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こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の管理や住まいのトラブル解消を担当している不動産鑑定士補兼管理業務主任者の相樂です。今回は司法書士の西門と共にマンションのごみ問題について、これまでの経験と判例を基に対策を考えました。
2020年の緊急事態宣言発出以降、自宅で過ごす時間が長くなるとともにゴミの排出量も増えています。と、同時に私たちが行っているマンション管理業務では「ゴミ出しルールが守られない奴がいる」、「共用部分やベランダにゴミを放置しているのが目立つ」等の相談事例が目立つようになりました。
集合住宅でのゴミの処理や排出に関するトラブルは誰にとっても無縁ではありません。本記事で解説する「万一の際の相談先」や「具体的な解決方法」は被害が起きたときに拡大を防ぐばかりでなく、自分自身が加害者にならないための防衛策にもなります。
隣人を含めた騒音トラブルに関する告知義務違反についての解説はこちらをご覧ください。また、『マンション内でのタバコに関するトラブル』を司法書士の西門と一緒にまとめました。2020年以降急速に増えた問題なので、一人で悩んでいる場合には読んでみて下さい。
1.マンションのごみ問題とは
ひと口に「ゴミ問題」と言っても、その具体的な状況はさまざまです。まずは、「ゴミ出しマナーを巡る問題」と「ゴミ屋敷問題」の2種類に分類し、トラブルの事例を紹介します。
1-1.ゴミ出しマナーの問題
マンション生活でゴミ問題として挙げられることが多いのは、マンションで決められたルールを守らない住人によるトラブルや不法投棄です。具体的には、下記のようなものが挙げられます。
【ゴミ問題の例①】ゴミ出しマナーによるもの
- ゴミを分別しない
- ゴミの排出場所を守らない(ゴミステーションの外やその他の共用部分に放置する)
- 自室のベランダや玄関前にゴミを放置する
- 粗大ゴミ処理の手配をせず、通常のゴミと同じように投棄する
- マンション住人専用のゴミ捨て場を部外者が利用する
- 事業系ゴミを家庭ゴミの収集場所に排出する
1-2.ゴミを室内に溜め込む「ゴミ屋敷」問題
想像以上に多いのが、マンション内の住人が自室にゴミを溜め込んでしまう「ゴミ屋敷」の発生です。先日も入居直後に気づいた、隣のベランダがゴミだらけで虫と匂いが酷く、当初から知っていた管理会社や客付け会社に告知義務違反で損害を賠償出来ないかという相談がありました。特に、夏場は被害が拡大します。
環境省のアンケート調査でも、回答した1,741市区町村のうち594市区町村(34.2%)がゴミ屋敷事案を認識しており、私たちの経験通り、発生件数は決して少なくないと考えられます。
>>一人暮らし向けのお部屋を探している女性から質問された『隣人トラブルを効果的に避ける方法』についてはこちらのページにまとめておきました。実際にあった内容を基に、参考になるようにまとめているので、これから引っ越しを考えている方の役にやつと思います。
2.ごみ問題を放置するとどうなるのか
マンションのゴミ問題の多くは直接害のないものであり、住民・管理会社・管理組合共に対策強化を意識しない場合が多くあります。しかし、いつまでも放っておくのは考えものです。なぜなら、下記のように、生活品質の悪化から物件価値の低下へと遅かれ早かれ問題が拡大していくからです。
2-1.悪臭問題への発展
生活ゴミが長らく放置されていると、当然腐敗して臭気が発生します。臭いがゴミの排出場所に留まっていればまだしも、共有部分に侵入するのは大いに問題です。マンション各室と窓とゴミステーション(あるいはゴミが放置されている場所)の位置関係によっては「臭いが侵入するため換気できない」、「洗濯物を干せない」などの問題に発展します。
2-2.害虫・害獣の発生
ゴミから直接生じる問題は、臭いばかりではありません。場所によってはねずみや猫、カラスなどに荒らされ、やがて害虫まで発生するようになります。こうした被害は、ゴミがある場所に留まらないのが常です。
害獣により共有部分のみならず、各室のバルコニーまで糞害に遭ったり、害虫が排水溝などを経由して室内に侵入するようになったりする可能性があります。
2-3.ゴミ処理費用や駆除費の負担
ゴミ問題の原因となっている住人が改善努力をしない場合、粗大ゴミの撤去、生活ゴミの回収、清掃、害虫駆除などを適宜実施して生活品質の低下を防がなくてはなりません。これらの費用は、結果的に「マンション管理費」として被害者である住人が負担することになります。
>>引っ越し後に分かった「隣人トラブル」の告知義務違反、不動産会社やオーナーに再度の引っ越しの損害賠償の請求は可否を弁護士に記事にしてもらいました。
2-4.マンション価格の下落
生活環境の悪化だけでなく、毎月の費用が上がってしまう結果、分譲マンションの購入者にとって最も深刻なのは資産価値の低下です。不動産の売却価格には、立地条件や構造などだけでなく「現地の状況」も反映されます。特に、リフォーム前提で購入する不動産業者と比べ、住宅ローンを使って購入する個人の方に売却する場合、マンションや戸建ての場合、外見・内見の見た目は売却価格に大きな影響を与えます。
他にも、売却仲介業者による現地調査時にゴミ問題の弊害(悪臭や景観悪化など)があれば、告知事項として契約書や重要事項説明書に記載し、問題物件扱いとなり、買い手探しが難航し、やっと見つかっても値下げ交渉で不利になってしまいます。
解決の最終手段として、住み替えを検討する場合でも、まずはある程度までマンション全体として、ゴミ問題を解決しなくてはなりません。組合や管理会社がキチンと動いてくれるのか?それとも、注意・勧告の張り紙だけで終わってしまうのかで資産価値が大きく変わってしまうため、問題を提起し、一つ一つ対処していくのが肝心です。
3.マンションのごみ問題の対処方法
相談を受け、実際に調査してみて分かったことですが、ゴミ問題を起こす住民に必ずしも悪意があるとは限りません。起きてしまったマンション内の問題は管理会社や市区町村の清掃事務所にお願いし、穏やかな注意から対処を始めます。ゴミステーション向けに曜日の分かる物やゴミの投棄禁止のプレートをもらえる事があります。
それでもすぐに改善出来ない場合、悪臭や景観悪化へのトラブル拡大を防ぐための措置も必要になります。何度警告をしても治らない場合、最終手段として交渉・調停・訴訟などの法的措置が考えられます。
3-1.ゴミ出しマナーに関する注意喚起
まず着手するのは、掲示板などを使ったマンション住人全体への注意喚起です。分別方法や排出場所を分かりやすく併記しておくことで、すぐに改善される可能性があります。なお、それでも改善されない場合、問題を起こす住人に強く改善を求めるため、個別の手段を講じる必要があります。
【一例】ゴミ問題対処の例
- ゴミ集積場に監視カメラを設置する
- マナー違反のゴミの情報を掲示し、排出者に対処を促す
- 問題の住民に通知文を送付し、改善を促す
- 現地に張り付き、犯人を探し出し、その場で指導・・・
3-2.清掃・施錠・害獣除けの徹底
住人への注意喚起以外のアプローチとしては、ゴミを排出する場所の清掃をこまめに行い、整理整頓を徹底する方法があり、実は最も効果的です。害獣にゴミを荒らされる場合はネット等などの防止策も必要になります。アマゾンでゴミ用のネットを検索すれば、出てきます。都心など、人が多く集まる場所はゴミネットがないと、弁当箱を含め、朝散らかされている事がよくあります。
また、「マンション外の住人が勝手に捨てに来る」などの不法投棄トラブルはゴミステーションの形状を見直し、施錠できる密閉型のものに変え、住人に鍵や開け方を通知する対処が有効です。
3-3.法的措置を取る
どうしてもマンション生活でのゴミ問題を解決できない場合、最終的には法的対処(損害賠償請求やゴミ排出の差止請求)をせざるを得ません。なお、判例では主張が認容されるのは、被害が「受忍限度」(社会生活を営む上で我慢すべきと考えられる程度)を超えている場合とされています。また、管理組合や賃貸人側では、下記のように法令等を根拠とした対応がとれます。
3-3-1.分譲マンションでとれる法的対処
争点になるのは、ゴミトラブルの原因が「共同の利益に反する行為」(区分所有法第6条1項)にあたるかどうかです。該当する場合は、行為停止と必要な予防措置(第57条)、専有部分の使用禁止(第58条)、区分所有権および敷地利用権の競売(第59条)、使用または収益を目的とする契約の解除と専有部分の引き渡し(第60条)を状況に応じて請求できます。
3-3-2.賃貸マンションでとれる法的措置
争点になるのは、ゴミトラブルが賃借人の「用法遵守義務」(定められた用法に従って使用または収益する義務)に反しているかです。義務に違反している場合は、大家から債務不履行また不法行為による損害賠償請求を実施してもらえます。また、問題の賃借人に退去してほしい場合、大家との「信頼関係の破綻」が認められることが条件となります。
3-4.ごみトラブルの判例
先述の「受忍限度」の考え方や具体的な判断基準については、下記の判例で示されています。これによると、①被害の程度を客観的なデータ(臭気測定結果や現場の写真など)として示せているかどうか、②立地等の条件等から見てトラブルの原因となった行動にどの程度合理性があるかが、解決の要となってします。
【判例1】アパートに隣接するゴミ集積場所への排出差止めを求めたケース(大分地裁判決平成20年12月12日)
賃貸アパートの所有者が原告となり、アパート周辺の住民に対してゴミの排出をやめるよう請求した事件です。争いの原因となったゴミ集積場所はアパート隣接の道路上にあり、賃借人からは不潔な景観や悪臭に関するクレームが繰り返されていました。
本事案では、一般論として「受忍限度を超える被害を受けている場合には、所有権に基づき、一般廃棄物の排出の差止めを求めることもできる」と示されています。その上で「悪臭に客観的なデータがない」「建物等の配置を考慮するとゴミ集積場になることには合理性がある」などを理由に、被害は受忍限度を超えていないと結論づけられ、結果として請求は棄却されました。
上記は賃貸物件の事例ですが、分譲マンションでのトラブルにも同様の判断基準が適用されると考えられます。また、他に紹介する判例では、③問題の人物がどんな予防策をとっているか、④訴訟に発展するまでに十分注意喚起を行っているかが、請求認容の基準になっています。
【判例2】景観悪化を理由にゴミ等の撤去を求めたケース(東京地裁判決平成30年3月29日)
マンション管理組合の理事長が原告となり、区分所有者から建物を賃借している飲食店経営者に対して「前庭へゴミ・ゴミ箱等を置くことの禁止」を含む物品撤去等を請求した事件です。
ゴミの設置に関して、原告は「前庭部分の使用細則に反して美観を損ねている」と主張しましたが、設置する際の配慮(1箇所にまとめてビニールシートで覆う)から「美観を損なうと評価できるものではない」と判断されました。結果、建築確認を取らずに設置している物品の撤去請求以外は棄却されています。
【判例3】ゴミ屋敷の住民と賃貸借契約を解除しようとしたケース(東京地裁判決平成10年6月26日)
共同住宅の賃貸人が原告となり、社会常識の範囲をはるかに超える大量のゴミを室内に放置する賃借人に対し、建物明渡しと損害賠償(契約解除の通知後から明け渡しまでの賃料額相当分)を求めた事件です。
本件では、一般論として「頼関係を基礎とする継続的な賃貸借契約の性質上、貸室内におけるゴミ放置状態が多少不潔であるからといって、そのことが直ちに賃貸借契約の解除事由を構成するということはできない」と示されています。
その上で、ゴミの片づけを契約更新の条件とするなど「賃貸人が再三注意していた事実」が重視され、賃貸借契約に違反したとして契約解除は有効と判断されました。結果、請求は全面的に認められています。
4.マンション内のゴミ問題で悩んでいる時の相談先
マンション内でゴミ問題が発生した時は、初動で管理者や大家に相談するのが基本です。それでも解決できない場合や、マンション外の住人や商店が原因になっているケースでは、行政・士業・警察などに相談できます。
ただし、どの相談先も対応できる内容や範囲に限界があり、確実に問題解決できるとは言えません。
>>『マンション内の異臭や悪臭トラブル』に関して、司法書士の西門と話した内容を判例や現実的な解決方法についてこちらのページにまとめておきました。家にいる時間が増え、圧倒的にトラブルが増えています。自分ではどうして良いか分からない場合など、参考にしてみて下さい。
4-1.管理者や大家に相談する場合
マンション住民への注意喚起や是正勧告、ゴミ捨て場の改良、監視カメラの設置などの対策は、管理者や大家が行うべきものです。分譲マンションの場合、管理会社から住人(=区分所有者)で組成される管理組合へと働きかけてもらうことで、使用細則に違反する者への是正勧告や法的措置をとってもらえます。
ただし、管理サイドと問題意識を共有できるとは限りません。「状況を把握しているはずなのに注意喚起以上の有効策をとってもらえない」といったケースも多くみられます。また、隣人との人間関係が希薄になりがちな昨今では、管理組合がほとんど機能していないマンションも稀ではありません。
4-2.役所や地域包括支援センターで相談する場合
行政が設けるゴミ問題の相談窓口としては、市区町村役場の保険福祉課・地域包括支援センター・環境局の情報受付窓口の3つが挙げられます。注意したいのは、いずれも対応できる内容が限られている点です。
4-2-1.市区町村役場の保険福祉課
自治体の条例に違反しているケースの対応や、以降で紹介する別の相談先の案内を行う窓口です。なお、相談内容によっては「まず管理会社や大家に状況を伝えてほしい」と差し戻される可能性がある上、民間の相談先(士業・調査会社・不動産会社など)は基本的に紹介してもらえません。
4-2-2.地域包括支援センター
ゴミトラブルの原因が障害者や高齢者である場合のみ、本人へ自立支援を行う形で対処してもらえます。特定の住人が独居生活のまま認知症やメンタルヘルスの不調を抱え、これら原因でゴミ排出に支障が出ているケースは、行政支援を受けるべき典型的なものです。
4-2-3.環境局の情報受付窓口(リンク)
ゴミ問題を起こす住人が廃棄物処理法に違反している疑いがある場合、本窓口が通報先となります。相談できる問題の具体例としては、野焼き、産業廃棄物の無断事業外保管、その他「廃棄物をみだりに投棄した」と認められる場合などが挙げられます(法第25条1項・第26条・第27条の2・第29条・第30条・第32条・第33条に懲役または罰金の規定あり)。
「ゴミ屋敷」問題に関しては、近年になって片付け条例を制定する自治体が増えています(最新の制定状況は地方自治研究機構公式サイト等で確認可能)。以前は役場に対応を断られたケースでも、改めて相談すると何らかのアクションをとってくれるかもしれません。
4-3.士業に相談する場合
ゴミ問題について法的対処を検討しているケースでは、弁護士・司法書士・行政書士といった専門職が相談先となります。なお、事前調査(登記事項や住民登録などに関するもの)だけ任せたい場合を除き、弁護士を相談先として訴訟対応まで任せるケースが大半です。
よくあるのは「士業は万能だからどんな状況でも解決できる」という誤解です。
一般的に、弁護士などの法曹家の仕事は、机上に情報(相手の氏名住所・問題の経緯・発生原因など)が揃っている状態でないと遂行できません。現地での情報収集は専門外であり、依頼者自身で調べるか別途調査機関を当たるのが原則です。また、ゴミトラブルを認識した段階ですぐ士業に委ねてしまうと、相手が反発するなどして解決が長期化する恐れがあります。
4-4.警察に相談する場合
悪質なゴミトラブルは、警察相談専用電話(#9110)で相談できます。ただし、対処が期待できるのは、外部からの不法投棄(廃棄物処理法違反)や明らかに嫌がらせと考えられるケースのみです。立ち合いが必要になりますが、個人的におすすめです。
それ以外、警察は「民事不介入」の姿勢を保っており、当事者で話し合うか、裁判上の手続きをすることで解決できるようなケースは、基本的に対処してもらえません。
5.ごみのルールについて自力で注意を促すデメリット
マンション生活で発生するゴミの問題は、一般的に有効とされる対策をとっても解決できないものが多くあります。また、対応方法に少しでも間違いがあれば、状況をかえって深刻化させてしまいます。以上の点から、ネットや書籍を元に自力で対処するのはおすすめできません。犯人からの嫌がらせや仕返しも怖いので・・・。
ゴミのマナーや問題について、自力で解決を図るデメリットとしては、具体的には下記の3点が挙げられます。
5-1.住人特定や証拠確保が難しい
対処前のゴミ問題は、問題の住人を特定できていない場合がほとんどです。深夜や早朝にゴミ出しが行われている場合、現場を押さえるのは困難でしょう。また、ゴミの中身を確認しても法的な問題(財産権やプライバシー権の侵害)は起こりませんが、かえって被害者が要注意人物扱いされてしまう恐れがあります。
法的措置で解決の決め手となる「被害の程度を示すデータ」に関しては、さらに困難です。専用の機材や調査関連の資格保有者
ゴミ問題の住人特定に関しては、必ず管理会社や管理人に協力してもらうか、一定の規律のもとで調査する専門業者に依頼するのが無難です。
5-2.問題解決に取り組んでくれるとは限らない
また、せっかく改善要望を出しても、管理会社や住人が真剣に取り組んでくれるとは限りません。いったんは改善や対策を約束してくれても、時間が経つとまたマナーが悪化して元通りになってしまうケースが多々見られます。
特に「ゴミ屋敷」の問題では、入居者の性格や認知機能が原因になっていることが多く、そもそもクレームの内容を理解してくれるかが心配です。
マンション生活でのゴミ問題を確実に解決するなら、事前の背景調査と論点整理に加え、個別に対策の見極めが必要になります。こうした対処は、トラブル事例に詳しい業者だからこそ可能になります。
5-3.仕返しされる可能性がある
ゴミ問題への自力対処で陥る最悪のケースは、逆恨みされて報復を受けてしまうものです。故意に騒音を出す、玄関などの共有部分に接している場所にいたずらされる等の被害を受け、被害者側が無理にでも退去せざるを得ない状況になる場合が少なからず見られます。
過去にあった例ではポストにゴミを入れる、自転車のサドルを切る等があり、特定されるようなやり方で注意や改善を促すのは本当にやめた方が良いと思います。結果的に、対処にあたっては、住民同士の人間関係を壊さないよう、第三者かつ専門性の高い人物に依頼するのがベストです。
>>実際にマンションのトラブルを経験した3名の方にインタビューし、具体的な解決策を議論したページはこちらです。
6.「マンションのごみ問題」を不動産会社に相談するメリット
マンション生活で起きるごみ問題はルール周知や改善要望だけは解決が期待できるとは言えません。マナーや法令を守らないごみ処理の結果として「実際にどんな弊害が起きているか」を評価する必要があります。また、隣人同士の関係が気まずくならないよう、出来るだけ穏便に対処しなければなりません。
以上の点に関して、隣人トラブル対処業者としての不動産会社には、以下のようなメリットがあります。
【悪臭・異臭問題を不動産会社に相談するメリット】
- 図面確認や現地調査などを通じ、正確に実情を把握できる
- ゴミ処理関連法など対処の根拠法に通じている
- 調査会社紹介などを含め、個別具体的な解決策を提案できる
- 他の住民やトラブル相手に知られないよう対処できる
最大のメリットと言えるのは、希望に応じて被害住民の情報を伏せたまま対処(文書送付など)が行える点です。士業でも同様の対処は出来ますが、必ず委任者として情報公開されてしまうため、仕返しを受ける可能性が高くなってしまうのが難点です。
他にも、隣人トラブル対処に長けた不動産会社では、ごみ問題の弊害にあたって当座の対応(専有部分管理のアドバイスや清掃業者の紹介)も案内できます。
7.マンションでのごみ問題と解決方法まとめ
マンション生活で起きるごみ問題を放置していると、悪臭や害虫発生、ひいては物件価値の低下とのように被害が拡大します。管理会社や大家に依頼し、早急に注意喚起などの対応を取ってもらわなくてはなりません。併せて、訴訟などの法的手段を意識し、下記のようなポイントを押さえながら情報収集する必要があります。
- 被害の程度を客観的なデータ(臭気測定結果や現場の写真など)として示せているかどうか
- 立地等の条件等から見てトラブルの原因となった行動にどの程度合理性があるか
- 問題の人物がどんな予防策をとっているか
- 訴訟に発展するまでに十分注意喚起を行っているか
また、期待できる効果や報復の可能性を考えると、住人に直接訴えるなどの自力対処は極力控えるべきです。第三者的な立場で相談対応してくれる窓口として、市区町村役場・士業・警察などが挙げられますが、いずれも対処できる範囲には限界があります。
実情にあった解決策を提案できる窓口としておすすめできるのは、事故物件トラブルや引っ越しサポートなどに精通した不動産の管理会社です。特に「これ以上住み心地を悪くしたくない」、「なるべく周りに知られないよう、バレずに対処してほしい」といった要望がある場合、是非ともお近くの不動産管理のプロに相談してみて下さい。
念のため、同じマンション内で最近よく起き、相談が来るものとして、隣人の孤独死について、その対処方法をまとめました。特定の保険が使えるようですが、実際どうなのか?管理会社に損害賠償などは出来るのか?事故物件としての告知義務について、こちらのページにまとめました。
また、部屋探しをする時に、敷金、礼金、手数料などの初期費用を下げたいと思います。スマホで検索する時、初めからその条件を入れてしまうと、どれくらい募集事例が減ってしまうか知ってますか?店舗で相談する時もどの条件から初めにお願いするか、考えないと引っ越し貧乏になりかねません。
今後もあなたの大切な人生と平穏が守られますよう、4,600件を超える引っ越しの失敗談を基に住まいの問題解決のトップランナーとして、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法を建築士さんにレクチャーしてもらいました。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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