繁忙期の終わった4月と10月はトラブルの相談件数が一気に増えます。
今回は過去にあった自殺について、告知義務違反になるのではないか?との相談でした。
一昨年、映画になるなど事故物件と言うワードがひとり歩きして、その基準を国土交通省も明確にガイドラインを出してきました。
先日、賃貸契約の告知義務に関し、以下のような相談を受けました。
1.契約後、過去に自殺があった物件だと知った。告知義務違反で解約できますか?
手付金を支払い、契約した築100年の戸建に関して、30年前に自殺があったことを近所の人から聞きました。
重説などには記載がないのですが、告知義務違反で解約は出来ますか?
不動産会社からもこの件で説明を受けてなく、気持ち悪いので手付を返してもらい、解約したいと思っています。
2.ガイドラインや過去の判例を確認しました
2-1.宅建業者が認識している場合は告知義務が発生する
国交省の『宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン』によりますと、「売買契約の時には宅建業者は自殺他殺 事故死といった事案が発生している場合には、これを認識している場合は事案の発生時期、場所及び死因(不明である場合にはその旨)について、買主に対しこれを告げるものとする」とされています。
つまり、宅建業者が「事故を認識していたか」がポイントになってきます。一般的には、宅建業者は、売主から事故があった事実を告げられた場合、告知義務として買主へ伝えなければなりません。
ただ、宅建業者には売主から過去の事故に関しての情報が無ければ、近隣住民への調査といった義務は発生しません。売主が事案のあった事実を宅建業者に隠していた場合、宅建業者に責任は発生せず、売主との争いになってきます。
2-2.まずは弁護士に相談を
個人の方が自宅を買う場合、消費者契約法が出来ようされることがあります。もし、買主が一方的に不利な内容であれば、内容が無かった事に出来る(10条)。
他にも、消費者契約法第4条の消費者契約の申し込み又はその承諾の意思表示の取消しにはいくつかの条件がまとまっているので、ご興味ある人はグーグルなどで検索してみて下さい。ちなみに、契約自体を無効にするクーリングオフは適用されません。
過去には、宅建業者の担当者が抱いた事故物件ではないかという疑念や事故物件であることを知った上で、告知をせず媒介をしたために民事訴訟に至った判例もあります。
そのため、ご相談者様の主張は一概にはねつけられる話でもないかと思われます。お近くの弁護士や法テラスの無料相談に一度相談された方が良いかもしれません。
3.同様のトラブルに巻き込まれたら
今回のケースは前述したように、宅建業者が「事故を認識していたか」がポイントになってきます。
例えば、近隣事例と比べて明らかに価格が安いなどあれば実は事故物件であることを知っていた可能性が大いにあります。それを武器に契約解除したい旨を伝えてみるのが最初の一手ではないでしょうか?
認識の有無に関しては証拠を掴むことが難しく、今回のケースも宅建業法上の視点から見ると、手付金の返却と契約解除に関しての可否は言い切れません。
過去には同様の判例もあるため、まずは弁護士に相談してみましょう。また、同様のトラブルに巻き込まれないためにも、過去にその物件で事故が起きていないかを、ご自身で可能な限り事前調査するように心がけてみてください。信用できる不動産会社や担当を見つけるのも良いと思います。
念のため、これまでの相談事例を基に、遠方への引っ越しや部屋探しの経験が少ない方向けに、トラブルを未然に防ぐ3つの注意点をこちらにまとめておきました。
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あなたの大切な人生と平穏が守られますように、これからも私たちは引っ越しの失敗談をベースに、賃貸の専門家集団として、地域や建物の情報を中心に提供、検証していきます。
今回もサクッと読み切れるように、私たちなりにポイントを整理して記載しました。最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
※なお、これまで聞かれることが多かった質問に関して、サイト移動を機に、もっと参考になるよう一部内容を修正・追記し、投稿しています。
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