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遠方で、仕事が忙しくても賃貸マンションは実際に内覧すべきか?引越ししたいけれど、忙しくてマンションを探すのが面倒・・・、もうスマホで探して良さそうな部屋に決めてしまえばいいか??なんて思っていませんか?その考え、ちょっと待ってください。
これまで、6,700件を超える部屋探しの後悔を見てきた感想としては、『皆、自分で部屋を見ずに後悔』しています。セールスマンの『大丈夫です。』や彼らの写真や動画はいい所をいい感じに切り取っている可能性が高いと思います。家は快適に暮らし、あなたを人間的に成長するためにとても重要な場所です。特に、自宅にいる時間が長くなった最近は家の大切さが増しています。
また、私たちのお引っ越しの失敗事例を見てみると、「ネットの写真よりも狭かった・・・」、「駅まで徒歩8分と書いてあったけれど、信号が多く、歩いてみたら10分以上かかった」など内覧なしで決めた人の後悔はお部屋を借りる時のあるあるです。
そのため、どんなにお仕事が忙しく、引っ越す先が遠方でも、個人的には『あなたが引っ越しで失敗し、ストレスをムダに抱えたくなかったら、自分の目でお部屋を見て、納得した上で契約してほしい』と思っています。
なぜなら、賃貸マンションにはこうしたこと以上に事前にチェックしなければならないポイントがたくさんあります。極論ですが、ピカピカにリフォームされ、きれいに見えるお部屋が実は自殺や殺人事件の現場で事故物件だったり、日当たりの悪く、窓が一つしかないお部屋が夏はジメジメした部屋になり、元々はカビだらけだった可能性もゼロではありません。
この記事では、1.お部屋探しに内覧がなぜ重要なのか、2.内覧の時にチェックすべきポイントについての解説をこれまで多くの部屋探しやお引っ越しを見てきた経験からご紹介します。
1.物件を決める前に、絶対に内覧すべき理由とは?
今は、ネットで気軽にたくさんの物件を見られる時代です。写真も3DやVRと、鮮明なものが多く、ネットサーフィンをしているだけで気になる物件をいくつも見つけられるという方は少なくないでしょう。
しかし、お部屋の写真は大抵よいところを最もよく見える角度で切り取ったものにすぎません。そのため、実際に行ってみると、なんだか違うなという感じが凄くすると思います。ネット上で期待値が高くなりすぎているため、実際に見た時の落差が大きくなる傾向にあります。
プロが撮影した写真は、広角レンズを使い、加工しなくても実際よりかなり広く見えたり、スマホを使って、だれでも加工ができる時代で、明るく清潔に見せることも可能です。邪魔なものを消すこともできてしまう時代です。
そのため、あなたの目でお部屋を実際に確かめなければ、お部屋の本当の姿は見えてきません。日の当たるお部屋に入った時の感じ方と、北向きの暗い部屋に入った時の感じ方は全く違います。毎日帰ってくるお部屋だからこそ、そして、引っ越しには時間もお金も掛かるからこそ、しっかり現地を確認し、あなたの感覚やライフスタイルに合ったお部屋を選ぶべきと思います。
また、今ある家具を持って引っ越したいという場合は、その部屋に搬入できるかどうか、サイズを確かめることも必要です。引っ越しまでに必要な家具をそろえるにしてもサイズが分からないと購入することはできません。これまでの経験から後でバタバタしたり、何度もお部屋に行くのは時間的にも難しい場合、おすすめは自宅で家具のサイズを測ってメモをしておき、内覧時にメジャーを持参すると具体的な配置や引っ越した時のイメージがつかみやすいと思います。
2.日当たりと騒音をチェック、そして事故物件回避のために質問する
内覧の重要性を前提としておさえたところで、次はお引っ越しで失敗しないために内覧でチェックすべきポイントを3つに分けて見ていきます。これまでの引っ越しの失敗事例を見てきて、男性も女性も内覧でまずチェックすべきなのは以下の通りです。
・日当たり(特に、午前中)
・騒音や振動の有無
・事故物件でないことの確認
2-1.内覧ポイント1.明るいお昼前後に見に行って、現地の日当たりをチェック
毎日、朝出勤して夜自宅に戻るという生活をしていると、日当たり良好な物件のよさは一見分かりにくいかもしれません。しかし、窓が北向きに一カ所のお部屋など、日が入る時間の少なく、結露が溜まり、カビが発生し、咳や肌荒れになりやすくなります。
カビの発生がしやすい空間は、衣服や家具にダメージを与えるだけでなく、家電が湿気で壊れやすくなる、湿った空気を吸って健康被害につながるなど、デメリットしかありません。なお、エアコンのフィルターも1年に一回、又は2年に一回は洗浄した方が良いのはそのためです。
更に、日の当たらない冬場は特に床や壁等お部屋が冷えるため、暖房効率が悪くなったりという見えないマイナスポイントがあるので、なるべく避けた方が良いと思います。日照時間の短い冬場は、日当たりがよくない部屋にいると気分が落ち込み易くなるとも科学的に言われています。
以前、【建築士と考える】で特集した日当たりに関する話にあった通り、朝日を浴びるとホルモンの関係でぐっすり眠れ、翌朝の寝起きがよくなるというライフハックもありますし、お部屋の日当たりは良いにこしたことはないでしょう。
また、光熱費を節約するためにも、日当たりは重要です。昼間に日光が射し込まない部屋は空気が温められにくいので、冬は底冷えする室内になりやすく、エアコンは室温を上げるために多くのエネルギーを必要としてしまいます。
他にも、洗濯物や靴をベランダに干す場合も日照時間が多いのと少ないのとでは、乾燥度が大きく異なってくるため、どれくらい日の光が入る部屋なのかということは、事前に確かめておく必要があります。
最近は家に居る時間が増えているため、住環境の重要性増しています。その為、あなたがどのくらいお部屋にいるか等、ライフスタイルにもよります。
日照を確認するには一般的に、朝早いお仕事をされている方は8時から10時ぐらいに日当たりがピークになる東向きのお部屋がおすすめです。一方、フリーランスの方など、お部屋で仕事されることが多い方はお昼前後、11時から14時あたりの時間がピークになる南東又は南向きの部屋がベストです。
その為、内覧を申し込む際に、およその時間を指定して、明るい部屋の状態をチェックしましょう。なお、14時以降の西日は日照時間が長く、低いため、お部屋の奥の方まで射し込んできます。家具やカーペットが日焼けしやすくなるため、西向きの部屋など気になる場合は時間を変えて、複数回内覧することをオススメします。
2-2.内覧ポイント2.居住スペースの騒音・振動をチェック
マンションは多くの人が同じ建物に居住するため、騒音や振動についても内覧でチェックしておくといいと思います。ネットの写真ではきれいに見えた壁も意外に薄くて、隣の生活音が筒抜けになってしまう、エントランスや階段などの共用部分がいつも騒がしく、なんか気が散る、廊下を歩く足音が響くなどといったケースがあるからです。
上下階の振動が部屋に伝わってくるのもお部屋にいるだけでストレスにつながるため、しっかりとチェックをして下さい。大体、10分ぐらい内覧時に部屋にいれば、騒音も振動も分かってくると思います。特に、気になることが無ければ、問題ないと思います。以前、木造のアパートを管理していた時に向かいの家を改修している際、その振動が入居者の方にも分かるぐらいの強さでゆっくり眠れないからどうにかしてほしいとクレームを受けたことがあります。
そのため、もし木造や鉄骨造の建物を内覧する場合にはしばらくお部屋にとどまり、振動についてお部屋の中で感じ取ってください。鉄筋コンクリート造の場合でも前面が幹線道路だったり、地下鉄が下を通っていたり、築40年超の場合には内覧時に10分ぐらい床からの振動の有無を体感しておいた方が良いと思います。マンションが7階以上の場合は特に振動がないかどうか確認してみて下さい。その他、木造や鉄骨造のマンションは前面道路をトラックが通ると基本的に揺れてると思います。
その為、個人的には幹線道路などの大通りの部屋よりは一本、二本ぐらい中に入ったマンションの方が振動や騒音面を考えると、窓を開けて暮らせ、自宅に居ることが多い最近は特にいいと思います。たまにはベランダに出て、深呼吸やストレッチが大切だと思うので。籠りっ放しは筋肉も衰えますから。
2-3.内覧ポイント3.事故物件を見破るために内装をチェック
事故物件の見極めに関して、以前【建築士と考える】でも特集しましたが、事故物件を見破るためにも実際に現地に行く、内覧はとても有効だとご存知でしたか?事故物件を契約する時、不動産業者には告知義務があります。これは、「この部屋で事件があったことと、その内容」を契約者に知らせることです。しかし、賃貸マンションの場合、この告知義務が生じるのは慣例として1人目の賃借人のみ。2人目以降の契約者には告知されないことがほとんどです。つまり、このようになります。
2015年9月:Aマンションの201号室で殺人事件が発生
2018年2月:1人目に貸出(慣例として、告知義務あり)
2020年8月:2人目に貸出(慣例として、告知義務なし)
その為、知らずに事故物件に住んでしまうケースも少なからず、発生しています。さらに、不動産業界では事故物件に関する調査と報告は事件発生から7年前後が目安とされており、それ以降に起こった事件については事件の発生を教える義務がないと考えられています。これらの前提は「事故物件でも気にしない」、「自分が気に入っているなら事故物件でも構わない」という人にはあまり関係がないかもしれません。とはいえ、強盗事件や暴行事件といった事件はマンション周辺のセキュリティにも関わってきます。
一度強盗に入られた部屋は間取りを犯人に知られているので、再び犯罪に巻き込まれるリスクが事故物件でない部屋よりも高いと考えられているためです。もちろん、事故物件となったマンションは事故に興味を持った人が集まってくる傾向にあり、その後も事件や事故が起る可能性が高まります。その為、私たちはあなたが検討している賃貸マンションが事故物件であるか否かは知っておいて損はないと考えています。
例えば、築浅なのにお部屋を丸ごとリフォームした痕跡があったり、マンションの名称が急に変更されていたり、マンションの壁面が全面塗り替えられていたりする場合は、過去に事故等があったかどうかを不動産業者に確認することをオススメします。特に、フローリングや浴槽など、取り替える必要のない部分までリフォームしている場合は、自殺や孤独死などが過去に発生している可能性があります。
我々は六本木や麻布十番・赤羽橋エリアに関して、事故物件を実際に自分の目で見て、記録として残すことで、たとえ、告知事項が無くなったとしてもそのような事件があったマンションとして、クライアントが理解しつつ入居することに一定の意味があると思っています。個人的にはストレスがずっと不安が付きまとうので、このようなマンションで暮らすことはお勧めしませんが・・・。
3.事故物件とは自殺・他殺・孤独死・事故死・不審死のあったお部屋
事故物件とは、具体的にどのような物件を事故物件と定義するのでしょうか?事故物件は、広い意味では、破産や倒産といった金融的にネガティブな理由で手放された不動産をさします。
しかし、一般的には、自殺や孤独死、殺人事件などの他殺、いわゆる病死以外の死亡が発生した物件と定義されています。こうした事件は発見が遅れることも多く、カーペットだけでなく畳やフローリングにも人間の体液が染みてしまうことがあります。また、事故発生場所が浴室の場合はバスルームを丸ごと取り替える必要も・・・。
事件が発生し、新聞やネットにマンション名が掲載されてしまうと、事件のイメージがつきまとうため、名称を変更したり、外観を大きく変えたりすることもあります。そのため、既述の通り、事故物件を見破るためには、これらに先ずは注目するとよいでしょう。
・築浅なのに、丸ごとリフォームしている
・マンション名の変更、壁面の塗り替えがおこなわれている
4.『あなたが後悔しないために賃貸マンションはまず内覧を』まとめ
日当たりや騒音といった諸条件や隠れた事故物件は、実際に内覧しないと知ることはできません。その為、いい部屋を見つけたら、まずは内覧を申し込んでみてください。その時点で、おとり物件やつり物件という事も分かります。
また、内覧に行ったら、マンション周辺を歩くことは住居周りの治安や利便性のチェックにもなります。
1年、2年だけでなく、長く住め、あなたを大きく成長させてくれる居心地のよいお部屋を見つけるために複数回、訪れる時間帯を変えて、お部屋を内覧するのも面倒ですが有効だと思います。たとえ、転勤や転職、就職に伴う上京など、遠方で何度も行けないお引っ越しでも、残業続きで休みがなかなか取れなくても、賃貸マンションは決める前に自分の目で内覧すべきです。
その為、『百聞は一見にしかず』、『現場百遍』という言葉があるように、写真だけでは見えないことはたくさんあるからです。後悔しないために、自分の感覚できちんと判断するには、面倒でも現地に足を運ぶのが一番だと思っています。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して、結果と原因のみ、記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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