D.不動産用語

保証会社の代位弁済は『債権者に代わり保証会社が債務者に全額返済を求める』こと

1.保証会社の代位弁済(だいいべんさい)についての基礎知識

担保提供したマンション

まずは、保証会社の代位弁済の基礎知識について解説します。

1-1.保証会社の代位弁済とは

保証会社の代位弁済とは、債権者(住宅ローンの場合は金融機関)に代わって、保証会社が債務者(住宅ローンを借りている人)に全額返済(弁済)を求めることを言います。

借金の返済を何度も遅延したり、一定額滞納した場合に行われます。
​​
保証会社は、住宅ローン契約時に指定されています。

そして、住宅ローン契約をするには「保証委託契約」をすることが条件に含まれていることがほとんどです。

保証会社による代位弁済の手続きが始まるのは、だいたい住宅ローンの弁済を滞納して3〜6ヶ月後。

金融機関から「期限の利益喪失(リンク!)通知」が送られてきた後です。

今度は保証会社から「代位弁済通知書」という通知書が届きます。

形式はハガキ、もしくは「特別送達」という封書で送られてくる場合もあります。

特別送達は裁判所の名前が入っているので、ドキッとするかもしれません。

実際、代位弁済通知書が届くのはかなり危機的な状況なので、すぐに対応して欲しいと思います。

1-2.なぜ、保証会社から住宅ローンの返済を求められるのか

住宅ローン契約時に結んだ「保証委託契約」は、「もし住宅ローンの返済ができなくなった場合、金融機関は保証会社にローンを代わりに払ってもらいます」という契約です。

つまり、保証会社が一旦住宅ローンを肩代わりし、後で住宅ローンと利息にかかったお金を債務者(住宅ローンを借りた人)に請求する(返済してもらう)という流れになります。

なお、肩代わりした住宅ローン等のお金の返済は基本的に一括で請求されます。

保証会社からの代位弁済通知を無視していると、自宅に付いている抵当権を実行し、強制競売の申立てを裁判所に起こされることがほとんどです。

だから、保証会社からの代位弁済通知も、絶対に無視してはいけません。

1-3.保証会社の代位弁済通知がきた時点でブラックリスト入り

保証会社の代位弁済通知がきた時点で、残念ながら信用情報に事故登録されると思ってください。

いわゆる「ブラックリスト(リンク!)入り」です。

ブラックリスト入りすると、その他のローンはもちろん、クレジットカードやスマホの分割払い、キャッシングも審査に通るのが非常に厳しくなります。ほぼ不可能と思った方が良いです。

ブラックリストから事故情報が削除されるには、完済から5年はかかるため、例えば子供の教育ローンを借りる、マイカーローンを組むといったこともできなくなります。

2.保証会社の代位弁済通知がきても一括返済できない場合

馬場さん

保証会社から代位弁済通知がきても一括返済できない場合、以下の3つの道があります。

・債務整理
・任意売却
・競売

それぞれの詳細について解説します。

2-1.債務整理

債務整理は法的手続によって、借金を減額もしくは免除してもらうことです。

債務整理には3つの方法があり、自由度の高いものから「任意整理」「個人再生」「自己破産」の順となります。

債務整理を行うメリットは、借金を減らしたり免除してもらえたりするだけでなく、保証会社からの一括返済の請求を止めることができます。

債務整理を弁護士や司法書士に依頼すると、借入先に「受任通知」、「介入通知」等が届きます。

これらの通知が届いたら、債務者に直接取り立てを行うことが法律で禁止されているからです。

ですので、いわゆる「借金取り立て」をされているような精神的負担、家族や近所の人、会社の人の目が気になるといった気持ちも軽減されると思います。

依頼後は弁護士や司法書士が守秘義務を守りながら進めてくれるため、他人にバレることなく手続きを進められます。

もし、正式に依頼した後でも借入先から取り立ての連絡があった場合は、通知書が届くまでのタイムラグの可能性があるため、弁護士等に依頼した旨を借入先に伝えると良いです。

2-2.任意売却

住宅ローンを借りる場合は、基本的に住宅に抵当権という担保がついています。

代位弁済した保証会社は、回収が難しいと判断した場合は、抵当権を実行して強制競売の手続きを始めます。

しかし、競売は手続きが煩雑で費用がかかる上、通常市場流通価格より低い価格で住宅が売却されることが多いです。

そのため、より市場流通価格に近い売却が期待できる任意売却の方が都合が良いと考えます。

任意売却であれば手続きも不動産会社が中心となって行ってくれるため、競売ほど手間もかかりません。

債務者としても任意売却を利用した方が、債務を圧縮できる可能性が高いです。

任意売却の可能性が残されているのであれば、競売になる前に任意売却の相談をして欲しいと思います。

また、場合によっては「リースバック」という方法で、売却後の自宅に住み続けられる可能性もあります。

所有権は失いますが、思い入れのある自宅に住め、生活環境も変わらず、周囲にバレることもありません。

2-3.競売

住宅ローン返済の目処が立たない、もしくは何も対応しない場合、最後の手段として行われるのが競売(リンク!)です。

自宅に付いた抵当権を行使し、裁判所に強制競売が申し立てられます。

この時点ではギリギリ任意売却は可能ですが、申し立てられてなお対応しない場合は、自宅は競売によって売却され、最終的に立ち退かなくてはなりません。

担当 馬場

▶関連用語:期限の利益の損失競売任意売却

私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計6,700人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

同様に、住まいのトラブルに関する最新の裁判判例を弁護士や司法書士と共に理解し、データ化しています。今後もこのようなデータを生かし、トラブルを予防し、より失敗や損失の少ない部屋探しを私たちは提供していきます。

有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、同代表の相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。

2019年は茨城県の戸建てや板橋区の共同住宅などを仲介。同時に、東京渋谷区の民泊や麻布十番のシェアオフィス向けリノベーションやコンバージョン工事を行う。最近は、台風15号や19号に伴う火災保険の申請サポートやその後の改修工事を積極的に行う。

保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー

馬場 紘司
株式会社リビングイン 共同代表

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相樂 喜一郎

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相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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