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コロナウイルスの影響で有名な俳優や女優の方が命を落としてしまう暗いニュースがあったり、6、7、8、9月と自殺が増えているニュースも流れていました。2008年の経済危機とは異なり、内需産業が痛んでおり、シングルマザーや学生の方が影響を強く受けています。
さらに、川崎市高津区で交際相手に刺され、自宅のマンションで亡くなられる等つらいニュースも流れていました。実際にはこの二人だけでなく、家族、そして、このマンションに住んで居た人全員が被害者です・・・。このように、自殺だけでなく、事件によって事故物件になってしまうケースもあります。
なお、2019年度下期の賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」の「心理的瑕疵物件(事故物件等)による成約賃料の減額割合」は全国で約20~39%減額が4割と最も多かった。心理的瑕疵物件は相場より安く借りれることが分かります。このような状況下で、これまで無用のストレスを抱えないためと、新宿区や渋谷区等の人気エリアの事故物件を見てきて、いよいよ、港区六本木・麻布十番・赤羽橋付近の事故物件を実際に見て、調べました。
ここでは、○○の専門家と考えるシリーズを行ってきて、弁護士の次はいよいよ、建物の専門家である建築士の先生と住んでもいいトラブらない事故物件の選び方について考えていきます。既述の通り、家賃が安くなり、気になっていた事故物件を見極め、賢く活用したい方に向けにこれまでマンション等共同住宅を中心に設計・監督してきた一級建築士による「内見時に絶対確認するポイント」をご紹介していきます。ただ、悪影響はなさそうというだけで実際住んでみないと分からないため、個人的には要らないストレスを日々抱えることになるため、事故物件への入居は家賃などの条件が安くなってもお勧めしていません。
以下のリンクでは、同じマンションの別の部屋で事故があった場合は?自然死の場合は?等どのレベルから告知事項や義務が発生するのか? 事件の内容によって、告知義務となるのか・ならないのか、弁護士さんに判例を使って判断してもらいました。
>>【元弁護士と考える】賃貸マンションの事件・事故、告知義務はどこまで認められる?
1.「事故物件(告知物件)」とは
最初に結論をお話しすると、現時点では多くの人が言う一般的な「事故物件の明確な定義」は決まっていません。 各種法規などにて定められていないということです。 ですから、あくまでも一般的な概念となりますが、「事故物件」は下記に該当する賃貸住宅が対象となります。
・「刑事事件」に該当する事由がある物件(殺人など)
・事件性のない死亡者が発生した物件(自然死、自殺、災害死など)
2.事故物件の「告知期間」について
不動産業者(宅建士)には、事故物件を取り扱う上で事故物件であることの「説明義務」が存在しています。ただし、説明義務が生じる期間(告知期間)には明確な定義がありません。 つまり、それぞれの担当者に任せられています。一般的には、死亡事由が発生した後、「1.5年~2年程度」経過したら告知義務がなくなるといった事例もあれば、新たな入居者(数週間~数か月)が現れた後、問題がなければ、事故物件であることの告知をする必要がなくなるといったケースもあります。
3.事故物件の「メリット」と「デメリット」
近年「事故物件」の需要が増してきているのは、事故物件ならではのメリットが存在しているからです。基本的には多くの人が紹介しても避けますが、一部の人に熱狂的に受けています。特に、男性の一人暮らしは気にしない人が多いです。人それぞれでメリット・デメリットの捉え方(感じ方)は異なりますが、一般的に事故物件の魅力と考えられていること(メリット)及び避けたい理由となっている要素(デメリット)をここからはピックアップしてみたいと思います。
3-1.事故物件のメリットとは!?
事故物件の魅力として考えられているのが下記2つの要素です。
・賃料が破格に安いこと
・生活環境の良い優れた物件が存在していること
一般的な割合としては、事故物件を避けたいと考える人の方が多いもの。賃貸住宅の賃料(家賃)は需要と供給のバランスによって、決まります。ですから、割合的に需要が少ない事故物件では、周辺地域の賃料相場と比較して、賃料がかなり安くなっている場合があります(ただ、近年では需要が増えていることから、値引き率の低い物件も見られるようになっています)
例えば、現在、これまで見てきた麻布十番エリアにおいて、「〇DKのマンション住戸」の賃料相場としては「〇万円/月」となっていますが、〇〇エリア内の同程度規模の事故物件の中には「〇×70%万円/月」の賃料となっている物件が存在しています。
また、賃料相場の基本として「利便性が高く、生活環境に優れた場所」にある賃貸住宅は家賃が高く、逆に「交通の利便性が低く、生活環境に課題のある場所」では、家賃が低く設定されます。
事故物件においては、「利便性が高く、生活環境に優れた場所」なのにも関わらず、家賃が安く設定されているケースが存在することに。事故物件ならではの大きなメリットとなっています。
3-2.事故物件のデメリットとは!?
事故物件のデメリットとして一般的にあげられるのは、
・心理的負荷
・心身への心霊的影響
多くの人にとって共通する要素となるのが前者「心理的負荷」と呼ばれるもので、刑事事件による死亡者が存在した物件ほど心理的負荷(嫌だと感じること)が大きくなる傾向があります。
一方、心身への心霊的な影響は「霊感覚や霊媒体質」及び「電磁波過敏症」などを有する方に限定した要素と考えられます。例えば、霊感覚などを持っていない方にとっては、心霊的な影響は気にする必要ないかもしれません。
4.良質な事故物件の見分け方「6つの内見ポイント」
事故物件(告知物件)には、本当に劣悪な賃貸住宅もあれば、とてもお得で優れた生活環境の賃貸住宅まで、様々な物件が混在しています。ただし、良し悪しの差(住宅品質の格差)が大きいことから、通常の賃貸物件以上に「内見(実際の物件を内覧すること)の重要性」が高まります。ここでは、一級建築士として、考える良質な事故物件(告知物件)を見分けるために最低限押さえておきたい「6つの内見POINT」をご紹介したいと思います。
4-1.「リフォーム(改装)範囲」の確認
事故物件では死亡跡を残さないために部屋のリフォーム(改装)が一般的に行われます。ただ、住宅の築年数や賃貸住宅オーナーの考え方などによって、リフォーム対応にも大きな差が存在。具体的には下記2つの対応に分けられます。
・死亡事件が発生した部屋(死亡者が確認された部屋)の内装のみの部分リフォーム
・住宅設備(WC、浴室)を含めて、すべての部屋の内装を全面リフォーム
※実際には、上記の中間的な対応も存在しています。
私がおすすめする住んで良い事故物件の基本としては、後者の「すべての部屋の内装リフォームが行われている物件」であることを重視しましょう。というのも、死亡者の痕跡には「匂い物質」など目に見えず、全部屋に拡散してしまう要素が存在していますので、全部屋の内装リフォームが行われていることは、大切なチェックポイントとなります。
4-2.「部屋の明るさ」の確認
「直射日光の有無」にはこだわる必要はありませんが、一般的に、すべての部屋の印象として「明るさ」が感じられるかどうかの確認が必須と言えます。なぜなら、事故物件において、解消すべき要素となるのが「心理的負荷」です。
日中なのにも関わらず、「暗さ」を感じるお部屋の場合、無意識的(潜在意識)に心理的負荷が高まってしまいます。 自宅からリモートワーク等行う機会が増えるこれからは自宅にいる時間が増える可能性があり、事故物件だからというよりも、もっと気にした方がいいと思います。
事故物件だからこそ、明るさが感じられるかどうかは大切なチェックポイントになると思います。
4-3.室内の「音の響き感」の確認
霊感覚・霊媒体質の方の場合、最も大切なチェックポイントとなるのが「室内の音の響き感」です。「室内の音が極端に響かない」といった場合は、心霊的影響が残っている可能性があります・・・。
私自身、霊感は強い方ではないですが、内見時にお部屋の中で柏手を打ってみて(手をたたく)、音の響き方を確認してみるといいかと思います。響き方が鈍いお部屋などはいくら便利なところにあってもやめておいた方が良いと思います。ここら辺は個人の判断で契約するか、止めるか決めて下さい。一概に、音が響かない部屋が悪いというわけではありません。
4-4.室内の「温度感」の確認
前項同様に、「お部屋の温度感覚」も確認しておきたい要素のひとつです。 もちろん、季節によって感じ方に違いがあります。しかし、内見時の「屋外」と「室内」との温度差(実際の気温ではなく、あくまでも感覚的なもの)を比較してみて、極端に室内の方が“寒い(冷たい)”と感じるような物件は避けるようにしていただければと思います。
ここまでのまとめとしては、玄関や扉を開けた時に日の光や室内の方が暖かく感じる場合のみ、入居を検討する価値があると思います。
4-5.窓を開けたときの「換気状況(空気の流れ)」の確認
“心理的負荷”を増長させる環境要素のひとつが「室内空気の淀み(よどみ)」です。 物件を実際に内見する時にすべての部屋の窓を同時に開けてみましょう。すべての部屋の窓を開けたのにも関わらず、「空気の流れが感じられない部屋」があった場合には、その物件は避けておきたいものです。
事故物件でなくても、そのような部屋は通気性が悪く、実際に住んでも湿気が高く、窓サッシや壁に結露やカビが発生し、アレルギーや喘息などの原因になり、2年、3年と気持ちよく過ごすことが出来ません。
4-6.「定期借家契約」でない物件を選ぶ
事故物件(告知物件)の中には「定期借家契約」となっている物件が存在しています。定期借家契約というのは、期間を定めた契約のこと。冒頭でも触れていますが、事故物件にて、次の人が入居した場合、それ以降は事故物件の告知をする必要がなくなるケースがあります。
定期借家契約の事故物件は「数か月~数年」にて、期間限定の契約(値引きした家賃契約)とすることで入居事実を作り、事故物件の痕跡を早く無くそうとしている物件の可能性があります。定期借家の期間が半年や1年など極端に短い場合には、紹介してくれた不動産屋の担当者に事故の有無を確認してみて下さい。
もし、事故物件だった場合、定期借家契約にて定めた期間を過ぎると、本来の家賃(料金)に変更される可能性が高いので、避けた方が良い物件となります(割安なメリットがなくなってしまいます)周辺の部屋の家賃相場からどれくらい乖離しているのか?単純な定期借家契約で考えられる以上に乖離が酷い場合には何かあると考え、用心した方がいいと思います。
5.賃貸出来る事故物件の内見ポイントまとめ
事故物件(告知物件)は住宅品質格差が大きいのが特徴です。紹介紙面上やHP上の情報(間取り図、物件情報など)だけでは、とても良し悪しの判断はできません。それでももし、事故物件を敢えて選ぶ場合には、通常の賃貸物件以上にしっかりと物件やお部屋を内見して、「自分自身の五感を通じて感じること」が大切な要素となります。
もちろん、室内だけでなく、周りの環境も良く確認した方が良いと思います。これまで事故物件を見てきた中では、例えば、幹線道路沿いで振動や騒音で酷かったり、隣の建物とすごく近く、妙なプレッシャーがあり、前入居者が自殺などの事故を起こしてしまった可能性も否定できません。下がのぞける形状の建物も過去に何かあった可能性があります。
>>実際に事故物件に遭った3名の方にヒアリンを行いました。告知義務やその対策、隣で事故が起きてしまった時などまとめたページはこちらです。
変な所で躓いて、大切な時間やお金をムダにしない等に気を付けて下さい。もし、心配な時は下記問い合わせやコメント欄に一報をもらえれば、24時間以内に建築士さんや弁護士の先生に確認して、回答させて頂きます。
最後に、国土交通省が事故物件の告知義務について、やっとガイドラインを出したので私たちなりの理解を含め、その内容をこちらのページにまとめておきました。よっぽどのことが無いと、契約後のキャンセルは出来ない部屋探しの経験が少ない人など、慎重に進めて下さい。
また、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ三つの注意点をこちらにまとめておきました。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
【元弁護士と考える】シリーズ、告知義務の必要な事故物件を選ばないための賢い対策他
>>【元弁護士と考える】事故物件を契約する前の告知義務?その確認方法や注意点は?
>>【元弁護士と考える】賃貸契約後に『事故物件』と判明、解約や損害賠償できます?
>>【元弁護士と考える】不動産屋からウソを教えられた時の対応は?
>>【元弁護士と考える】騒音、地震、虫などないと言われたのに、嘘だったら
>>【元弁護士と考える】騒音や悪臭、ナンパ等『隣人トラブル』の対処と引っ越し代は?
その他、事故物件に関する記事はこちらです。
>>麻布十番の事故物件を見に行って、その場で原因分析(その1)
>>麻布十番の事故物件を見に行って、その場で原因分析(その2)
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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