉をしつつ、CGで家のイメージや資料を作成し、マンションを購入してくれそうなところに物件の紹介を開始しました。

中でも、SUUMOやホームズ以外に、私たちが持つ不動産の購入希望者リストおよそ3,000件へ情報を提供すると、立地が良いのか、一定の反応がありました。

5.期間:2カ月後、競売ギリギリのところでマンションを2,500万円で任意売却

なんとか奥様との協議を取りまとめ、債権者から任意売却の許可ももらい、自宅マンションを任意売却することができました。

その期間2ヵ月。

正直に言って、かなりハードな案件でした。

基本的に、任意売却を行っていない業者は、債権者との交渉や条件の引き出し方が分かっていません。

その為、売買価格の調整が出来ないことが多かったり、やり方が分からない為、話しが進まない事が多いです。

一方で、私たちは

・長年トラブルを抱えた任意売却を多数経験していたこと。
・その過程で多くの専門家と独自のコネクションを築いていたこと。
・購入希望者リストを持っていたこと。

から、なんとかクリアできたと考えています。

なお、売却額は2,500万円で、200万円の残債が残ってしまいました。

ただ、競売で売られるよりも良い条件だったとは思いますが、競売回避のために急いで売り切った感じです。

もっと時間があれば、買主をもっと探せたかもしれません・・・残念です。

住宅ローンの返済が厳しいと感じた時点、遅くとも滞納をしてしまった時点でご相談いただければ、もっと良い条件で購入者を探せ、ご自宅を売却できた可能性があります。

もし、個別性が強い不動産ですが、似たような状況の方がいれば、まずは一刻も早くアリネットにご相談いただきたいと思っています。

>>2014年に伊勢崎で行った価値観の違いから離婚し、自宅の売却を行い、奥様とお子様が住み続けた事例

6.返済金額:毎月の返済が14.9万円から2万円に

離婚時の自宅の売却で悩む男性

200万円の残債が残ってしまったものの、毎月の住宅ローン等の返済額は、14.9万円から2万円まで一気に減りました。

競売開始決定通知が届いていた中では、最善を尽くせたと思います。

ただ繰り返し述べるように、もう少し早くご相談いただければと残念な気持ちが残ってしまった案件でもあります。

7.任意売却後の生活:離婚、引っ越し後、毎月2万円の返済を続けながら生活を立て直し

その後、Sさんは奥様と離婚し、引っ越し。
仕事をしながら、コツコツと2万円の返済を続けられているそうです。

当初抱えていた不安「売却後も返済はしていかないといけないのか?」は、不安的中となってしまいましたが、

・当事者2人では全く進まなかった離婚協議の話し合いがまとまり、離婚できたこと。
・売却後の返済額が毎月2万円で抑えられたこと。

について大変感謝されました。

7-1.離婚に伴う自宅の売却は経験が大切

住みながら自宅の売却まとめ

住宅ローン返済困難による任意売却は銀行との関係を大切にする大手不動産仲介はやりません。

また、任意売却に関する専門的な知識や交渉術が必要ですが、そこに離婚問題や協議が絡むと、話は余計に複雑になります。

さらに、今回はすでに競売開始決定通知が届いているという状況。
このような状況では、経験がモノを言います。

大変厳しい案件でしたが、長年の経験を活かし、役に立てて本当に良かったと思います。

7-2.離婚時の危険度、セルフチェック

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  • 夫婦の収入合算(連帯債務・連帯保証)やペアローンで自宅を購入した
  • 頭金なしのフルローンやオーバーローンを組み、自宅を購入した
  • ペアローンを含め、ローン総額が総収入の8倍以上
  • 金利は変動や当初固定で、30年以上の長期で住宅ローンを組んだ
  • ボーナス払い年2回を使い、月々の返済は賢く減らした
  • 学費など毎月の生活費が高く、万が一に備え、貯金ができていない
  • 借り入れ外に自宅の名義や権利を夫婦で共有にしている
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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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