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人生何が起こるか分からない、40歳以上の住宅ローン返済計画は慎重に!

こんにちは、不動産で明るい毎日を目指す六本木の不動産屋、株式会社リビングイン、ファイナンシャルプランナー兼任意売却取扱主任者の相樂です。

今回は実際にあった相談を基に、収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなった際の原因や対策について、これまでの経験を踏まえ、司法書士の西門と共に解説していきます。

今回、弊社に相談にいらしたご夫婦は、戸建ての25年ローンを組んで順調に返済していたものの、突然ご主人の収入が激減したことによりローン返済が厳しくなったというご事情を抱えていました。

1.45歳で25年の住宅ローンを組み、60歳を過ぎて収入の激減、返済が厳しくなった

今回のケースに限らず、住宅ローンの返済問題の最大の無駄は一人でずっと悩んでいることです。日々金利の支払いが増え、立場が弱くなるので売却条件など狭まり、競売に掛けられる等、本当に良いことがありません。

以下、具体的な相談内容は下記の通りです。

「45歳の時に5,500万円ほどの建売の戸建て住宅を購入しました。25年ローンを組み、ボーナス支払いもつけて順調に払っていたのですが、60歳を過ぎた頃から急に仕事が減り出し、収入が激減してしまいました。

結婚が遅く子どもが生まれたのが49歳の時で、その子どもの高校入試と親の世話も重なり、教育費がかさむ時期に突入してしまい。ローンの支払いが厳しくなってしまって・・・。」

相談者のご主人は苦難の表情を浮かべていました。

1-1.相談内容からローンの状況と現在の世帯収入などをまとめると・・・

より詳しく話を聞き、整理すると、下記の状態となっていることが分かりました。

購入した住宅の値段:約5,500万円

頭金:500万円

ローンの借入額:約5,000万円で25年ローン

毎月支払い額:約14万円

ボーナス支払い額:約35万円(年2回)

世帯年収(ローンを組んだ当時):約1,000万円(夫婦共働き)

現在の家族構成:夫65歳、妻57歳、息子15歳

現在の年収:夫(会社員)約400万円、妻(パート)約100万円

貯蓄:300万円程度

ざっと、こんなかんじです。ローンを組んだ当時は世帯年収が1,000万円ほどもあったのに、現在は半額の500万円ほどに下がってしまっていました。まず、1,000万円の時は奥様も働いていらしたのですが、息子さんが生まれて専業主婦になり、ご主人の稼ぎだけで世帯年収が750万円ほどになったそうです。

それでも住宅ローンは無理なく払い続けられたそうですし、その後少し給料も上がったそうです。ただ、60歳を過ぎ、急に仕事が減り出し、収入が激減してしまったのはご主人の誤算でした。

1-2.定年は60歳、だがその後も働き続けられると聞いていた・・・

ご主人の話によると、お勤め先の会社は60歳が定年となっているものの、その後も65歳、70歳、75歳、と引き延ばして最長75歳までは勤められるということでした。給料がこんなに下がるという話は特に聞いておらず、業務内容によって変動はあるものの、まさかこんなに仕事も給料も減るとは思っていなかったと仰っていました。

年収400万円、奥様のパート代100万円を足しても500万円で、年間約240万円のローン返済は確かに厳しいです。まして、息子さんが高校入試で受験のみならず、塾のお金や、高校へ支払う学費など、これからどんどんお金がかかる時期です。

他にも、貯蓄が300万円程度で高額な住宅ローンというのも非常にリスキーでした。以前書いたように、300万円あれば、夫婦が1年間暮らしていくには十分な金額です。しかし、戸建ての高額ローンを支払い、息子さんの教育費を支払い、さらに食べ盛りの息子さんの食費やお母様の介護などもプラスすると、あっという間に消えてなくなってしまう金額です。

これはどうにかしなければ、ということで相談に乗ることとなりました。

2.相談者の抱える問題と今回のトラブルの原因

まずは、今回の相談の根本にある原因と相談者の方が抱える問題を洗い出していきます。状況は上でまとめた通りですが、例えば60歳を過ぎて年収が下がったことや貯蓄が少ないことなどについて、色々とつっこんだ質問を投げかけてみると、根本的な原因が見えてきました。

2-1.ローンを組んだのが遅く年齢が高かった

まず、そもそもローンを組んだ年齢が45歳と遅かったのが、今回の問題を引き起こした一因となっています。住宅ローンというと35年ローンというイメージが強いですが、45歳で35年ローンを組むと完済するのは80歳になります。

65歳を過ぎると年金がもらえるようになりますが、年金は高額なローン返済を賄うには心許なく、貸付をする銀行もリスクを負うことになります。

そのため、ひとつの目安として70歳ごろまでに完済できるような計画でローンを組むよう提案するのが一般的です。すると、この方の場合は必然的に25年ローンとなってしまい、年間、月々の支払い額が高くなってしまうということになったのです。

これまで40件以上の自宅の売却を経験してきて、住宅ローンを組むならば、無理が効く、なるべく若い方が良いと信じています。「まだ若いから・・・」と尻込みして家を買わずにいると、逆にローンを組むにあたり年齢が高すぎることによって、厳しい選択をせざるを得ない状況に陥ることがあると覚えておくと良いです。

2-2.25年ローンで毎月の支払額とボーナス払いの負担が大きい

相談者の方は25年ローンで月々の返済額は約14万円でした。戸建ての住宅ローンとしては決してべらぼうに高いわけではないのですが、大きな負担となったのが「ボーナス払い」でした。

年に2回ボーナスが支給され、約3ヵ月分だったということで、この方は1回のボーナス支払いで20万円ほど上乗せすることにしました。ボーナス支払いの月は約35万円支払うように設定したのです。

これが後々大きく響きました。年収が下がってからは毎月の生活にも余裕が無くなったそうですが、ボーナス支払いの時は容赦なくやって来ます。

さらに悪いことに、この方は60歳を過ぎてからほとんどボーナスをもらえなくなってしまったそうです。『ボーナスが出ないのに、ボーナス払いはしなければならない・・・』、とまさに地獄のような状況に追い込まれていました。

2-3.60歳を過ぎ、収入が激減したのは想定外だった?

相談者の方は60歳を過ぎて働き続けて、まさかこんなに収入が減るとは思わなかったと仰っていました。しかし、私どもからすると、これは少しツメが甘かったのでは・・・という所感でした。

ご主人の会社でどのような説明がされていたのか、どのようなルールとなっているか、そこまでは分かりませんが、60歳を定年としている場合、その後の給料や仕事内容については前もってしっかりと確認しておくべきだったと言わざるを得ません。

「聞いていたのと違った」ということであれば会社に申し立てをしても良かったでしょうし、それができなかったということは何かご事情があったのかと思われます。

いずれにせよ、60歳を過ぎての仕事や収入についてはローンを組む時点でよく考えて未来をある程度想像し、無理ない返済計画を選ぶことが本当に大切です。25年以上の住宅ローンを組む場合、30代には購入を決めて動いた方が後で自宅を処分せざるを得ない状況になることは少ないと思います。

2-4.子育てでお金がかかる時期の到来

結婚、そして子どもに恵まれたのが遅かったため、ちょうどこれから教育費がかかる時期に収入が減り、ローンも残っていて、追い込まれてしまったわけですが、これについてもしっかりと準備をしておくべきでした。

住宅ローンを組んだ当時は、まだお子さんは生まれていなかったので、もしかしたらご夫婦で過ごされる予定だったかもしれません。

しかし、4年後にお子さんを授かった時点で、15年後の高校受験あたりからお金がかかること、そして、その時ご自身が65歳になっていることをしっかりと考えて計画的に準備すべきでした。

2-5.奥様は出産後専業主婦となったため、手に職が無い

奥様はパートで働いていらっしゃるとのことでしたが、息子さんの出産前は正社員で事務のお仕事をされていたそうです。しかし、出産を機に専業主婦となってからずっと働きに出なかったため、パートとして働くことはできても、正社員として就職することができずにいました。手に職があるわけでもないので、専門職に就くこともできず、歯痒い思いをされていました。

2-6.独身貴族時代に十分な貯蓄をしてこなかった

今回の問題、根本的な原因の全てはここに起因すると言っても過言ではありません。実際厳しいですが、60歳を超え、貯蓄が300万円ほどしかないということがもっとも大きな問題でした。

結婚が遅かったご夫婦は独身時代にそれぞれかなり自由にお金を使っていて、十分な貯蓄が無い状態で結婚されたそうです。その中で家を買い、ローンを組み、出産し、奥様が専業主婦となり、子育てし・・・という生活を過ごしていく中でほとんど貯蓄ができなかった、ということでした。

仕方ない話ですが、お金の勉強を行い、信頼できる方にお願いし、お金を前もってコツコツ準備しておくのは本当に大切なことだと思います。

3.どこに相談したら良いのか分からず途方に暮れる

世帯収入とローン残高、そして月々のローン返済額とボーナス払いの金額を照らし合わせて「いよいよこれは厳しくなってきた・・・」と悟ったご夫婦でしたが、ローンを組んでいる銀行に相談するのは怖いと仰っていました。

なぜなら、「ローンが支払えないなら家を出てもらうしかない」と、いきなり家を差し押さえられたらどうしよう・・・と思ったからです。そんな恐怖から、まずは無料で聞ける私たち、アリネットの大和田と相楽に相談してみたとのことでした。

私たちはご夫婦の相談を聞き、「いきなり差し押さえられることはないので、まずは銀行に相談してみてください」とアドバイスしました。

4.実際、銀行に相談に行き、ローン期間の引き延ばしを提案される

私たちのアドバイスを受け、勇気を出してローンを組んでいる銀行に相談に行ったご夫婦。その結果、銀行からはローンの期間引き延ばしを提案されました。25年ローンで本来ならば70歳で完済予定でしたが、これを5年ほど延ばして75歳までに完済する計画を再度練ってくれたのです。

これにより月当たりの返済額を抑え、更にボーナス払いをストップするという案でした。月14万円だった支払額は12万円になるという計算でした。5年も引き延ばして、あまり減っていないじゃないか、と思ったそうですが、ボーナス払いを丸々無くすことでこの金額になったということで、一応ご夫婦は納得しました。

ボーナス返済が無くなったのはかなり大きかったので、このまま銀行の提案を飲もうかと思ったそうですが、ご夫婦で今一度相談することになりました。

5.毎月12万円の支払いも厳しいため悩んだが・・・

ボーナス返済が無くなり、月々の支払額も僅かながら減ったものの、実はご夫婦にとっては12万円の支払いも決して楽ではありませんでした。何よりも息子さんの学費と教育費のことがご夫婦の頭に浮かんでいました。

子どもの進路はガマンさせたくない、可能性は狭めたくない、という思いが強く、結局カツカツの状態でローンに苦しめられるぐらいなら、いっそ家を手放すという選択も・・・と考えました。

そこで、再び無料で聞ける私たちに相談があり、ご自宅の任意売却という選択肢も視野に入れることになったのです。

実はご夫婦は、子どもは2人を望んでいたものの、年齢が年齢だったこともあり、1人しか授からなかったそうです。2人の子どもを想定し、戸建ての家を買ったという背景があったため、3人家族で戸建てに住むということには特に固執していませんでした。

それに、大学生になったら息子さんが家を出る予定ということで、あと3年だけ一緒に暮らせばまた夫婦2人暮らしに戻るため、任意売却して安い賃貸に引っ越す方向性で話がまとまりました。

6.任意売却により、4,500万円で解決

任意売却は、それはそれはスムーズに事が運びました。建物の外観や室内の写真を広角レンズを使い、撮らせて頂きました。そもそも立地が良く、家の状態も20年住んだとは思えないほど綺麗だったので、買い手はすぐに見つかりました。

この「立地の良さ」がかなりの強みとなり、5,500万円だった物件が、なんと20年の中古でも4,500万円で売れたのです。土地代がかなり上がったようで、建物そのものにはあまり値がつかなかったのですが、ほぼ土地代でこれだけの金額となりました。

ローン残高は2,200万円ほどだったので、余裕で完済できました。手数料などを引いても、2,000万円はご夫婦の手元に入ることになりました。

貯蓄300万円では心許なかったところに、住宅として、実際に利用していたので、住宅の売却に伴う譲渡所得の3,000万円の控除を使え、2,000万円の臨時収入が入るのはかなりの安心感につながります。これで家賃を抑えた格安アパートではなく、ある程度しっかりしたマンションで暮らすことも可能な金額です。

「これで息子の夢を叶えてやれるし、自分たちも余裕のある生活が送れる」と、ご夫婦はかなり喜んでおられました。

7.無料で判例や対策が聞けるアリネットのアドバイス

さて、今回の相談事例は、ローン返済が厳しくなり任意売却することで万事解決したというものですが、ここで私たち、アリネットから、同じような、あるいは似たようなお悩みを抱えている方へのアドバイスをまとめます。

7-1.住宅ローンを組む際は無理しすぎないよう気を付ける

住宅ローンを組む際には、年数やボーナス払いなどにおいて、決して無理しないように気を付けて組むようにしてください。何年払いか決める時には、完済する頃に自分が何歳になっていて、その時の仕事状況や収入はどうなっているか、簡単でも構わないのでシミュレーションすることが大切です。

特にボーナス払いは、あまり高額に設定してしまうと後々家計を圧迫して苦しめられるリスクがありますので、慎重に決めることをおすすめします。住宅ローンだけでなく、子育て、そして親の介護に関しても資金の流れを見ていくといいと思います。

7-2.不測の事態に備えて貯蓄や資産運用はしっかりと

今回のケースは60歳を過ぎて収入が激減するという想定外の事態によるローン返済のトラブルでしたが、長い人生、何が起こるか分かりません。いつ不測の事態が起きてもどうにかなるよう、貯蓄や資産運用はしっかりとおこない、資産形成をするよう心掛けると安心に繋がります。

7-3.保険の見直しと必要な保険への加入

今回のケースでは、このご夫婦は息子さんの学資保険などに入っていませんでした。住宅ローンを組むにあたっての団体信用保険には入っていましたし、生命保険と医療保険にも加入していたのですが、貯蓄型ではなく掛け捨てでした。

貯蓄型の保険に加入していれば、65歳にもなればまとまったお金が手元に入ってくるものですが、今回はそのようなことが無かったのも問題の一因となりました。将来の収入と、支出についてのシミュレーションをしっかりおこない、保険についてもよく考えて加入しておくのが賢いです。

7-4.住宅ローン返済が厳しくなったらまず銀行に相談

最初にアドバイスしたように、住宅ローン返済が厳しくなり困ったら、まずはとにかく借り入れ先の銀行に相談してください。

間違っても、消費者金融などで借金してローン返済に充てることのないよう、気を付けてください。借金を返すための借金は絶対してはいけません。

銀行に相談したからといって、いきなり競売にかけられたり、家を追い出されたりすることはありませんので、その点は安心してください。

7-5.競売にかけられる前に任意売却するという先手を打つ

色々考えてもローン返済が厳しいということになると、銀行側も競売にかけるしかない、ということを言い出すかもしれません。そんな時は、競売にかけられるよりも前に任意売却するのがおすすめです。

競売は安値で買いたたかれてしまう恐れがあるので、売り手と買い手の条件や希望を擦り合わせて住宅売却ができる任意売却の方が売り手にとって有利になることが多いです。

2012年より8年間300件近い住まいのトラブルの相談を受け、地域に根付いた不動産屋として、住まいのトラブルに特化し、住宅ローンの返済だけでなく、空き家対策や騒音、隣人、契約トラブル等のトラブルを解決してきました。その為、これまでにリースバックやオーナーチェンジの制度を利用した売却や住宅ローン返済に困っている方を救ってきた実績があり、あなたの満足のいく結果へ導くことができます。

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特に、部屋探しの経験が2回以下の方に読んでほしい4,600件の失敗談を基に作った内見時のチェックリストはこちらのページです。人気のある他社の内見チェックリストも同様にまとめています。事故物件を調べ、見て来ましたが、実際に全てを網羅することはできません。そこで、建築士さんに住んでも良い事故物件の内見時の見分け方を教えてもらいました。念のため、確認し、内見に行ってみて下さい。他にも、今回同様、最近、お客様に聞かれた「内見の申し込み後のキャンセルって、罰金ありますか?」についてはこちらのページにまとめました。

念のため、【建築士と考える】住んでもいい事故物件の見分け方、内覧時に使える方法をレクチャーしてもらいました。最近流行っているカスタマイズ賃貸についても、こちらにまとめました。不動産トラブル専門の弁護士による、契約直後の事故物件発覚時の告知義務違反等の対応についてはこちらのページにまとめました。

>>賃貸マンションの騒音問題を避けたい方向け、内見前の構造や間取り確認と引っ越し後の対策まとめ

>>マンションの内見後に入居申込をしたが、罰金無しでキャンセルはできますか?

今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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