不動産売却時に贈与税がかかるケースとは?軽減する方法について解説

不動産の売却を検討されている方へ、

こんにちは、住まいのお悩み無料相談、アリネットで住まいのお悩み相談を受けている不動産鑑定士補兼相続アドバイザーの相楽です。

作業中の相楽

自宅の売却で課税されるのは、譲渡所得に対する所得税ですね。

ところが、贈与とは無償であげることなのに、売却を行ったことで贈与税が課税されるケースがあります。

そこで今回は、不動産売却時に贈与税がかかるケースや、税負担を軽減する方法について解説します。

1.不動産売却時の贈与税とは?

営業マン

まず、贈与税はどのような税金なのかを解説します。

1-1.贈与税とは?

贈与とは、金銭的な価値のある財産を無償で第三者に譲り渡す行為のことで、第三者は親子などの親族も含まれます。

贈与税とは、贈与を受けた側が、贈与した財産の価値に応じて収める税金です。

1-1-1.相続税の制度

相続税には大きく分けて、暦年課税と相続時精算課税の2つの制度があり、どちらかを選択することになっています。

暦年課税:毎年110万円の基礎控除枠があり、年間の贈与額が110万円を超えると、その資産価値に応じて課税。

相続時精算課税:選択した以降は2,500万円までいったん非課税で相続財産に合算し、2,500万円を超えた分について20%の課税。

暦年課税は、100万円の基礎控除の課税標準額によって税率と控除額が異なり、1,000万以下の例では税率40%、控除額125万円です。

例えば、1,000万円の贈与を受けたケースでは、1,000万円-110万円×40%-125万円で、贈与税の金額は231万円となります。

相続時精算課税は、生前にまとまった額の贈与をしたい場合や、価値が上がる前の価格で税額を確定したい場合に選択します。

1-1-2.注意点

財産を売買する場合でも、実際よりも低い金額で行った場合、脱税とみなされて贈与税が課税される場合がある点には、注意が必要です。

親子、夫婦、法人と経営者などのほか、完全な他人同士でも譲渡所得への課税を逃れる目的で低額の売買を行うと、贈与税がかかってしまうことがあります。

1-2.離婚と贈与税

離婚に伴う自宅の売却の場合に、贈与税が課税される場合があります。

離婚による財産分与での売却の場合、贈与税も譲渡所得税も課税されないのが基本です。

しかし、以下のような場合は贈与税がかかる可能性が出てきます。

  • 分与された自宅の資産価値が、婚姻期間中の夫婦の協力で得た金額、その他の事情を考慮して、多すぎると判断される場合。
  • 贈与税や相続税を免れるための偽装離婚であると疑われた場合。

多すぎるという判断の場合は、過剰な部分に対して、偽装離婚の疑いがある場合は財産分与対象のすべての金額に対して贈与税が課されることになります。

1-3.相続と贈与税

贈与税と最も関係が深いのが、相続税といえます。

贈与税と相続税では、同じ資産について支払って少ない金額で済むのは、原則として相続税の方です。

その理由は、相続税の方が税率が低いからです。しかし、例外のケースもあります。

後述する贈与税の控除枠内で贈与していく方法もあることと、相続税の基礎控除枠をどのくらい超えているかによっても、贈与税の対象で財産を授受した方が良いケースがあります。

また、前述のように価値の上がる可能性が高い不動産、株、投資信託などは、贈与を早く行って、現在の価値で贈与税を払った方が良いという判断をする場合もあります。

2.不動産売却時に贈与税がかかるケースとは?

書類を確認する男性

これらの他にも、売却で贈与税のかかるケースを見てみましょう。

2-1.親族間の取引

親子や兄弟など、親族の間で不動産を売買する際に、贈与税が発生することがあります。

離婚の際も触れましたが、実際の価値よりも安く取引をした際の課税がこれにあたります。

例えば、1,000万円の価値がある物件を、100万円で親族間売買をした場合、実際の相場との差額である900万円に対しても、贈与税が課税されることになります。

これが相場どおりの1,000万円の取引であった場合は、贈与税はかかりません。

税務署は、親族間の売買については特にチェックが厳しくなります。

対応については、多数のケースをノウハウとして持つ弊社へのご相談をお待ちしています。

2-2.法人に関係する取引

次に、関連会社間の取引や、法人とその代表者の間での取引について説明します。

これらのケースもやはり、利害の一致した間柄の売買となります。そのため、売買価格と適正な相場との間の差額に関して、贈与税課税の可能性があります。

親族間売買同様に、税務署のチェックが厳しくなりますので、要注意です。

2-3.低額譲渡の問題に注意

これまでの解説の通り、実際の相場よりも低額の『低額譲渡』は、問題にされることが多いです。

税務署は、不動産を売買したことや、その金額を登記簿謄本や確定申告で把握し、低額譲渡として問題のありそうなケースについては指摘がされます。

確定申告自体が行われていなかった場合では、税務調査が入ることもあります。

そのため、販売価格の決定は慎重に行いましょう。

3.不動産売却時の贈与税など、税金を軽減する方法は?

請求書を確認する様子

売却にかかる贈与税が発生しそうな場合に、税額を軽減する方法を紹介します。

3-1.毎年110万円ずつの贈与

暦年課税の控除枠に、毎年110万円以内の金額を毎年贈与していくことで、基礎控除枠内に収める方法です。

例えば、1,000万円の土地を10年かけて現金で贈与し、10年後に売買契約を結んで権利移動を行い、贈与税を軽減します。

3-1-1.注意点

この方法で注意が必要なのは、毎年定額を贈与していると税務署から『定額贈与』とみなされる可能性があることです。

定額贈与では、毎年定額、合計いくらの贈与をする旨の契約書を作成し、予定された合計額に対して贈与税が課されていきます。

3-1-2.定額贈与とみなされないようにする方法

このようにならないために、毎年ごとに贈与契約書を作成する、毎回の贈与額や金額を都度変えるなどの対応が必要です。

3-2.贈与税の配偶者特例

贈与税の配偶者特例は、婚姻期間が20年以上の妻にマイホームやマイホーム購入資金を贈与する場合、2,000万円まで非課税にできる制度です。

この特例は通称『おしどり贈与』と呼ばれます。また、配偶者の老後の立場を安定させる働きがあります。

3-2-1.名義人が亡くなったら?

持ち家の名義人が亡くなった場合、配偶者と子どもが家を相続するというのが、最も多いパターンです。

この際に、配偶者が一定条件で住み続けられる権利を保証した『配偶者居住権 』がありますが、おしどり贈与は生前に家の権利を配偶者に移行し、トラブル回避を狙うものです。

また、熟年離婚の際に財産分与として適用もできますが、一般的な離婚の財産分与はどのみち贈与税は課されないため、早く話し合いを収束させたい場合の利用となります。

3-3.住宅取得等資金の贈与の特例

住宅取得等資金の贈与の特例は、18歳以上の方が父母や祖父母などの直系尊属から、マイホーム購入の資金について贈与を受ける場合、一定額まで非課税にできる制度です。

3-3-1.上限額の基準

年ごとに細かく改正が行われ、年々上限額は減っていますが、現在は令和5年末まで以下の基準で適用されます。

耐震・省エネルギー住宅の場合:1,000万円
上記以外の一般住宅の場合:500万円

なお、2022年適用分から、贈与される方の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。

築年も、20年以内(耐火建築物は25年以内)であったものが、1982年1月施行の新耐震基準に適合していれば良いことになりました。

3-3-2.利用するとどうなる?

この特例を利用すれば、建て替えや2世帯住宅取得等の際に、無理なく資金を分担し、家づくりを行うことができます。

例えば、マイホーム購入の初年度は、この特例の上限の1,000万円の贈与を受け、以降は年ごとに110万円以下ずつ贈与という形をとることもできます。

4.今回のまとめ

打ち合わせ中の大和田と相楽

今回は、不動産売却時に贈与税がかかるケースとはどのような場合かや、軽減する方法について解説しました。

4-1.まずは専門家に相談を!

理想に近い不動産売却のためには、専門知識に基づいた検討のうえ、さまざまな手段の中から方針を決めて進めるのが良いです。

4-2.離婚に伴うご自宅の売却で悩んでいる方へ

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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