失敗例を参考にフラット35で購入したマンションを貸し出す際の注意点?

こんにちは、不動産取引の不安ゼロで明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで売買を担当している宅地建物取引士の大和田です。

2004年以降、ローン金利は下がり、2021年現在、変動金利が1%を切る程、超低金利時代を迎えています。それにより、フラット35を使い、低い金利で35年間、ずーっと借り続けるといったことも可能な時代になりました。

しかし、近年このローンのルールを無視し、フラット35の不正利用が横行し、問題も起こりました。有名な所だと、2020年2月の日経新聞にも載りましたが、以下の通りです。

長期固定金利の住宅ローン「フラット35」が投資目的のマンション購入に悪用されていた問題で、住宅金融支援機構は利用者に融資額の全額・一括返済を求め始めた。返せない場合は、物件を競売にかけて売却したうえで残額も分割で返済を求める。

一方、投資用マンションの仲介案件で審査書類の改ざんが発覚したARUHIは特別チームをつくり社内調査を始めた。

このようにリリースまで出して、不正を正し、資金の回収をしようとしているので本気なんだと思います。

ルール違反がばれてしまうと契約違反になるだけでなく、その後の自宅としての利用を脅かす結果にもつながりかねません。なぜなら、上記のように、一括返済を求められ、売却せざるを得ないケースもあるからです。

今回は、フラット35の不正利用の注意点やその例外、実際にあったケースなどを見ていこうと思います。

1.35年間金利が変わらないフラット35とは?

フラット35とは、『住宅ローンの組める最長年数である35年間、最初に設定した金利からずっと変わらない固定金利の商品のこと』です。時代の流れに左右されず、返済を進めることができるので安定した人生設計ができると人気を博しています。

1-1.なぜ、こんなに優れた商品が提供できるのか?

それには、政府の意向が関わっています。政府は国民に住宅の取得を推奨しているのです。フラット35は「住宅金融支援機構」という政府が全額出資する機関により提供されています。そこが運営元となり、住宅の普及を促進するために提供しているのが「フラット35」です。

1-2.住宅を所有する国民が増えることは国家にとっても有利に働く?

国民が多額の金を使い、銀行、国が儲かるだけでなく、自治体は「固定資産税」という安定収入まで手に入ります。そのため、多くの国民にマイホームを持ってほしい。

そういった国の事情から、フラット35を使えば、銀行が単独で提供する住宅ローンでは実現しえないほど有利な条件で住宅を所有することができます。念のため、ご相続などで譲り受けたマンションが空き部屋になっている場合、その費用や判例・トラブルとその対策をまとめました。

2.フラット35を使えるルール

しかし、このフラット35にはとても重要なルールがあります。それは「賃貸住宅購入用」としての使用は原則禁止している事です。理由として、住宅支援機構は「国民の住宅取得促進という本来の趣旨に背く」としていますが、高い金利で貸し出せる不動産投資ローンの存在価値がなくなってしまうと、銀行としても困るという事情も隠されています。

それだけでなく、賃貸住宅需要と供給のバランスが崩れたり、将来の空き家を増やすような結果にもなりかねず、何かと問題があります。しかし、昨今、それでも不正にフラット35を利用し、賃貸用として使う人が増えて問題になっています。なぜなのでしょうか?

答えは非常に単純。儲かるからです。現在の投資用不動産ローンは低いところで1.5%ほど。それに対し、フラット35の金利は1.0%、中には0%台の銀行も存在します。

このような状態で賃貸に出すと毎月のキャッシュフローがとてもよくなります。しかも、固定金利なので利息の金額が変わることがありません。オーナーにしてみれば、これほどの好条件はなく、いわば禁断の果実です。

しかし、冒頭でもお伝えした通り、フラット35の投資での利用は禁止されています。もし、ルール違反がばれてしまったら、いったいどうなるのでしょうか?

3.フラット35ルール違反時に潜むリスク

3-1.ローンの一括返済の危機

住宅ローンを組む際、買主と金融機関の間で金銭消費貸借契約が交わされます。つまり、「金を借りるなら、約束は守れよ」と釘を刺されているわけです。フラット35の不正利用は、銀行を欺き、約束を破る行為です。

その時の措置として、一括返済を求められます。「こんな奴に金は貸していられない」と裏切り者の烙印を押されるわけです。さらに、注意が必要なのは複数個所有する玄人のオーナーです。

他の物件のローンも同じ銀行で受けていた場合、そちらの一括返済を求められてもおかしくはありません。そして、当然その銀行からは愛想をつかされます。再度融資を受けたいと思っても、もうその銀行が融資してくれることはないでしょう。

3-2.もう戻れない、借地借家法の規定

もう一つの弊害として、再度住むことが困難になります。日本には、借地借家法という法律が存在します。平たく言えば、借主を守るための法律です。

契約当事者の中では借主が一番強く、基本的にオーナーが追い出すことは不可能です。退去の要求を出すことはできても、これに応じる義務はありません。つまり、再度住みたいと思っても好きなタイミングで自宅に戻ることはできません。自業自得といえば、自業自得です。

3-3.フラット35利用時の「例外」

ただ、特例として、賃貸用の使用を認めている場合があります。それは、「正当な理由」が認められる場合です。定義が少しあいまいですが、代表的なのが「親の介護」や「転勤」です。

3-3-1.親の介護はなぜ、認められるのか?

当社のお客様で実家が東京都豊島区の方が大田区蒲田に2LDKのマンションをご購入されました。しかし、ほどなくして母の体調がすぐれなくなり、実家に戻ることになりました。蒲田から豊島区のご実家までは電車で50分ほど。

このような近距離の転居も正当な理由があれば認められています。このお客様は正式に金融機関に届出を行い、賃貸用としての承諾を得ることができました。

3-3-2.転勤はなぜ、認められるのか?

大阪北部にお住まいだった大手印刷会社に勤務する当社のお客様は辞令を受け東京に転勤することになりました。その際、会社に申告することにより、会社の都合での転勤である証明書を発行してもらい、銀行に提出していました。このような場合はOKです。

ただ、その方は先ほど説明した借地借家法の規定をご存じありませんでした。数年後、せっかく大阪に戻ることになったのに自分の家が空いておらず、近くのマンションを借りて生活をされていました。本当に何があるか分かりません。

これに対し、自己都合での転職や結婚に伴う転居は住宅ローン適用時の正当な理由として認められていません。

4.住宅ローン利用の利用違反の現状

住宅支援機構はパトロールの体制を強化し、令和元年度には113件の不正利用を摘発しました。では、正当な理由かどうかを見破るにはどのような手があるのでしょうか?

実は、明確な基準はありません。タレコミなどから人為的な調査で摘発を進めているのが現状です。それゆえ、不正を承知で賃貸での利用を勧めてくる営業マンもいます。

「バレなければ良い」や「ごまかしが利く」という発想ですが、摘発時に責任を取るのは営業マンではなく買主です。「営業マンが勧めてきた」は言い訳として通用しません。少なくともそのことは分かっておかなければならないと思います。

このような口車に安易に乗って、不動産投資を行うと残債を一括返済すること等、その後大変なことになりかねません。もし、そのような場合にはお近くの金融機関の窓口などに状況を説明し、どうしたらいいのかご相談されることを個人的にお勧めしています。

5.住宅ローンの不正利用まとめ

明確な将来の見通しを立てることが出来、家計にも優しいローン商品「フラット35」。正しく使えばメリットは大きいものの、思わぬ落とし穴が潜んでいます。初めから不正を承知で投資するというのは論外ですが、正しく使っているつもりでも、ルール違反に抵触してしまう可能性があります。

そのため、今回はフラット35に潜む危険なリスクを私の周りで起きた実体験を交えてお伝えしてきました。フラット35の利用を考えている方は本記事を参考に潜むリスクを排除してから、安心、安全にローンを利用し、快適な住まいを手に入れてもらうことを願っております。

最後に、自宅に居る時間が増え、マンション内でのトラブルが増えています。特に、ゴミ問題は相談が増えており、相楽と司法書士の西門の二人で、マンション内で起こったゴミ問題に関して、判例を踏まえ、賢い対策をこちらのページにまとめました。念のため、同じマンション内で最近よく起き、相談が来るものとして、隣人の孤独死について、その対処方法をまとめました。特定の保険が使えるようですが、実際どうなのか?管理会社に損害賠償などは出来るのか?事故物件としての告知義務について、こちらのページにまとめました。

先日、空き家トラブルに困っているオーナーさんや賃借人の方を踏まえ、現状や対策についてインタビューを行いました。空き家に困っている方向けですが、困りそうな方も是非見てみて下さい。

また、部屋探しをする時に、敷金、礼金、手数料などの初期費用を下げたいと思います。スマホで検索する時、初めからその条件を入れてしまうと、どれくらい募集事例が減ってしまうか知ってますか?店舗で相談する時もどの条件から初めにお願いするか、考えないと引っ越し貧乏になりかねません。

今後もあなたの大切な人生と平穏が守られますよう、4,600件を超える引っ越しの失敗談を基に住まいの問題解決のトップランナーとして、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法を建築士さんにレクチャーしてもらいました。

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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大和田 豊

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大和田 豊

事例を参考に失敗の少ない不動産取引を目指し、2012年以降90件以上の不動産取引を経験。現在はコロナウイルスの影響を受け、ローン返済に悩んでいる方向けに、生活の早期の改善に向け、債務整理に注力。宅地建物取引士、任意売却取扱主任者、住宅ローンアドバイザー。>>その他詳しい実績はこちら

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