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こんにちは、不動産鑑定士補兼宅地建物取引士の相樂です。
マンションやお部屋の資料を見ると、三点給湯、二点給湯等書かれていることがあります。何点給湯かでどこまで生活費に違いがでるのでしょうか?
ここでは、いつも設計を見てもらっている建築士の方と一緒に三点給湯のメリット・デメリットをまとめ、一人暮らしや二人暮らしには何点給湯が良いのか、合理的に説明していきます。
なお、三点給湯に関して、以前、用語集にまとめ記事を作りましたが、それぞれのメリットやデメリットに関する情報が薄かく、あっさりしていたので、今回は、世帯数別にメリット・デメリットを考え、具体的に答えを出していきます。
1.そもそも、三点給湯とは?
三点給湯とは、キッチン、バスルームと洗面室の3ヶ所の給湯を1台の給湯器となどで行う仕組みのことです。そもそも、給湯の種類として『ガス給湯器』や『電気温水器』、『石油給湯器』、またこれらを組み合わせたハイブリッド方式などがあります。賃貸マンションでは少ないですが、その他戸建だと、太陽光発電を利用した『エコキュート』が給湯源となることも多いです。
3ヶ所の給湯を1台で賄えるため、一般的には利便性が高く、経済的などと評価されていますが、後述のデメリットもあるので、あなたのライフスタイルにあった給湯システムを選ぶことが毎月の支出が抑えられるのでとっても重要です。
ちなみに、1ヶ所の給湯を1台で賄うシステムを『三点給湯』、2ヶ所の給湯を1台で賄うシステムを『二点給湯』といいます。
2.三点給湯と、二点給湯や一点給湯の違い
給湯設備の違いは、三点給湯と一点給湯を比べてみると一番分かり易いです。二点給湯はそれらの中間だと思ってください。三点給湯は3ヶ所の給湯を1台の給湯器で賄うため、1度お湯を沸かすと残り2ヶ所でもしばらくは温かいお湯がすぐ使えます。たとえば、冬の寒い朝にシャワーを浴びるとします。最初は冷たい水が出ますが、その後は温かいお湯が出ますよね。そして入浴後、洗面台やキッチンの蛇口をひねるとすぐに温かいお湯が出るので、快適というわけです。
一方、一点給湯ではキッチンやバスルーム、洗面室の給湯器が独立しています。お風呂でお湯が出るようになっても、キッチンや洗面室でお湯を使いたいなら、再度冷たい水を流してお湯が出るのを待たなければなりません。1分程度のことかもしれませんが、毎日、毎回と考えた時の時間的ロスと水道代や電気代、ガス代が気になります。
ただし、一点給湯は給湯器が独立している分、2ヶ所以上で同時にお湯を使っても出が悪くなる、温度が安定しないといったことが起こりにくいです。そのため、複数人で同居する場合は三点給湯よりも二点給湯、一点給湯のマンションを選んだ方が快適です。
3.三点給湯のメリット・デメリット
建築士さんと話した結果を踏まえ、三点給湯のメリット、デメリットを改めてまとめます。
3-1.三点給湯のメリット:
- 設備コストが割安(同じ条件なら、家賃が割安になる可能性がある)
- メンテナンスに手間が掛からない(修理や交換、検査などが1ヶ所で済む)
- 1ヶ所でお湯を使うと、他の場所でもすぐにお湯が出る
- 水道代、ガス代がムダになりづらく、経済的である
3-2.三点給湯のデメリット:
- 1ヶ所壊れると、お部屋内のすべての箇所で給湯器によるお湯を使えなくなる
- 同時に複数の場所でお湯を使うと、それぞれの場所で出せるお湯の量が減る
- 同時に複数の場所でお湯を使うと、お湯の温度や勢いが不安定になる
給湯設備は毎日使うものなので思うように使えないと、地味にストレスが溜まります。メリット・デメリットを理解して、あなたのライフスタイルに合った給湯タイプを選ぶことが重要です。
4.単身者・カップル・家族向け、あなたに合った三点給湯の選び方
お部屋選びの際、どの給湯システムにするかは、
- 自炊の頻度やタイミング
- 入浴の頻度やタイミング
- 家族構成
などを考慮することが住んでみて、使いづらさで後悔しないためにとても大事です。これらの中でも、私が思う給湯についてストレスなく、あなたに合ったものを選ぶのに重要なポイントが家族構成、つまり「何人で住むか?」です。
三点給湯は、本当によく考えられた便利で経済的な給湯システムです。でも、複数ヶ所で同時に使うとお湯の出が悪くなったり、温度が安定しなかったりするのが最大のデメリットです。真夏だとそれほど気にならないかもしれません。しかし、冬の寒い朝、みんなでバタバタと身支度をしている時に、お湯が快適に使えないのはかなりのストレスになります。
他にもシャワーを浴びている時に急に冷たくなったり、勢いが弱くなったりしたら、嫌ですよね?準備にも時間がかかりイライラ・・・、お湯を使うタイミングが被ってしまった家族に八つ当たり、なんてことになりかねません。
建築士:利用タイミングを踏まえた給湯システムの選び方を大まかに分類するなら以下のようになります。
- 単身者:三点給湯(利便性が高く、もっとも経済的)
- カップル:二点給湯、一点給湯(生活リズムが異なるなど、同時にお湯を使う機会が少ないなら、三点給湯もあり)
- 3人以上の家族:一点給湯(ストレスなく、お湯を使える)
5.三点給湯は追い炊きできる
三点給湯の追い炊き機能について、一級建築士に更に確認しました。その結果、三点給湯でも一般的に追い炊きできます。
建築士:通常、50平米くらいのマンションでも、ガス給湯器1台でキッチン、浴室、洗面室など、全ての給湯を賄う三点給湯のシステムを取り入れているところがほとんどです。
その為、お部屋を選ぶとき、追い炊き機能が重要! というあなたは、部屋の内覧前に、念のため追い炊き機能があるか、不動産会社に確認して、現地に行くようにして下さい。時間を無駄にしないように。
6.ガス代・電気代が高くなるって本当?→ウソ
一級建築士によると、通常の設備、使い方で三点給湯により、ガス代や電気代が高くなるなどはないと言います。給湯システムは、なるべく1箇所にまとめるのが理想です。なぜなら、一度作った熱を使いまわすことができるため、捨てる熱源が少なく、熱効率が断然良いからです。実際、ホテルや病院などでも、セントラル給湯という1箇所で給湯する仕組みで全館の給湯を賄います。
また別の観点では、湯待ちがない(蛇口をひねるとすぐにお湯が出る)ことを考えると、各機器に熱源を与えた方が良いのですが、ガス機器も電気炉も消防法上、設置は結構な制限を受けます。そのため、通常はパイプスペースに入れて共用部から管理できるようにします。
こうした点からも、熱源が1つで済む三点給湯はとても効率が良いシステムです。こうした熱効率の特徴は電気給湯よりもガス給湯の方でより出やすいので、私たちは一人暮らしでガス給湯の場合、水光熱費を考えるなら三点給湯のお部屋をオススメします。とはいえ、給湯システムや設備は地域、マンションにより異なるので、お部屋選びの際に担当の営業マンに詳しく聞いてみてください。
7.料金の違いは給湯方式を確認する
最後に、毎月かかるランニングコストを気にしている方は、“給湯方式”を確認してみてください。一言で言うなれば、どのタイミングで水を加熱しているのか?といった点になります。2種類ありますので、それぞれ紹介しておきます。
7-1.貯蓄式給湯
オール電化の賃貸に住む場合によく見かけるのがこのタイプです。名前の通り、タンクにお湯を貯めて使用をしますが、ポイントはお湯を沸かす時間帯です。
電気料金は一般的に使用される時間帯が一番基本料金は高く設定してありますので、使用頻度の少ない深夜の時間帯は基本料金が安く設定されています。このタイプの給湯器は深夜電力を使用してお湯を沸かして保管するため、瞬間式の給湯器と比較して電気料金が安く抑えることがメリットです。
ガスとは違って、安定的に同じ温度を出し続けることができる点も良い点として挙げられます。しかし、その反面で貯蓄タンクは非常に大きいため、室内に設置される場合は、設置する面積が広いことで居室を広く確保できない、タンク内のお湯を使い切ってしまうと、次のお湯が出るまでに時間を要するというデメリットもあります。
7-2.瞬間式給湯
ガス給湯と呼ばれるものがこちらになり、一般的な賃貸ではこちらが採用されています。給湯器をオンにして、蛇口をひねったタイミングで水をお湯に変えて放出します。こちらは給湯の圧力が高いことから水圧が高いという特徴がありますが、見えない部分で火を使っているため、貯蓄式の給湯器よりも火災のリスクが高いという点がネックになります。
正直、どちらが正解でどちらかが不正解ということではありませんが、ランニングコストが高いことをきっかけに別の賃貸物件をお探しになる際には、こういった給湯器の面から探してみてもいいかもしれません。
20,30代の今、実践してほしい、お引っ越しをきっかけに効率よく成長できる部屋選びとライススタイルはこちら
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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