相続した不動産、賃貸か売却か?迷ったときの判断に必要な3つと事例

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相続した不動産、賃貸か売却か?迷ったときの判断に必要な3つと事例

作業中の相楽

相続した不動産をどう扱うべきか、多くの人が賃貸に出すべきか、売却すべきかで迷う方が多いです。

それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあり、家族の状況や将来の資産計画によって最適な選択が異なります。

本記事では、相続した不動産を賃貸にする場合と売却する場合のメリット・デメリットを徹底比較します。

賃貸運用を選んだ場合の収益シミュレーションや、賃貸に伴う管理費用の考慮、逆に売却する際の市場価格や税務上のメリット、売却後の資金活用方法など、具体的な事例や計算例を交えて解説します。

また、各選択肢を選んだ際のリスクや手続きの流れについても詳しく説明し、どちらの方法が家族にとって有利か判断するためのヒントを提供します。

プロならではの知識や過去の事例を活かして、ベストな判断ができるように、わかりやすく正確な情報をお届けします!

1.相続不動産をどう活用するべきか?賃貸と売却の選択肢とは

物件の外観

相続したマンションを賃貸に出せば、安定的な収入を得ることができる一方で、所有者としての責任や税金の負担も伴います。

また、所有している間の手間もあります。

一方、売却すれば一時的な収入を得ることができますが、譲渡所得税や売却にかかる手数料など、コストも考慮する必要があります。

ここでは、相続不動産の賃貸と売却それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説し、家族の将来に合った選択肢の見極め方についてアドバイスします。

1-1.相続不動産を賃貸に出すメリットとデメリット

相続したマンションを賃貸に出すメリットは、何といっても安定的な収入を得られることです。

家賃収入があれば、ローンの返済や生活費、そして、相続税の支払いにも充てることができます。

また、資産を手放さずに運用できるため、場所によっては将来的な不動産価値の上昇も期待できます。

一方で、デメリットとしては、所有者としての責任や管理の手間が挙げられます。

入居者とのトラブル対応や建物の修繕、維持管理などは所有者の負担となります。

さらに、家賃収入には所得税がかかるため、収支計算や申告の手続きも必要です。

固定資産税や都市計画税なども毎年支払う必要があるため、トータルでの収支を見極めることが重要です。

1-2.不動産を売却するメリットとデメリット

相続したマンションを売却するメリットは、現金化でき、現金が一括で入ってくることです。

そのため、売却代金は相続税の納税資金や他の投資に回すことができます。

例えば、老朽化が進んだマンションの場合、修繕費用がかさむことが予想されるため、早期の売却が得策となるケースもあります。

一方で、デメリットとしては、譲渡所得税や売却にかかる諸費用が挙げられます。

売却価格から取得費用や譲渡費用を差し引いた額に対して、譲渡所得税が課税されます。

仲介手数料や印紙代、登記費用なども必要となるため、手取り額を試算しておくことが欠かせません。

また、優良物件であれば将来的な価値上昇が見込めるため、安易な売却は避けるべきでしょう。

1-3.家族の将来に合った選択肢の見極め方

相続不動産の活用方法は、相続人の状況や将来設計によって変わってきます。

以下の点を考慮しながら、家族で話し合って決めていくことが大切だと思います。

  • 現在の収入や資産状況
  • 相続税の納税資金の有無
  • 将来的な資金需要(子供の教育費など)
  • マンションの老朽化の度合い
  • 管理や運用にかけられる時間と労力

賃貸経営には一定のリスクや手間がつきものですが、個人的には、適切に管理すれば長期的な収益が期待できます。

一方、売却は一時的な現金化には有効ですが、タイミングを逃すと資産価値が下がるおそれもあります。

2.賃貸運用と売却を決める際の重要な判断基準

相続したマンションを賃貸に出すか売却するかを判断する際には、いくつかの重要な基準を考慮する必要があります。

賃貸運用では、収益性と管理コストを見極めることが肝要です。一方、売却の場合は、不動産市場の動向や譲渡所得税の影響を考慮しなければなりません。

2-1.賃貸運用の収益シミュレーション

賃貸運用で得られる収益を予測するには、まず家賃収入から必要経費を差し引いて利益を算出します。必要経費には管理費や修繕費、減価償却費などが含まれます。

例えば、月額家賃が10万円のマンションで、年間の必要経費が50万円だとします。この場合、年間の利益は70万円(10万円×12ヶ月-50万円)となります。

ただし、空室リスクや賃借人とのトラブルなども考慮する必要があります。

長期的な収益性を見極めるためには、複数のシナリオを想定したシミュレーションが不可欠です。

2-2.賃貸に出す際の管理費用やリスク

賃貸運用では、管理費用や各種リスクも考慮しなければなりません。管理費用には、清掃費や修繕費、管理会社への委託費などが含まれます。

また、賃借人とのトラブルや滞納、物件の老朽化による修繕費の増加など、様々なリスクがあります。

これらのリスクに備えるために、十分な資金準備と適切な保険加入が必要です。

さらに、賃貸管理には意外と手間と時間がかかります。

自己管理する場合は、賃借人対応や物件管理に労力を割く必要があります。管理会社に委託する場合は、その分の費用が発生します。

2-3.売却価格と譲渡所得税の影響

売却する場合は、売却価格と譲渡所得税の影響を考慮する必要があります。売却価格は、不動産市場の動向や物件の立地、築年数などによって大きく左右されます。

また、売却益に対しては譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は、売却価格から取得費用や譲渡費用を差し引いた額に対して課税されます。

ただし、相続税の納税資金を確保するために売却する場合など、一定の要件を満たせば税負担を軽減できる特例があります。

売却時の税負担を最小限に抑えるためには、税理士など専門家との相談が不可欠です。

3.賃貸を選ぶ場合に考慮すべきポイント

内見の様子

賃貸経営には様々な業務や注意点があるため、事前の準備と知識が不可欠です。続いては、賃貸として貸し出すことを選択するにあたって考慮すべきポイントを説明します。

3-1.賃貸にする前に知っておくべき管理業務

マンションを賃貸に出す際、オーナーには入居者募集、契約手続き、家賃の回収、設備の維持・修繕など、様々な管理業務が発生します。

これらの業務を自身で行うのか、管理会社に委託するのかを検討する必要があります。

自己管理の場合、手間はかかりますが管理コストを抑えられるというメリットがあります。

一方、管理会社に委託すれば、専門的なノウハウを活用でき、トラブル対応も任せられます。

ただ、管理手数料が発生するため収益性が下がる点に注意が必要です。

自身の時間的余裕や能力、収益目標を踏まえて、適切な管理方法を選んでください。

3-2.空室リスクを最小限に抑える方法

賃貸経営において、空室は大きな収益減につながるリスク要因です。

空室リスクを最小限に抑えるためには、魅力的な物件づくりと適切な賃料設定が重要となります。

築年数が古い物件の場合、リノベーションを行って設備や内装を更新することで、入居者の関心を高めることができます。

また、近隣の同種物件の賃料相場を調査し、適正な賃料を設定することで、入居者の確保がしやすくなります。

加えて、仲介業者との連携を強化し、積極的な物件の宣伝・広告を行うことも空室対策に有効です。

3-3.賃貸契約のトラブル回避のための注意点

賃貸契約を結ぶ際には、入居者とのトラブルを未然に防ぐための注意が必要です。

契約書の内容は明確かつ詳細に記載し、入居者の義務や禁止事項、家賃の支払い方法などを明示することが重要です。

また、敷金・礼金の取り扱いや、入居者が退去する際の原状回復義務についても、事前に取り決めておくべきでしょう。

トラブルが発生した場合の対処方法として、公的機関の利用や弁護士への相談など、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

円滑なコミュニケーションを心がけ、入居者との良好な関係を維持することがトラブル回避につながります。

4.不動産売却を選ぶ場合の流れと手続き

相続したマンションを売却する場合、適切な手続きを踏むことが重要です。

ここからは、売却手続きの流れと必要書類、不動産市場の調査方法、そして売却後の資金活用戦略について解説します。

4-1.売却手続きの流れと必要書類

マンションの売却手続きは、不動産仲介業者との媒介契約から始まります

売主である相続人は、仲介業者と協力して物件情報を準備し、価格設定や広告戦略を決定します。

売却に必要な書類としては、以下のようなものがあります。

  • 不動産登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 固定資産評価証明書
  • 住宅ローン残高証明書(該当する場合)
  • 管理規約と修繕積立金の残高証明書
  • 相続関連書類(遺産分割協議書、遺言書など)

これらの書類を揃え、物件の広告を開始します。

買主候補が現れた場合、内覧や価格交渉を経て売買契約を結び、物件の引渡しと残代金の受領をもって売却完了となります。

4-2.不動産市場を理解するための調査方法

売却価格の設定や広告戦略を決める上で、不動産市場の動向を把握することが欠かせません

まずは、国土交通省が公表している不動産価格指数や、民間シンクタンクの市場レポートなどを参考にしてください。

また、類似物件の成約事例を調べることで、相場観を養うことができます。

この辺りは、仲介業者の担当者と相談しながら、地域の需要動向や競合物件の状況を分析し、適切な価格設定を目指します。

4-3.売却後の資金を有効活用するための戦略

マンションを売却した後、得られた資金を有効に活用することが大切です。

売却益に対しては譲渡所得税が課されるため、税理士に相談して節税策を検討しましょう。

売却代金の使途としては、以下のような選択肢が考えられます。

活用方法 メリット リスク
新たな不動産投資 安定した収益が期待できる 空室リスクや管理コストがかかる
金融商品への投資 比較的リスクが低い インフレリスクがある
事業資金として活用 自身のビジネスを拡大できる 事業リスクを負う

自身のライフプランや資産状況に合わせて、適切な資金活用方法を選択することが重要です。

必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、長期的な視点で資産形成を図りましょう。

5.賃貸と売却のどちらが有利か?判断のためのシミュレーション

打ち合わせの様子

相続したマンションを賃貸に出すか売却するか、どちらが有利かを判断するには、さまざまな要素を考慮する必要があります。

ここでは、賃貸収益と売却収益の比較、選択肢が家族に与える影響、資産運用計画の重要ポイントについて解説します。

5-1.賃貸収益と売却収益の比較

賃貸に出した場合の収益は、家賃収入から必要経費(管理費、修繕費、減価償却費など)を差し引いて算出します。

一方、売却した場合の収益は、売却価格から取得費用(購入時の価格)や譲渡費用(仲介手数料等)を差し引いた額が対象となります。

それぞれの選択肢において、税負担の違いを理解することが重要です。

賃貸に出す場合、不動産収入が発生するため所得税がかかります。

家賃収入が収支を上回る場合、その利益に対して所得税が課税されます。

また、固定資産税や管理費なども自己負担となります。

売却する場合、売却益には『譲渡所得税』が課税されます。

売却時の譲渡所得税率は、不動産の保有期間によって異なります(5年以下は短期譲渡、5年超は長期譲渡)。

ただし、もし相続税の納税資金が確保できない場合、マンションを売却してその利益から納税することも検討の余地があります。

5-2.それぞれの選択肢が家族に与える影響

賃貸か売却かの判断は、家族全体に影響を与えます。

自分で住む場合、相続したマンションを自己居住用として使用すれば、収益は発生しませんが、譲渡所得税や所得税はかかりません。

ただし、固定資産税や都市計画税は毎年支払う義務があります。

空き家にしておく場合でも、固定資産税や維持費がかかるため、税負担が発生します。

賃貸に出せば、不動産収入が得られる一方で、所得税の申告と納税手続きが毎年必要になります。

家族の生活スタイルや将来設計に合わせて、最適な選択を検討しましょう。

5-3.資産運用の計画を立てる際の重要ポイント

相続したマンションの活用方法を決める際は、税金面でのメリット・デメリットを慎重に比較検討することが肝要です。

相続税、固定資産税、所得税、譲渡所得税のすべてを考慮し、賃貸、売却、自宅としての利用など、税負担を軽減できる最善の方法を選ぶことが推奨されます。

また、相続税の負担を軽減できる特例の適用条件を確認することも大切です。

例えば、被相続人が居住していた土地を相続人が引き続き使用する場合など、一定の条件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用可能です。

この特例では、居住用土地は330平方メートル分まで評価額の8割が減額されます。

ただし、特例適用や相続の方法については専門的な知識が必要です。

税理士や不動産の専門家に相談することで、最適な節税対策や納税計画を立てることができるでしょう。

総合的な視点から、ご家族にとって最良の選択を見極めていきましょう。

6.専門家のアドバイスを受けて最適な選択をする方法

相続した不動産の活用方法を決める際、専門家のアドバイスを仰ぐことが非常に重要です。

不動産会社や税理士など、各分野の専門家と連携し、適切なタイミングで相談することで、最適な選択を行うことができます。

信頼できる専門家を見つけるコツも押さえておきましょう。

6-1.不動産会社や税理士との連携方法

相続した不動産の活用を検討する際、不動産会社や税理士との連携が欠かせません。

不動産会社には、物件の現状評価や市場価値の算出、賃貸や売却の手続きなどを依頼することができます。

一方、税理士は相続税の試算や申告、節税対策の提案などを行ってくれます。

これらの専門家と密に連絡を取り合い、各々の見地からアドバイスを得ることで、総合的な判断を下すことが可能になります。

6-2.相談すべきタイミングとチェックポイント

個人的には相続発生後、できるだけ早いタイミングで専門家に相談することをおすすめします。

相続税の申告と納税は、相続開始日から10カ月以内に行う必要があるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。

また、不動産の売却や賃貸を検討する場合も、早めに不動産会社に相談することで、スムーズに手続きを進められます。

相談の際は、以下のポイントを確認してください。

  • 不動産の現状(築年数、設備、修繕履歴など)
  • 賃貸中の場合、賃貸借契約の内容
  • 共同相続人がいる場合、話し合いの状況
  • 相続税の試算額と納税資金の準備状況
  • 不動産の活用方針(自己使用、賃貸、売却など)

これらの情報を整理した上で専門家に相談することで、より具体的で実践的なアドバイスを得ることができるでしょう。

6-3.信頼できる専門家を見つけるコツ

相続した不動産の活用を検討する上で、信頼できる専門家を見つけることが重要です。

不動産会社選びのポイントとしては、以下が挙げられます。

  1. 相続不動産の取り扱い実績が豊富か
  2. 売却や賃貸の実績や成約事例を開示しているか
  3. 担当者の知識や経験、人柄が信頼できるか
  4. アフターフォローの体制が整っているか

一方、税理士選びでは、以下の点に注目しましょう。

  1. 相続税申告の実績が豊富か
  2. 相続税に関する最新の知識を持っているか
  3. 依頼者の状況に合わせた提案ができるか
  4. 報酬体系が明確で納得できるものか

専門家への相談は、相続した不動産の活用方針を決める上で非常に重要なプロセスです。

早い段階から専門家と連携し、適切なアドバイスを得ることで、リスクを最小限に抑えながら、最適な選択を行うことができるでしょう。

7.相続した不動産、賃貸か売却か?迷ったときの判断まとめ

メンバー

相続したマンションを賃貸に出すべきか、売却するべきか?その判断に迷ったとき、考慮すべき3つのポイントと事例をご紹介します。

まず、賃貸と売却それぞれのメリット・デメリットを比較検討することが重要です。

賃貸なら安定的な収入が得られる一方、所有者としての管理の手間やコストがかかります。売却なら現金化できますが、譲渡所得税や仲介手数料などの諸費用が発生します。

次に、ご家族の状況や将来設計に合わせて選択肢を見極めましょう。

老朽化の度合いや修繕費用の予測、相続税の納税資金の有無など、様々な要因を考慮する必要があります。

最後に、専門家のアドバイスを受けて判断することをおすすめします。

税理士や不動産会社と連携し、収益シミュレーションや税務面での節税対策、売却価格の査定など、総合的な視点からアプローチすることが肝要です。

適切な選択をするために、本記事では具体的な計算例や判断基準、各選択肢のリスクや手続きの流れを詳しく解説してきました。

また、信頼できる専門家の選び方や、売却益の有効活用方法についてもアドバイスしています。ご家族にとっても、ご自身にとっても最善の選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。

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参考文献

https://souzoku.asahi.com/article/13315032

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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