競売とは異なる自宅の任意売却とは?そのメリットやデメリットは?

1.任意売却についての基礎知識

相楽 面談

まずは任意売却について、基本的なことを解説します。

1-1.任意売却とは

任意売却(任売)とは、債権者である金融機関等と合意の上、自宅を売却することです。

住宅ローンの滞納が続くと、債権者は債務を回収するために住宅の差押えを裁判所に申し立てます。

申し立てが裁判所に認められると、自宅は差押えられ、「競売」という強制執行の手続きに入ります。

競売の段階までいくと債務者に選択の自由は与えられず、期限までに家を必ず明け渡さなければなりません。

さらに競売の場合は市場価格の7割程度で取引されるため、自宅を失ってなお、住宅ローン残債を支払う必要があります。

その点、任意売却では市場価格に近い価格で取引でき、取引方法や自宅を引き渡すタイミングなど、債務者がある程度選択することが可能です。

任意売却により住宅ローンが完済できるケースは稀ですが、大きく圧縮することはできるので、その後の生活も立て直しやすいと言えます。

>>任意売却に関する詳しい説明はこちらのページにまとめておきました。

ちなみに、住宅ローンの返済がうまく行かず、自宅の売却を検討する場合、宅地建物取引士がいる不動産会社に相談する必要があります。

自宅の売却や任意売却を行う事が出来るのは、弁護士や司法書士、税理士ではなく、宅地建物取引士です。稀に、弁護士に全てを任せる方がいますが、自宅を売る・任意売却は弁護士には出来ません。

1-2.任意売却を考えるのはどんなタイミングか?

任意売却を考えるタイミングとしては、住宅ローンを滞納してから2〜3ヶ月後。

遅くとも債権者(金融機関)から「期限の利益喪失通知」が送られてきたら、すぐに任意売却を検討した方が良いと思います。

と言うのも、期限の利益喪失通知が届いたら、基本的には住宅ローンを一括で全額返済しなければならないからです。

一括で返済ができない状態で放置していると、自宅は差押えられ、強制的に競売にかけられ、最終的には立ち退くしかありません。

しかし、前項でも解説したように、競売は市場価格の7割程度で取引されることが多いです。

そのため、自宅を失った後も住宅ローン残債が発生するケースが多く、大きな金額の支払い義務が残ってしまいます。

そこで、市場価格に近い金額で売り、少しでも住宅ローンの残債を減らすために任意売却を行なうのです。

1-3.任意売却にかかる費用とは

任意売却では、一般的な不動産売買取引と同じように諸費用がかかります。売買価格の3〜5%程度が目安です。

・仲介手数料:売却金額の3%+6万円+消費税
・抵当権設定登記の解除費用:約1万2,000円

このほか、測量費用、撤去費用等がかかることがあります。

しかし、任意売却に進んだ段階でこれらの費用を用意できるケースは少ないため、債権者の同意を得て売却費用の中から支払う段取りにしてもらうことが多いです。

なお、任意売却に失敗して競売となった場合、競売にかかる諸費用で100万円ほど請求されます。

このように任意売却では、債権者、裁判所、不動産会社、司法書士等、様々な機関と交渉をする必要があります。

そのため、こうした機関との交渉力や実績豊富な不動産会社に任意売却の協力を求めることが非常に重要です。

2.任意売却5つのメリット

破綻解消で家族と過ごす日常

任意売却の5つのメリットは以下の通りです。

2-1.市場価格に近い金額で売却できる

任意売却は一般的な不動産売買取引と同様に行なうため、市場価格に近い金額で売却できます。

競売では市場価格の約7割で売却されることが多いため、競売後も住宅ローン残債が大きくなりがちです。

任意売却であれば住宅ローン残債を圧縮できる可能性が高いので、生活の立て直しをしやすくなると思います。

また住宅ローン残債についても、分割での返済を交渉できるケースが多いです。

2-2.近所や会社等周囲にバレずに進められる

任意売却は通常の不動産売買取引と同じ方法で進めるため、住宅ローンを滞納していることを知られることは基本的にありません(ご自身で話したりしない限り)。

自宅の売却はいずれ知られることとなりますが、「引っ越す事情ができたから」、「高く売れそうだったから」など、滞納とバレないまま進めることが可能です。

一方、競売では競売情報として自宅の情報が一般公開されてしまうため、バレる可能性が高くなります。

ただ競売が始まったとしても、任意売却が決定すれば競売を取り下げて、公開情報を削除してもらうことができます。

2-3.最大30万円の引っ越し費用を賄える可能性がある

任意売却では、債権者との交渉次第で、最大30万円の引っ越し費用を賄えることがあります。

自宅を手放した後の生活の立て直しには、住まいを早く決めて落ち着かせることが大切です。

実際には、敷金・礼金、仲介手数料、火災保険料、保証料、前家賃等を含め30万円では納まらないと思います。

それでも30万円があるかないかでは、選択肢の広さも、金銭的精神的負担も随分違うのではないでしょうか。

また任意売却では、自宅の引き渡し日や引っ越し日の希望も相談できるので、スケジュールも立てやすくなります。

2-4.自由に売却、交渉できる

任意売却は、普通の不動産売買取引のように売主の自由意思で進めることができます。

誰に売るか、いくらくらいで売るかという選択権があります。

もちろん、住宅ローン滞納による任意売却のため、ある程度スケジュールに制限はありますが、全く選択権のない競売に比べると、自由度が高いです。

2-5.リースバック等で家に住み続けられる可能性がある。

任意売却した家は、交渉次第で住み続けられる可能性があります。

「リースバック」がその一つで、自宅を賃貸してもらうことを条件に売却し、家賃を支払う形で住み続けるという方法です。

住まいも環境も変えず、引っ越しもしなくて良いので、心身だけでなく経済的メリットもあります。

外から見ると暮らしは変わらないので、任意売却したこともバレません。

このような方法を逆手に取り、任意売却を離婚時の財産分与で利用する手もあります。

3.任意売却2つのデメリット

老後に生活・ローン破綻

任意売却の2つのデメリットは以下の通りです。

3-1.任意売却後も残債が残る可能性が高い

任意売却で住宅ローンが完済できるケースは少なく、競売よりましとは言え、売却後も残債を返済していく必要があります。

融資額、返済状況にもよりますが、住宅ローンの返済期間が25年を切っているケースでは、残債が残りがちです。

なお残債の返済条件については、再度債権者と相談して決めることになります。

概ね月額1万円〜5万円になることが多いです。

それでも支払えないという場合は、債務整理を考えることになると思います。

3-2.連帯保証人等から同意を得る必要がある

任意売却をしたい住宅のローンを組む際に、連帯保証人等を立てた場合、任意売却の同意を得なければなりません。

夫婦のどちらかが連帯保証人となり、現在も婚姻関係が良好ならば問題ありませんが、そうでない場合は問題となるケースがあります。

また親族等に連帯保証人になってもらった後に、関係がこじれたり、連絡が取れなくなった場合も大変です。

4.任意売却がうまくいかないケースとその回避方法

ローン破綻時の面談

任意売却は住宅ローンの返済に困った時に非常に有効な手段ですが、全てスムーズに進むとは限りません。

関係機関との交渉が難航したり、スケジュール的に間に合わなかったりで、任意売却が成立せず、結局自宅が競売にかけられてしまうことがあります。

その原因として多いのは、以下の3パターンです。

・売却見込額と債権者の求める金額の差が大きい
・債権者が非協力的で交渉が難航する
・仲介不動産会社に交渉力や任意売却の知識が不足している

いずれのパターンでも、仲介不動産会社の力量によっては、任意売却の失敗を回避できる可能性が残されています。

任意売却を検討する際は、任意売却の実績が豊富で、交渉力のある不動産会社をまず探すことが、重要です。

担当 相樂

▶関連用語:住宅ローンにおける「後順位の抵当権者」差押条件見直し親子間売買親族間売買

私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計6,700人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

同様に、住まいのトラブルに関する最新の裁判判例を弁護士や司法書士と共に理解し、データ化しています。今後もこのようなデータを生かし、トラブルを予防し、より失敗や損失の少ない部屋探しを私たちは提供していきます。

有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、同代表の相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。

2019年は茨城県の戸建てや板橋区の共同住宅などを仲介。同時に、東京渋谷区の民泊や麻布十番のシェアオフィス向けリノベーションやコンバージョン工事を行う。最近は、台風15号や19号に伴う火災保険の申請サポートやその後の改修工事を積極的に行う。

保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー

馬場 紘司
株式会社リビングイン 共同代表

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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