家賃を少し高く払ってでも、角部屋を選んだ方が良いですか?

こんにちは、宅地建物取引士の相樂です。

角部屋って実際どうなのか?1階の角部屋は良くないって本当?家賃が高くても角部屋に住んだ方が良いのか?このページでは人気の角部屋にまつわるイメージや実際の角部屋事情を徹底解説し、家賃を少し高めに支払ってでも住んだ方が良いのかを考えていきます。

なお、角部屋自体についてはこちらのページに整理しておきました。

ウイルスの影響で自宅に居る時間が多い今、日当たりや風通し等の住環境が重視されつつあります。

「どこに住んでいるの?」

「2階の角部屋」

「へ~、いいねぇ♬」

こんなやりとり、たまに耳にします。角部屋というと「良い部屋」を連想する人が多いようですが、なぜなのかちゃんと考えてみたことはありますか?

  • なんとなく
  • のびのびできそう
  • 隣人に挟まれてないから

など、漠然としたイメージはあるかもしれませんが、実際なぜ角部屋が良いイメージなのか、具体的な根拠とともに説明できますか?そして、「角部屋=良い部屋」という漠然としたイメージだけでなく、角部屋のデメリットについてもちゃんと説明できます?引っ越しの失敗例を見ていると、イメージだけで部屋を選ぶのはとてもリスキーだと思います。その為、角部屋のメリット、デメリットをしっかりと押さえて、自分なりの根拠をもって部屋を選ぶのが重要です。

今回は、角部屋に着目して、角部屋のメリットとデメリット、どのような点に気を付けるべきか、角部屋が向いている人とそうでない人の特徴などについて、徹底的に解説していきます。

1.角部屋のイメージ

冒頭で述べた通り、「角部屋」は一般的に良いイメージと言われています。ではなぜ良い部屋と言われているのか?世間一般的なイメージについて分析していきます。

1-1.角部屋は騒音問題が少ないイメージ

まず、角部屋には騒音問題が少ないイメージがあります。これは、アパートやマンションだけでなくホテルの部屋でも言えることですが、「中部屋」といって部屋と部屋に挟まれている部屋は、両隣の住人、あるいはホテルであれば滞在人のシャワーの音、テレビの音、会話、その他生活音(トイレを流す音や足音など)が聞こえてきて、それが気になってしまうリスクがあります。

防音がしっかりしている部屋であれば気にならないかもしれませんが、特に木造のアパートやマンションだと、かなりの音漏れが予想されます。生活パターンや活動時間が異なる住人が隣人だと、静かに眠りたい時にうるさい音が漏れ聞こえてきてストレスになることも考えられます。

これに対して角部屋は、隣接する部屋が1つだけなので、隣人の生活音や騒音のリスクを半減することができます。「両隣がうるさい」のと「片一方だけがうるさい」のだと、ストレスの大きさが全く異なってきます。そのため、角部屋は騒音問題な少ないイメージなのです。

1-2.角部屋は窓が多いイメージ

角部屋は中部屋に比べて、窓が多く、風通しや日当たりがいいイメージがあります。中部屋は両隣にも部屋があるため、窓は一方向にしかつけられません。例えば、北側が玄関だった場合、東側と西側はただの壁となり、南側にだけ窓をつけられます。

これに対し、例えば東端に位置する角部屋は、北に玄関、西に壁、そして東と南に窓を設置できます。すると東側と南側に窓があるので「窓が多い」イメージになり、さらには多方向から採光できるため明るく風通しが良いイメージになります。

日当たりを気にする人や、開放感を重視したい人にとっては良い部屋という印象になります。メインの採光が南側良いのか?それとも北側が良いのか?等もライフスタイルによって変わってきます。

一般的には東南角部屋が一番いいとされ、人気がありますがフリーランスの方など時間を自由に決められる場合には東側からの採光を意識しなくてもいいかもしれません。ただ、個人的には南東や南向きの部屋の日当たりは気持ちいいと思います。逆に冬場の北側は正直辛いです。

1-3.角部屋は広いイメージ

これは本当に単なるイメージですが、角部屋は「広い」というイメージも結構あります。これは建物の構造によりますが、中部屋と比べて床面積が広く、収納スペースが多かったり、部屋数もひとつ多かったり、中部屋には無いようなスペースがあったり、といった部屋も確かにあります。

ただ、あくまでも「”も”ある」というだけであり、それこそ構造上の問題で中部屋よりも狭くなってしまっている角部屋もあります。これは注意すべき点です。角部屋=広い、ではなく、広いのか狭いのか、中部屋と変わらないのか、また後述しますが部屋の間取りや広さだけでなく構造に関してもしっかりとチェックすべきポイントです。

個人的には梁や柱の位置や大きさにもよりますが、居室は6畳以上で別に収納が1畳以上取れると家具や家電を置いても圧迫感は出ないと思います。荷物が極端に多い方は別ですが・・・。

2.角部屋はどんな人に向くのか?

角部屋には上で挙げたように良いイメージがありますが、どんな部屋にも「向き・不向き」があります。では、角部屋はどんな人に向いているのでしょうか?

本記事では、角部屋のアレコレについて細かく分析した上で徹底解説します。引っ越し後に「自分には角部屋が向いていなかった…」と後悔しないためにもメリットやデメリット、トラブル事例などをしっかりと確認して、角部屋にするかしないか考えてみてください。

3.角部屋のメリット・デメリットと他の部屋との違い

単なるイメージではなく、失敗談の根拠に基づいた角部屋のメリットとデメリットを挙げていきます。中部屋などの他の部屋との違いについても分かりやすくまとめましたので是非参考にしてください。

3-1.角部屋のメリット

まず、角部屋のメリットについてです。前述のイメージと合っている点もあれば、イメージにないようなメリットもありますので、ひとつひとつ確認して自分の求める点と合致しているかチェックしてみてください。

3-1-1.窓を多く設置できるため採光面が広く開放感がある

これは角部屋の一般的なイメージにもありますが、窓を多く設置できるため、採光面が広く取れて開放感が感じられます。採光面を広く確保できるということは、日当たりも良くなります。

東側の角部屋であれば、玄関が北側なら東と南に窓があり、朝日が差し込み昼過ぎまで日差しが入ってくる部屋となります。西側の角部屋であれば、玄関が北側なら西と南に窓があり、午後の日差しを取り込みやすい部屋になります。

このように窓が2方向につけられる場合もどの方角に窓がつくかによって部屋の採光状態や日当たりが変わってきます。自分に合った方角の角部屋を選ぶのが重要です。

採光と当時に大切になってくるのが、カビや結露を防ぐ、換気や風通しになると思います。その辺りも角部屋は空気を巡回しやすいため、防ぎやすいと思います。

3-1-2.隣人との騒音トラブルリスクを軽減できる

こちらもイメージ通りですが、両隣に住人がいないため、住人間の騒音トラブルリスクを軽減できます。角部屋の場合は、居間や寝室が端側に設置されることが多いため、リラックスして過ごしたいシーンで隣人の生活音や騒音が気になるようなことがあまりありません。建物の防音状態にもよりますが、両隣を挟まれているよりもずっと静かに暮らすことができます。

また、自分自身の生活音についても、両隣に住人がいる中部屋よりも気を遣わずにすみます。どうしても「挟まれている」と自分が出す音についても神経を使ってうるさくならないように注意しなければなりませんが、角部屋は部屋の端に行けば、「音漏れ」をそこまで気にしなくて良いので、のびのび暮らすことができます。

>>実際に騒音トラブルに遭い、管理会社や警察に相談した方にヒアリングを行い、こちらにページにまとめました。

3-1-3.家の前の人通りが少なくプライバシーが守られている感じがする

角部屋のメリットのひとつに、家の前の人通りが少ないというものがあります。住人の出入り、宅配業者、来客など、例えばエレベーターのすぐ隣にある部屋の場合は、自分の部屋だけでなく、そのフロアの他の部屋にやってきた人の多くが自分の部屋の前を通ります。すると、足音が絶え間なく響き、落ち着かない気分になります。自分のドアの前をしょっちゅう人が行き来しているイメージです。

角部屋であれば、自分の部屋に来る人だけの足音が聞こえてきます。厳密に言えば、遠くの方で足音や人の声などは聞こえてくるかもしれませんが、自分のドアの前を通るということがないため、プライバシーがしっかりと守られているような気分で安心して過ごすことができます。

もちろん、しょっちゅう部屋の前を人が通るからといってプライバシーが守られていないわけではないですが、気分的に「人の気配を感じる」というだけで落ち着かなくなってしまう人は中部屋よりも角部屋の方がおすすめと言えます。

3-1-4.風通しが良く換気に適している

日当たりや採光の部分にも書きましたが、角部屋は窓が多く、2方向に設置できる構造であることが多いため、換気に適しているため、カビや結露が起きにくいと判断できます。その為、一般的に、アレルギーや敏感な方はなるべく、日当たりや換気を意識し、お部屋を選んだ方が良いと思います。もちろん、太陽アレルギーの方などは別になります。

なぜなら、窓が1つしか無いと換気扇を回したり、玄関のドアを開けたりして風の通り道を作ってやらないといけません。でも、角部屋で窓が対角線上についていれば、それぞれの窓を開けるだけで換気ができます。

他にも、風通しが良いのは、夏の暑さ対策にも有効です。明け方や夕暮れ以降の涼しくなった時間帯に窓を開けて風を入れることにより部屋の温度調整もできます。夏場の西日は暑く、長く、辛いので避けた方が良いと思います。

3-2.角部屋のデメリット

続いて、角部屋のデメリットを見ていきます。これまでのように角部屋は住環境が良いイメージが強いため、あまりデメリットのことは考えたことがないという人が多いですが、失敗例を見ていくと、意外にもデメリットは少なくありません。今回は、6つのデメリットについて解説します。

3-2-1.家賃が高め

このデメリットはすぐに思いつく人もいるかと思いますが、角部屋は人気が高いため家賃も高めに設定されることが多いです。特に、2階以上の角部屋は家賃が高い傾向にあります。スーモの賃貸経営サポートで調べると、約2,000円平均賃料が違っていました。

逆に、1階の角部屋は2階以上の中部屋よりも安いことがありますが、これについては、1階の角部屋のデメリットを後述しますので参考にしてください。

3-2-2.梁や窓が多く、家具の設置が難しい

意外と見落としがちな角部屋のデメリットは、梁や窓が多いことによる「家具配置の難しさ」です。窓が多いことはメリットではあるものの、窓が邪魔をして家具を配置できない…という難点があるのです。

また、角部屋は建物の構造上梁が多く、この梁が邪魔になり思うように家具を配置できないことがままあります。部屋そのものが複雑な形をしていることもあり、ベッド、テーブル、棚などスペースを取るような家具をどこにどう置くか…ということで頭を悩ませる人が少なくありません。

その為、内覧には必ず行き、「ここにベッドを置いて、ここに棚を設置して…」と図面を見ながら、シミュレーションできるようにしておくのが失敗しないコツです。そのためにも、持ち込む家具が決まっている場合は内見前に長さを測ってメモしたものを持って内覧に臨むのが賢い方法です。

3-2-3.外の音が入ってきやすく騒音に悩まされる

角部屋は騒音問題や騒音トラブルのリスクが少ない、というメリットを紹介しましたが、これはあくまでも「隣人間」です。角部屋には、角部屋ならではの騒音問題があります。

それが「外からの騒音」です。中部屋は、両隣を部屋に挟まれているため、外の音の影響を受けるのは一面だけになりますが、角部屋は二面から外の音の影響を受けることになります。そのため、外の音が入ってきやすく、周辺環境によっては騒音問題に頭を悩ませることになります。

窓が多いことも騒音問題の一因となっています。壁よりも窓サッシの方が音を通しやすいため、窓が多い、そしてその窓が2方向についている、となると余計に外の音を通しやすくなります。

閑静な住宅街であれば気にすることはありませんが、飲み屋街が近かったり、線路や大きい道路が近かったり、治安があまり良くないような商業、近隣商業地域だと、夜な夜なケンカの怒号が飛び合ったりすることもあるため、うるさくて眠れない…という悩みに直面するかもしれません。その為、角部屋の良さは住宅地であるほど生かされる可能性が高いです。

念のため、角部屋に住んだ女性の恐怖体験や失敗談をこちらのページにまとめておきました。真剣に角部屋を選ぼうとしている方は一度、読んでおいてください。特に、一階の角部屋は避けてほしいです。

3-2-4.夏は暑く冬は寒くなりやすい

角部屋は窓が多いため、モロに外気の影響を受けます。夏は暑くなりやすく、冬は寒くなりやすいのが特徴です。風通しは良いので、夏場暑くなった時には涼しい時間帯に窓を開け放つことで涼しい風を通すことができますが、例えば南と西に窓がついている部屋だと強烈な西日で熱がこもりやすく非常に暑くなります。

冬は冬で外の冷気を吸収しやすい構造のため、すぐに部屋が冷え切ってしまいます。換気には適しているものの、窓から伝わってくる冷気は耐えがたいものがあり、暖房に頼り切りになる可能性が高いです。その為、夏は冷房、冬は暖房をつけっぱなしになるため、電気代がかさむというデメリットもあります。

3-2-5.エレベーターからの距離が遠いことが多い

これは大したことはないと思いますが、念のため、角部屋は当然角に位置しているため、フロアの一番端にあります。建物の端にエレベーターがある珍しい造りのアパートやマンションも稀にありますが、ほとんどの建物は真ん中にエレベーターを設置するため、角部屋はエレベーターから最も遠い位置にあるということになります。

各階5戸、10戸など、それほど大きくない建物であれば、気になるほどではないかもしれませんが、20戸以上の大型のマンションだとエレベーターから自分の部屋に辿り着くまで歩かなければならない距離が長く、時間もかかるし体力も消耗します。

3-2-6.1階の場合はセキュリティ面が少し心配

角部屋の中でも特に注意しなければならないのが1階の角部屋です。角部屋は開放的ではありますが、それは逆に言えば「侵入しやすい」ということも意味します。2階以上の角部屋であれば、そもそも侵入しづらくなるのですが、1階の角部屋は空き巣や不審者が最も侵入しやすい位置となります。そのため、一人暮らしの方を中心にセキュリティ面が心配です。

実際起きたトラブル例でも紹介しますが、下着泥棒の被害にあったというケースもありますし、特に女性の場合は1階の角部屋は気を付けた方が良さそうです。

3-3.角部屋ではない部屋との違いまとめ

角部屋のメリットとデメリットについて整理して解説しましたが、角部屋ではない中部屋との違いをまとめてみました。

  • 家賃が高め
  • 隣人との騒音リスクは軽減できるものの外からの音は角部屋の方がうるさく感じる
  • 窓が多い分日当たりや風通しは良いものの暑さや寒さの影響をダイレクトに受ける
  • プライバシーは確保しやすいもののエレベーターからの距離が遠いなど大変な面もある
  • 角部屋は侵入しやすく空き巣などの被害に遭いやすい(特に1階)

これらの違いを押さえて、自分は何を重視するか、自分にとって角部屋は良い部屋なのか、今一度しっかりと考えてみてください。ここまで見た感じだと、騒音や採光を生かし、角部屋にするなら、住宅街にあるマンションの3階、4階ぐらいが良さそうです。

スーモを使って、初期費用を下げたい人向けにどれだけ、お部屋の選択肢が減ってしまうか?なら、スーモはどう使うのが良いのか?件数を基に住環境のいい部屋を賢く見つける方法をこちらのページにまとめました。物件数ナンバー1でも絞る条件次第では本当に変な部屋が残ります…。

4.実際に、角部屋に引っ越した3人のトラブル

角部屋ならではのトラブルを実際に体験した方の事例を3つご紹介します。4,500件を超える弊社独自のアンケートによるもので、角部屋のトラブル事例は多くはありませんが、何件か、特に1階の角部屋ではトラブルに見舞われてしまった人もいるようです。

実例を見ることによって、より実感をもってデメリットやトラブルを避けられるようになりますので、3つともしっかり読んでみてください。

4-1.事例1:1階角部屋で雑草トラブル

1つ目の事例は雑草問題です。

1F角部屋庭付(土ではなく砂利)101号に入居していたが、種が飛んでくるのか雑草が生えていた。庭の砂利の下には網が張り巡らされており、雑草を根本から抜くことは無理であった。隣の102号には草は生えず、うちだけ草枯らしを購入することとなった(弊社アンケートより引用)

中部屋は庭に関しても両隣に挟まれているため、雑草の元となる種子が飛んで来にくかったのか、端に位置していたこの方の庭にだけ雑草が生えてしまったようです。中部屋であっても目の前に雑木林や畑などがある場合は、部屋の位置はあまり関係ないかもしれませんが、角部屋は庭のスペースが広くなることも多いため雑草被害のリスクは上がると言って間違いないです。

4-2.事例2:駐車場の騒音トラブル

2つ目の事例は騒音トラブルです。

角部屋だったのですが、裏の駐車場に面していて夜中に車の騒音が響いて大変な思いをしました。夜中1時過ぎくらいになると重低音を響かせながらエンジンをふかしていたので必ず起きてしまいました(弊社アンケートより引用)

まさに「デメリット」で解説した通り、外からの騒音に悩まされたというトラブル事例です。たまたま駐車場に面していて、しかもその駐車場の利用者がちょっとヤンチャな人たちだったようです。

建物内の隣人たちとの間の騒音リスクが少ない分、外からの騒音リスクが高まることを忘れずに周辺環境はしっかりチェックすべきと言える教訓のような事例です。

4-3.事例3:下着泥棒の被害に遭ってしまったトラブル

3つ目の事例はセキュリティ問題です。

1階の角部屋に住んでいたのですが、洗濯物を外干ししていると2回ほど下着や洋服を盗まれました。女性はセキュリティ対策のしっかりした物件か2階以上に住んだ方が安心だということを学びました(弊社アンケートより引用)

下着泥棒被害のトラブルです。女性は1階の部屋には入らない方が良いとはよく言われますが、その中でも特に角部屋は侵入しやすいため要注意です。また、小さなお子様がいるようなファミリーも、安全を配慮して部屋探しをおこなうのであれば2階以上をおすすめします。空き巣や下着泥棒程度ならばまだしも、強盗に入られると命も危険にさらすこととなるため、気を付けてください。

特に角部屋は外から様子を見るのに適しているため、住人の家族構成や同居人の有無について、行動パターンについて、把握されてしまうということがあるため、かなり危険です。

・・・ストーカー被害も深刻化しやすく、女性だけでなく男性も気を付けた方が良いです。

5.角部屋を選ぶときの注意点

これまで見てきたことを踏まえ、角部屋を選ぶときには、ただ「角部屋」と聞いて安易に「それなら良い部屋だ!」と早とちりせずに、しっかりとチェックポイントを見極めて慎重に検討する必要があります。自分に合った角部屋選びの注意点をまとめましたので、確認してください。

5-1.間取りだけでなく、部屋の中の造りまで確認する

角部屋のデメリットとして「窓や梁が邪魔して家具の配置がしづらい」というものがあります。これは間取り図を見ただけでは分かりづらく、実際に部屋を見てみないと実感できない点です。

そのため、角部屋を検討する場合は必ず内覧をしてください。内覧時には、ただボーっと部屋を見渡すだけではなく、家具をどこにどうやって置くか考えて部屋の中を見てください。以下のような、気になる点があればその部屋はやめておいた方が良いです。

「あ、ここにベッド置くと窓と被っちゃうなぁ…」

「う~ん…この梁が邪魔で棚が設置できないなぁ…」

5-2.1階よりも2階以上の方が良い

外から見られ易い角部屋のセキュリティを考えると、圧倒的に2階以上の角部屋をおすすめします。アパートやマンションの中で、最もセキュリティが心配なのが「1階の角部屋」です。次いで「1階の中部屋」となります。そのため、2階の中部屋より、1階の角部屋の家賃が安いケースもあります。

女性は特に気を付けるべき点ですが、男性であっても犯罪に巻き込まれない保証はどこにもありませんので、セキュリティを重視したい方は絶対に2階以上の部屋を選んでください。

5-3.周辺環境もしっかりとチェック

角部屋は外からの音を通しやすい傾向にありますので、周辺環境の確認は必須です。トラブル事例でもあったように、あまりお上品でない人が利用するような駐車場があったり、歓楽街で夜中までうるさかったり、電車や車(特に大型のトラックなど)がよく通ったりするような場所だと、外の騒音が気になって仕方がない…それがものすごいストレスに…という事態になりかねません。

隣人同士の騒音リスクだけでなく、外からの騒音リスクもしっかりと考えて、特に夜間に周辺環境がどのような状態になるのか確認してください。以上より、音に敏感な方は住宅街にあるマンションをなるべく狙った方が良いと思います。

5-4.窓の向きや大きさを確認して日当たりや風通しをチェック

角部屋の魅力のひとつでもある「窓」ですが、この窓についてもよくチェックしてください。中には、角部屋にも関わらず窓が少なかったり、1方面にしかついていなかったりするような物件もあります。また、角部屋らしく窓が多く2方面についている場合でも、その方角によっては西日が強烈に差し込んできたり、北側の窓であまり採光効果がなかったり…ということも考えられます。

どの方角にどのくらいの大きさの窓がついているのか、という点をしっかり確認し、その上で1年間、また1日のシミュレーションをしてみてください。日当たりが良く採光状態が良好な部屋は、裏を返せば夏はものすごく暑くなります。

また、窓が大きいと、その分外気を通しやすくなり冬はものすごく寒くなります。ちょうど良いバランスの窓の状態かどうか、色々考えてみてください。ただ、上記より、西、北西、北向きの角部屋はあまりお勧めできません。冬場に日が当たらないため、寒く、暗くなりやすいので気持ちも堕ちていきます。

同じく、風通しについても、必ず窓を開けて肌で実感してみてください。風の通り道がきちんと作れないような位置関係に窓がついていてもあまり意味がありませんので、これについても自分でシミュレーションすることが大切です。

6.角部屋で起きた判例は?

一般財団法人不動産適正取引推進機構では、過去に起きた不動産にまつわる様々な判例が記録しています。こちらの住宅判例記録で過去の判例についての情報について調べることができるのですが、角部屋の判例はありませんでした。

実際、角部屋だからといって裁判に発展するような事件になったトラブルは無いようです。もちろん角部屋であっても裁判沙汰になるようなトラブルが起きている事例はあります。ただ、そのトラブルの原因が「角部屋」という点ではなかったというだけですので、この点は勘違いしないように気を付けてください。

7.どんな角部屋ならいいのか?

角部屋といっても色々な角部屋があります。その中でもどんな角部屋を選べば良いのかというポイントを4つにまとめました。

7-1.2階以上が吉

まずは何を置いても「2階以上」です。1階の角部屋はおすすめしません。セキュリティ面を考えても、外の音の騒音問題を考えても、庭付き物件の場合は庭の雑草問題を考えても、1階の角部屋には何かとトラブルがつきものです。

2階以上でしたら、セキュリティ面はかなり安心ですし、庭問題もありません。また、1階よりも外の音が小さくなるため、外からの騒音リスクも下げることができます。窓が多い角部屋は外から確認しやすいので、その辺り慎重に決めて下さい。

7-2.周辺環境に騒音が無い建物

周辺環境のチェックポイントとしては、騒音の原因となるようなものが無いという点が重要になります。特に夜の騒音は要チェックですが、最近ではリモートワークも主流になっていることから、日中帯の騒音も見逃せなくなってきました。例えば、日中帯の騒音の例は以下の通りです。

  • 電車(線路や駅の近く)
  • 道路(特に大きな道路)
  • 商店街など人通りの多い場所
  • 学校や幼稚園、保育園などの近く(子どもの声が気になるという方は…)

一方で、夜間の騒音の例

  • ・道路(大型トラックなどが通る高速道路や国道など)
  • ・歓楽街
  • ・飲み屋が多く酔っ払いが多発する場所

日夜問わず、治安が良くなくケンカがしょっちゅう起こるような地域は騒音問題も酷いです。特にバイクの音がするような場所は本当にストレスになるので、必ず事前にチェックしておくのがおすすめです。

7-3.梁の数が少なく形がいびつではない構造

角部屋にありがちな「少し変わった構造」や「中部屋よりも多い梁や窓」は家具配置において大きなネックとなります。これについては【必ず】内覧して、部屋の構造を確認することで失敗を事前に回避できます。また、内覧に行く前にも部屋の構造や間取り、窓の位置などについて不動産屋に問い合わせておくのがかしこいです。事前情報として「梁が多い」や「部屋の形がちょっと変わっている」といった点について知ることができれば、その時点でその物件が対象外となることもあるからです。

このような構造上、家具配置がしづらいといった部屋に関しては家賃交渉の材料としても活用できるため、これを逆手にとって家賃を下げてもらうよう頼んでみるのもひとつの手です。

7-4.エレベーターからの距離がそれほど遠くない部屋

角部屋のマイナーなデメリットのひとつ、エレベーターからの距離についても、足腰が丈夫でなかったり、体力に自信が無かったりする場合は、ちゃんと確認すべきです。エレベーターからの距離が遠いのは地味にキツイので、毎日出入りする場合は特にエレベーターからはあまり極端に離れていない部屋を選ぶのが吉です。

規模がそれほど大きくないアパートやマンションであれば、角部屋でもそれほど気にならないですし、大きい建物であってもエレベーターが2ヵ所に設置されていて、角部屋であっても比較的近ければ問題無いです。

中途半端な規模の建物で、エレベーターが1つしかついていないというのが最悪なパターンになるので、この物件にぶつかったらよく考えて自分の体力や気力と相談してください。

ちなみに、4,600件の引っ越し事例から部屋探し2回目以下の方に特に注意してほしい部屋探しの条件に付いて、こちらのページにまとめました。件数が多かったので、分析に時間が掛かってしまいました…、ごめんなさい。

8.日当たりや風通しのいい角部屋のまとめ

角部屋について、メリットやデメリット、トラブル事例などについて紹介してきましたが、このあたりでまとめに入りたいと思います。角部屋だけでなく、全ての部屋にメリットとデメリットがあります。万人が絶賛する完璧な部屋というのはありません。なぜなら、人によって部屋に求めるものが違うからです。

自分にとっては申し分ない完璧な部屋、というものは見つけることができます。それは、ある人にとっては角部屋かもしれませんし、またある人にとっては角部屋であることはそれほど重要ではないかもしれません。

最後に、角部屋に向いている、角部屋をおすすめしたい人はどんな人なのか、という点について解説し、その上でどんな角部屋ならば住んで良いのかという解説で締めくくろうと思います。

8-1.分析を踏まえた上で筆者が角部屋をおすすめしたい人

これまでの分析を踏まえて、角部屋をおすすめしたい人、角部屋が向いている人の特徴を3つにまとめました。あなた自身が該当しているかどうか、そんなことを考えながら読んでみてください。

8-1-1.個人のプライバシーを大切にしたい人

まず、角部屋は中部屋よりもプライバシーが守られている感覚を得られます。両隣に住人がいないということも、その理由ですし、他人の家に用があってアパートやマンションにやってきた人が自分の部屋の前は通らないということも、その理由のひとつです。

しょっちゅう人の足音が聞こえたり、部屋の前で住人同士が立ち話をしていたり、なんだかいつもバタバタと何かしらの音や気配がして落ち着かない、ということが、角部屋はありません。そのため、プライバシーを重視して、自分だけの空間、自分だけの時間を大切にしたい人は中部屋よりも角部屋がおすすめです。

8-1-2.日当たりや風通しを重視したい人

角部屋の窓のメリットがダイレクトに当てはまりますが、日当たりや部屋の風通しを重視したい人にも角部屋はおすすめです。ただし、気を付けなければならないことは、全ての角部屋の窓が2方面についているわけではない、ということです。

また、2方面に窓がついていても、すぐ目の前にビルの壁や別のマンションの壁などがそびえ立っていて、まったく窓としての役割を果たしていない(日差しが入らなかったり、風も通らなかったり…)窓がお飾りのようについているということもあります。

窓のついている方角によっては日当たりが良くない部屋もありますので、角部屋だからといって日当たりが良い、風通しが良い、というわけではないということは忘れないでください。

日当たりや風通しを重視したい方は、特に窓の位置や大きさ、時間帯や季節によって日当たりや風通しがどのようになるのか、というシミュレーションを徹底するように心がけてください。

8-1-3.隣人との騒音トラブルを気にする人

どちらかというと、ご近所さんとトラブルになって面倒な想いをしたくない、うるさいのは我慢できるけれど、人に迷惑をかけたくない、という気持ちを持っている方には角部屋はとてもおすすめです。騒音トラブルの被害者側ではなく、加害者側になりたくない、という人です。

もちろん、被害者にもならないに越したことはないですが、とにかく人様に迷惑をかけたくない、何か騒音問題で訴えられたり文句を言われたりしたくない、という方は是非角部屋を検討してください。

もちろん中部屋であっても、静かに暮らせば良いのですが、そうはいってもどうしても生活音は出てしまいますし、木造アパートではかなり響きます。
「うるさくないかなぁ…」と神経をすり減らすのが嫌ならば、角部屋で少しでもそのストレスを軽減してください。

こういった方に限っては、1階の角部屋というのも「アリ」です。2階以上ですと、どうしても、階下に響く自分の足音が気になる…という悩みを抱えるケースもありますので、1階でしたら、片側の隣人だけに気を遣えばOKということで、セキュリティは自分で気を付けるという前提で1階でも良いと言えます。

外からの騒音リスクは、周辺環境をしっかりチェックすることである程度は避けられますので、隣人との騒音トラブル回避を重視したい方には角部屋がおすすめです。

8-2.どんな角部屋なら住んでいいのか?

最後に、結論として、どんな角部屋ならば住んでいいのかという点をまとめます。これまで分析や理由とともに解説してきたことのおさらいになりますが、今一度しっかりと脳に焼き付けて、角部屋検討の際に思い出してください。

  • 2階以上(ただし階下への自分の足音が気になる人は1階もアリ)
  • 間取りや構造が比較的シンプルで家具配置がしやすい部屋
  • 周辺環境に騒音のリスクがない部屋
  • 角部屋のメリットがきちんと含まれている部屋(窓の多さなど)

大きく、以上4点に気を付けて角部屋を検討すれば、失敗しない部屋選びができます。また、とても大事なことなので何度でもしつこく言いますが【内覧は必ず具体的なシミュレーションとともに】実施してください。

9.トラブルを避けるための部屋探しチェックリスト

考え込んでいる女性

これまでのトラブル相談やアンケートの事例を参考に、簡単なチェックリストを作りました。

もし、いくつか、該当するようなら、慎重にお部屋探しをされることをお勧めします。

□ 延線沿い等エリアを広げ、自分に合う部屋を探したい
□ 自分に合ったお部屋の条件や優先順位が分からない
□ オンライン内見や広告を見て、お部屋を決めたい
□ 部屋探しの経験が2回以下で相談し、お部屋を決めたい
□ 家賃や初期費用等予算の決め方が分からない
□ 契約や引っ越し後のトラブルは絶対に避けたい
□ 自分のペ-スでゆっくりお部屋を探したい
□ 仲介手数料無料や返金保証が付いている方がいい

もし、3つ以上当てはまる方は慎重に部屋探しを進めて下さい。というのも、トラブルが続くと、仕事や私生活だけでなく、健康も害してしまう事もあります。

また、気になるようなら、LINEで出来る部屋探しの条件簡易診断もやってみて下さい。3つの質問で、部屋探しに必要な具体的な注意点や対策をご提案しています。

恵比寿や広尾、麻布十番など東京都心のデザイナーズマンションの内見予約や住まいの無料相談はこちらのページから物件や希望の日時を送って下さい。その他、退去時に管理会社と揉め、原状回復費用をムダにしないため、契約者さま限定の入居確認時の保存フォームを作りました。

内覧でいかに真剣に部屋と自分と向き合ったかということが、部屋に住み始めてから後悔するかしないかを決定づけます。是非、是非、失敗や後悔の無い部屋探しをしてください。今回ご紹介した内容が貴方の失敗を防ぐ一助となれば幸いです。あなたの大切な人生と平穏が守られますようにこれからも私たちは4,500件を超える引っ越しの失敗談を基に、住まいのトラブル解消の専門家として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

ーーー

あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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馬場 紘司

この記事を書いた人

馬場 紘司

事例を基に後悔のない取引を目指し、2013年以降40件以上の不動産取引を経験。現在は投資や居住用の不動産を中心に売却価格を上げるリノベーションなど建物の改修に注力。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー2級、住宅ローンアドバイザー。>>その他詳しい実績はこちら

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