こんにちは、部屋探しの不安ゼロを目指す、株式会社リビングインのファイナンシャルプランナー兼宅地建物取引士の馬場です。
突然ですが、非公開の部屋って聞いたことありますか?
言葉だけ聞くと「え?なにソレ、怪しい部屋?いわくつきの部屋?なんで非公開??」と思ってしまいそうですが、実際「非公開物件もご紹介しています!」といった宣伝文句で頑張っている不動産屋や未公開物件多数!というのぼりを掲げている不動産屋もあります。
- 何が非公開?未公開?
- そもそもなんで公開しないの?
- その部屋って大丈夫なの?
そんな疑問が渦巻きますが、例えば「お客さんにだけ特別に非公開物件をご紹介しましょう」などと言われたら、何かものすごーくお得な気がしてきますよね。秘密の裏メニュー的なかんじで、何か掘り出し物的な物件が出てくるんじゃないか・・・と思う反面、逆に訳あり物件なのかな、何か大家さんがめちゃくちゃ個性的な人とかかなと不安にもなります。今回は、そんな非公開物件(未公開物件)の「なぜ?」を解説していきます。
ちょっと前に、漫画「正直不動産10巻」にも未公開物件について、書かれていました。結果的に、全く問題のない未公開物件はごく少数だと思います。なぜなら、売主や貸主はなるべく多くの人に見てもらい、早く、高く、物件を売りたい、貸したいからです。結果的に、情報を限られた人にのみ、開示する意味がありません。
一方、未公開物件?と聞くと、特別扱いされ、いい気分になってしまい、申し込みを入れてしまうかもしれません。ここでは、自分と合わない未公開物件に申込、後悔やトラブルに遭わないためにこれまでの経験と口コミを参考にこの辺りを深堀していきます。未公開、非公開、あなただけ、弊社だけ、当社だけと唄って、比較しづらい状況に持ち込まれ、将来的に損しないようにしてください。例えば、最近流行っているオンリーワンのリノベーション物件も相場観が分かりづらいので要注意です。見た目がよく、希少性が高いので好きな人は多そうですが・・・。
1.非公開物件ってそもそも何?
非公開物件とは、ここでは「ポータルサイトに掲載されていない物件」を指します。賃貸物件やマンションを探す時、どのような方法で探しますか?多くの人が「インターネット検索」を使います。「エリア名 賃貸」などで検索して、物件を探しますが、この時、大体インターネット検索エンジンの上位に表示されるのは、ポータルサイト、という、いわゆる不動産のまとめサイトのようなものです。
スーモやアットホーム、ホームズなどが、この「ポータルサイト」に当たります。スーモって不動産屋さんではないんですよ。ご存じでした?沢山の不動産屋さんがスーモなどのポータルサイトに物件を掲載して、それを見た人が問い合わせをして物件を掲載した不動産屋と繋がる、という仕組みになっています。
簡単に言えば、ポータルサイトはマッチングサイトのようなものですよね。
このポータルサイトに載っていない物件のことを「非公開物件(未公開物件)」と一般的には読んでいます。だから、不動産屋の店頭では「非公開物件多数!」などと宣伝して、ポータルサイトで見つけられなかったお部屋がいっぱいあるよ!とPRしている、というわけなんです。
1-1.非公開物件と未公開物件の違いは?
非公開物件とか、未公開物件とか、色々言われますが、この違いはあるのでしょうか?日本語の問題になってしまうので、厳密には
「非」=公開しない
「未」=”まだ”公開しない
という違いがあり、非公開物件は基本的に公開する予定が無い物件を指し、未公開物件は何らかの事情により「まだ」公開されていない物件を指します。ただ、これはあくまでも超厳密に違いを指摘したものであり、実際のところ、非公開物件も未公開物件も、同じものとして考えてOKです。ここでは、分かりやすくするために「未公開物件」という表記で統一していきますね。
1-2.不動産屋がアクセスできる「レインズ」にも掲載されない物件がある
不動産ポータルサイトと言えば、スーモ、ホームズ、アットホームなどですが、「レインズ」というものがあります。聞いたこと、ありますか?「レインズ」とは「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の略(REINS)で、不動産業界全体が連携して物件の取引仲介ができるように構築されているシステムのことです。
不動産同士が連携しているので、例えば、A社という不動産屋で物件探しをする際に、数ある物件の中から条件や理想に合う部屋をピックアップするために、レインズで物件をリサーチすると、他の不動産屋の物件も見ることができます。
レインズに登録されている物件であれば、あらゆる不動産が確認できるので、B社が扱っている不動産をA社が紹介する、ということもできるんです。
ただ、もちろん、マージンなどはB社に入ることになります。この辺のお金の流れは複雑なので置いておきますが、要はみんなで協力して物件をさばいていこう!という体制が整っているということですね。ただ、みんなが使っているレインズにも登録されない物件というものがあります。それも未公開物件です。
なぜ登録しないのかというと、次で詳しく解説はするのですが、レインズに登録することによって、その物件をお客様に紹介することで他社がお客様から報酬を頂く事になってしまうからです。その為、買主や借主についても自社で見つける事で売手や貸主の両方から報酬をもらえるように未公開で直接のお客様を探します。売り上げや手柄を自社やその担当者だけで獲得したいという不動産はレインズにも登録せずに、自社内で物件の扱いを完結させることがあります。特に条件がいい物件や募集を開始したばかりの物件に関してはこうして未公開物件が生まれるというわけです。
売買の場合、一般媒介で売主と契約しておけば、レインズに載せる必要はなく、賃貸の場合はそもそもそのような縛りはありません。結果的に、管理会社が直接お客様を見つけるべく、レインズに載せずに直接スーモやホームズ等のポータルサイトに掲載する場合もあります。所有者や貸主的には早く買主やテナントを見つけたいので一般公開してもらった方が助かるのですが・・・。
2.なぜ未公開にするのか
それでは、具体的になぜ未公開にするのか、という理由を見ていきます。極端に良い物件、訳あり物件、時期の問題、大家さんの希望など、様々な背景があります。これまでの経験では売主や貸主・大家さんの事情によるところが大きいのが一般的です。
2-1.建築がそもそも完成していない
まず、建築が完成していない場合です。工事中で完成せず、しかしなるべく早くに住居人を募集したい、大型マンションなどでは、よく完成前から売り出しや賃貸の申し込みなどを開始しますが、そのパターンですね。また、改修中や改修前の状態が酷く、見せても参考にならない場合には後悔していないケースもあります。
情報がまだ少なく、写真もテキストも用意できないため、ポータルサイトには掲載できず、非公開(ここでは「未公開」の方がしっくりきますね)物件として扱われます。
2-2.退去直後で公開の準備が整っていない
前の住人が退去した直後に賃借人を探す場合も、一時的に未公開となることがあります。まだ原状回復や改修ができておらず、良い写真が撮れていない状況だとポータルサイトには載せられないため、準備が整ってから掲載することになりますが、入居したいという人とうまい具合にマッチングすれば、非公開の状態で次が決まるということもあります。建物自体がまだ完成していない状態と似た理由でここでも未公開になるケースがあります。
2-3.大家さんが特定の人にしか貸したくない
大家さんの拘りによって、特定の人にしか貸したくないという場合も、一般公開はせずに非公開にすることがよくあります。女性限定、男性限定ぐらいなら条件そのものも公開しても良いのですが、「外国人お断り」であったり「年齢は20~40代」であったり、他にも特定の人にしか貸したくないという方は誰でも興味を持てるような状態にせずに、条件をクリアした人にしか紹介されないよう、予め未公開として手を打っています。
特に「外国人お断り」などは、堂々と掲載してしまうと問題になりますが、実際問題、外国人の方に賃貸物件を貸したところトラブルになってしまい、それ以降外国人の方には貸したくない、という大家さんもいる、そんな現実があります。もちろん、外国人に限ったことではなく、このように過去の賃借人と何らかのトラブルがあった場合には、同じような人には貸したくない、と思う大家さんが多いようです。
2-4.大家さんが「不動産屋が見立てた人」にしか貸したくない
ひとつ上の理由と似ていますが、こちらはどちらかというと「不動産屋が『この人ならば大丈夫』と見立てた人」にしか貸したくない、というケースです。特定の条件を提示しているわけではなく、「柔和な人が良い」とか「素直でおとなしい人が良い」とか、そういったフワッとした条件で不動産屋の担当者に「この人ならって人を紹介してくれ」と頼むことがあります。誰でも借りられるような公開の仕方はせずに敢えて未公開にしておいて、しっかりと紹介してもらった人にだけ貸すという方針の大家さんですね。
2-5.大家さんが物件を貸し出しているのを知られたくない
何らかの事情で大家さんがそもそも自分が物件を貸し出していることを知られたくない、ということもあります。この場合も、大々的にポータルサイトなどで公開せず、非公開物件として個人的に賃借人を紹介してもらい、貸し出すという流れを取ることになります。
2-6.広告費用をかける必要が無い良好物件であるため
この広告費用をかける必要が無い良好物件である、という理由が、前述した不動産屋が全ての利益を自社のものにしたい、という理由に相当します。建物として非常に良い物件、立地がものすごく良い物件、お値段が非常にお安くお得な物件など、放っておいても「借りたい!!」という人が殺到するような物件は広告費を使って宣伝する必要は全くありません。
自社だけですぐにお客さんを見つけることができます。そのため、わざわざポータルサイトには掲載せず、レインズなどにも載せずに自社のみで扱うという判断をします。このタイプの非公開物件を紹介してもらえたらめちゃくちゃラッキーですが自分の求める条件ときちんとマッチしているかどうかはしっかり確認してください。
ポータルサイトは無料掲載可能なものもありますが、成約時に費用を請求されるものがあったりと、一般的に自信のある物件に関しては掲載箇所を絞る傾向にあります。
2-7.特殊な物件で普通に掲載する意味があまりない
「特殊な物件」というと色々ありますが、何も事故物件だけを指すわけではありません。間取りがものすごく変、とか、風呂トイレがついておらず家賃もものすごく安いものの、これに広告費をかけてもお客さんは集まらなそうな物件とか、色々あります。
このような「掲載してもお客さんは食いつかないだろうな…」という物件は広告費をかけずに未公開として、マッチしそうなお客さんが来た時にだけ紹介するという形を取ります。そのような特殊なものだけを集めたサイトに掲載しているケースもあります。
2-8.稀に事故物件も未公開物件として紹介される
事故物件も未公開物件となっていることがあります。事故物件の定義や告知義務に関してはかなり曖昧なものなので、事故物件であっても告知義務の無いような物件が普通にポータルサイトに掲載されていることはよくあります。
しかし、まだ告知しなければならないような物件は一旦ポータルサイトからは外して未公開として、例えば「どんな物件でも良いから、格安で住みたい」というお客さんや、稀にいる「事故物件は無いですか?」というお客さんに紹介します。
事故物件をポータルサイトに載せてしまうと、問い合わせがあった時にいちいち告知をしなければならなかったりして面倒な部分もあるので、告知義務があるうちは非公開にすることが多いです。
3.未公開物件を紹介してもらう方法
未公開物件は未公開なので自分で探しても一般的には見つかりません。そうすると不動産屋から直接紹介してもらうしかないのですが、いきなり「未公開物件ってありますか?」などと聞いてしまっても良いものなのでしょうか。これまで使ってきた未公開物件を紹介してもらう方法をまとめました。
3-1.未公開物件は直接教えてもらうしかない
未公開物件は自分では探せないので、不動産屋から直接教えてもらう以外に方法はありません。「未公開物件や未公開物件も多数取り扱っております」などの宣伝文句を店内で掲げているような不動産屋であれば、遠慮なくどんどん聞いてしまって良いと思いますが、なかなか勇気が出ませんよね。そんな時に役立つ一言をご紹介します。
3-2.「この物件に似ている物件でネットに無いものってありますか?」
まず、ポータルサイトなどで検索し、理想や条件に近い部屋をいくつかピックアップし、それを見せて「この物件に似ている物件で、ネットに無いものってありますか?」と聞いてみてください。
未公開物件を紹介してもらうにも、どのような部屋が希望なのか見当がつかなければ紹介のしようがないため、「こんな部屋、他に無いですかね」という聞き方をした方が、不動産屋としても具体的に物件を探して紹介しやすいです。
3-3.「未公開や未公開の物件ってあるんですか?」
このセリフは非常に直球ですが、いきなりこう聞いてしまっても、失礼ではありません。ただ、条件や理想の部屋のイメージが無いと、結局どんな部屋を紹介したら良いか分からずスタッフさんを困らせてしまうので、できれば「こんな部屋が良いです」という希望は前もって伝えるのが良いです。
3-4.「この中にはちょっとピッタリくる部屋がないんですよね・・・」
不動産屋に物件を紹介してもらっている中で、このセリフを呟くと「実は未公開物件なんですけど・・・」といって、掘り出し物(あるいはちょっと訳あり…)物件を紹介してくれるかもしれません。先ほどの「どんな部屋でも構わないから格安な部屋、ありませんか?」などと尋ねてみると「事故物件なんですけど…」といって未公開の事故物件(格安)を紹介してくれたりするわけです。
もちろん、事故物件はNGでも、間取りがすごく変わっている部屋や風呂トイレ無しという部屋などを紹介してくれることもあります。
3-5.戸建てならば、未公開物件ネットでも検索できる
「未公開物件」といった言葉で検索してみると、未公開物件ネットというサイトが見つかりますが、ここでは戸建てや土地の未公開案件の紹介を見ることができます。ただ、賃貸マンションは掲載されていないので、賃貸を探している場合は、不動産屋で直接聞いてみるしかなさそうですね。
4.未公開物件は本当に掘り出し物?
未公開物件には様々な理由や背景があることが分かったところで、全ての物件が「最高の掘り出し物」というわけではないことに気付いたはずです。
中には特殊な物件があったり、大家さんの事情によるものだったり、決して良い物件ばかりが未公開として扱われているわけではないですし、稀に事故物件なども含まれています。
4-1.未公開の理由を必ず確認すべし
未公開物件を検討する時には、必ずなぜ未公開なのか、その理由を確認してください。理由を濁されたり、担当さんの目が泳いだら、もしかしたら危険信号かもしれません。大体そんなことはなく、きちんと理由を説明してくれるはずです。
その理由を聞いて、納得できれば未公開物件の検討を進めてOKです。理由によっては「だったら良いや…」と思ってしまうものもあるかもしれないので、要チェックです。
4-2.自分の希望や理想通りの部屋なのかしっかりチェックすべし
未公開理由が納得できるもので、不動産屋が言うにはすごく良い物件で「今がチャンス!」と言われたとしても、「未公開だし、これも何かの運命かも…」と早とちりして焦って契約するのは危険です。
良い物件の基準は人それぞれです。自分にとって良い物件なのか、自分の理想や条件は満たしているのか、この部分を見落としてしまうと、後悔する原因となります。
どんなにお得な掘り出し物物件だったとしても、自分の希望を満たしているのかどうか、しっかり確認してください。
4-3.未公開物件=掘り出し物=優良物件とは限らない
前述の通り、未公開物件だから掘り出し物で、ゆえに優良物件だとは限りません。色々な背景や事情を抱えた物件が未公開となっています。もちろん、不動産屋が利益を丸儲けしたいと思うくらい素晴らしい物件も紛れているため、「当たり」を引く可能性は結構高いです。
ただ、盲目的に「未公開物件を紹介してもらった!」という特別感だけで契約を決めることなく、冷静に判断するのが良いと思います。ポイントは公開でも未公開でもキチンと自分で判断できることが本当に大切だと思います。
5.自分で聞き出さないと未公開物件とは出会えないためまずは行動を
未公開物件はネット検索では決して出会うことのできない物件です。そのため、未公開物件について興味がある人、あるいはポータルサイトで賃貸を探してもなかなかピッタリはまる部屋が見つからずに悩んでいる人は、まずは不動産屋を訪れて未公開物件の有無を尋ねてみてください。
直接訪問するのはちょっと…という人は、チャット機能を使って問い合わせるのもおすすめです。自分で行動すれば、素敵な部屋との出会いが待っているかもしれません。是非一歩踏みだしてみてください。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。あなたの大切な人生と平穏が守られますようにこれからも私たちは引っ越しのトラブル・失敗談をベースに賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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