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退去前の解約予告に関して、事前に調べてほしい事と、注意点をまとめました
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2022年4月2日【宅建士作成】賃貸マンションの解約予告、いつ出すのが最も損しないか?
このページの主な内容
こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで住まいのトラブル相談・提案を担当している宅地建物取引士兼住宅診断士の相樂です。
2月に5回以上引っ越し経験の方のお部屋探しを手伝っていたら、「いつ、解約予告出した方が良いですか?」と聞かれました。
こんなに経験のある人でも、ちょうどいい解約予告のタイミングが分からない事もあるんだと思ったので、今回は解約予告について、思っていることをまとめました。
実際、賃貸マンション等に住んだことがある方ならば、一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?解約予告はいつ出して、新しい物件はいつ申し込みしたらいいのだろうと。
この疑問を少しでも取り除くべく、今回は退去するときの情報をまとめています。これから解約や引っ越しをご検討中の方の参考になれば、幸いです。
6,700件のお引っ越しに関する後悔のアンケートや400件を超えるトラブル相談を参考に、安心できる部屋探しに向けたチェックリストを作成しました。
1.引っ越しを決めたら、先ずは解約予告期間の確認から!
1-1.契約期間の確認をする
実は、この確認の方法は至って簡単です。
今の部屋を契約した時に受け取っている“賃貸借契約書”や“重要事項説明書”に契約期間が載っています。
その中に、何年の何月何日から契約をされているのかの確認をしてみてください。
一般的には、普通借家契約で2年毎の更新が多いですが、中には1年毎の更新をするケースもあります。
1-2.解約予告期間を確認する
次に、退去するためには何ヶ月前に予告をしなければならないと定めをしてあります。
これも一般的には、借りている側からは1ヶ月前予告をすれば、解約できることが多いのですが、念の為確認をしておいてください。
これを確認しておかないと、次の賃貸物件の契約と被って二重で家賃を支払うなど、大損することになってしまいます。
もし、書類を紛失してしまって確認書類が手元にない場合には、管理会社に「□□市の〇〇マンションに住んでいるものなのですが、解約するときはいつまでに予告が必要ですか?」と連絡を入れておくと、間違いありません。
1-3.家賃精算は月割りなのか日割りなのかを確認する
契約終了の月の家賃をどのように精算するかということも必ず定められていますので、ここも必ず確認するようにしてください。
例えば、4月5日に退去することが決定したとすると、4月の残りの期間26日間の家賃は払わなくていいのが日割り精算なのに対して、4月のいつ退去しても丸々1ヶ月分の家賃を請求されるのが月割精算といった違いです。
家賃は基本的に“翌月分の賃料は前払い”となっていることが多く、自動引き落としの場合は、急に金額の変更をして、その通りに引き落としができないという特徴があるため、一度満額引き落とされた後に返金してもらうことになります。
4月5日に引越しをしてしまうのに、月末の30日分まで賃料が発生するのはもったいないですよね?
そのため、私たちは月割精算だということが分かっている場合には、できるだけ月末に近い日付で引越しをされることを提案しています。
2.解約時の署名はネット、それとも書面が必要か?
2-1.基本的には書面での通知が必要
だいたい、書面で何月何日に退去しますという書類に記載して申請することが多いです。
最近では、ネットから解約予告を出すことができる管理会社も出てきているようです。
そのほかには、契約書の中に退去届として書類を挟み込まれている管理会社や、退去の連絡を入れた後に住んでいる物件に書類が郵送されるパターン、管理会社の事務所まで来店を促されて記入するパターンといくつか方法があります。
2-2.証拠を残しておくことが大切
中には、電話口で解約を受けてくれる管理会社もあります。しかし、退去すると伝えた担当者が忘れていたり、退職していたりする場合もあります。
他にも、この場合、「言った、言わない」のトラブルに発展して大問題に発展することもあります。
実際、お客様からこのような場合どうすればいいのか?と、相談を受けたことが何度かあります。
本当に解約を伝えていたのにも関わらず、結果証拠がないとして、さらに1ヶ月経過後の解約ということになり、結果二重で家賃を払われていました。
最近は応対品質向上のための録音をされている会社も増えていますが、自分でも通話中の会話はスピーカーにして録音するなど、“念には念を”で対策を講じることを提案しています。
3.一度出した、解約は撤回出来るの?
結論からお話しすると、申し出以降の撤回は結構難しいです。
と言うのも、管理会社は解約をしたい旨の連絡を受けた後に、清掃業者の手配や鍵の交換など、現入居者が退去してからすぐに新しい入居者が見つかるように動き始めるからという理由があります。
おそらくお部屋探しをされたことがある方はご存知かもしれませんが、「退去予定3月31日」などと記載があるのは、解約通知が入居者から届いているからなのです。
解約の撤回を申し入れたタイミングで次の入居希望者が現れていない場合は、オーナーの収益性のことを考えて申出の撤回をしてくれる可能性も高くなります。
しかし、一度はネットで募集してしまった以上、お部屋探しをしているお客様からの視点で見ると“おとり広告”と思われても仕方がありません。
できるだけこういうトラブルを避けるためにも、一度解約を申し入れた後は撤回が難しいと言えます。
例えば、大東建託の物件では、重要事項説明の欄に「退去の通知を行った後、退去をしない場合は賃料の1.5倍を支払うこととする」と明記されているほど、この手のトラブルが多かったということがわかります。
念のため、6,700件のお引っ越しに関する後悔のアンケ-トや400件を超えるトラブル相談を参考に、安心できる部屋探しに向けたチェックリストを作成しました。
4.契約期間中の解約は法律的に出来るの?
4-1.契約期間の定めがある場合
4-1-1.普通借家契約
最近の賃貸借契約では少しでもトラブルを回避したいという考えから、契約前に契約期間を定めているケースがほとんどです。
実は、この普通借家契約であれば、基本的にいつ退去を申し出たとしても法律に引っかかることはありません。
極端な話、入居して次の日に解約を申し入れても問題はないということになります。
しかし、物件を1部屋公開するためにもオーナーさんや管理会社も相当の費用をかけて募集をしたり清掃をしたりとさまざまな準備をしています。
それなのにいろいろな物件から「飽きたから解約したい」、「思ったのと違ったから解約したい」と簡単に言われても困るため、「短期解約違約金」という制度を特約として入れています。
これは後ほど後述しますが、契約満了する前、早めに解約を申し出た借主へのペナルティのようなものですが、実際は法律がらみのものではありません。
4-1-2.定期借家契約
定期借家契約の場合は、少し“民法”が絡んだお話になります。
賃貸借する物件の床面積が200㎡未満の住宅の場合、“特段の理由があれば”解約できるとされています。
特段の理由と言うと、難しいように感じますが自分も契約の時には予測できなかった理由での解約ということです。
例として多いのは、急な転勤が決まってしまった。両親が高齢で介護が必要になった。自身の病気が発覚して退去せざるを得なくなった・・・というような理由が挙げられます。
この契約の場合でも、短期解約違約金が設定されている場合は契約書に従って支払う義務が発生します。
4-2.契約期間の定めがない場合
契約期間の定めをしていない契約の場合の解約については、民法で定められています。
以下、e-GOV法令記載の条文を引用しています。
(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)
第六百十七条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日
2 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない
このことから分かるように、契約の申し入れをしてから3ヶ月が経過すれば、解約ができるとされています。
私たち、アリネットのおすすめは、『まず、契約に期間の定めがあるのか?定めがある場合は普通借家契約なのか、定期借家契約なのか?』を確認してもらう事です。
5.短期解約時の違約金はどうなるか?
短期解約違約金の支払いは誰しも嫌な特約だと思います。しかし、これはオーナーや管理会社を守るための非常に重要な項目でもあります。
借主の一方的な理由によっての解約の場合は、あと1週間待てば違約金が発生しなかったのに!という場合にも、特約に同意して署名をしているのであれば、裁判所に行っても「支払う義務があります」と言われてしまいます。
このような「もったいない」を無くすためにも、引越しを検討する前に、必ず確認をしてお部屋探しをするようにしてください。
賃貸物件は入れ替わりが非常に早いため、早めに内覧に行って気に入った物件を見つけたとしても、あと1ヶ月で短期解約違約金を支払う義務を逃れるのにという事態にもなりかねません。
よく、実務でもそのようなケースのお客様を応対することも多く、どうしても急ぎでお引越しをする必要がある方に関しては、『短期解約違約金が相殺できるぐらい初期費用を安く抑えられる管理会社さんを紹介する』ことがあります。
しかし、あくまでこのケースは借主都合で解約する場合の特約になるため、管理会社やオーナーの責任で余儀なく解約する場合はこの限りではありません。
つまり、設備トラブルや不備によって解約をする場合には請求されるケースは稀だということです。
この辺り、個別性が強く、複雑なため、もし分からない・もっと詳しく知りたい場合には、LINEやメール等でご連絡頂ければ、ご説明いたします。
6.解約時に行うべき項目は?
実家から一人暮らしを始める時には、“郵便の転送届を出しておく”ぐらいで済むかもしれません。
ただ、一度お引越しをされていて、新しい物件に引っ越すために今住んでいるお部屋を空室にする場合には、さまざまな手続きが必要となります。
新しい家を探し始めると、思った以上にやるべきことが多すぎるため、忘れがちな項目をいくつかまとめてみました。
6-1.水道、電気、ガスの転居手続き
これはライフラインの手続きで、新居に移転する前に契約する不動産会社から“新しいライフラインの連絡先”をもらうと思います。
そのため、そのタイミングで併せて、手続きを行うと忘れることはありません。
ちなみに、同エリア内での引越しをする場合は、開栓と閉栓は1箇所に電話するだけで解約と契約ができる場合があります。
ガス会社は使用しているガスがプロパンガスの場合は別会社であることが多いため、別途連絡が必要になります。また、初めてのお引越しをされる場合は知らない方も結構います。
しかし、滞納した時に充てるお金として、“保証金”を請求されるケースがあります。このことを忘れていて、退去時に戻ってきてラッキー!と喜ばれる方もいらっしゃいます。
6-2.新聞などの精算
定期的に郵送で何か届く契約をされている場合、必ず解約の手続きをしておいてください。
新聞のように毎日届くものは忘れにくいものですが、1ヶ月に1回届くような設定をしている場合には注意が必要です。
最近では、Amazonの定期便配送など、通常購入よりも少し安くなるお得な買い方があり、非常に多くの方が利用されていますので、ここは要注意です。
6-3.掃除(ルームクリーニング)
私も仕事上、いろいろな退去される物件の立ち会いに伺いますが、掃除をするかしないかは本当に人さまざまです。
基本的に、賃貸物件は業者の清掃が入るため、借主の掃除は必要ありません。むしろ、粗大ごみをキチンと捨てていない人の方が多いです。
しっかりしている管理会社の場合、後々処分費用を請求されることもあるので、生活ごみは計画的に捨てるようにしてください。
中でも、一番驚いたのは排水溝も洗浄剤を使用して汚れをしっかり落とされていたり、窓拭きまでしっかりとされていたりと、業者さんが清掃したのか?というほどに綺麗にされていたことです。
この場合でも、清掃業者は入りますので、業者さんのことを考えると決して無駄ではありませんが、わざわざ時間と労力をかけるのは少しもったいないように感じます。
もちろん、好きでやっていらっしゃる場合には止めることはありません。ただ、気になる方は軽い床の掃き掃除程度で大丈夫です。
6-4.転居届
転居届や転入届は“住民基本台帳法”という法律で提出が義務付けられています。
決められた期限内に提出なされないと5万円の過料が発生しますし、せっかく発行しているマイナンバーも失効してしまいます。
実務上、いろいろな方の免許証を拝見する機会が多いのですが、「これはいつの住所だろう?」と思うこともしばしばあります。
「賃貸物件を転々とする方は、そんな時間はないよ。」と思われる方も多いと思いますが、実は法律で決められたルールが存在するのです。くれぐれも忘れないように注意しておきたい項目です。
6-5.郵便の転送届
転送届自体を忘れる方は少なくありませんが、お伝えしておきたいのが、転送開始されるまでの日数に3日から1週間程度時間がかかるということです。
手続き済ませたので、早速明日からお願いします!ということができないため、必ず早めの手続きが必要です。
皆さんも“転送不要”と記載された郵便物を見たことがあると思います。この郵便物は転送されずに差出人に返却されるため注意してください。
ネットで買い物をされる方や定期的に郵便物が届く契約をされている場合には、各種サービスへ早めに連絡をするようにしてください。
7.賃貸マンションの解約予告のタイミングまとめ
何事も余裕を持って行動をしないと、結果、損して終わってしまうこともあり得ます。
毎月の賃料や解約時の違約金などの金額は大変大きな金額ですので、計画的に引越しをされるように提案しています。
「急がば回れ」、「石橋を叩いて渡る」どちらも相反する言葉として有名ですが、住環境に関することは、“ゆっくり”、“計画的に”行動するようにしてください。
これからのお住まい、必ずいつかは解約されることかと思います。少しでも無駄を省いて新しいお部屋に巡り合われることを心から願っています。
8.トラブルを避けるための部屋探しチェックリスト
これからお引っ越しを検討されている方のために、これまでの400件超のトラブル相談や6,700件を超えるアンケートの事例を参考に、簡単なチェックリストを作りました。
もし、いくつか、該当するようなら、慎重にお部屋探しをされることをお勧めします。
□ 延線沿い等エリアを広げ、自分に合う部屋を探したい
□ 自分に合ったお部屋の条件や優先順位が分からない
□ オンライン内見や広告を見て、お部屋を決めたい
□ 部屋探しの経験が2回以下で相談し、お部屋を決めたい
□ 家賃や初期費用等予算の決め方が分からない
□ 契約や引っ越し後のトラブルは絶対に避けたい
□ 自分のペ-スでゆっくりお部屋を探したい
□ 仲介手数料無料や返金保証が付いている方がいい
もし、3つ以上当てはまる方は慎重に部屋探しを進めて下さい。というのも、トラブルが続くと、仕事や私生活だけでなく、健康も害してしまう事もあります。
もし、気になるようなら、LINEで出来る部屋探しの条件簡易診断もやってみて下さい。3つの質問で、部屋探しに必要な具体的な注意点や対策をご提案しています。
頂いたご相談は社内で共有し、48時間以内に回答いたします。必要な場合には、弁護士や建築士などの専門家と相談し、連絡いたします。
なお、相談は無料です。費用が発生する場合には、事前に必ずご連絡いたします。
過去に頂いたトラブル相談や質問は参考の為、こちらのページにまとめています。
*お名前やメールアドレス等を公開することはありません。
*48時間以内に確認し、回答致します。
*頂いたコメントを参考に、今後の活動を改善していきます。
相樂 喜一郎
株式会社リビングイン 代表取締役
国立大学卒業後、大手証券、総合不動産会社を経て、2012年に住まい問題の解決をテーマとした不動産会社、リビングインを創業。個人のお客様を中心に賃貸・売買仲介やその管理を行う。
特に、2015年以降全国から住宅ローン絡みのトラブルで200件以上の相談を受け、鹿児島から北海道まで70件以上の任意売却を行う。
1978年生まれ、趣味は読書と素潜り、フリーダイブ。
保有資格:不動産鑑定士補、宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャルプランナー2級、住宅ローンアドバイザー、防犯設備士、相続アドバイザー他
有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。
ファイナンシャルプランナーとして、お客様の現状と将来の目標を基に毎月の収支をエクセルで整理し、部屋選びに関して、具体的にどのような数字やアクションをしていった方がいいか、提案しています。
2019年は茨城県の戸建てや板橋区の共同住宅などを仲介。同時に、東京渋谷区の民泊や麻布十番のシェアオフィス向けリノベーションやコンバージョン工事を行う。最近は、台風15号や19号に伴う火災保険の申請サポートやその後の改修工事を積極的に行う。
保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー
馬場 紘司
株式会社リビングイン 共同代表
写真付きなので、スマホやPCでも、引っ越しの手順や注意点がすぐに分かります。
初めての一人暮らしを中心に、2,000件超の失敗を基に、引っ越しを賢く学びます。
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