目次
弊社では、過去数年にわたり、東京都内の再開発地区におけるマンションの価格、地域の人口動向、公共交通機関の利用者数の変化に注目してきました。
2024年現在、東京23区内のマンション市場は依然として活況で、特に再開発エリアでは価格の上昇が続いています。
平均的なマンションの価格は再び1億円を超え、中央区や港区、渋谷区などの都心部では、価格の上昇率が10%を超える地域も見られます。
供給数は2022年と比較して約33%減少しており、新規供給の不足がさらなる価格上昇の要因となっています。
一方、少子高齢化の影響を受け、郊外では人口減少が進み、一部のエリアではマンション価格が横ばい、もしくは下落する傾向も見られます。
地方や郊外における空き家問題も深刻化しており、自治体が対策を講じる事例も増えています。
また、公共交通機関の利用者数は2020年のパンデミック後、回復基調にあります。
特に交通の便が良いエリアでは、マンション需要が引き続き高く、再開発によるインフラ整備も追い風となっています。
これらの変化を踏まえ、マンション購入の際は物件の場所や将来の価値を慎重に見極め、他の地域と比較して検討することが重要です。
1.各駅の特徴や周辺環境
そこで今回は、大規模な再開発が進んでいる大井町駅と、2024年3月に再開発事業が竣工し、蒲蒲線(新空港線)の開業も目指している蒲田駅のデータを整理・比較し、その将来性を見ていこうと思います。
1-1.大井町駅の特徴
*JR大井町駅東口
まず、大井町駅は東京都品川区に位置する駅で、JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線が乗り入れています。
そんな大井町駅について、いくつかポイントを挙げていきます。
1-1-1.ショッピング環境
*阪急大井町ガーデン
大井町駅周辺は、大型ショッピング施設が揃っており、買い物がしやすいエリアです。
例えば、『アトレ大井町』には多数のファッションブランドや雑貨店があり、幅広い商品を揃えることできます。
また、『阪急大井町ガーデン』には飲食店や食品スーパーが豊富にあり、日々の買い物から特別なギフト選びまで幅広く対応できます。
さらに、大型家電量販店『ヤマダデンキLABI品川大井町』も駅前にあり、家電製品の買い物にも困りません。
このように、大井町駅周辺は買い物好きな方にも、日常の買い物を便利に済ませたい方にも最適な環境が整っています。
1-1-2.下町グルメの魅力
*肉のまえかわ
さらに、大井町には昔ながらの飲食店が多く、『ブルドック』や『肉のまえかわ』などの下町グルメが人気です。
ちなみに、ブルドックは1950年創業の老舗洋食店で、昔ながらの洋食を楽しめる場所として長年地元の人々に愛され続けています。
また、肉のまえかわでは新鮮な肉の販売に加え、揚げたてのコロッケやメンチカツをつまみに立ち飲みを楽しめるのが魅力です。
夕方には仕事帰りのお客さんが立ち寄り、美味しいおつまみと共にお酒を楽しむ姿が見られます。
これらの下町グルメは手頃な価格で満足感が高く、大井町を訪れた際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。
1-2.蒲田駅の特徴
*東急蒲田駅
一方の蒲田駅は東京都大田区に位置する駅で、JR京浜東北線、東急池上線、そして東急多摩川線が乗り入れています。
そんな蒲田駅についても、いくつかポイントを挙げていきます。
1-2-1.交通利便性
*蒲田駅の改札
まず、蒲田駅は各所へのアクセスが抜群です。
JR京浜東北線を利用すると、品川駅や東京駅への移動がスムーズで、通勤や仕事にとても便利です。
また、東急池上線と多摩川線は、周辺の住宅地へ直接接続しており、地域住民にとって重要な交通手段となっています。
さらに、京急蒲田駅を経由することで羽田空港へのアクセスも容易で、旅行や出張にも便利です。
1-2-2.観光客にも人気
*蒲田西口商店街
商店街の賑やかさや、特色ある店舗は観光客にも人気で、地元の魅力を体験できるスポットとしても注目されています。
特に『蒲田西口商店街』は、観光客にとって地元の文化や人々の温かさに触れられる場所として、高い評価を受けています。
この商店街は観光客向けのガイドブックにも掲載されることが多く、今では外国人観光客の姿も見られます。
また、地域独自のグルメや伝統的なお土産品を提供する店舗が多いため、日本の下町文化を存分に楽しむことができます。
1-3.各駅の特徴まとめ
ここまで紹介してきたように、大井町駅はショッピング環境や下町グルメが充実しており、古き良き飲食店で地域の温かさを感じられます。
一方、蒲田駅は羽田へのアクセスが良く、交通手段が充実している点が魅力です。また、賑やかな商店街や地域独自のグルメも観光客に人気であることがわかります。
ただし、マンションを購入する際には、具体的な条件や予算、希望する設備に合った物件を選ぶことが重要です。
一人でいくつものマンションを買うわけにはいかないと思うので・・・。
次に、このような都市の魅力を形作る要素の一つとして、各駅周辺で進行している再開発事業に目を向けて考察していきます。
2.大井町駅周辺の再開発事業について
まずは、大井町駅周辺で進行している再開発事業について解説していきます。
2-1.『大井町トラックス(OIMACHI TRACKS)』プロジェクトの概要
*引用:JR東日本ニュース(https://www.jreast.co.jp/press/2024/20241008_ho03.pdf)
JR大井町駅周辺の広町地区では、現在『大井町トラックス (OIMACHI TRACKS)』プロジェクト(https://www.oimachi-tracks.com/)が進行中です。
2026年3月のまちびらきに向け、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が推進する大規模な都市開発プロジェクトとして注目されています。
このプロジェクトは、品川区新庁舎との一体的なまちづくりを目指しています。
『HOTEL & RESIDENCE TOWER』(ホテル・住宅タワー)と『BUSINESS TOWER』(オフィスタワー)の2棟を中心に構成されています
次に、このプロジェクトの施設や特徴について紹介します。
2-1-1.商業施設
*開発予定地
大井町トラックスには、1階から5階までのアウトモール型商業施設『TRACKS STREET』が配置され、約80店舗が出店する予定です。
これには、こだわりのレストランやライフスタイルショップ、心身を充たすウェルネス施設、エンターテインメント施設などが含まれ、多様なニーズに応える構成となっています。
このアウトモール型の商業空間は歩行者デッキや広場空間に面しており、賑わいの創出が期待されています。
2-1-2.サービスレジデンス『オークウッド大井町トラックス東京』
*引用:JR東日本ニュース(https://www.jreast.co.jp/press/2024/20241008_ho03.pdf)
このプロジェクトでは、JR東日本グループ初となる長期滞在型のサービスレジデンス『オークウッド大井町トラックス東京』が15階から17階に展開されます。
この施設は、シンガポールに拠点を持つ『The Ascott Limited(アスコット)』の高級ブランド『オークウッド』が提供する予定です。
これは、ホテルライクなサービスを、長期滞在者に提供することを目的としています。
内外から集まるゲストに対して高品質なホスピタリティを提供し、快適な滞在をサポートします。
2-1-3.『HOTEL METROPOLITAN OIMACHI TRACKS TOKYO』
*引用:JR東日本ニュース(https://www.jreast.co.jp/press/2024/20241008_ho03.pdf)
HOTEL & RESIDENCE TOWER内の6階から13階には、『HOTEL METROPOLITAN OIMACHI TRACKS TOKYO』が開業予定です。
このホテルは、『やすらぎと華やぎが出会う場所』をコンセプトに、285室の客室と最上階にはルーフトップバーが設けられます。
ルーフトップバーからは、夜景や隣接する車両基地の車列を一望することができます。
2-1-4.シネマコンプレックス『TOHOシネマズ 大井町(仮称)』
*引用:JR東日本ニュース(https://www.jreast.co.jp/press/2024/20241008_ho03.pdf)
さらに、『TOHOシネマズ 大井町(仮称)』がオフィスタワーの2階から5階に開業する予定です。
このシネマコンプレックスは、最新の映像・音響設備を備え、観客に感動的な映画体験を提供することを目指しています。
これにより、地元住民だけでなく周辺地域からも集客が見込まれます。
2-1-5.防災機能と地域連携
大井町トラックスでは、地域の防災機能も強化される予定です。
発災時には、約4,600㎡の『TRACKS PARK』が広域避難場所として開放される予定です。
また、屋内には約3,000人の帰宅困難者を受け入れるスペースも確保されます。
これにより、災害時の地域住民の安全を支援し、地域との共生を図っています。
3.蒲田駅周辺の再開発事業について
続いては、蒲田駅周辺で竣工した再開発事業や蒲蒲線(新空港線)の事業について、解説していきます。
3-1.『FUNDES蒲田』プロジェクトの概要
*FUNDES蒲田
『FUNDES蒲田』プロジェクト(https://fundes.jp/kamata/)は、東京都大田区の蒲田駅東口エリアに立地する都市型商業施設で、2024年6月3日に開業しました。
この施設は『FUNDES』シリーズの第7弾で、これまでのシリーズの中で最大規模の延床面積(約3,794㎡)を誇ります。
次に、このプロジェクトの施設や特徴についても紹介します。
3-1-1.商業施設とテナント構成
*テナント情報
FUNDES蒲田は、地上10階建ての鉄骨造の建物で、飲食店、サービス店舗、クリニック、不動産業など様々な業態のテナントが入居しています。
例えば、1階にはファストフードの『マクドナルド』、2階にはカフェ『コメダ珈琲店』と『コメダ和喫茶おかげ庵』が出店し、地域の生活利便性向上に貢献しています。
3階にはダーツバー『Darts UP』、6階には『シーク歯科・矯正歯科』や『蒲田駅前内科泌尿器科皮膚科クリニック』などの医療施設がオープンし、住民の健康サポートも行っています。
また、7階には大手不動産仲介会社も入居しており、地域の不動産需要にも応えています。
さらに、8階から9階にかけては新たなテナントの入居が予定されており、今後の発展がますます期待されます。
3-1-2.防災設備とバリアフリー設計
*施設内のショップ
施設全体の設計には、最新の防災設備やバリアフリー設計が導入されており、すべての人が安全で快適に利用できる環境を提供しています。
施設内の共有スペースには、訪問者がリラックスできるラウンジエリアも設けられており、地域の交流の場として機能しています。
3-1-3.デザインの特徴
*施設内の内装
FUNDES蒲田の内外装デザインは、株式会社シーラカンスアンドアソシエイツ(CAt)が監修しています。
この設計事務所は、数々の著名な建築プロジェクトに携わっており、代表作には『渋谷ストリーム』や『ROPPONGI TERRACE』などがあります。
デザイン面では、商業施設としての機能性と都市景観への調和が図られており、近代的で洗練された空間が広がっています。
3-2.『蒲蒲線(新空港線)』の整備計画の概要
*引用:大田区(https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/koutsu/kamakamasen/shinkukosen-main.html)
続いて、『蒲蒲線(新空港線)』の事業(https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/koutsu/kamakamasen/shinkukosen-main.ht)について解説します。
これは、約800m離れているJR東急蒲田駅と京急蒲田駅を鉄道で結ぶ計画です。
この新線は、羽田空港へのアクセス強化を図るための重要なプロジェクトで、2030年代の開業を目指しています。
これにより、東急多摩川線を矢口渡付近から地下化し、京急蒲田駅まで延伸する一期整備が行われます。
さらに、二期整備では、京急蒲田駅から大鳥居駅の手前で京急空港線に接続する予定です。
この新線は、東京都と大田区が負担割合を調整し、東京都が事業費の3割、大田区が7割を負担することで合意しました。
また、第三セクターとして『羽田エアポートライン株式会社』が設立され、整備主体として事業を進めています。
3-2-1.期待される効果
*引用:大田区(https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/koutsu/kamakamasen/shinkukosen-main.html)
この新空港線の整備により、羽田空港へのアクセス向上が期待できます。
例えば、東急田園調布駅から羽田空港までの所要時間が30分と従来より20分短縮され、中目黒駅からは37分で従来より11分短縮される予定です。
また、蒲田エリアを訪れる利用者数は約5.7万人/日と予想されており、地域経済の活性化が期待されています。
3-2-2.課題と展望
*駅周辺の様子
一方で、新空港線の整備には、東急と京急の間での直通運転の検討や路線の収益性、さらには周辺市街地への影響を最小限にするための地下駅設置など、多くの課題もあります。
しかし、大田区をはじめとする関係者の努力により、事業化へ向けての具体的なステップが進められています。
このプロジェクトは、羽田空港へのアクセス改善だけでなく、東京圏の鉄道ネットワーク全体の利便性を高めることが期待されています。
4.人口や世帯数の比較
続いて、品川区と大田区が発表した人口に関する統計データを基に、各駅周辺の世帯数と人口の推移を考察していきます。
4-1.大井町駅の人口と世帯数の推移
*参照:品川区(https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kuseizyoho/kuseizyoho-siryo/kuseizyoho-siryo-toukei/hpg000014926.html)
まず、大井町駅周辺の人口と世帯数について見ていきます。
人口に関しては、2020年の27,017人から2021年には28,303人と大きく増加しています。
その後、2022年から2024年までは28,389人から28,327人と若干の減少が見られますが、おおむね安定していると言えます。
この変化は、新たな住宅開発や転入者の増加が2021年に急増したことを表しており、以降は安定した定住者の維持が続いていると考えられます。
一方、世帯数に関しても2020年の14,745世帯から、2024年には15,678世帯まで増加しています。
特に2021年には大幅に増え、その後も徐々に増加していることがわかります。
これにより、この地域への新規世帯の流入が続いており、住環境としての人気が安定していることが伺えます。
4-2.蒲田駅の人口と世帯数の推移
*参照:太田区(https://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/suuji/jinkou/setai_jinkou/index.html)
続いて、蒲田駅周辺の人口と世帯数を見ていきます。
まず、人口に関しては2020年の22,589人から、2021年には22,536人とわずかに減少しました。
その後、2022年には22,301人まで減少しましたが、2023年以降は再び増加に転じ、2024年には22,868人に達しています。
この動向から、一時的な減少があったものの、再び人口が増加に転じていることが確認できます。
地域における住宅開発や住環境の改善が、転入者の増加につながったと考えられます。
次に、世帯数については2020年の14,157世帯から2024年には15,069世帯まで増加しています。
特に2023年から2024年にかけて、顕著な増加が見られます。
このことから、地域における新規世帯の流入が進んでいることが伺えます。
5.駅徒歩圏の人口予測の比較
次に、各駅徒歩15分圏内の人口推計のデータを見てみます。
上記のグラフは『国土数値情報(H30国政局推計)/国土交通省』(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-mesh500h30.html)のデータを国際航業(株)が編集・加工した情報を元に作成されたグラフです。
5-1.大井町駅周辺の人口予測
まず、大井町駅周辺の人口は2025年に134,464人であり、その後も増加傾向が続いています。
2035年には141,358人、2045年には143,539人と、2050年に至るまで安定した増加が予測されています。
この増加傾向は、地域の商業施設の充実や交通アクセスの向上が、さらなる人口増加を促している可能性があります。
5-2.蒲田駅周辺の人口予測
一方、蒲田駅周辺の人口は2025年に125,926人であり、その後は横ばいから減少傾向にあります。
2030年から2035年にかけては125,906人から125,439人と微減し、2045年には123,290人、2050年には121,452人まで減少しています。
この傾向は、地域の住宅需要や人口流出の影響を受けている可能性があり、特に住環境の維持や地域の魅力向上が課題となっていることが考えられます。
6.駅徒歩圏の年収の比較
次に、各駅周辺の年収別世帯数のデータを見てみます。
上記のグラフは、大井町駅と蒲田駅の年収別世帯数の割合を比較したものです。
6-1.大井町駅周辺の年収分布
大井町駅周辺の年収分布を見ると、比較的高所得層が多いことが特徴的です。
特に、1000〜1500万円未満の年収層が10.3%を占め、1500万円以上の層も4.5%と、高い割合を示しています。
これにより、大井町駅周辺は蒲田駅と比べ、富裕層が多く住む地域であり、地域の住宅価格や生活環境がそれに対応していると考えられます。
一方で、低所得層である200万円未満の層は12.4%と割合は低めですが、それでも一定数存在しています。
6-2.蒲田駅周辺の年収分布
一方、蒲田駅周辺の年収分布は、大井町駅より単身者が多く、低〜中所得層が多いことが特徴です。
200万円未満の年収層が14.5%を占め、200〜300万円未満および300〜400万円未満の年収層もそれぞれ16.4%、14.2%と、大井町駅周辺を上回る割合を示しています。
これにより、蒲田駅周辺は比較的低所得層が多く住む地域であることがわかります。
また、高所得層である1000〜1500万円未満および1500万円以上の層の割合は、それぞれ7.9%、2.7%と低く、全体として中所得層が中心となっていることがわかります。
7.人数別世帯数の比較
次に、各駅周辺の世帯数のデータを見てみます。
上記のグラフは、大井町駅と蒲田駅周辺の世帯数を比較したものです。
7-1.大井町駅周辺の世帯数
大井町駅周辺の世帯構成を見ると、単身世帯の割合が53.3%と高く、一人暮らしの住民にとって居住しやすい環境が整っていることがわかります。
また、2人世帯と3人世帯の割合はそれぞれ22.2%、13.1%であり、少人数の家族にとっても住みやすい環境であることがわかります。
さらに、4人以上の世帯についても9.1%と、特に子育て世帯など広めの住居を必要とする家族のニーズにも応えられる環境であることがわかります。
7-2.蒲田駅周辺の世帯数
蒲田駅周辺では、単身世帯の割合が58.9%と非常に高く、一人暮らしの住民に特に人気のある地域であることがわかります。
手頃な家賃やアクセスの良さが、単身者を引きつけている要因だと考えられます。
また、2人世帯と3人世帯の割合はそれぞれ19.8%、11.4%であり、大井町駅周辺と比較すると低めですが、一定数の少人数の家族も住んでいます。
4人世帯以上の割合は7.6%と低く、主に単身者や少人数の世帯向けの地域であることがわかります。
8.乗降客数の推移とその比較
*参考:「国土数値情報(駅別乗降客数データ)」(国土交通省国土政策局https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-S12-v2_6.html)の数値を参考に作成
次に、上記の東京都交通局が発表している『各駅の乗車人員』のデータを基に、『JR大井町駅』と『JR蒲田』を利用する乗降客数の推移を比較していきます。
8-1.大井町駅の乗降客数の推移
2008年から2019年にかけて、全体として増加傾向にありました。
それでも、2020年には70,429人と大幅に減少しました。
これはコロナ禍による影響が大きく、在宅勤務の普及などにより駅の利用者が減少したことが要因と考えられます。
しかし、2022年以降は回復傾向にあり、2023年には84,189人まで回復しています。
8-2.蒲田駅の乗降客数の推移
一方、蒲田駅の乗降客数も2008年から2019年にかけて一貫して増加傾向にあり、2018年には146,337人に達しました。
この増加は、蒲田駅周辺の商業施設の充実や、交通利便性の向上が影響していると考えられます。
しかし、2020年以降は大井町駅と同様に、新型コロナウイルスの影響で乗降客数が減少し、2020年には103,465人まで減少しました。
その後、徐々に回復しており、2023年には121,107人となっています。
9.品川区の世代別人口推移
次に、品川区の世代別人口の推移を見てみます。
以下は、2014年、2019年、2024年における世代別人口の推移を男女別に分析したグラフです。
9-1.女性の人口推移
まず女性の人口推移を見ると、0歳から14歳の若年層は全体的に減少しており、2024年には0~4歳が11,631人、5~9歳が13,637人となっています。
出生率の低下が背景にあると考えられます。20代から30代の働き盛りの人口は多少の変動はありますが、比較的安定しています。
例えば、20~24歳の人口は2014年の17,532人から2019年に21,080人に増え、その後2024年には20,577人に減少しています。
この年代は流入出が比較的多く、特に都市部での就労を目的に若年層が集まる傾向が影響していると考えられます。
中年層では、50~54歳の人口が増加しており、2024年には29,461人と最も多くなっています。
この層は団塊ジュニア世代の影響を受けていると考えられ、経済の中心層と言えます。
高齢層は特に増加が顕著で、75歳以上の人口が増え続けています。
例えば、85~89歳は2014年の5,812人から2024年には10,759人に増加しています。
これは平均寿命の延びや医療の進歩を反映しており、高齢者福祉の充実が必要であることを示しています。
9-2.男性の人口推移
男性の人口推移も見てみると、若年層(0~14歳)は男女ともに減少傾向にあり、2024年には男性が0~4歳で12,253人、女性が11,631人といずれも出生率の低下を反映しています。
20代から30代の働き盛りの世代では、男女ともに2019年にかけて増加した後、2024年にはやや減少しています。
しかし、25~29歳では男性が25,133人、女性が23,319人と比較的多くなっています。
働き盛りの人口が安定している点は、地域の経済活動において重要です。
40代から50代の中年層においては、特に50~54歳の増加が目立ち、2024年には男性が31,807人、女性が29,461人となっています。
高齢層(75歳以上)は男女ともに増加傾向にありますが、特に85~89歳で女性は10,759人、男性は6,096人と女性の方が多くなっています。
これは平均寿命の差を反映しており、女性高齢者向けの福祉の充実が必要であることを示唆しています。
全体として、品川区では少子高齢化が進行しており、男女ともに若年層の減少と高齢層の増加が見られます。
それでも、中年層の男性人口が特に増えている点が男女間の違いとして挙げられます。
10.大田区の世代別人口推移
次に、大田区の世代別人口の推移を見てみます。
以下は、2014年、2019年、2024年における世代別人口の推移を男女別に分析したグラフです。
10-1.女性の人口推移
女性の年代別人口推移を見ると、0歳から14歳の若年層は全体的に減少傾向にあります。
2024年には0~4歳が11,337人、5~9歳が12,640人と、いずれも2014年と比べて減少しています。
これは少子化の影響を反映していると考えられ、今後の人口動態における課題といえます。
20代から30代の人口については増加傾向にあります。
特に25~29歳の人口は2014年には25,621人でしたが、2024年には31,112人と大幅に増加しています。
この増加は、大田区が働き盛り世代にとって魅力的な地域であることを示しており、若年層の流入が続いていることがうかがえます。
高齢層については、特に75歳以上の人口が増加しています。
80~84歳は2014年には13,548人でしたが、2024年には16,257人に増加しています。
また、95~99歳の人口も顕著に増加しており、2024年には2,153人となっています
少子高齢化が進んでいる中で、若年層の減少と中年層の増加、高齢層の急速な増加が見られます。
特に20代から30代の若年層が増加していることは地域の活力につながりますが、それと並行して高齢者福祉の充実が必要です。
10-2.男性の人口推移
男性の年代別人口推移を見ると、0歳から14歳の若年層は減少傾向にあり、2024年には0~4歳が12,027人、5~9歳が13,381人となっています。
これは少子化の影響を反映しており、女性の若年層と同様の動向です。
一方で、20代から30代の男性は増加しており、特に25~29歳の人口は2014年の27,813人から2024年には31,430人と大幅に増加しています。
これは同じく女性の増加と一致しており、若年層が大田区に流入し続けていることを示しています。
40代から50代の中年層では、特に50~54歳が増加しており、2024年には31,301人に達しています。
また、高齢層(75歳以上)についても増加が顕著です。
80~84歳の人口は2014年の8,251人から2024年には11,625人に増えています。
ただし、女性高齢層の増加が男性よりも目立つ点が見られます。
例えば、85~89歳の女性人口は11,486人であるのに対し、男性は6,182人に留まっています。
これは女性の平均寿命が男性よりも長いことを反映しており、高齢者福祉の分野で男女に異なる対応が求められます。
11.各駅の治安は?
*参照:警視庁(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/index.html)
上記のグラフは、大井町駅周辺を管轄する大井署と、蒲田駅周辺を管轄する蒲田署が発表した、過去5年間における刑法犯の推移です。
このデータから、各駅周辺の治安について考察していきます。
11-1.大井町駅周辺の刑法犯の推移
まず、大井町駅周辺の犯罪件数は2019年には623件と比較的少ない水準にありました。
その後、2020年には499件、2021年には460件と減少しましたが、2022年には570件、2023年には578件と再び増加しています。
この増加は、コロナ渦終息後に地域の商業活動の回復や、人々の外出機会が増えたことが影響していると考えられます。
11-2.蒲田駅周辺の刑法犯の推移
一方、蒲田駅周辺の犯罪件数は2019年に2,289件と非常に高い水準にありました。
その後、コロナの影響もあり2020年には1,765件、2021年には1,463件と減少傾向にありました。
しかし、こちらも大井町駅と同様に、2022年から2023年にかけて再び増加に転じ、2023年には1,865件となっています。
12.地盤の安心比較
ここからは不動産を購入するうえで欠かせない、地盤、災害の影響について、それぞれのデータを比較していきます。
12-1.大井町駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度
*参照:東京都【地域別危険度】|地震情報サイトJIS(https://j-jis.com/data/tokyo/area/%E7%9B%AE%E9%BB%92%E5%8C%BA)
上記のグラフは、災害時に建物が倒壊したり、火災が発生したりする危険度に関して、その順位を各エリアごとに比較したデータです。
数値は順位を示しており、数字が低いほど危険性が高いことを意味します。
まず、大井1丁目と6丁目は、火災および建物倒壊の両方において低い危険度を示しており、安心して暮らせるエリアです。
大井1丁目は火災危険度が3,249位、倒壊危険度も1,438位と比較的低く、6丁目も同様にリスクが低いというデータが出ています。
これらの地域は比較的安全であり、家族での居住や長期的な資産形成に適したエリアだと言えます。
*大井2丁目の航空写真
一方で、大井2丁目は火災および倒壊の両方で危険度が高い地域です。
火災危険度は124位、倒壊危険度も低く、リスクが高まっているため、このエリアでの生活を検討する場合は、地域の防災体制や避難経路の確認を行うことをお勧めします。
12-2.蒲田駅周辺の建物倒壊危険度と火災危険度
一方の蒲田駅周辺は、蒲田5丁目が火災および建物倒壊の両方において最も低い危険度を示しており、安心して暮らせるエリアです。
火災危険度は3,295位、倒壊危険度も1,429位と非常にリスクが低いことがわかります。
これにより、蒲田5丁目は特にリスク管理が大きく必要とされない地域であり、家族や長期的な居住を検討する方にとって安全で魅力的な選択肢と言えます。
*蒲田1丁目の航空写真
一方で、蒲田1丁目は火災および倒壊の両方でリスクが高い地域です。
火災危険度は722位、倒壊危険度も61位と、比較的高い順位に位置しており、リスクが高い状況にあります。
このため、蒲田1丁目での居住を検討する場合は、防災対策が強化されている物件を選ぶことが重要です。
13.賃料の推移とその比較
続いて、ライフルホームズが発表している賃貸マンションに関するデータを基に、直近5年間の『大井町駅』と『蒲田駅』に関する賃料の推移を比較していきます。
13-1.大井町駅周辺の賃料推移
*引用:ライフルホームズ(https://lifullhomes-index.jp/info/areas/tokyo-pref/00603-st/rent/mansion/)
大井町駅周辺の、賃貸マンションの賃料推移を分析すると、2011年から2024年にかけて顕著な上昇傾向が見られます。
この期間中、大井町駅の賃料は約21万円から26万円近くまで上昇しており、安定した需要の増加が伺えます。
この上昇は、地域の利便性の向上や生活環境の改善に加え、人気エリアとしての価値がさらに高まったことが要因と考えられます。
また、東京都全体の賃料推移と比較しても、大井町駅周辺の賃料はより急速に上昇していることが特徴的です。
13-2.蒲田駅周辺の賃料推移
*参照:ライフルホームズ(https://lifullhomes-index.jp/info/areas/tokyo-pref/00605-st/rent/mansion/)
一方、蒲田駅周辺も2011年から2024年にかけて賃料は全体的に上昇しています。
2011年には約20万円であった賃料が、2024年には約23.5万円に達しており、堅実な上昇傾向が見られます。
この上昇は、前述した駅周辺の再開発や利便性の向上が影響していると考えられます。
また、東京都全体の賃料推移と比較しても、賃料は安定して上昇しています。
特に、直近の数年間で東京都平均と同等か、それを上回る水準に達していることがわかります。
14.マンション価格の推移と比較
*参考:東京カンテイ(https://www.kantei.ne.jp/report/wayside_station/568)
上記のグラフは、東京カンテイが発表している、駅別中古マンション価格に関するデータを基に、直近5年間の大井町駅と蒲田駅に関する、マンション価格の推移をまとめたグラフです。
データから各駅の価格推移について、考察していきます。
14-1.大井町駅周辺の中古マンション価格推移
まず、大井町駅周辺の中古マンション価格は、2020年から2024年にかけて安定的に上昇しています。
2020年には1坪あたり303万円であった価格が、2024年には393万円にまで上昇しており、堅実な価格上昇が確認できます。
この価格上昇は、大井町駅の高い利便性や人気の高さに支えられたものであり、資産価値の維持・向上が期待できるエリアと言えます。
14-2.蒲田駅周辺の中古マンション価格推移
一方、蒲田駅周辺の中古マンション価格も上昇傾向にありますが、その上昇幅は大井町駅と比較するとやや緩やかです。
2020年には224万円であった価格が、2024年には281万円に上昇しており、地域の利便性向上や再開発の進展が価格を押し上げていると考えられます。
15.マンション専業各社のファミリー物件の単価比較
このように堅調に推移している大井町駅と蒲田駅の住宅価格ですが、更にいくつかのマンションサイトを参考に、一般的なファミリー向けマンションの価格を調べてみました。
一旦、ざっくり知るために築年数や最寄り駅までの距離は考慮外としています。
まず、大手仲介サイトであるホームズ(https://www.homes.co.jp/mansion/chuko/price/)では、直近3カ月間に募集を開始された物件を基に平均価格を出しており、70㎡前後の中古マンションの平均価格は、大井町駅が6,359万円(300万円/坪)、蒲田駅が5,102万円(241万円/坪)でした。
次に、新築マンションの相場に強い住まいサーフィン(https://www.sumai-surfin.com/price/stations-areas/line/)では、大井町駅が平均価格12、430万円(587万円/坪)、蒲田駅が平均価格8,320万円(393
万円/坪)でした。
他にも、国土交通省の売買データを基に価格や相場を教えてくれるウチノカチ(https://utinokati.com/)では、大井町駅が平均価格8,314万円(393万円/坪)蒲田駅が平均価格6,163万円(291万円/坪)でした。
最後に、AIを使った評価で業界を引っ張っているソニー不動産(https://sre-realestate.com/kai/mansion/)では、大井町駅が平均価格7,524万円(355万円/坪)、蒲田駅が平均価格4,370万円(206万円/坪)でした。
ちなみに、どの相場も2024年10月時点の数字です。
上記を参考に、住まいサーフィンの新築価格とその他3つのサイトの平均価格(大井町駅7,399万円、蒲田駅5,211万円)を単純に比較すると、中古マンションと新築では大井町駅が約68%、蒲田駅が約59%もの乖離がありました。
将来の家族構成や職場の変化など、万が一のマンション再販を踏まえ、個人的にねらい目だと思う、築10年程度の中古マンションを賢く購入する方が、万が一のことを考えて安心だと思います。
16.住宅街や商業地の地価の推移とその比較
次に、各駅周辺の地価を確認していきます。
16-1.商業地の地価推移
*参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査(https://Www.Land.Mlit.Go.Jp/Landprice/Ariaservlet?Mod=2&Typ=0)
上記のグラフは、商業地域に区分されている『品川区5-2(大井町駅)』と『大田区5-13(蒲田駅)』のデータを基に、2013年から2024年までの価格を表したものです。
*品川区5-2(大井町駅)は2015~2019年のデータがありませんでした。
16-1-1.大井町駅周辺の商業地
*商業地(品川区5-2)の様子
大井町駅周辺の商業地価格は、2020年から2024年にかけて着実に上昇しています。
2020年には1平方メートルあたり約100万円であった価格が、2024年には約111万円まで上昇しており、約11%の上昇率を記録しています。
これは、地域の商業価値の向上を示しており、再開発や利便性の向上が価格上昇の主な要因と考えられます。
16-1-2.蒲田駅周辺の商業地
*商業地(大田区5-13)の様子
一方、蒲田駅周辺の商業地価格も2015年から2024年にかけて、安定的に上昇しています。
2015年に1平方メートルあたり約68万円であった価格が、2024年には約94万円に上昇しており、全体で約38%の上昇率を記録しています。
この上昇率は大井町駅を上回っており、蒲田駅周辺も再開発の進行によって商業地としての価値が着実に向上していることがわかります。
16-2.住宅地の地価推移
*参考:国土交通省地価公示・都道府県地価調査(https://Www.Land.Mlit.Go.Jp/Landprice/Ariaservlet?Mod=2&Typ=0)
続いて、住宅地に区分されている『品川区-11(大井町駅)』と『大田区-6(蒲田駅)』のデータを見ていきます。
16-2-1.大井町駅周辺の住宅地
*住宅地(品川区11)の様子
まず、大井町駅周辺の住宅地価格は、2015年から2024年にかけて堅実に上昇しています。
2015年には1平方メートルあたり約53万円であった価格が、2024年には約78万円に上昇しており、全体で約47%の上昇率を記録しています。
この上昇も商業地と同様に、地域の利便性の向上や生活環境の改善、商業施設の充実が要因と考えられます。
16-2-2.蒲田駅周辺の住宅地
*住宅地(大田区6)の様子
一方、蒲田駅周辺の住宅地価格も上昇傾向にあります。
2015年には1平方メートルあたり約41万円であった価格が、2024年には約54万円に上昇しており、約32%の上昇率を示しています。
蒲田駅周辺も、徐々に住宅地としての価値が高まっているものの、大井町駅と比較すると上昇ペースは緩やかです。
17.大井町と蒲田の再開発と将来性の総括
今回は、共に再開発が進み、今後さらに注目度が高まると予測される大井町駅と蒲田駅を比較しました。
17-1.大井町駅と蒲田駅の現状
*東小路
大井町駅と蒲田駅は、それぞれ異なる特長を持ちながらも、東京都内の再開発により都市機能の向上が進んでいます。
大井町駅は、商業と下町の魅力を融合させた街づくりが進行し、高い生活利便性を誇るエリアへと発展しています。
*駅周辺のマンション
一方、蒲田駅は優れた交通アクセスに加え、地域に根ざした商業施設や観光資源を活用することで、地域経済の活性化に大きく貢献しています。
両駅では再開発が進む中で住宅需要が高まり、賃料やマンション価格の上昇が確認されており、不動産市場においても注目すべきエリアとなっています。
17-2.今後の展望
*大井町トラックスの開発現場
今後の展望として、大井町駅では大井町トラックスの完成により、さらに商業施設やインフラが充実し、地域全体の魅力が向上することが期待されます。
*TOKYU PLAZA
蒲田駅では、新空港線の整備により、羽田空港へのアクセスが向上し、さらなる交通の要所としての地位が強化されます。
これにより、蒲田駅周辺の商業地価の上昇や観光客の増加も期待されます。
17-3.結論
ここまで解説してきたように、都市の再開発が進行する中で、大井町駅と蒲田駅はそれぞれの特性を活かしながら、新たな発展のステージに向かっています。
これからも両駅周辺の変化を注視し、適切なタイミングでの不動産購入や生活環境の選定を行うことが、資産価値の維持・向上につながると考えられます。
本記事を参考に、ご自身のライフスタイルに合った最適な選択を行ってみてください。
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