1.元金据え置きの基礎知識
元金据え置きの基礎知識、利用パターンについて解説します。
1-1.元金据え置きとは
元金据え置きとは、一定期間元金の支払いをせずに、毎月利息分だけ返済する方法のことを言います。
利用できるのは通常、最大1年間です。
一般的に住宅ローンの返済金は「元金+利息」という構成で成り立っています。
例えば、毎月の返済額が10万円だとしたら「元金:4万円+利息:6万円」などです。
日本の住宅ローンでは「元利均等返済」方式を使うことがほとんどになります。
そのため、支払いを継続すると元金部分が増え、利息部分が減ります。
先ほどの例で言うと、返済開始時は「元金:4万円+利息:6万円」だったものが、「元金6万円+利息:4万円」と逆転し、最終的には「元金:9万円+利息:1万円」のようになっていきます。
「元金:6万円+利息:4万円」のタイミングで元金据え置き交渉が通ると、毎月の返済額が4万円で住むため、少し余裕が出ます。
この間に生活を立て直し、収入を安定させ、再び通常の住宅ローン返済に戻します。
ただし、据え置き期間に元金が減らなかった分、返済額が増えるか、返済期間が長くなるので注意が必要です。
1-2.実は多くの人が利用している元金据え置き
元金据え置きは住宅ローンの支払いが厳しくなった時だけでなく、実は多くの人が利用しています。
例えば、住宅の購入時、契約金、中間金など複数回に分けて支払いが必要な場合です。
金融機関からの住宅ローンの融資も一括でなく、必要なタイミングに必要な金額分だけ融資してもらいます。
全額融資されるまでの期間は元金据え置き払いとし、全額融資されてから元金も含めた住宅ローンの返済が始まるというパターンはかなり多いです。
1-3.なぜ元金据え置きが行われるのか
例えば、人気の新築マンション購入する場合、マンション完成前に契約することが多くあります。
新築マンションが完成する前に住宅ローンの返済が始まると、「住宅ローン+賃貸の家賃」の支払いが必要となり負担が重くなります。
そのため、住宅の購入時に元金据え置きを導入する金融機関が多くあるのです。
このパターンでの元金据え置きも最大1年前後としているところが多いと思いますが、一度確認してみてください。
2.マンション購入時以外に元金据え置きを使えるシーン
マンション購入時以外でも元金据え置きを検討できるシーンがあります。
2-1.引っ越しや家具購入費用に資金を残しておきたい場合
マンション購入時は物件だけでなく、引っ越し費用や家具購入費用など、何かと出費がかさみます。
住宅ローンと自己資金を勘案して、元金据え置きを検討してもいいと思います。
ただし、元金据え置きの利用には条件がありますし、長期的に見れば金利負担が大きくなるため、金融機関とよく相談して欲しいと思います。
2-2.新居の購入から引っ越しまで期間が空く場合
例えば、マンションを購入したけれど、子どもの学校に合わせて3月に引っ越したい、というような場合です。
新居の住宅ローンの支払いと、現在住んでいるマンションの家賃との両方の支払いが続くのは大変なので、元金据え置きを検討すると良いと思います。
明確な理由があれば金融機関も交渉に応じてくれる可能性が高いので、早めに相談してください。
担当 馬場
▶関連用語:リスケジュール・リスケ、住み替えローン、ダブルローン
私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計6,700人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。
同様に、住まいのトラブルに関する最新の裁判判例を弁護士や司法書士と共に理解し、データ化しています。今後もこのようなデータを生かし、トラブルを予防し、より失敗や損失の少ない部屋探しを私たちは提供していきます。
有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、同代表の相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。
2019年は茨城県の戸建てや板橋区の共同住宅などを仲介。同時に、東京渋谷区の民泊や麻布十番のシェアオフィス向けリノベーションやコンバージョン工事を行う。最近は、台風15号や19号に伴う火災保険の申請サポートやその後の改修工事を積極的に行う。
保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー
馬場 紘司
株式会社リビングイン 共同代表
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