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間取りが単調な一人暮らしの部屋こそ南向き?メリットやデメリットは?

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、(株)リビングインで建物の設備やそれらの改修を担当している、防犯設備士兼宅地建物取引士の相樂です。

今回は一人暮らしの部屋探しで気にしてほしい日当たり、特に南向きの部屋に関して、アンケートや他の条件の部屋を比較したメリット・デメリットをまとめました。

家賃の高さや立地によって、後回しにされがちな方位や採光ですが、自宅に居る時間が長い時こそ、日当たりって、本当に大切です。お部屋を紹介してくれる担当の方とその辺り、よく話してみて下さい。

時間がない、部屋探しの経験がない方ほど、他人の失敗から効率的に学び、自分に合った部屋を探して下さい。

1.南向きの部屋のイメージ

部屋を探す時に方角を気にする人は多く、一般的には「南向きの部屋」は良いイメージです。そもそも「南向き」の部屋とは、リビングのメインとなる窓が南方面についている部屋を指しています。玄関が南を向いている部屋ではなく、ベランダなど大きく採光できる窓が南向きの部屋を「南向き物件」と呼びます。

多くの場合、玄関はリビングの反対側に位置するため、南向きの部屋の玄関は北側になることが一般的です。(間取りによってはそうならないこともあります)

リビングの窓が南向きについている部屋の世間一般のイメージを具体的に3つ挙げて解説します。

1-1.日当たりが良い

まず、南向きに窓がついている部屋は「日当たりが良い」イメージとなります。太陽は東から昇り、南を通って西に沈みます。南に到達した太陽がもっとも高くなり、熱量や光の量が増えます。結果的に、南向きに窓がついていれば、太陽から多くの熱や光を受けられます。

そのため、日本では南向きの部屋は日当たりが良いイメージが定着しています。日当たりが良いということは明るい、暖かい、すがすがしいということを意味しています。

1-2.人気が高くなかなか入居できない

南向きの部屋は日当たりの良さから住環境が良い事が多く、人気が高く、なかなか空き物件が出ないのというイメージがあります。その為、友達などに自分の部屋が「南向きの部屋なんだよね」と言うと「ラッキーだね」とか「良かったね」と言われるのは、希少価値が高いからと言えます。

賃貸でも分譲マンションでも、南向きの部屋は早々に埋まってしまうため、モタモタしていると南向きではない部屋しか余っていないということになるというイメージもあり、いつも南向きの部屋は争奪戦になります。個人的にも部屋探しの経験が少ない内は圧倒的に南向きの部屋を選んでおいた方が無難だと思います。

1-3.家賃が比較的高い

条件の良い部屋は値段が高いものです。「南向き」という条件も方角の中で見ると好条件となるため、家賃が高い傾向にあるというイメージが強いです。

ただ、一人暮らしの場合、「どうせ日中は仕事で家に居ないし、高い家賃払ってまで南向きでなくてもいいかな」と考えて、家賃が比較的安い北向きや西向きの部屋を選ぶ人も少なくありません。

2.不動産屋が言えない南向きの部屋のメリット・デメリット

実際、南向きの部屋は世間のイメージ通り、日当たりが良く好条件だから、高くてなかなか空きがないというメリット・デメリットしか無いかというと、他にもいくつかのメリットやデメリットがあります。

イメージだけで部屋探しをしようとすると思わぬ失敗をしたり、引っ越してから後悔したりするので、南向きの部屋の特徴を、メリットとデメリットとして正確に把握しておくことをおすすめします。

2-1.南向きの部屋のメリット

南向きの部屋のメリットは、イメージの通り「日当たりが良く、過ごしやすい」ことです。ただ、日当たりが良いメリットとしては「明るい」と「暖かい」の2つが一般的ですが、実はこの他にもメリットがあります。ここから、実務経験を踏まえ、日当たりの良さが生むメリットを詳しく解説していきます。

2-1-1.日照時間が長く部屋が明るい

日当たりが良いといえば、「室内が明るい」イメージですが、そのイメージ通り、日照時間が長い南向きの部屋はとても明るいです。

窓が南を向いているということは、東から昇り、南を通って西へ移動していく太陽が長時間窓から見えるということになります。午前中から午後にかけ、ずっと日が当たっているため、部屋はかなり明るく、日中は電気をつけなくても過ごせる部屋もあります。

2-1-2.部屋が暖まりやすく冬もポカポカ

南向きの部屋は太陽の熱をもっとも効果的に吸収することができます。冬の寒い時期には太陽光の熱で部屋を暖められるため、暖房をつけっぱなしにすることなく、ポカポカ暖まった部屋で過ごすことが可能です。

日中にある程度蓄熱した部屋は太陽が沈んでからもその暖かさをある程度キープできるので、仕事で日中は家に居ないという人も太陽熱の恩恵を受けられます。

2-1-3.洗濯物が乾きやすい

南向きにバルコニーやベランダがある部屋ならば、洗濯物が非常に乾きやすいのもメリットとなります。午前中に干しても、午後に干しても、しっかり乾きますし、短時間で乾くため生乾き臭を防止することもできます。

太陽光による自然殺菌効果も期待できますし、外干ししたいという方にとっては嬉しいポイントです。部屋干しでも南向きに窓がついていれば、かなり早く乾かすことができます。

エアコンを24時間動かし、部屋干しで芳香剤だけで対応している方もいますが、個人的には圧倒的に太陽光を使った殺菌効果を踏まえた、外干しがおすすめです。

2-1-4.日光の自然殺菌力でカビの発生を予防できる

「日中は家に居ないから南向きの部屋に住む意味がない」という方には是非知っていただきたいメリットがこちらです。

日光には自然の殺菌力があり、湿気や結露で発生するカビを抑制し、ダニやノミなどの繁殖を抑える効果があります。南向きに窓がついている部屋であれば、日中に太陽光で部屋の中を消毒できるというイメージになります。

一方、南向きではない部屋で十分な太陽光が得られないと、部屋がジメジメと湿りやすくなり、カビが発生したり、嫌なニオイが発生したり、どこかジトッとしたような空気感になったりします。もちろん、貴方が不在時であっても太陽の恩恵はしっかり受けられるのです。

特に、一人暮らしの場合は窓が少なく、換気が上手くできない部屋もあるため、引っ越しを繰り返し、損しないため、方位にはこだわってほしいと思います。

2-2.南向きの部屋のデメリット

南向きの部屋のデメリットとしては、世間のイメージでは「高い」ことや「空きがなかなかない」ことに注目されていましたが、実は部屋そのものにもデメリットはあります。

意外と知られていない(というか気付かれない)南向きの部屋のデメリットにしっかりと目を向けることで失敗しない部屋選びができるようになります。

2-2-1.日当たりが良すぎると家具などの日焼けが心配

南向きの部屋は日当たりが良いですが、それゆえのデメリットがあります。それが「日焼け」です。

住人が日焼けしてしまうほどの太陽光線は部屋には入ってきませんが、危ないのは家具たちです。カーテンやソファ、カーペットなどの布製品、あるいは木製の家具も強い太陽光を浴びると日焼けして色褪せます。

家具の日焼けは遮光カーテンをしっかり閉めておくことで防げますし、部屋を太陽光で消毒したいのに遮光カーテンをするんじゃ意味がないということでしたら、レースカーテンでもある程度は防げます。

ただ、レースカーテンを通しても強い日の光が当たると日焼けを起こしてしまうことがあるため、要注意です。もちろん、洋服もずっと日に当たっていると日焼けしてしまいます。

2-2-2.夏は部屋が暑くなりすぎる

メリットとデメリットは表裏一体の関係にあるとは言ったもので、まさに日当たりの良い南向きの部屋における「部屋が暖かい」というメリットがデメリットにもなります。そのデメリットが顕著に出るのが夏です。

冬の間は太陽の熱を部屋に受けてポカポカとぬくもりを感じられる快適な暖かさが得られるのですが、夏になると逆に「暑すぎる」という現象が起こります。夏の太陽の力はとても強く、南向きに窓があるとモロに影響を受けます。

これについても、遮光カーテンである程度は防ぐことができますが、遮光カーテンそのものが熱を吸収してしまい部屋の室温が上がってしまうこともあります。カーテンを選ぶ際には、カーテンの外向き側の面に太陽の熱や光を跳ね返す素材を使っているものがおすすめです。

その為、夏はカーテンを閉めて太陽の光を浴びすぎないように工夫し、冬はカーテンを開けて太陽の熱を沢山吸収させることで、ある程度は快適に過ごすことができます。

2-2-3.家賃が高い傾向にある

イメージ通り、南向きの部屋は他の方角を向いている部屋よりも家賃が高い傾向にあります。良い部屋、人気の部屋は高い価値がつくため、当然のことです。

お金に余裕の無い人で、少しでも家賃を抑えたいという人には南向きの部屋を諦めて相対的に安い部屋を探した方が良いかもしれません。

ただ、個人的には南向きの部屋でも1階や間取り、周辺環境(線路の目の前、歓楽街のど真ん中)など、様々な条件により家賃が相場よりも安い物件もあります。あまりに商業地だと、南向きでも日が当たらないケースもあるので、よく注意して下さい。

自分が優先したい、譲れない条件と照らし合わせて、妥協できる点があれば少々難ありの格安南向き物件を検討するのもひとつの手です。

2-2-4.人気が高いため、空きがあっても難あり物件の可能性がある

南向きの部屋は世間のイメージ通り人気が高くなかなか空きが無いという特徴があります。

たまたまタイミングが合って、前の住人が引っ越して空き部屋になった直後に部屋探しをしていれば良物件を出会えることもあります。ただ、長いこと空き部屋状態で募集が続いている場合、例え南向きであっても家賃を含め、条件面で「難あり」の可能性が高いです。

南向きの部屋だからといって必ずしも日当たりが良いとは限らないですし、日当たりが良くても騒音問題や間取りの不便さなど、他の「難」が隠れているかもしれません。人気のはずの南向き物件なのに、長い間住人がいなかった部屋は担当者にきちんとその理由を確認しておくのが吉です。

2-2-5.玄関が北側になるため暗さやカビの発生に注意

冒頭で解説したように、南向きの部屋とはリビングの窓が南向きについている部屋のことを意味します。多くのワンルーム物件では、リビングの反対側に玄関があるため、必然的に玄関は北側となります。

北側は日当たりが悪いため暗くなります。また、自然光による殺菌効果も期待できず、カビが生えやすくなります。雨の日など脱いだ靴は蒸れているため、カビの温床になりやすく、玄関をこまめに掃除したり、換気したりしなければ、ジメジメと湿気が溜まりカビ臭くなります。

3.南向きの部屋と他の好条件部屋を比較検証

よく引っ越しや部屋探しに関するインターネット上の質問箱を見ると、「○○の部屋と□□の部屋、どっちが良いですか?」と相談している人がいます。

例えば「南向きの1階の部屋と、西向きの3階(4階建て)の部屋だったらどっちが良いと思いますか?」とか「1階の角部屋と2階の中部屋だったらどっちを選ぶべきですか?」といったような具合です。

これに対しては、それぞれの回答者が自分の体験談などを踏まえて色々アドバイスをしているわけですが、本記事では人気の部屋の代表格【二面採光・角部屋・最上階】と【南向きの部屋】を比較してみようと思います。

角部屋の用語自体はこちらで説明しています。

3-1.南向きの一面採光部屋VS南向きに窓が無い二面採光の部屋

まずは、「南向きの一面採光」と「南以外の二面採光」を比較してみます。

二面採光とは、窓が2ヵ所に設置されている部屋を指しますが、ここでは二方向に設置されている部屋とします。(東側に2つ窓がある部屋は対象外となり、東と北など2方角に窓がついていることを条件とします)

二面採光の部屋は「日当たりが良い」ことと「開放感が得られる」ことが主たるメリットとして挙げられますが、日当たりが良い部屋の条件としては「南向きに窓があること」が必須ですので、南以外の二面採光の部屋の場合は「開放感が得られる」というメリットが着目されます。

すなわち、こだわりたいことが

・日当たりを重視したいならば「南向きの一面採光部屋」がおすすめ

・開放感を重視したいならば「二面採光」がおすすめ

となります。

なお、二面採光の部屋の特徴やメリット・デメリットなどはこちらで詳しく解説しています。

3-2.南向きの中部屋VS南向きではない角部屋

続いて、「南向きの中部屋」と「南向き以外の角部屋」を比較してみます。

角部屋のメリットは隣人との騒音問題リスクが少ないことや、自分自身の生活音をそれほど気にしないで良いことなどが挙げられます。

また、角部屋の多くが二面採光で二方向に窓がついているので開放感が得られるメリットもあります。(但し、二面採光になっていない角部屋もあります)

ただ、やはり南向きに窓がついていないとなると日当たりに関しては諦めた方が良さそうです。東向きの窓があれば、朝日はかなり入ってくるので朝早く起きる必要のある人にはお勧めできます。

部屋探しにおいて、

・日当たり重視なら「南向き」がやっぱりおすすめ

・隣人との騒音トラブルが気になる場合は角部屋がおすすめ

といったポイントで選ぶのが良いと言えます。

角部屋の特徴やメリット・デメリットなどはこちらで詳しく解説しています。念のため、アンケートであった角部屋の怖い話をこちらのページにまとめました。

3-3.最上階ではない南向きの部屋VS最上階の部屋

タワーマンションに住みたい人が多い様に最上階の部屋に憧れを抱く人は多いです。なんとなく「高くて良い部屋」という印象を抱いている人が多い傾向にあり、実際タワーマンションの最上階に住むことがステータスのひとつとなっているケースもあります。

最上階の部屋のメリットとしては上の階の足音が気にならない、セキュリティが強いなどが挙げられますがデメリットもあります。エレベーターを使わないと上り下りが大変(故障時や災害時に困る)、外気の影響を受けやすい、などです。

これに対し、南向きの部屋のメリット、デメリットは前述した通りですが、例えば、1階の南向きか、最上階の南向きでない部屋か、という選択肢で迷っているのであれば、1階の部屋のメリットやデメリットにも着目すべきです。

1階の部屋は重い荷物を持っている時など出入りがとても便利ですが、その分防犯面が心配です。例えば、はじめての一人暮らしや単身女性の場合、南向きで日当たりが良くても、セキュリティに不安がある部屋には住みたくないという場合は避けた方が賢明です。

2階以上の南向きの部屋であれば、最上階の部屋との大きな違いは「上の階の足音が聞こえるか否か」という点が主になります。その為、洗濯物を外に干し、さっぱりしたいから日当たりを重視する、又は「音」問題を重視するかで検討してみてください。

ここまで書いてきた南向きの部屋とそれ以外をまとめると、

・1階の南部屋の場合は防犯などが少々心配

・最上階の部屋にもデメリットは多数ある

このように、それぞれの部屋のメリット・デメリットをきちんと把握しておく必要があることが分かります。なお、最上階の部屋の特徴やメリット・デメリットなどはこちらで詳しく解説しています。

4.南向きの部屋に引っ越した3人のトラブル・失敗談

アリネットでは、2012年以降、お客様にアンケートを実施して部屋探しの成功例や失敗例の事例をヒアリングしてきました。ここから実際、南向きの部屋に引っ越した方の体験談を元に、南向きの部屋にまつわるトラブルや失敗例を3つ紹介します。

4-1.事例1:南向きなのに日当たりが悪い

1つめの事例は南向きだからといって日当たりが良いとは限らないというものです。

後輩が先に上京していた駅があり、安易な気持ちでその近辺の部屋で良さそうな物件を借りたら、南向きなのに全く室内に日が当たらなかった。ぱっと見は日当たりが良さそうなのに、ベランダまでしか日が射さず、昼間でも薄暗く、ライトを付けた生活で悲しかった。

結局、日が射さなかったことで納戸にカビが発生してしまい、アレルギーが出てしまった。しかも顔だったので最悪でした。夏場、納戸の湿度が高すぎたのも良くなかったようです。南向きというだけで見ずに決めてしまったので失敗しました。(弊社アンケートより引用)

南向きなのに日当たりが悪い・・・このような物件もあります。理由は様々ですが、前に高い建物があり日差しを遮ってしまっている、部屋の造り(でっぱった梁など)のせいで日差しが部屋に入ってこない、など、なんらかの理由で南向きなのに日当たりが悪くなります。

この件に限らず、アンケートの結果を参考に南向きだからと安易に決めずに、引っ越す前にしっかり内覧して、日当たりの良し悪しを判断してから部屋を決めるのが圧倒的に後悔が減ると思います。

4-2.事例2:南西の角部屋で夏が暑い

2つめの事例は夏場の暑さ問題です。

南西の角部屋でワンルームだったため、夏はとにかく暑かった。暗くなってから帰宅して玄関ドアを開けると、中から熱気のかたまりが出てくるような感じだった。また狭い部屋に大きな窓が二面あり、しかも雨戸もないことから、冬場はだいぶ冷えた。採光面を重視するのも大事だが、冷暖房効率も忘れてはいけないと思った。(弊社アンケートより引用)

先ほどデメリットの部分でも解説しましたが、南向きの部屋は夏には暑くなりがちです。この方の場合は「大きな窓が二面」という物件だったようで、方角までは書かれていませんが、仮に南と西だった場合、強烈な西日も差し込んでとんでもなく部屋が暑くなったことが予想されます。

また、大きな窓が2つあることで冬は外気の影響を受けて部屋が冷えてしまったとも語ってくれました。窓が大きいのは開放感があって良いですが、寒暖差が出やすいというデメリットもあります。

4-3.事例3:新しく建ったマンションのせいで日当たりが悪くなった

3つめの事例は、後から日当たりが悪くなったケースです。

引っ越し後に、住宅の南側に新規にマンションが建設されて、午後の陽当たりがとても悪くなったことはかなり困った。
(弊社アンケートより引用)

南向きの部屋で日当たりが良くても、このように後から新しく高い建物が建ってしまうと日差しが遮られて日当たりが悪くなることがあります。

この後の「注意点」や「判例」でも触れますが、後から高い建物が建ち日当たりが悪くなってしまうというトラブルは不動産「あるある」なので、担当に確認し、自身でも気を付けるよう心掛けてください。

5.南向きの部屋を選ぶときの注意点

南向きの部屋を検討している場合、どのような点に注意すべきか、5つのポイントにまとめました。

5-1.日当たりはしっかり得られるのか

失敗談でもあったように南向きだからといって、全ての部屋が必ずしも日当たりが良いとは限りません。自分の目で現地をしっかりと見極め、自分が望んでいる日当たりを確保できるのかどうかチェックして、契約や支払いを済ますようにしてください。

内覧に行くのは、できれば晴れている日がおすすめです。曇っていたり、雨が降っていたりすると、正確な日当たり具合が分からないからです。生憎の天気となってしまったら、内見自体を振り替えてもらうか、もう一度晴天時に訪れるようにお願いしてみてください。それだけ部屋探しにおいて日当たりは大事なことだと思います。

5-2.真南なのか、南東なのか、南西なのか

「南向き」と一口に言っても、「真南」とは限りません。南東、南西、東南東など、正確な方位を見ていくと、東に寄っていたり西に寄っていたりします。

南東や東南など、東寄りの場合は朝から午前中にかけての日差しがよく差し込みます。反対に、南西や西南など、西寄りの場合は午後から夕方にかけての日差しが差し込んできます。

正確な方向をきちんと把握しておくことで、自分の好みに合った部屋を選ぶことができます。

例えば、朝は光を浴びて爽やかに目覚めたいということならば東寄りの南向きの部屋がおすすめですし、午後の太陽熱を蓄え、ポカポカ過ごしたいということならば西寄りの南向きの部屋がおすすめです。

5-3.二面採光の場合、もう一つの窓が東側か西側か?

2つめの注意点と一部重複しますが、二面採光の部屋の検討時にも、南ではない他方の窓がどの方角についているのか確認してください。

東と南ならば、朝日を浴びられる部屋ですし、西と南ならば西日が当たる部屋になります。これも自分の好みで選べば、快適な日当たりの部屋で暮らすことができます。

5-4.日が当たりすぎないかどうか

南向きの部屋のデメリットでも触れましたが、日当たりが良すぎると家具や洋服が日焼けしてしまう恐れがあります。また、夏にはものすごく暑くなってしまうことも懸念されます。

そのため、日が当たりすぎないかどうかのチェックも大切です。自分にとって「ちょうど良い」日当たり具合はどのくらいか、内見し、現場でしっかり確認して部屋探しの参考にしてください。

5-5.目の前に高い建物が建つ可能性の有無

失敗談でもありましたし、この次の判例でも紹介しますが、折角南向きの部屋を選んで住み始めたのに、目の前に高い建物が建ってしまい、日当たりが悪くなってしまうというトラブルが実際に何件も起きています。

周辺に空き地があったり、取り壊し中の建物があったり、畑や田んぼがあったりする場合は、要注意です。

逆に、比較的新しい物件が既に周辺に立ち並んでいて、特に新築物件が建つような予定が無さそうな場所であれば安心して入居できます。ただし、急に取り壊しとなって高い建物が建ってしまう可能性はあります。心配であれば、担当に直接今後の予定を聞いてみるのも良いです。特に、分譲マンションの購入を考えている方などはこの辺りの確認はマストだと思います。

6.南向きの部屋で起きた判例は?

不動産適正取引推進機構の公式サイトには、過去に起きた物件に関する判例データが保管されています。その中から「南向き物件」に関する判例をピックアップしました。

6-1.判例1 平成13年11月8日/東京地裁

「南側土地に現状以上の建物は建築されない」との説明を受けマンションを購入したが、その後、2階建ての建物が建築され、日照、通風等が著しく阻害されとして、買主が、売主業者、売主の販売代理業者及び建設業者に対し不法行為責任等による損害賠償を求めた事案で、買主の請求がほぼ認容された事例

1つめの判例は、まさに「南向きの部屋に住んでいたのに目の前に高い建物が建ってしまった」というトラブルによるものです。日当たりや風通しが著しく阻害されたということが認められ、売主に対する損害賠償請求が認められました。

6-2.判例2 平成12年3月24日/京都地裁

「全戸南向き」と表示して分譲したマンションが62度西を向いて、ほぼ西向きだった事案について、マンションの向きは買主の意思決定に重要な意義を持つ事項であるから、売主業者にはマンションの向きについて不正確な表示、説明をしてはならない信義則上の附随義務があるとして、買主の損害賠償請求を一部容認した事例

2つめの判例は「南向きと謳っていたのに、ほぼ西向きだった」というトラブルです。62度ということは、西南西ぐらいになりますが、南寄りの西と言った方が正確なので、これは訴えられても仕方ない事案でした。

少し南寄りではあるので、きちんと説明していれば良かったものを、それを怠ったせいで損害賠償請求の一部が認められました。

先ほどの注意点でも解説しましたが、「南向き」=「真南」というわけではありません。

東寄りの南なのか、西寄りの南なのか、それとも真南なのか、自分自身でもしっかりとチェックしておいた方が良いということがよく分かります。個人的には自分でも簡単に調べられるので、大きな買い物だし、自己責任も一部あるのではと思います。

7.どんな南向きの部屋ならいいのか?

ここまで、南向きの部屋のメリット、デメリット、失敗談、判例などを見てきました。アンケートの回答を参考に結局、南向きの部屋を探す際にはどんな部屋を選ぶべきか、そのポイントを3つにまとめました。

7-1.最適な日当たりが確保できる部屋

南向きの部屋であっても、日当たりが悪い部屋もあります。逆に、日が当たりすぎて、暑くなりすぎたり、家具が日焼けしてしまったりする部屋もあります。自分にとって丁度良い日当たり具合の部屋を見つけ出すのがポイントです。

日当たりが良すぎるのも問題ですが、入居後、レースカーテンや遮光カーテンなどで日当たりを制限することもできます。その為、日当たりがないよりはある部屋の方が圧倒的に良いと思います。

7-2.目の前に新しい建物が建つ心配のない部屋

注意点や判例でも触れましたが、折角南向きで日当たりが良い部屋を見つけても、目の前に高い建物が建ってしまうと、その日当たりが台無しになってしまいます。

判例では損害賠償請求が認められた例を紹介しましたが、ほとんどは応じてもらえず諦めて泣き寝入りするしかないのが現実です。気に入らないからといって引っ越しすると、またお金がかかって、引っ越し貧乏になってしまいます。

特に、分譲マンションの購入を考えている場合、日当たりは死活問題などので担当に周辺環境を詳しく確認し、他に新しい建物が建つ予定の無い場所を選ぶようにするのが本当に大切だと思います。

7-3.日当たりだけでなく、他の条件もクリアしている部屋

部屋に求める条件や理想は人それぞれです。「南向き」が絶対条件であれば、それを第一優先としても良いですが、他にも気にしなければならない点は多数あります。

セキュリティや間取り、家賃、周辺環境、最寄り駅など、便利に快適に暮らすための要素は大いに越したことはありません。

日当たりや「南向き」にこだわりすぎて、その他の条件で妥協した結果、やっぱりやめておけば良かったと後悔しないように、自分の中の条件の優先順位をしっかり決めて部屋探しに臨むのがおすすめです。

8.他の条件と比べた南向き採光の部屋のまとめ

南向きの部屋について、最後のまとめに入ります。日当たりの良さを求める人にとって、南向きであるかどうかは非常に重要なポイントとなります。

ただ、南向きだからといって日当たりが良いとは限らないということや、日当たりが良いからこそ起こり得るデメリットについても解説しましたので、その点についてもよく考えてみてください。

8-1.分析を踏まえ、筆者が南向きの部屋をおすすめしたい人

南向きの部屋について分析した結果、南向きの部屋をおすすめしたい人は、ずばり・・・何を置いても、とにかく「日当たりの良さ」を重視したい人となります。自宅にいることが多い人等は日当たりを気にした方が良いと思います。日当たりが悪い部屋は昼間でも照明を付けて生活することになり、なんか違うなという感覚になると思います。

家賃や他の条件よりも何よりも「日当たり」を重視して、日中を明るく過ごしたいという人には、南向きの部屋はおすすめできます。我々がお部屋を紹介する時もある程度広さや間取りで絞った後は日当たりを意識して、取捨選択をしています。

ただし、何度もしつこいですが、南向きだからといって必ずしも日当たりが良いわけではありませんので、日当たりの良し悪しについては、内見時にぬかりなくチェックして、決めて下さい。

8-2.どんな南向きの部屋なら住んでいいのか

アンケート結果や南向きの部屋のメリット、デメリットなどを考え、こんな南向きの部屋なら住んでいいと言える部屋の特徴をまとめました。

  • 日当たり具合が丁度良い(しっかり当たるが強すぎない)
  • 家賃が予算内に収まっている(あまり背伸びしすぎないのが無難)
  • 長期間空き部屋ではなかった部屋(南向きなのに長期間空き部屋だった物件は難ありの可能性があるため)
  • 目の前に高い建物が新築される心配のない物件

これらの特徴を参考に、担当者を上手に使い、失敗のない部屋探しを進めてください。念のため、4,600件の失敗談を基に作った内見時のチェックリストはこちらのページです。人気のある他社の内見チェックリストも同様にまとめています。他にも、今回同様、最近、お客様に聞かれた「内見の申し込み後のキャンセルって、罰金ありますか?」についてはこちらのページにまとめました。

他にもここに記載出来ない内容で困っている方もいると思います。

もし、あなたが現在トラブルに悩まされているのであれば、トラブルが大きくなる前にお近くの専門家に相談することをお勧めいたします。信頼できる先がすぐに見つからない場合、無料相談を含め、お気軽にご連絡ください。

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>>賃貸マンションの騒音問題を避けたい方向け、内見前の構造や間取り確認と引っ越し後の対策まとめ

>>マンションの内見後に入居申込をしたが、罰金無しでキャンセルはできますか?

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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