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デザイナーズマンションに住みたい!部屋探しの注意点やポイント3選

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の管理や住まいのトラブル解消を担当している不動産鑑定士補の相樂です。

引っ越しの繁忙期に入った1月、今も金融機関に勤め、東京で一人暮らしをしている友人から今後の賃貸について、相談を受けました。リモートワークと言っているが、実際は港区のオフィスに行くことが多く、離れることはできない。

「自宅にいる時間も増えたし、お金を使う事も減り、せっかくなのでデザイナーズマンションに住みたいがどう思うか?」という事でした。デザイナーズマンションは癖が強いので好きな人は好きなので、今回はその注意点やポイントをまとめます。

デザイナーズマンションと聞くと、お洒落でスタイリッシュな部屋を想像します。実際に検索してみると、デザイナーズマンションに特化している物件紹介サイトや不動産サイトがヒットし、まるで芸術作品のような個性的でカッコイイ物件がずらっと並んでいます。東京を中心に数は増えているようです。

「デザイナーズマンションに住んでいるんだよね」と言われると、カッコイイような気がします。場合によっては「なんだアイツ、自慢しやがって。鼻につくな…」と思ってしまうかもしれません。しかし、いずれにせよデザイナーズマンションは「他とは違う」、「凡庸ではない」というイメージがまだまだ強いです。タワーマンションと比較するとデザイナーズマンションの方が希少性は高いような気がします。

今回は、先日の相談を踏まえ、失敗例のアンケートを基にそんな憧れ(?)のデザイナーズマンションについて、メリットやデメリット、選ぶ時の注意点などを解説します。

デザイナーズマンションに実際に住んでみた女性のインタビューから失敗を学びたい方へ、デザイナーズマンションで部屋探しのチェックポイントをこちらのページにまとめました。

1.デザイナーズマンションのイメージ

デザイナーズのイメージは、冒頭で述べた通り「なんかカッコイイ」という先進的かつ個性的、スタイリッシュ、お洒落、というものが一般的です。凡人が住むような家ではない、と考える人もいるようです。

しかし、逆に「デザイナーズマンションに憧れている」とか、「デザイナーズマンションに住んでみたい」と胸ときめかせる人も少なくありません。これまでの相談の経験から世間的なデザイナーズマンションのイメージを大きく3つにまとめてみました。

1-1.ともかくお洒落でステイタス

まず、なんといってもデザイナーズマンションは「お洒落」なイメージが非常に強いです。一口にデザイナーズマンションといっても「個性的」な部屋がズラリ…ということで、その間取りや仕様は千差万別です。

カッコイイ部屋もあれば、可愛い部屋もあります。奇抜な部屋もありますし、美しい部屋もあります。ただ、総じて言えることは「お洒落」ということです。

もう既に「デザイナーズ」という言葉の響きがなんとなくお洒落にさえ感じてしまう、そんな不思議な魅力を秘めているのがデザイナーズマンションです。ドラマの影響もあるかもしれませんが、建物だけでなく、住んでいる人もおしゃれなイメージあります。

1-2.家賃も値段もどちらも高い

デザイナーズマンションは、名のある建築家やハウスデザイナーがデザインを手掛けるというイメージが強く、それゆえに「家賃が高い」と思われがちです。

だからこそ、「デザイナーズマンションに住んでいる」というと「自慢かよ」とか「鼻につくなぁ」とか、そんな風に思われてしまうのかもしれません。

設計士が入り、モダンな建物になることで他と違う印象があり、結果的に高くなっていると思います。ビンテージマンションと言われるものも当時の建築家が設計し、作っているため、建物自体は古くなっていますが、いまだに価値が保たれている物が多いのが現実です。

1-3.デザイン優先で生活しづらい

デザイナーズマンションはとにかく「お洒落」なイメージが強いので、どちらかというと生活感が漂わず、所帯じみていない住まいという印象が大きいようです。収納が少ない、ベランダが無い、窓が大きすぎて不便、など、生活しづらいイメージを持っている人もいます。

実際、取っ手一つとっても回しづらい、使いづらいというのはあります。しかし、お部屋にデザイン(お洒落)を求めるか、生活(利便性)を求めるか、これによってデザイナーズマンションに住みたいかどうか、という考えが大きく分かれます。

デザイナーズマンションに憧れ、半地下の部屋に住んでみたら、えらい事になってしまった女性の一人暮らしについて、インタビューを行いまとめました。もし迷っていら、参考にしてみて下さい。

2.デザイナーズマンションってそもそも何?

デザイナーズマンションについては、「なんとなくお洒落な物件?」というぼやっとしたイメージしかない人が多いですが、明確な定義は何なのでしょうか?

実は、デザイナーズマンションの定義は、ありません。それだけで、家賃や価格が上がるので、言ったもん勝ちな所が多分にあります。

この条件を満たした物件がデザイナーズマンション、こういう物件がデザイナーズマンション、という決まりや線引きは特に無く、不動産会社などの売り手が独自に判断して「デザイナーズマンション」と謳っています。

ただ、一応「デザイナーズマンションとは、建築家やデザイナーがコンセプトを決めてデザインしたマンション」という、なんとなくの基準はあります。コンセプトがあるかどうか、というのがひとつのポイントになるということが分かります。何かしらのコンセプトに基づいて建てられた「お洒落な」物件、それがデザイナーズマンションだと思っていただければ十分です。

2-1.リノベーションやリフォームとの違いは?

よく曖昧に取られるのが、デザイナーズとリノベーションです。リノベーションとリフォームを混同してしまう人もいますが、リフォームとデザイナーズは違いますよね?最近は中古のマンションをリノベーションして、住んでいる人が増えています。これらについて、端的に説明します。

・リフォーム

→原状回復、修繕で依然と同じ機能を持たせるため、価値は同じ。

・リノベーション

→古い物件を新しく生まれ変わらせ(リフォームにプラスアルファの魅力をつける)、以前より機能を増やし、価値も増やす。

・デザイナーズ

→建築家やデザイナーがコンセプトをもって、建物をデザインする

こんな感じです。リノベーションは、既存の古い物件をリニューアルさせるというイメージです。これに対し、デザイナーズはゼロからデザインされ、建てられた物件です。

もちろん、リノベーションをデザイナーや建築家がコンセプトをもって手掛けた場合は、デザイナーズ物件ということになるので、リノベーションとデザイナーズは両立が可能です。

3.デザイナーズマンションはどんな人に向くのか?

デザイナーズマンションとはそもそも何なのか、世間的なイメージとは、といったところについて触れましたが、今、あなたはデザイナーズマンションに住みたいと思っていますか?

もし、憧れている、引っ越しを考えている、いつか住んでみたいと思っている、ということでしたら、是非ここから先も読み進めてください。逆に、「デザイナーズマンションなんて成金が住むもんだろう」と思っていて、興味がない、自分は住まない、という方も良ければ是非読んでみてください・・・。

ここからはデザイナーズマンションがどんな人に向いているのか、メリットやデメリットを徹底解説した上で、部屋探しの注意点などにも触れ、最後に向き不向きについて言及します。憧れだけでデザイナーズマンションに住むのはお金も掛かるのでリスキーですし、偏見だけでデザイナーズマンションを嫌煙するのは勿体無いかもしれません。

あなたにとってデザイナーズマンションは向いているのか、いないのか、考えながら読み進めてください。

4.不動産屋が言いたくないデザイナーズマンションのメリット・デメリット

デザイナーズマンションのイメージは「お洒落・高い・生活しづらい」でしたが、実際のメリット、デメリットにはどんなものがあるか、詳しく解説いたします。これまでご案内やお引っ越しをされた方の意見を参考に不動産屋が声を大にして言えないような事も切り込んでいくので、しっかり頭に入れておくと後悔しない部屋探しに役立ちます。

4-1.デザイナーズマンションのメリット

デザイナーズマンションのメリットは「お洒落」以外にもあります。ここで「お洒落」も含めて3つご紹介します。

4-1-1.お洒落で個性的なので自慢できる

まずはイメージにもあった「お洒落」です。個性的な物件が多いため、唯一無二な特別感を味わえます。

一般的な物件は、どこも大体同じような造りになるため、人の家に遊びに行っても部屋を見て驚く、ということはありません(家具やインテリアを見て驚くことはあるかもしれませんが)

デザイナーズマンションは、部屋の造りそのものが「他とは違う」雰囲気なので、家に誰かを呼べば、驚いてくれる可能性が高いです。自慢もできますし、訪問客を楽しませたいというタイプの方にはもってこいの物件です。

毎日、インスタグラムに室内の写真を上げ、そのおしゃれな感じからフォロワーを増やしている人もいるぐらいです。

4-1-2.同じ嗜好の住人が集まるため居心地が良い

これはあまり、知られていないですが、デザイナーズマンションは「機能性」よりも「デザイン」や「雰囲気」を重視する人が選びます。必然的に好みが似通っている人が集まることになるので、趣味嗜好が共通するタイプの住人が同じマンションで暮らす傾向となります。

家賃相場が少し高めということもあり、金銭的にある程度余裕がある人が選ぶ物件でもあるため、所得や資産もなんとなく似たような人が集まってきます。これは、金銭感覚やライフスタイルにも共通項があることを示唆しています。

つまり、デザイナーズマンションには同じようなタイプの住人が集まりやすいのが特徴であり、これはすなわち「居心地の良さ」を意味しています。住人同士のトラブルが少なく、心穏やかに楽しく暮らせるというメリットとなります。

金銭的に余裕があり、同じような感覚を持っている人が集まるため、比較的トラブルやクレームが少ないのがデザイナーズマンションです。一見とっつきにくい感じがありますが、住んでみると案外住みやすいと言えます。

4-1-3.日常にいながら非日常が味わえる

デザイナーズマンションは良い意味で所帯じみていません。スタイリッシュで、あまり生活感を臭わせないような造りになっているため、日常生活を送りながらも、どこか「非日常的空間」にいるような気分になります。

平凡なのはつまらない、という方には勿論、特にクリエイティブな仕事や趣味を持っている方にはおすすめしたいメリットです。

デザイナー(ウェブデザイナー、ファッションデザイナーなど、分野は問わず)、アーティスト、小説家、役者、芸能関係者など「何かを生み出す」ことを生業としているならば、凡庸な部屋よりもデザイナーズマンションで暮らした方が、五感が刺激され、良いアイディアが浮かぶかもしれません。

インスタグラム等のSNSに投稿する人やそれを見る人の気持ちがわかると思います。全く同じものがない、見た目が美しいものは毎日でも見ていられるのかもしれません。

4-2.デザイナーズマンションのデメリット

デザイナーズマンションのメリットは3つ紹介しましたが、デメリットはメリットよりも少し多いです。本記事では代表的なものを5つ紹介します。

4-2-1.家賃が割高

世間のイメージ通り、デザイナーズマンションは家賃が高めです。例えば、港区でデザイナーズかそうでないかで家賃を比べてみると、家賃相場で1.3~1.5倍ほどの家賃となっていました・・・、家賃をなるべく抑えたいという方には本当に厳しいです。

ただ、デザイナーズマンションにも安い物件はあります。しかし、「安さ」の裏には事情があります。一般的に高いと言われている物件が安いということは「何かある」と見て間違いありません。

不自然に安い物件は事故物件である可能性が高いですが、デザイナーズマンションに関しては一概にそうとは言い切れません。なぜなら、デザイナーズマンションは機能性よりもデザインを重視して造られた物件であるため、「暮らしにくい」というデメリットが存在しているからです。

極端に暮らしにくく、住民が入らない、もしくは入ってもすぐに出て行ってしまう、という訳ありのデザイナーズマンションは、他と比べて家賃が安いことがあります。奥まったところにマンションがあり、日当たりや通気が悪いというのはありました。窓を開けると墓地だったというのもあります。

いずれにせよ、一般的には割高なデザイナーズマンションが格安だったら、なぜ安いのか気を付けるに越したことはありません。その辺りは、担当に内見前になぜ安いのかよく確認し、内見の際にも自分でキチンと確認した方が良いと思います。

4-2-2.デザイン重視なので生活第一ではない造りであることが多い

何度もお伝えしているように、デザイナーズマンションは機能性よりもデザインを重視している傾向にあります。もちろん機能性のこともちゃんと考え、設計されている物件もあります。

ものによっては通常の物件よりもかしこく斬新に機能性を発揮しているケースもあり、必ずしも「デザイナーズマンション=生活に向かない」というわけではありません。

しかし、一般的な傾向として、デザイナーズマンションは生活第一ではなく暮らしていく上で不便を感じることが多いのが事実です。最もよくあるデメリットが「収納スペースが極端に少ない」ことです。ウォークインクローゼットや通常のクローゼットが異常に狭かったり、数が少なかったりして、収納が十分にできない部屋が多く困る、という声は非常に多く聞かれます。

他にも、ベランダが無い物件、窓が大きすぎて、暑すぎて困る物件(日当たりが過剰、掃除が面倒、人に見られている気がする、など)、階段が隙間だらけで怖い物件、など様々な例が見られます。

4-2-3.コンクリート打ちっぱなしの壁は夏暑く、冬寒い

デザイナーズマンションの壁でよくあるのがコンクリート打ちっぱなしです。クールかつスタイリッシュでカッコイイのですが、この壁にもデメリットがあります。

壁紙を貼らずに打ちっぱなしの壁で過ごしていると、夏は非常に暑く、冬はとても寒くなることが実感できます。コンクリートは暑さも寒さも吸収してしまうので、夏は暑さを吸収し熱を持ち、冬は寒さを吸収し冷えてしまうのです。

結局、エアコンをガンガンつけ続けなければ暮らすのが辛くなるほど厳しい室温になるので、これはデザイナーズマンション(壁が打ちっぱなしの場合)のデメリットと言えます。

また、風通しが悪い部屋だと、壁に結露が出てきます。通常の建物の場合はボードやクロスがあり、目立たない事が多いですが、見た目を重視した部屋ではこのような不便も我慢する必要があります。可能であれば、3面採光の部屋を選ぶのが良いと思います。

4-2-4.防音などに弱い物件も

木造住宅と比べると、コンクリートの壁は音を通しにくいため防音面では強いと言われています。しかし、ボードと壁紙・クロスが無いために音が反響してしまい、逆にうるさく聞こえてしまうというケースもあります。

壁が薄いと打ちっぱなしでも騒音クレームが飛んでくるので注意が必要です。内見時に声が響くのかどうか、確認してみて下さい。音が響く部屋は周りにも聞こえている可能性が高いです。

「デザイナーズマンション=コンクリート打ちっぱなしの壁」というわけではないですが、壁紙が貼られているデザインだったとしても、気密性や防音性よりもデザインが重視されるため、防音が弱くなってしまう可能性は十分に考えられます。

4-2-5.外に洗濯物を干せない物件も

ベランダの無い物件もありますし、ベランダはついていても景観を損なわないために洗濯物の外干しを禁じている物件もあります。そうなると、浴室乾燥機等で洗濯物を乾かさなければならなかったり、布団などはコインランドリーに持っていくしかなかったり、と何かと不便です。電気代やクリーニング代、コインランドリー代などの出費が嵩む原因にもなります。もちろん、そういうのが好きな人には良いかもしれません。

ただ、個人的には外干しして、太陽の光をたっぷり浴び、カラッと乾いた服を着たい派なので、私と同じような方には向かない物件もありますので十分に注意してください。

5.実際に、デザイナーズマンションに引っ越した3人のトラブル

それではここで、アットリビングが実際に集計したアンケートを元に、実際にデザイナーズマンションで起きたトラブルや失敗談について解説します。

5-1.事例1:エレベーター問題と立地の問題

1つ目の事例は、エレベーターの数が少ない問題と立地によって洗濯物を干しづらいという想いをしたエピソードです。

割と階高のあるデザイナーズマンションだったため、20階建でマンションのエレベーターは2個しかついていないこともあり、自分は階段で上り下りできる場所がよかったということもあり、2階に住んだものの、道路をはさんだ向かいに会社が入ったビルがあったため、洗濯物を干すのがためらわれた。結局、コインランドリーを使う羽目に(弊社アンケートより引用)

20階建てのデザイナーズマンションだったとのこと、各階の部屋数は分かりませんが、もし多かった場合にエレベーターが2つでは確かに心許ないです。この方は2階に住んで居ましたが、向かいにオフィスビルがあったため、洗濯物を干す事が出来ず、ストレスがたまったようです。

デザイナーズマンションの特徴のひとつとして立地も挙げられます。お洒落さを追求したデザイナーズマンションは、建つ場所にも拘りが垣間見られます。立地にも「お洒落」を求めることになるので、都会の一等地やオフィス街のど真ん中など、目立つ場所やアクセスや景観が良い場所を選ぶことが多いです。

それが家賃の高騰や生活のしづらさに繋がっています。利便性が高い所でないと、高い家賃を踏まえて、借りてくれないというのもあります。

5-2.事例2:コンクリ打ちっぱなし、暑さと寒さを経験

2つ目の事例は、デメリットでも言及した「コンクリート打ちっぱなしの夏と冬問題」です。一度、デザイナーズマンションの部屋を契約したことがあり、コンクリートの打ちっぱなしの部屋で、夏は暑く冬は寒いということからとても住みにくく感じた経験がある(弊社アンケートより引用)

そのままですね・・・。

コンクリートの打ちっぱなしは、夏は暑く、冬は寒くなり、住みにくいと、肌身をもって実感された方の生の声でした。多くの方が知っている内容だと思うので、これ以上は何も言いません。

5-3.事例3:左右との防音が脆弱

3つ目の事例は、壁の薄さによる防音の脆さです。デザイナーズでおしゃれであることはよかったが、隣の部屋との壁が薄く、生活音がまるぎこえだった。ベランダからかと思ったが、実際に壁経由で聞こえてきた(弊社アンケートより引用)

「お洒落さ」を追い求めた結果、防音などの機能性にひずみが生じてしまったようです。隣人の生活音が丸聞こえということは、自分の生活音も相手に丸聞こえ、そう思うと、余計にストレスを感じてしまいます。

この手のトラブルに遭いたくない場合、内見時に自分の声が響くのか、キチンと確認し、申し込みを入れた方が良いと思います。担当者に前入居者はなぜ、退去したのかも確認しておくと良いと思います。稀に、騒音が原因で退去したのに教えてくれない担当もいます。その為、自分で現地で確認しないと、損をする可能性があります。

6.デザイナーズマンションを選ぶときの注意点

デザイナーズマンションのメリットやデメリットについて見てきましたが、どうしてもデメリットが目についてしまい「やっぱりやめようかな……」と考えてはいませんか?もちろん、メリットを十二分に享受でき、デメリットをカバーできているデザイナーズマンションも実際に存在しています。

ここからはデザイナーズマンションを選ぶ際に注意したいポイントをまとめました。迷っている人は是非参考にしてください。

6-1.生活した時のシミュレーション現地で必ず行う

これまで書いてきた通り、デザイナーズマンション最大の懸念点は「生活しづらい」かどうかです。実際に生活してみないと分からない、というのは完全に言い訳であり、徹底的に生活をシミュレーションすることで事前にある程度はリスクを回避することが可能です。

コツは、実際に生活した時の流れを脳内シミュレーションすることです。このシミュレーションは内覧の時に実際に必ずやってください。

6-1-1.家具配置について

普通の部屋探しと同じですが、部屋を見て、家具をどこにどう配置するか思い描きます。これにより少し変わった間取りの部屋だと理想的な家具配置ができずに悩むことが出てくるかもしれません。そんな時は同行している担当者に必ず聞いてみてください。何かアドバイスをくれるかもしれません。メージャーを持っていく、写真と撮るなど、他の部屋を同じ対応をしましょう。

6-1-2.収納について

自分の衣服や食器をはじめとするあらゆる「もの」がどれくらいあるのか、どこに何をどうしまうのか、ということを徹底的に考えてください。内見前に資料を見た時点で収納の有無は分かるので担当に収納の有無やサイズは確認して下さい。

6-1-3.1日の流れを想像しながら自分の行動を客観的に考える

家具配置と収納について考えたら、次は朝起きて、何をやるのか、どこで食事を取るのか、ルーティーンでやっていること(ストレッチなど)があればどこでどうやるのか、身支度はどうするのか…、そして、帰宅してからはどんな行動をとるのかです。

このように考えることで、実際にデザイナーズマンションで生活した時に「暮らしやすい」のか「暮らしにくい」のかが見えてきます。

6-2.室温や防音の状態は担当に絶対確認

コンクリートの打ちっぱなしの部屋であっても、そうでなくても、室温や防音の状態については必ず担当者に確認してください。夏はどのくらい暑くなり、冬はどのくらい寒くなるのか、音漏れはするのか、などです。

内覧した日の陽気や季節だけでは1年単位で部屋がどうなるかなど分かりません。これについて、直接口頭で確認するしかないのでよく話を聞いてお部屋の検討材料にしてください。

その辺りが無知な担当が居るので、その場合には会社で確認してもらうのが良いと思います。メールで済むと思います。

6-3.注意点や禁止事項の確認を忘れずに

ベランダに洗濯物を干してはいけない物件があると紹介しましたが、デザイナーズマンションには、景観や雰囲気を守るために住人にあるルールを定めているものもあります。

このルールについても事前に必ず確認してください。後から「聞いてないよ」というのが一番恐ろしい失敗です。例えば、タバコやゴミ出し、部屋の利用に制限があるマンションもあります。こだわりがある分、厳しい場合もあります。

6-4.普段の生活だけでなく、大掃除や友人を呼ぶことも考える

ここまでは自分がマンションや部屋にする場合をイメージして書きましたが、ここでは友人や知り合いが来た場合等について書いていきます。

  • 窓ガラスが非常に大きく大掃除の時にとんでもなく大変な思いをする
  • 浴室がガラス張りだから人を呼んだ時に自分も客人もお風呂に入れない(=気軽に泊められない)
  • 靴置き場が異常に狭く複数の友人を招待した時に靴置き場が無く困った

など、自分1人で暮らす分には不足が無くても、誰かを呼んだ時や、日常生活ではない大掃除やイベントなどの時に不便を感じるというケースもあります。

たまのことであれば、そこまで気にすることは無いのですが、しょっちゅう友人を呼びたいと考えていたり、綺麗好きでいつもピカピカに部屋中を磨いていないと気が済まないというタイプだったり、なんらかの特別な事情がある場合はこの点についてもしっかりと考える必要があります。

6-5.電気・ガス代などの生活費やランニングコストを考える

コンクリートの打ちっぱなしが夏暑く冬寒いという話は何度もしていますが、暑さや寒さをしのぐためにはエアコンをつけっぱなしにすることになります。電気代が気になります。

また、デザインの都合上間接照明がやたら多く、LEDライトではない電球を使用しているためしょっちゅう電球が切れる、ということもあるかもしれません。

他にも、一般的な住宅とは異なる思わぬところで、水道光熱費などのランニングコストがかかる可能性があります。これらの費用についてもしっかりとシミュレーションして家計と相談して決めるようにするのが失敗を回避するコツです。

7.デザイナーズマンションで起きた判例は?

これからデザイナーズマンションの購入を考えている方向けにデザイナーズマンション絡みの裁判の例を1つ紹介します。

平成28年に起きた判例で、端的にまとめると「とても価値のあるデザイナーズマンションで絶対に利益が出るから投資物件として購入すれば賃料で儲けられる」と勧められ、購入した物件が実は詐欺まがいの物件で利益が出ずに投資に失敗したことで訴訟になった、という顛末でした。

この悪徳業者は「デザイナーズマンションだから、高額の家賃を継続的に得られる」などと持ち掛けたそうですが、その金額は何の根拠も無いものでした。他にも将来の物件の価値がどうなるかは不確定なのに「絶対に価値が下がらない」と断言したり「空室になることはない」と言い切ったりして、騙したということでした。

本記事の最初で解説した通り、デザイナーズマンションには明確な定義がなく、「なんとなくお洒落」や「なんとなく高い」や「なんとなく価値がある」というイメージがぼんやりとあるだけです。大切なのは希少性とその目利きです。自身でそれが難しいようなら、経験があり、信用できる専門家にお願いするのが賢く、将来、後悔や損をしないために本当に大切です。

本来、デザイナーズマンションであることは「絶対に」売れる、借り手が見つかる、価値が下がらない、という根拠にはなり得ないのですが、このようにまやかしの言葉で購入や投資を勧めてくる悪徳業者もいます。

売買だけでなく、賃貸も同じリスクがあると言えます。

「デザイナーズだから家賃が高い」と言われてしまうと、なんとなく納得してしまいますが、本当にその家賃が適正かどうか、しっかりと担当者だけでなく、自分の頭で考え、そのエリアの家賃相場を調べたり、デザイナーズマンションの家賃相場を調べたりすることが重要です。

8.どんなデザイナーズマンションならいいのか?

ここまで、トラブル事例や判例なども紹介し、注意点にも言及しました。それでは、一体どんなデザイナーズマンションならば選んで良いのか、失敗例や経験を踏まえ、ポイントを見ていきます。

8-1.暮らしやすいに越したことはない

デザイナーズマンションは、あくまでも「住居」です。住居は生活の拠点となるため、一時的に身を置く場ではなく、身を落ち着ける場でなくてはなりません。

そのため、暮らすことにストレスを感じるような部屋では、やはり問題です。デザインの良さや好みも大切ですが、やはり生活する上での機能性についても合格ラインを出せる物件を選ぶのが賢い選択です(どうやって合格ラインを出すかは、上の「注意点」の「5-1.実際に生活した時のシミュレーションを必ずする」のやり方を実践してください)

8-2.家賃は勿論、あまりお金が掛からない部屋

デザイナーズマンションは割高ですが、そうはいっても家賃は重要です。べらぼうに高い物件に無理して住んでも本当に幸せかどうかは何とも言えません。身の丈に合った費用で住める物件で、かつランニングコストもあまりかからない物件がおすすめです。

判例でも紹介したように「デザイナーズだから」という理由で高い家賃や価格をふっかけてくる業者もいます。中には、比較的家賃が安めのデザイナーズマンションもありますので、自分自身の経済状況とよく相談して決めてください。

8-3.本人が納得していることが最後は重要

デザイナーズマンションについては、良し悪しは本人が決める、と言っても過言ではありません。多少住みにくくても、本人が気に入っているのであれば誰にも文句は言えません。

信じられないぐらい高い家賃でも、本人が幸せに暮らしているのならばそれで良いのです。部屋探しで最も大切なことは本人が絶対的に納得していることです。

ただ、納得するタイミングは、あくまでも住んでからです。住む前に「カッコイイし、お洒落だからこれで納得!!」と言って軽はずみに決めてしまうと、住み始めてから納得できない点がボロボロ出てきます。後悔しないため、内覧時、検討時に懸念点を解消することが本当に重要です。

9.デザイナーズマンションでの一人暮らし、まとめ

さここまでデザイナーズマンションについて徹底解説してきました。結局、デザイナーズマンションはどんな人に向いていると言えるのか、最初に提示したテーマについて筆者なりの考察をまとめます。

9-1.分析を踏まえた上で筆者がデザイナーズマンションをおすすめしたい人

デザイナーズマンションのメリット、デメリット、トラブル事例などを分析して、どんな人におすすめできるのか、どんな人に向いていると言えるのか、考えてみました。

  • とにかくお洒落で個性的な部屋に住みたい!平凡はつまらない!という人
  • 一味違う特別感溢れる部屋に住んで知人友人などに自慢してみたい人
  • クリエイティブな仕事や趣味を持っていて日常生活からもインスピレーションを得たい人
  • 所帯じみた生活はしたくなく、洗濯は全自動でなるべく生活感を出したくない人
  • お金に余裕がある人(これ、意外と大事です)

こんなところでしょうか。個人的には、デザイナーズマンションは生活重視の人よりもお洒落や個性、非日常、特別感などを重視する人に向いていると言えます。立地も生活感の無い所にありがちです・・・。

職種や趣味、生き方などで見ると、クリエイティブな活動をしている人に向いています。デザイナーズマンションは感性や感覚を研ぎ澄ましてくれる効果があるので、良い影響を受けられます。

9-2.どんなデザイナーズマンションなら住んでいいか?

最後に、どんなデザイナーズマンションならば住んでいいのかという点ですが、これは前述の通り、一言で言えば「本人が納得していればOK」ということになります。できれば、ということであれば、

  • 生活しやすい物件がベター
  • 家賃やランニングコストがなるべく抑えられるとベター

となりますが、いずれも「ベター」であって「マスト」ではありません。ただ、一番大事なのが「本人が納得していること」なので、生活しにくいならば納得できない、家賃が高いのはちょっと…と思っているのであれば、重視するポイントとして掲げてください。

デザイナーズマンションは、他の物件と比べて少し特殊で希少です。その為、良い物件かどうかは本人が決めることになります。しかし、ただ憧れの気持ちだけで賃借を決めてしまうと後で失敗したと悔やむことになるかもしれません。その為、検討する時は十分気をつけて、本記事の「注意点」を参考にしてください。デザイナーズ同様、価格が高騰しているリノベーション物件について、部屋内だけでなく、建物や管理組合の収支報告書を確認して、進めて下さい。この辺りは失敗例と共にこちらのページにまとめてきました。

>>ブームになった半地下の部屋について、判例や失敗談を基に注意点やメリット・デメリットをこちらのページにまとめました。部屋探しが2回以下の方や一人暮らしをはじめる方は特に。

最後に、自宅に居る時間が増え、マンション内でのトラブルが増えています。特に、ゴミ問題は相談が増えており、相楽と司法書士の西門の二人で、マンション内で起こったゴミ問題に関して、判例を踏まえ、賢い対策をこちらのページにまとめました。

念のため、同じマンション内で最近よく起き、相談が来るものとして、隣人の孤独死について、その対処方法をまとめました。特定の保険が使えるようですが、実際どうなのか?管理会社に損害賠償などは出来るのか?事故物件としての告知義務について、こちらのページにまとめました。また、部屋探しをする時に、敷金、礼金、手数料などの初期費用を下げたいと思います。スマホで検索する時、初めからその条件を入れてしまうと、どれくらい募集事例が減ってしまうか知ってますか?店舗で相談する時もどの条件から初めにお願いするか、考えないと引っ越し貧乏になりかねません。

今後もあなたの大切な人生と平穏が守られますよう、4,600件を超える引っ越しの失敗談を基に住まいの問題解決のトップランナーとして、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法を建築士さんにレクチャーしてもらいました。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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