老後破産は『60〜65歳で定年退職を迎え、生活が経済的に破綻する』こと

1.老後破産についての基礎知識

老後に生活・ローン破綻

相談件数が増えている老後破産の基礎知識について、解説します。

1-1.老後破産とは?

老後破産とは、『60〜65歳で迎える定年退職後の生活が経済的に厳しくなり、破綻すること』を言います。

ただ、現状、明確な定義があるわけではありませんが、いわゆる老後の年金生活期間の生活に困窮している状況を指すことが多いです。

実際、高齢者の自己破産は増加傾向にあると言われています。相談を受けている体感としても増えています。

現役世代の50代から徐々に老後破産に向かう人もいれば、定年前に十分な資産を蓄えたと思っていても、老後破産に陥るケースがあります。

したがって、老後破産は所得や資産にかかわらず、起こっている現代日本の大きな社会問題になりつつあるのではと思っています。

1-2.老後破産の現実

2014年の調査によると、『破産者の約3割が60歳以上の高齢者と言われ、50代の破産者も増加傾向にある』とされています。

また、1997年から2014年までの7年で70歳以上の破産者の割合は、約8倍も増えており、老後破産の現実は非常に厳しいものとなっていることがうかがえます。

特に、一人暮らしのいわゆる「独居老人」は老後破産に陥りやすく、すでに全国に200万人の老後破産状態の高齢者がいるのではないかと言われております。

なお、厚生労働省が発表した「生活保護の被保護者調査(平成30年度確定値)」によると、生活保護を受給するほど生活が厳しくなった理由として下記が挙げられています。

・貯金等の減少、喪失

・病気、怪我

・収入の減少、喪失

2.老後破産の原因

馬場さん

ここから、老後破産の主な原因を挙げていきます。

2-1.収入と支出のバランスが取れない、生活レベルを落とせない

老後破産の原因として、最も多いと考えられるのが、収入と支出のバランスが取れないことです。

掘り下げると、収入のあった現役時代の生活レベルを落とせない(支出が減らない)ことに原因があります。

と言うのも、収入がなくなった、もしくは大きく減少したのに、支出は現役時代のままのため、老後破産に陥ってしまうのです。なかなか支出を押さえることが出来ない人が本当に多いです。

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年)」によると、高齢者世帯の生活費は下記のようになっています。

・高齢夫婦世帯(夫65歳、妻60歳以上):270,929円

・高齢単身者世帯(60歳以上):151,800円

一方で、定年後の世帯あたりの平均収入額は以下の通りです。

・実収入平均額:211,000円

・可処分所得(実際に使える金額):178,000円

高齢夫婦世帯では、毎月10万円以上の赤字が発生していることがわかります。

定年後に再雇用で働いたとしても、収入は現役時代の半分程度になるケースが多いため、現役時代と同じ生活を続けていると、あっという間に家計が赤字となるのです。

さらに歳を重ねると、入院、手術、介護、家のリフォームなど、現役時代には考えることもなかった大きなお金が必要になることもあり、老後破産を加速させてしるのが実態です。

2-2.住宅ローンの返済が重荷になっている

晩婚化の流れもあり、自宅を買うのが40代、50代となっているケースもあります。

そのため、給与収入が途絶える、もしくは大きく減少する定年後も住宅ローンの返済が続くことにより、老後破産を招くことも少なくありません。

実際、債務整理の一つ、個人民事再生手続申立者の住居について調べた調査によると、最も多いのが「持ち家」と言われています。

2014年に個人民事再生手続の申し立てを行った人の約40%以上が、住宅の所有者でした。

個別面談で状況を確認後ですが、もし、住宅ローンの返済が重荷で老後破産目前の場合には、ご自宅の任意売却やリースバックをおすすめし、生活費の改善と生活の立て直しを提案しています。

2-3.学費・教育費が負担になっている

40代の方を中心に子供の学費や教育費が負担となり、老後破産となるケースも増えています。

その理由の一つが、晩婚化や高齢出産が進んでいることです。

晩婚、高齢出産により、役職定年や定年後の給与収入が減少するタイミングと、子供の大学進学など教育費が嵩む時期が重なる家庭が増えています。

昭和の時代であれば、50代前半までに教育費のピークを超え、定年までの約10年で自分たち夫婦の老後資金を貯めることができる家庭が多くありました。

それが、令和の現代では更に難しくなっています。

年功序列の給与体系の崩壊、住宅の高騰(住宅ローン負担の増大)も拍車をかけていると思います。

さらに、中高年のひきこもり、いつまでも経済的に自立できない子供、離婚等による出戻りなどで、高齢になっても親が子供の面倒を見ないといけないケースも増えています。

「5080問題(80代の親が50代の子供と同居し経済的支援をする)」は、今や「6090問題(90代の親が60代の子供と同居し経済的支援をする)」にまで発展しており、老後破産どころか、子供と共倒れの懸念すらあると思います。

2-4.想定外の支出が増える

病気、怪我等の医療費、親や自分たちの介護など、現役世代にはあまり考える必要のなかった想定外の大きな支出も、老後破産の原因の一つです。

定年退職後も再雇用で働く予定だったのが、体を壊して働けなくなった・・・

再雇用による収入をあてにして生活費や住宅ローンの返済計画を立てていた場合、たちまち立ち行かなくなります。

自宅を所有している場合は、リースバック、リバースーゲージという仕組みを使うことも一案です。

リースバック、リバースーゲージをうまく活用すれば、以下のことが期待できます。

・住宅ローンの返済負担をなくせる

・まとまった現金を手に入れられる

・住み慣れた環境、家で引き続き暮らせる

・介護費用を賄える

・介護施設への入居までは自宅に住み続け、入居もスムーズに行える

2-5.退職金の運用に失敗し大金を失う

退職金や現役時代にコツコツと貯めた資金の運用に失敗して、老後破産に向かうこともあります。

残念ですが、若い頃にきちんと金融や投資の勉強をする機会を得なかった日本人に多い現象とも言われています。

退職金というまとまったお金が入ったこと、老後の不安からそのお金を増やそうとして、正しい知識や経験のないまま、大きなお金を投じてしまい、失う人があとを絶ちません。

取り返そうと、残ったお金をまた別の投資に回し、失う・・・、というドツボにハマる方も残念ながら多いです。

運用は簡単ではありませんし、どんなに信用できそうに見えても人任せにして行うべきものではありません。

十分に気をつけて欲しいと思います。

ローンの返済を中心に生活が厳しくなっている方は個別の面談を申し込んでください。状況を踏まえ、どういった対応ができるのか、ご提案いたします。

その辺り、本当に複雑なので実際、どのように返済するのが最も効率的なのか?この辺りは個別性が強いため、LINE相談などで時間を取り、説明させて頂きます。

担当 馬場

>>司法書士による、自宅を使った老後のローン破産を賢く防ぐ方法をまとめています。

▶関連用語:リースバック親族間売買親子間売買

私たち、アリネットは住まいのトラブルを減らすため、2000年以降、引っ越しを経験された方、累計6,700人超の方にアンケートを行い、様々な部屋探しの体験談や失敗談を集計し、分析してきました。

同様に、住まいのトラブルに関する最新の裁判判例を弁護士や司法書士と共に理解し、データ化しています。

今後もこのようなデータを生かし、トラブルを予防し、より失敗や損失の少ない部屋探しを私たちは提供していきます。

有名私立大学卒業後、部品商社を経て、2011年より西東京、立川や吉祥寺エリアを中心に建物の工事・改修を行う。2013年より、同代表の相樂と共に不動産の売買、管理・賃貸仲介を始め、現在に至る。

2019年は茨城県の戸建てや板橋区の共同住宅などを仲介。同時に、東京渋谷区の民泊や麻布十番のシェアオフィス向けリノベーションやコンバージョン工事を行う。最近は、台風15号や19号に伴う火災保険の申請サポートやその後の改修工事を積極的に行う。

保有資格:宅地建物取引士、FP二級、防犯設備士、住宅ローンアドバイザー

馬場 紘司
株式会社リビングイン 共同代表

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相樂 喜一郎

この記事を書いた人

相樂 喜一郎

事例を基にトラブルの少ない取引を目指し、2011年以降130件以上の不動産取引を経験。現在はこれまでの経験を活かし、地域の金融機関と一緒に相続に伴う実家の再生や売却、住み替えに注力。不動産鑑定士補、宅地建物取引士、相続アドバイザー、住宅診断士。 >>その他詳しい実績はこちら

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