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空き家になった実家の売却で困っている方へ、古い建物でも高く売れる可能性があります。
こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている不動産鑑定士補兼住宅診断士の相楽です。
1981年以前の建物で、築年数の経過した家を売却する際に、価格を左右する要素には、家屋の傷み具合だけではなく、耐震強度もあります。
融資を付ける銀行がこの辺りを強く意識しているようです。
そのため、実家を売る時に時間が掛かったり、安い値段で売らざるを得ない時もあります。
そんな時、家の強度を診断したり、資料を集めるなど適切な対策をすることによって、家の評価や売却のスピードが変わることもあります。
そこで今回は、旧耐震基準の家の売却方法はどのようなものか、価格が安い理由とその対策について解説します。
>>2022年に行った旧耐震の区分マンションを外国人投資家に売却した事例はこちらです。
1.旧耐震基準の家の売却!新耐震基準との違いとは?
まず、耐震基準の概要についてご説明します。
1-1.旧耐震基準とは?
昭和56年6月(1981年)に施行された建築基準法の改正によって、建物の耐震基準が変更されました。
この改正施行日の、6月1日以前に建築確認済証が交付されたものを、旧耐震基準の建築物と呼んでいます。
なお、この昭和56年前半に建築確認済み証交付の建物は、施工コストが増す新耐震基準を避けるために、旧耐震基準での駆け込み申請が多かったため、特に確認が必要です。
また、建築基準法の耐震基準としては、平成12年に再度木造住宅を対象とした、壁量計算の基準改正がおこなわれています。
この改正では、壁量の基準として壁の構造合板や筋交いの数量に加え、壁量の配置場所のルールが追加されました。
したがって、平成12年6月1日以前に建築確認済証が交付された建物は、この基準を満たさない場合があります。
1-2.新耐震基準との違い
新耐震基準と旧耐震基準では、耐震性能に以下のような違いがあります。
1-2-1.旧耐震基準
震度5強程度の中規模地震が発生した際に、ほとんど損傷しない強度の建物であることを目標とする(それ以上の震度は想定しない)。
1-2-2.新耐震基準
震度6強~7程度の大規模地震に対して、ある程度の損傷があるものの、建物が倒壊して人命を奪うことがない性能を目標とする。
1-3.新耐震基準の設定の影響
新耐震基準設定と、阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模地震も影響して、建築物の耐震性への関心が高まりました。
土地についても、近年では自治体が地震ハザードマップを発表し、想定震度、液状化のリスク度、被害家屋の想定数などをエリアごとに示すようになりました。
建物は、新耐震基準に準拠した工法や建材で作られるようになり、旧耐震基準の建物は、必要に応じて耐震診断や補強設計が行われるようになったのです。
今後も、南海トラフ地震のリスクが予測されており、各住宅メーカーや建材メーカーは、さらに耐震強度を向上させる方法を商品化すべく、開発やテストを進めています。
また、地震から建物と人を守るために「耐震」のほか、「免震」、「制震」などの工法も日々進化しています。
2.旧耐震基準の家の売却価格が安い理由
旧耐震基準の家の価格が安くなる具体的な理由は、どのようなものがあるのでしょう?
2-1.住宅ローン控除が受けられない
まず、旧耐震基準で設計し、施工された家をそのまま売却する場合、新しい所有者が住宅ローンを組んだ際に、住宅ローン控除が受けられなくなります。
長期にわたって節税効果の高い、住宅ローン控除を受けられない点は、購入希望者にとってはマイナス要素となります。
- 住宅ローン控除を受けられる物件の基準として、以下のどれかを満たす必要があります。
- 一戸建ては20年以内、マンションは25年以内の建築であること
- 現行の耐震基準に適合していること
- 耐震基準適合証明書を取得すること(入居までに取得)
2-2.住宅ローン審査への影響
金融機関が、担保として物件を見たときの価値が耐震基準で左右されるため、借り入れの可否や、借り入れできる金額に影響します。
買主のローン審査が通らなければ、契約は白紙となるため、販売価格を下げるか、新しい買主を探すこととなります。
長期固定金利住宅ローンのフラット35では融資の基準として、建築確認日が昭和56年6月1日以後であるか、耐震評価基準などに適合することと明記されています。
したがって、購入希望者がフラット35を使いたいケースでは、耐震基準適合証明書を提出する必要があります。
2-3.地震保険が割高
また、購入後に地震保険に加入する際の保険料も、新耐震基準の家に比べて割高となります。
地震保険の保険料は、耐震等級に応じて割引きされ、安い保険料が適用されるため、旧耐震基準で建てられた家は、割引き適用外となるのです。
このほか、住宅購入の際に親族から資金援助を受けた場合に、一定の金額まで贈与税を免除する制度が、旧耐震基準の物件では利用できません。
ここまで、旧耐震基準の家が安くなる理由であるデメリットを説明しました。
ただ、旧耐震基準の物件は平成20年の調査で約1,588万戸で、住宅総数の32%もありました。
今後は、旧耐震基準の建物がますます中古市場に増えてくるのは明らかです。
そして、そういった物件をうまく売却し、活用していく方法の確立が進められています。
3.旧耐震基準の家をより高く売る方法は?
旧耐震基準の家も、各種の対策をとることによって売却がしやすくなります。
3-1.売主リフォーム費用負担
売主リフォーム費用負担とは、売主がリフォーム費用を負担する約束をし、買主は自分好みにリフォームできるサービスです。
複数のリフォームプランを用意して「こんな風にリフォームできる」という提案をすることで、買主の購入意欲を刺激するという方法もあります。
プランを準備することで、売主も事前に負担額の概算を把握することができます。
また、物件に興味を持つ方が増えることが期待できます。
3-2.耐震基準適合証明書を取得する
耐震基準適合証明書を取得すれば、前項に挙げた買主のデメリットを解消することができます。
耐震基準適合証明書は、耐震診断費用も含めて20万円〜50万円ほどで、指定性能評価機関や建築士などに発行してもらえます。
診断や発行の費用については、ほとんどの自治体で助成金制度を設けています。
そのため、売却を考えたら、必ず、役所のホームページをチェックしたり、電話で確認して下さい。
なお、住宅ローン控除の基準に関しては、新耐震基準を満たした築年数でも、一戸建てで築20年、マンションで築25年を超えていたら、控除を受けられない場合もあります。
その場合は、耐震診断と耐震基準適合証明書の発行が対策の方法となります。
ただし、耐震改修工事まで行うと100万円から2,000万円の費用を要するため、診断のみ行うのが一般的で、売却する家で工事までする例はこれまで経験したことがありません。
3-3.既存住宅売買瑕疵担保責任保険への加入
住宅ローン控除のほかに、買主の各種のデメリットを解決する方法が、既存住宅売買瑕疵担保責任保険への加入です。
この既存住宅売買瑕疵担保責任保険への加入方法のひとつに、ホームインスペクションを受けるという方法があります。
中古住宅を購入するうえでの不安は、耐震性だけではなく建物の老朽にともなう不具合や、外見からは分かりにくい白アリの被害なども含みます。
ホームインスペクションは、これらを5万円~6万円ほどの費用で専門家が検査して、問題が無いという証明を取得することです。
ホームインスペクションを受ければ、検査業者の名義で既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入できます。
このほか、売却する家が駅近など立地が良ければ、そのまま売り出すか、更地にして販売するケースもあります。
しかし、その場合は建物を壊すためにかかる費用を販売価格にどこまで含めることができるかと、更地にして再建築可能かを確認することが必要です。
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4.旧耐震基準の家の売却方法は?安い理由とその対策に関するまとめ
今回、旧耐震基準の家の売却方法はどのようなものか、価格が安い理由とその対策について解説しました。
4-1.気づかない故障がある事も
築年数の経過した物件の売却は、設備だけでなく、耐震性だけでなく、漏水やシロアリ被害など売主であっても気づきにくい事があります。
そのため、担当に相談し、専門知識に基づいて検討したうえで、さまざまな手段の中から方針を決めて進めた方が結果的に良い条件で売却できることが多いです。
4-2.住宅ローン問題の解消に向けたチェックリスト
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5.自宅売却で手残りを最大化するには?
何でもかんでも一括査定が流行っていますが、対応する時間がある方や相場を知るには良いと思います。
ただ、売却後のトラブルを防ぐため、自宅に住みながら、自宅を高く売るには?仕組みが必要だと思います。
5-1.査定価格はそんなに大切なのか?
この写真の通り、有名な東急リバブルが出している資料でも、3カ月未満の売り急ぎは売却価格が低くなりがちです。
そのため、まず、査定価格を意識する方がいます。
ただ、車と異なり、個別性の強い不動産では大切なのは相場より、一人の購入者です。
マンションですら、方位や階数で価格が変わってきます。
査定価格は仕事を取るための引っ掛けに過ぎないので、あまり信じない方が良いと思います。
5-2.戸建の売却は査定価格より売出価格が本当に大切
*首都圏不動産流通市場の動向(公益財団法人東日本不動産流通機構)参照
多くの人が、査定価格から売り始め、売れないから値段を下げていく事を普通に受け入れています。
大切なのは、査定価格より高い値段で売り出し、半年程度時間をかけ、丁寧に情報を開示することです。特に、マンションより、個別性の強い戸建の場合は顕著です。
こうすることで、売却後にトラブルに巻き込まれ、思わぬ損失を被ることが圧倒的に少なくなります。
例えば、離婚のため、急いで売りたいために一括査定で出された価格で売り出した事例があります。
いきなり、電話が掛かってきて、物件をよく調査せず、机上査定の価格をそのままに売り出して、「このままでは売れないからもっと価格を下げましょう」と言われ、夫婦間でトラブルに巻き込まれた事例です。
5-3.なぜ、住宅診断士による調査が自宅の売却に有効なのか?
今回ご説明した通り、2018年より、中古住宅の売買において、住宅検査を紹介・あっせんできるか告知する事が義務化されています。
と言うのも、ホームインスペクションを行うことで、仲介業者が通常の注意を尽くせば、自宅の外観から認識することが出来る範囲での瑕疵の有無を調査することが出来、買主への情報提供もし易くなります。
実際に、裁判判例があり、東京地裁平成16年4月23日判決で「仲介業者には、通常の注意を尽くせば、物件の外観から認識することが出来る範囲での瑕疵の有無を調査し、その情報を買主に提供すべき契約上の義務がある」として、確認義務違反を認定した裁判例があります。
自宅の売却は一生に一度あるか無いかです。焦ってバタバタと進め、後悔しない様、慎重に進めて下さい。
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